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夏は過激編
第七十六話 真夏に似た視線
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候補として出されたのは私と、シラユキと、ゼリアだった。
ゼリアのセクシーな体つきや、シラユキの意外と引き締まった身体を推薦するのは分かるけれど、その中に私を入れる理由がよく分からない。
確かに胸は大きいけれど、これはゼロの用意した身体だから、私の生まれつきとかじゃないもの……!!
そんな主張も空しく、私にはワンピースタイプの水着にパレオを用意され、ゼリアやシラユキにはビキニタイプの水着を用意された。
ゼリアの水着は物凄く際どくて、それは本人が選んだ物らしいのだけれど、見ててこっちまではらはらする。
着替えから出て、夏の精霊王と炎の陣営の魔物たち、プラスアルファの兄様が待ちかねている玉座にまで私達は集まる。
私はシラユキの影に隠れて、赤い顔を必死で隠している。
「けちけちすんなよ、堂々としてろよー!!」
ヤジを飛ばしたのはラクスター。貴方、次のお給金の時覚えてなさいと怒りを込めて睨み付けると、ラクスターはにやにやとした眼差しを向けてきた。
シラユキはそれまで堂々としていたのに、兄様と目が合うと指先がどろっと蕩けた。
表情には出てないけれどかなり恥ずかしがっている様子である。
ゼリアは魔物達の要求するとおりにポーズを決め、ミディ団長と目が合うと色気の籠もった眼差しを送る。
その瞬間にミディは青ざめて、後ろを向いて両耳を塞いで何かブツブツ呟いていた。
ゼロはがんとして此方を見ている。
堂々とした眼差しで、舐めるような眼差しで、愉快さが交じった眼差しで私をくまなく見ていた。
「夏の精霊王とは気が合いそうだ」
『お前もいける派か、ならばこの場を楽しもうではないか!』
夏の精霊王はノリノリに私達が寒くならないように、温度を私達にだけ高くし、汗を掻かせる。
夏の精霊王は私達三人を見つめて、唸っていた。
『隣に立つ男がいないと、いまいち良さはわからぬな』
*
「何だって僕が……」
「ゼリアだってとと様がよかったわ!」
ゼリアの隣にはアルギスが並び。
「シラユキ姐、此処も溶けてる。よっぽど勇者が……」
「五月蠅いわ、ラクスター!」
シラユキの隣にはラクスターが並び。
「うむ……ふふ、やはり可憐なウルの隣にいるべきは余だな」
「……ゼロ見ないでぇえ……」
私の隣にはゼロが並ぶ。
並んだ男性陣も水着を宛がわれた。
最初ミディを並ばせるようリクエストがゼリアからあったけれど、ミディのあまりに人型の筋肉のないスレンダーボディに夏の精霊王はNGを出したのだ。
夏に相応しくない身体だと。
魔物の女性陣に密かにアルギスのファンが出来たのか、アルギスを見てきゃーきゃー騒ぎ。ラクスターを見てはキャーキャー騒ぎ。ゼロを見ては卒倒して「私幸せです」と唱える者もいた。
『それぞれに夏の試練を与えよう。まずはゼリア、アルギスの組よ。スイカ割りをし給え』
「すいか割ってなあに? 精霊王様。ゼリア分からない」
「ぐるぐる廻ってから、外野の指示でスイカを割るのを目指すアソビだよ」
隣にいるアルギスが教えると、なるほど、とゼリアは頷いた。
夏の精霊王の指示で、十回その場で廻ってから棍棒で用意されたスイカに似た風船が用意されそれを割ろうということになった。
ゼリアは目隠しし、その場で十回回るとふらつきながら棍棒を持ちアルギスの指示で風船をスマートに割った。
『うまくいきすぎてつまらんな。次の組み合わせは誰だ?』
「私とラクスターが参りますわ」
「頑張れ、シラユキッ」
「ギルは五月蠅いのよ!」
「! 今初めて、オレのことギルって呼んでくれた……!! シラユキちゃあああん!!!」
「お黙り」
照れ隠しで受けた氷の技に、兄様は青ざめてこくこくと黙って頷いた。
ゼリアのセクシーな体つきや、シラユキの意外と引き締まった身体を推薦するのは分かるけれど、その中に私を入れる理由がよく分からない。
確かに胸は大きいけれど、これはゼロの用意した身体だから、私の生まれつきとかじゃないもの……!!
そんな主張も空しく、私にはワンピースタイプの水着にパレオを用意され、ゼリアやシラユキにはビキニタイプの水着を用意された。
ゼリアの水着は物凄く際どくて、それは本人が選んだ物らしいのだけれど、見ててこっちまではらはらする。
着替えから出て、夏の精霊王と炎の陣営の魔物たち、プラスアルファの兄様が待ちかねている玉座にまで私達は集まる。
私はシラユキの影に隠れて、赤い顔を必死で隠している。
「けちけちすんなよ、堂々としてろよー!!」
ヤジを飛ばしたのはラクスター。貴方、次のお給金の時覚えてなさいと怒りを込めて睨み付けると、ラクスターはにやにやとした眼差しを向けてきた。
シラユキはそれまで堂々としていたのに、兄様と目が合うと指先がどろっと蕩けた。
表情には出てないけれどかなり恥ずかしがっている様子である。
ゼリアは魔物達の要求するとおりにポーズを決め、ミディ団長と目が合うと色気の籠もった眼差しを送る。
その瞬間にミディは青ざめて、後ろを向いて両耳を塞いで何かブツブツ呟いていた。
ゼロはがんとして此方を見ている。
堂々とした眼差しで、舐めるような眼差しで、愉快さが交じった眼差しで私をくまなく見ていた。
「夏の精霊王とは気が合いそうだ」
『お前もいける派か、ならばこの場を楽しもうではないか!』
夏の精霊王はノリノリに私達が寒くならないように、温度を私達にだけ高くし、汗を掻かせる。
夏の精霊王は私達三人を見つめて、唸っていた。
『隣に立つ男がいないと、いまいち良さはわからぬな』
*
「何だって僕が……」
「ゼリアだってとと様がよかったわ!」
ゼリアの隣にはアルギスが並び。
「シラユキ姐、此処も溶けてる。よっぽど勇者が……」
「五月蠅いわ、ラクスター!」
シラユキの隣にはラクスターが並び。
「うむ……ふふ、やはり可憐なウルの隣にいるべきは余だな」
「……ゼロ見ないでぇえ……」
私の隣にはゼロが並ぶ。
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最初ミディを並ばせるようリクエストがゼリアからあったけれど、ミディのあまりに人型の筋肉のないスレンダーボディに夏の精霊王はNGを出したのだ。
夏に相応しくない身体だと。
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「すいか割ってなあに? 精霊王様。ゼリア分からない」
「ぐるぐる廻ってから、外野の指示でスイカを割るのを目指すアソビだよ」
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夏の精霊王の指示で、十回その場で廻ってから棍棒で用意されたスイカに似た風船が用意されそれを割ろうということになった。
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