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秋の黄昏編
第八十二話 七つの試練からの祝福
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劇当日、観客は沢山集まったし二百人はクリアした。
最前列に兄様が原作者を連れて、一緒に観覧してる姿は流石の勇者様だと私達はある種尊敬した。人脈がすごい。
劇は無事に始まった。
「こ、この指輪は私があの人の為に買った物……お義母様、質へ流すなんてゆるさない!」
「おう、そうだ、許しちゃあなんねえよ。ついでにそうだ、あのおふくろさんを毒殺しちまえよ」
嫁ゼリアと間男ラクスターの演技は鬼気迫るものがあったし。
「お母さん、嫁ちゃんがこんなことするんだねえ! ひどいんだねえ!」
「まあまあ、うちのミディ坊ちゃんを泣かせるなんて! あのバカ女め、許さないよ!!」
旦那ミディ団長と、姑シラユキの演技も壮絶だった。
内容は原作より少しコミカルなシーンもいれたけれど、原作者からは好評だったようで席で兄様と一緒に楽しんでくれた。
劇がやがてフィナーレを迎え、幕を閉じると一斉に拍手が送られた!!
「魔物もやるじゃないか!」
「すごいなあの威圧感は! これからの芸術に相応しい魔物達だ!」
「あの人達かっこよかったわ!!」
「原作なんていうんだっけ? 私帰りに買うわ!!」
観客は拍手をしながら席を立ち、惜しみない拍手を皆に向ける。
拍手の最中に、憂いを帯びた精霊女王は現れた。
『ウル、ゼロ、舞台に現れなさい』
「は、はい」
私とゼロが慌てて現れると秋の精霊女王は目を伏せながら微笑む。
『申し分なく合格です、楽しませて頂きました。人間模様込みで、ね』
「あ、ええと、やっぱり、複雑になりますか……?」
『それはあの人間の思い次第でしょう。私達が決めるものでもありません。さて、ウル、貴方に最後は神の試練が待っています。準備が出来たらいつでも、ラクスターと共に天へ参るのです。我ら四精霊王からは炎の陣営魔物達へ惜しみない祝福を捧げます。我らが花嫁と花婿に幸あれ』
空から一気に桜やひまわり、コスモスや寒椿が舞い降りてきて、今まで現れた精霊王達が私達に拍手を贈る。
私はゼロと見つめ合い、頷く。
「ゼロ、信じてね。必ず帰ってくるわ」
「……神の世迷い言に騙されてはなるまいぞ。最高の式とドレスを用意して待っていよう、ウル」
人々はこの花弁たちも演出の一つかと思ったのか、感動して拍手を贈り続けてくれていた――。
最前列に兄様が原作者を連れて、一緒に観覧してる姿は流石の勇者様だと私達はある種尊敬した。人脈がすごい。
劇は無事に始まった。
「こ、この指輪は私があの人の為に買った物……お義母様、質へ流すなんてゆるさない!」
「おう、そうだ、許しちゃあなんねえよ。ついでにそうだ、あのおふくろさんを毒殺しちまえよ」
嫁ゼリアと間男ラクスターの演技は鬼気迫るものがあったし。
「お母さん、嫁ちゃんがこんなことするんだねえ! ひどいんだねえ!」
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「すごいなあの威圧感は! これからの芸術に相応しい魔物達だ!」
「あの人達かっこよかったわ!!」
「原作なんていうんだっけ? 私帰りに買うわ!!」
観客は拍手をしながら席を立ち、惜しみない拍手を皆に向ける。
拍手の最中に、憂いを帯びた精霊女王は現れた。
『ウル、ゼロ、舞台に現れなさい』
「は、はい」
私とゼロが慌てて現れると秋の精霊女王は目を伏せながら微笑む。
『申し分なく合格です、楽しませて頂きました。人間模様込みで、ね』
「あ、ええと、やっぱり、複雑になりますか……?」
『それはあの人間の思い次第でしょう。私達が決めるものでもありません。さて、ウル、貴方に最後は神の試練が待っています。準備が出来たらいつでも、ラクスターと共に天へ参るのです。我ら四精霊王からは炎の陣営魔物達へ惜しみない祝福を捧げます。我らが花嫁と花婿に幸あれ』
空から一気に桜やひまわり、コスモスや寒椿が舞い降りてきて、今まで現れた精霊王達が私達に拍手を贈る。
私はゼロと見つめ合い、頷く。
「ゼロ、信じてね。必ず帰ってくるわ」
「……神の世迷い言に騙されてはなるまいぞ。最高の式とドレスを用意して待っていよう、ウル」
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