上 下
3 / 15

第三話 初めて知るネコの快楽

しおりを挟む
 それからオレはやけに透夜と仲良くなり、やれアイス買ってきてほしい、紅茶を一緒に飲もうとことある毎に会うようになった。
 日々にメリハリが出来て、恋愛していたときより楽しかったもんだから、少しだけ違和感を感じた。まだ胸の鼓動にこの頃は気付いていない。
 身体の関係も続き、スイッチは相変わらず静かなので、平和にオレがタチだった。
 可愛らしいな、ずっと求めていた王様だ、とオレは傅きその様は透夜に執事だといわれ。セバスチャンとあだ名がつくほどだった。
 お前の言うことだ、聞いちゃうよ――内心そんな従者精神を見せながら、仲良く過ごしていた頃。スイッチが入ってしまった。
 ああ、いけない。これはよくない予感がする。オレは一生懸命隠して、その日は透夜からの連絡に出なかった。のに、透夜はオレの家に訪ねてくるもんだから、あげてしまった。
 家に上がって、部屋に入れば続く沈黙。
 どうしたものか、話して良い物か。ネコをし続けたいわけじゃないけど、ネコになりたい日もあるなんて誰が信じてくれるのか。そもそも、それまでタチをこなしていて、ある日言われたら戸惑わないか?
 焦る気持ちで俯いてると、透夜はあの真っ直ぐな茶色の眼でみてくるものだから。
 わんこみを感じて少しだけ癒やされたオレは誘ってしまう。

「一回だけ抱いてくれないか」
 嗚呼言ってしまった。恥ずかしい。断られる。嫌われる。色んな羞恥が一緒くたになり、自己嫌悪になっていく。
 だが、透夜はこくりと頷くと、オレを組み敷いてそれまで暢気なわんこが、暴君の顔になっていく。
「一回でいいのか」
 ――オレの、王様は、なんてかっこいいのか。
 心の蟠りが解けていき、透夜に本音を明かしていく。恋人でもないのに不思議だな。
「ネコになりたいときと、タチになりたいときがあるんだ。出来れば、そのときに」
「判った、いいぜ」
 心から愉しそうに、透夜は笑った。いつも元気で明るく可愛い透夜が、別人のような雄の顔つきだった。態度も言葉も変わったわけでもないのに。わんこが狼になった。
 ――ああ、この人なら受け止めてくれるかも知れないと、感じてる間に、透夜はオレの身体を暴いていく。オレもあまり知らないオレを見せつけていった。
 透夜はオレのようにエッチの時におしゃべりではなく、只管身体を愛撫するのに夢中だった。
いつもは啼く顔が、情欲でいっぱい。オレの何処が気持ちいいのかを暴いている。
舌を擦れ合わせてから、歯列をなぞられ。髪を撫でられれば蕩けた気持ちになっていく。透夜の手はオレの雄を握り込み、先端を抉ってくるので腰が震える。
 逃れるように、いや――もっとほしくて、腰を揺すると透夜はにやにやと「かーわい…」と囁いてくる。面持ちが染まる、潤滑油代わりに蜜を根元から扱かれ、透夜が身体を移動させる。
オレの下腹部近くまでくると、顔を腰に埋め、腰を持ち上げ秘部を舐め解そうとしはじめる。
「あっ、かわいくな、い。手きもちいい……んあ、暖かい、ぬるってする。いやだ、見るな、見ると感じちゃう……恥ずかしい、とおや、とおやあ……」
 自分でもしらない高揚した声があがり、あまりの光景に真っ赤になり目を閉じるしかできなかった。
「すげーみえる、薫のいいとこ……ここから、ここに垂れてんのすげーエロい」
 唾液で濡れた中に指を埋められ、先走りが尻の穴まで滴ると、その雫を指で伝われ。先端を吸われながら、指が解される。
「見られるの興奮するから駄目だ、ってば、ぁ、やぁ、も、駄目、はぁ、あ、前、も、触って……。おねが、ぃ、イきた、い。えろい、こと、シてるの、お前、だッ……はぁ、ン……ンン」
「興奮してるから美味しそうなんだろ。そろそろいいか、イきながら入れたらきっと気持ちいいぜえ」
 オレは興奮のあまりに指が抜け、透夜の肉棒を何度も後孔にキスされ焦らされた感覚に、もどかしく。やがて、挿入されると、透夜の言ったとおりにそのまま果ててしまった。
 遠慮の無いピストンに腰が合わさって揺れ、達したばかりなのにすぐに果ててしまい、それでもまだまだ遠慮無く腰が揺さぶられ、もう訳が分からなくなる。甘い声が溢れ、愛しさで一杯になり、今まで誰にも見せた覚えのないオレになる。
「だめじゃない、だめじゃない、きもちいいから、もっとお……♡ 奥、すき、奥……いい」
 しがみつきながら最早理性が消えていく。かりかりと項や背中を引っ掻き、やがて白濁がびゅるるるっと散れば、はくはくと口を開け閉じし。キスを強請った。
 透夜も達する、もう終わりか勿体ない感覚だと感じていれば、透夜はそのまま二戦目を始める。腰がぐいぐいと、ぱんぱんと重なり。
「も、だめ、はずかし、イっちゃうう、イくの止まらなくなるからあ!」
 と告げれば、そのまま透夜は盛り上がり、「すげーエロい眺め」とぱんぱんと打ち付けてきて、意識がぐずぐずしてる間に達してしまいずっとふわふわしていく。
 ぽやんとしてる間に腹に熱いものが通り、お腹を撫でると腹を撫でた手を透夜は舐めた。
「すげえ可愛くネコるじゃん、薫」
「……お前、お前、ネコじゃなかったんだな……」
「オレ? オレ、リバだけどタチだよどっちかっつうと」
 オレはとんでもない相手を食べてしまっていたのだな、と想わず笑い。初めてスイッチを入れても嫌わない相手に巡り会えた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

