66 / 88
雪景色に天恵編
第六十六話 雪合戦大会!
しおりを挟む
外でかまくらの中にて本を読んでリラックスしていたシラユキが、やってきた私達に気づくとかまくらから出てきて雪を腰からはたき落とした。
身なりを整えてから、シラユキは遅れてやってきたミディとゼリアを見るとにっこりと微笑んだ。
「これから、私とラクスター。ゼリアとミディ、魔王様とウル様をリーダーとしたチームに別れて雪合戦を致しましょう!」
「異議あり!! 僕は別に、ラクスターと一緒のチームでいいんだね!」
「駄目ですわ、男女のチームをそれぞれ作った方が力量差はあまりでないでしょう? この状況では」
「そんなの関係ないんだね!! 僕は帰るんだね!!」
「ミディ、確かお前人間たちの間で流行っていた『好き好き大好きお兄ちゃん♡』つー恋愛小説欲しがってただろ。ゼリアと組んで、オレに勝てたらこの前の土産としてくれてやるよ」
「なっ!? ほ、本当かね!? 嘘はいけないんだぞ、ラクスター本当に持ってるんだね!?」
「疑うならそれまでだ、本気でかかってこい、ミディ、ゼリア! くそ魔王に、姫さん! シラユキ姐がいるなら、うちのチームは負けなしだ!」
既に両手に雪玉を持ったラクスターが哄笑していた。
その頭をぱかっと叩くとシラユキはにこりと微笑み、皆に提案する。
「どうです? 余興として、優勝した方には何かしら差し上げますわ」
「ゼリアはとと様との温泉デートの旅費や馬車が欲しい!」
「僕は勿論、その恋愛小説だね!! 全巻を所望するよ!」
「オレは新しい武器欲しいな! かっけーやつ!」
「余は欲しいものはそうだな、……ウルに似合うセクシーな寝間着でも……」
「わ、私はそれなら、ゼロと一緒に過ごす休暇が欲しい!」
それぞれが望みを口にして騒ぎ立てば、シラユキはどうどうと諫める仕草をしてからその場の雪を魔法で整え、雪合戦用の戦場を作り上げた。
壁が互いに陣地に三つあり、陣地は三つ。それ以外は雪玉を作るゾーンがある。
シラユキは「さあ遊びましょう!」と嬉しげに声を張り上げた。
左側にシラユキとラクスターのチーム、真ん中の少し下に私とゼロのチーム、右側にゼリアとミディ団長のチームが構える。
スケルトンが旗を振り下ろして、雪合戦開始とした。
私は必死に雪玉を作った、皆もそれぞれ雪玉を作っている。
やがて沈黙を経て、動き出したのはラクスターのチームだった。
「特攻してやる! まずはお前たちだ、ミディ!」
「あっ、やっぱり奥方様を真っ先に狙わないんだね?! そういうのは差別と……」
「うだうだしてっと投げるぞ、隠れるんだな、精々!」
慌てて構えて雪玉に備えるミディ団長に向かって、ラクスターは雪玉を顔面に投げて無事それは当たった。
ミディ団長はやたら痛がり、その痛みの原因に気づく。
「この雪玉、ほとんどが石じゃないか!! 酷いんだね!! 流石! 流石ずるい! 流石の汚さ!」
「褒め言葉を有難う、ゼリアも覚悟しろ!」
「とと様の仇ー!!」
二つのチームがぶつかりあってる中で、こっそりとゼロが動き出した。
誰にもばれないように影の中に潜り、シラユキの影から現れシラユキの頭上に雪玉をこつんと当てた。
「魔王様?! いつの間に!」
「こういうときこそチャンスであろう、油断したな」
「不覚です……あとは任せたわよ、ラクスター!」
「エッ、何もう魔王にやられてんの!? いつの間にって、ぶは!!」
「とと様の仇とれたわ!!」
ゼリアの雪玉がラクスターに当たり、ミディ団長と、ラクスターとシラユキのチームは退場となる。
二人ともやれやれといった顔で、少し悔しげだけれど楽しそうな顔のままである。
シラユキとラクスターはそれぞれ応援をし始めた。
「ゼリア、魔王狙え魔王!」
「勝つな! こうなったら勝つなゼリア! 温泉行くなら一人で行くんだね!!」
「ゼリア想像してみろ、湯上がりのミディを! 行きたいだろう?! なら魔王狙え!」
ゼリアの雪玉は剛速球だけれど、ゼロはそれを躱してそれ以上の剛速球を投げゼリアを当てた。
「やった、ゼロすごい!!」
「ふ、当然だ」
それでも誇らしげなゼロに私はぴょんぴょんと跳ねながら喜びを露わにして抱きついた。
その夜に送られたセクシーな寝間着にしばらくの間悩まされるのだけれどね。
