勇者の妹ですが、病弱で死んでしまったら魔王が求婚して生き返らせてくれました!

かぎのえみずる

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夏は過激編

第七十五話 薄着の報せ

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 この調子だときっと十日後に夏の精霊がやってくるだろうと、話し合いになった。
「今までそれぞれの季節の辛さを味わえって感じであったな」
 ゼロはしみじみと考え込みながら、次の季節の対策を練っていた。
 今回の会議は、私の純度が高く強い魔力を宿した魂についての打開策も兼ねている。

 その場にいるゼロとラクスターとミディ団長は目を合わせてアイコンタクトで会話している。
 どうしたのかしら、と私とゼリアで不思議そうに顔を合わせていると、シラユキが呆れた顔をしている。

「きっと、次は暑さでくるだろうから、私達の薄着を楽しみにしてるのよ」
「とと様えっちー!」
「ゼリア、お前はちゃんと着込むんだよいいんだね!?」
「そこは水着着てって言って欲しいわあ、とと様!」

 ゼリアとシラユキの言葉に、ゼロとラクスターへ視線を向けると二人はさっと視線を散らした。
 まるで試練が待ち遠しいみたいなこの空気は何かしら……。

「それに向けて水着を考えてくるよう言われましたし」

 いつかのデジャビュ。
 ドレス案を配られた時のように、水着案が紙で何枚か会議室にいる全員に配られる。
 その場には何故か魔物ではないのに、兄様がいた。

「シラユキ! シラユキの水着はないのか!! はーいはーい!!」
「お帰りになって、このバカ勇者! この試練はもっと気高いものなのですよ! 男どもの下心に弄ばれるようなイベントごとじゃあありませんの!」
「でもさでもさ、どうせなら楽しんだ方がいいじゃん!?」
「ああっ、もう、貴方に見せるのは恥ずかしいのよ! というわけで、奥様の水着投票を始めますッ!」

 水着にかんしては兄様は興味はなさげだけど、私の過保護三バカのうちラクスターとゼロはそれはもう真剣にそれぞれの紙を見つめていたものだから、恥ずかしさで私は紙を燃やした。

「な、何をするんだ、ウルッ。これは大事な」
「何が大事よ、バカッ!! すけべな顔してるわ!! ラクスターもよ!」
「いやいや、装備を調えないとな、いけねえんだよ、奥様」
「なんでそれが水着なのよ!!」

 私の主張も空しく、十日後に現れた夏精霊の王様は歯を見せ、男どもの期待そのままを口にした。

『春の報せから聞いたぞ、認めて欲しいんだってな? ならば、わしらからの条件はこうじゃ。夏の水着が一番似合う美女を見つけ出すこと!』

 男の魔物どもは歓喜し、女性の魔物たちはそんな男性陣を呆れた眼差しで見ていた。


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