絡める指のその先に…

アキノナツ
BL
行き違い、すれ違い、思い想い違い……。 違いだらけの二人 ゲイビデオのモデルの二人。 職業的な事はふんわり設定です。 バリタチの歳下くん × 人気モデルの色白美人さん 方向が違うベクトルは交差しそうでしない。絡んでそうで絡まない。 身体は繋がるのに、何かがすれ違ってしまう二人のお話。 R18はタイトルの後ろに ※ をつけます。 固定CP以外との絡みあります。(仕事的な?) なんでもありの方向けでよろしくお願いします。 (全12話+後話。スピンオフ的な後話【脇道】全5話、【合流】全4話 後…未定) 【スピンオフ的な後話】 《脇道》あらすじ 処女をどうにかしたい合法ショタのDD。グルグル悩んでゲイビの人に頼む事になって。ココに猫耳メガネの合法ショタ降臨! 《合流》あらすじ 合法ショタの仔猫ちゃんが本編メンバーにガッツリ参加していくお話。体格差の年の差カップル誕生か? ペタ胸の雄ちっぱいの合法ショタの身体を目一杯使っちゃうよ。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

マッチョでエッチなトナカイサンタ

水戸けい
BL
彼女いない歴=年齢の平岡壮太にクリスマスの予定はない。 イブイブはバイト。イブもバイト。クリスマスなんて関係ない。 だけど、うかれる人々がうらやましい。 そんな気持ちを抱えて、チクショウとばかりに神社で欲望まるだしの、かなうわけもない願いをヤケクソ気味に告げて帰った。 神様が本当にいるというなら、ムチムチ巨乳のエロくて家庭的な恋人をプレゼントして欲しい。手料理を味わって掃除をしてもらって、体のケアまでバッチリしてくれる、かいがいしくて見た目もいい、エロ漫画みたいな相手をクリスマスプレゼントによこしてくれ……と。 そんな壮太のもとに、エロいサンタコスをしたマッチョなイケメンが現れた。 たしかにムチムチ巨乳だが、男じゃないか! とまどう壮太は、それでも彼に心をときめかせて――。

【完結】淫魔属性の魔族の王子は逃亡奴隷をペットにする 〜ペットが勇者になって復讐にきた〜

鳥見 ねこ
BL
「呪印を消してあげようか。キミが俺のペットになるなら」 魔王の第4王子ラシャは、瀕死になっていた若い人間の逃亡奴隷レオンをペットにした。 王子は魔族と淫魔の混血の影響で、生き物から細々と精気を貰わなければ生きられなかった。 逃亡奴隷は人間離れした強さを恐れられ、魔法封じの呪印で声を封じて奴隷落ちさせられていた。 利害が一致した2人は、呪印を消すために共に生活する。そうするうちに、心も体もお互いに依存していく。 そんな2人の別れの日は、必ず来る。 【逃亡奴隷のペット×魔王の第4王子】の話。のちに【勇者×魔王】となる。 ※R18の話にはタイトルの後ろに✳︎がつきます。 ※軽めのグロ・欠損あります。 ※淫魔(インキュバス)の独自設定が出てきます。 ※攻め視点のエロあります。

奴隷騎士の雄っぱい牧場

丸井まー(旧:まー)
BL
敗戦国の騎士リンデは、敵兵に捕らえられ、奴隷となった。リンデは、他の者達と共に移送された先の施設で、何故の注射をされた。それから平穏な日々を過ごしていたリンデ達だが、ある日から乳が出るようになり、毎日雌牛のように乳を搾られるようになった。奴隷となった騎士リンデは、貴族の男に買われ、美しい男ダーナディルに乳を飲ませることになった。奴隷騎士の搾乳雌堕ちデイズ! ※てんつぶ様主催の「奴隷騎士アンソロジー」に寄稿させていただいた作品です。 ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

雄っぱい野郎に迫られてます

キトー
BL
大学生のカオルは成り行きでムキムキ雄っぱいな同級生のダイチと同居中。 ある日突然カオルが告白されたり押し倒されたりするお話。 雄っぱいが書きたかっただけのアホエロです。 『ヘタレムキムキ雄っぱい✕ちょっとツンデレ同級生』 ※やや無理やりな表現があります。 ※ネタバレを避けるため性的な表現が含まれる場合も予告はしません。苦手な方はご注意ください。  誤字脱字やおかしな言い回しがあれば教えてもらえると助かります。  感想とても喜びます!  匿名ご希望の方はXのマロかWaveboxへどうぞ!

「優秀で美青年な友人の精液を飲むと頭が良くなってイケメンになれるらしい」ので、友人にお願いしてみた。

和泉奏
BL
頭も良くて美青年な完璧男な友人から液を搾取する話。

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】

処理中です...