身なりを整えてから、シラユキは遅れてやってきたミディとゼリアを見るとにっこりと微笑んだ。
「これから、私とラクスター。ゼリアとミディ、魔王様とウル様をリーダーとしたチームに別れて雪合戦を致しましょう!」
「異議あり!! 僕は別に、ラクスターと一緒のチームでいいんだね!」
「駄目ですわ、男女のチームをそれぞれ作った方が力量差はあまりでないでしょう? この状況では」
「そんなの関係ないんだね!! 僕は帰るんだね!!」
「ミディ、確かお前人間たちの間で流行っていた『好き好き大好きお兄ちゃん♡』つー恋愛小説欲しがってただろ。ゼリアと組んで、オレに勝てたらこの前の土産としてくれてやるよ」
「なっ!? ほ、本当かね!? 嘘はいけないんだぞ、ラクスター本当に持ってるんだね!?」
「疑うならそれまでだ、本気でかかってこい、ミディ、ゼリア! くそ魔王に、姫さん! シラユキ姐がいるなら、うちのチームは負けなしだ!」
既に両手に雪玉を持ったラクスターが哄笑していた。
その頭をぱかっと叩くとシラユキはにこりと微笑み、皆に提案する。
「どうです? 余興として、優勝した方には何かしら差し上げますわ」
「ゼリアはとと様との温泉デートの旅費や馬車が欲しい!」
「僕は勿論、その恋愛小説だね!! 全巻を所望するよ!」
「オレは新しい武器欲しいな! かっけーやつ!」
「余は欲しいものはそうだな、……ウルに似合うセクシーな寝間着でも……」
「わ、私はそれなら、ゼロと一緒に過ごす休暇が欲しい!」
それぞれが望みを口にして騒ぎ立てば、シラユキはどうどうと諫める仕草をしてからその場の雪を魔法で整え、雪合戦用の戦場を作り上げた。
壁が互いに陣地に三つあり、陣地は三つ。それ以外は雪玉を作るゾーンがある。
シラユキは「さあ遊びましょう!」と嬉しげに声を張り上げた。
左側にシラユキとラクスターのチーム、真ん中の少し下に私とゼロのチーム、右側にゼリアとミディ団長のチームが構える。
スケルトンが旗を振り下ろして、雪合戦開始とした。
私は必死に雪玉を作った、皆もそれぞれ雪玉を作っている。
やがて沈黙を経て、動き出したのはラクスターのチームだった。
「特攻してやる! まずはお前たちだ、ミディ!」
「あっ、やっぱり奥方様を真っ先に狙わないんだね?! そういうのは差別と……」
「うだうだしてっと投げるぞ、隠れるんだな、精々!」
慌てて構えて雪玉に備えるミディ団長に向かって、ラクスターは雪玉を顔面に投げて無事それは当たった。
ミディ団長はやたら痛がり、その痛みの原因に気づく。
「この雪玉、ほとんどが石じゃないか!! 酷いんだね!! 流石! 流石ずるい! 流石の汚さ!」
「褒め言葉を有難う、ゼリアも覚悟しろ!」
「とと様の仇ー!!」
二つのチームがぶつかりあってる中で、こっそりとゼロが動き出した。
誰にもばれないように影の中に潜り、シラユキの影から現れシラユキの頭上に雪玉をこつんと当てた。
「魔王様?! いつの間に!」
「こういうときこそチャンスであろう、油断したな」
「不覚です……あとは任せたわよ、ラクスター!」
「エッ、何もう魔王にやられてんの!? いつの間にって、ぶは!!」
「とと様の仇とれたわ!!」
ゼリアの雪玉がラクスターに当たり、ミディ団長と、ラクスターとシラユキのチームは退場となる。
二人ともやれやれといった顔で、少し悔しげだけれど楽しそうな顔のままである。
シラユキとラクスターはそれぞれ応援をし始めた。
「ゼリア、魔王狙え魔王!」
「勝つな! こうなったら勝つなゼリア! 温泉行くなら一人で行くんだね!!」
「ゼリア想像してみろ、湯上がりのミディを! 行きたいだろう?! なら魔王狙え!」
ゼリアの雪玉は剛速球だけれど、ゼロはそれを躱してそれ以上の剛速球を投げゼリアを当てた。
「やった、ゼロすごい!!」
「ふ、当然だ」
それでも誇らしげなゼロに私はぴょんぴょんと跳ねながら喜びを露わにして抱きついた。
その夜に送られたセクシーな寝間着にしばらくの間悩まされるのだけれどね。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!

強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる