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雪景色に天恵編
第六十五話 貴方を目指して
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ミディ団長は皆を診てから、私の意見を汲んでアルギスを診てくれた。
アルギスは魔崩れとはいえ、元々は人間の身体だ。体温調節など難しい。
まずはアルギスへありったけの布団を用意し、服も着込ませ、布団を被せた。
アルギスは顔を青ざめさせたまま、私に言葉を残す。
「一つ問題を言い忘れていた。この城に僕の滞在を許すからには、僕の偽物には細心の注意を払ったほうがいい。奴は、僕と同じ顔をしながら、君を歪んだ笑みで引きずり出すかもしれない。魔王、どうかウルのこと頼んだよ。僕はきっとこの試練で動き回れない」
「もとよりお前の力など当てにはしておらん。貴様は人間に戻る努力だけしておれ」
ゼロの物言いは厳しかったが、敵意は少しは消えているのか気遣いがある。
私はゼロの手を繋いで、アルギスを見やると安心した笑みで眠りに就いたようだった。
ゼロは私と一緒に執務室へ向かうと、私の体温が少しでも楽になるように抱き締め続けている。
「心音が激しいな、少しは自惚れてもいいのやもしれぬな」
「……楽しんでるの? バカ……」
私が照れ隠しに罵ると、ゼロは嬉しげに笑って私の項に口づけた。
かり、とゼロが甘噛みをすると私の身体が跳ねる。
どきどきする、……悪戯にからかってるのかしら。
ゼロの表情を振り返って確認すれば、ゼロは穏やかだけれど独占欲に満ちた眼差しをしていた。
「ゼロ、あのねはっきりと言っておくわ」
「何を?」
「……私は貴方の手を目指して、バージンロード歩きたいの。先にいるのは貴方以外嫌よ」
「……回りくどい言葉は似合わぬよ、ウル」
「それならはっきりと伝わるように。貴方が好きよ、ゼロ。私は、自分を押し殺してでも、私を信じてくれる貴方となら一緒にいたい……私で不安になったことは私が消したい」
「……よく気づいたな、余に何か引っかかりがあると。そうだな、お前たちが言うところの不安という名ではあるのかもしれぬ。アルギスが選ばれるのではないだろうか、という不安は常につきまとうよ」
私はゼロに向き直り、ゼロをじっと見上げゼロの唇へ自分からキスをした。
ゼロはそんな所作にとびきり驚いた眼差しを、私へ送る。
唇が離れるとゼロは私を引き寄せ、先ほどとは比べものにならない情熱的なキスを私にした。
私が酸素不足でくらくらしたところで離され、ゼロは穏やかに落ち着いた笑みを浮かべていた。
「ウル、言葉よりは確かに信じられる行動であったよ」
「私の雄牛さんは、怖がり、だから」
呼気を落ち着かせながら私が笑う頃合いに、執務室の扉がばんと開きそこには雪塗れのラクスターがいた。
「このまま次の日まで待ってるのも何だし、雪合戦っつーのやろうぜ! シラユキ姐んとこの故郷のアソビなんだってさ! っと、おやあ? いちゃついてる最中か、お邪魔だったかなー?」
にやにやするラクスターにゼロはすっかり自信を取り戻し「ほざいていろ」と笑って、牛の姿になり私を抱えてラクスターに着いていった。
アルギスは魔崩れとはいえ、元々は人間の身体だ。体温調節など難しい。
まずはアルギスへありったけの布団を用意し、服も着込ませ、布団を被せた。
アルギスは顔を青ざめさせたまま、私に言葉を残す。
「一つ問題を言い忘れていた。この城に僕の滞在を許すからには、僕の偽物には細心の注意を払ったほうがいい。奴は、僕と同じ顔をしながら、君を歪んだ笑みで引きずり出すかもしれない。魔王、どうかウルのこと頼んだよ。僕はきっとこの試練で動き回れない」
「もとよりお前の力など当てにはしておらん。貴様は人間に戻る努力だけしておれ」
ゼロの物言いは厳しかったが、敵意は少しは消えているのか気遣いがある。
私はゼロの手を繋いで、アルギスを見やると安心した笑みで眠りに就いたようだった。
ゼロは私と一緒に執務室へ向かうと、私の体温が少しでも楽になるように抱き締め続けている。
「心音が激しいな、少しは自惚れてもいいのやもしれぬな」
「……楽しんでるの? バカ……」
私が照れ隠しに罵ると、ゼロは嬉しげに笑って私の項に口づけた。
かり、とゼロが甘噛みをすると私の身体が跳ねる。
どきどきする、……悪戯にからかってるのかしら。
ゼロの表情を振り返って確認すれば、ゼロは穏やかだけれど独占欲に満ちた眼差しをしていた。
「ゼロ、あのねはっきりと言っておくわ」
「何を?」
「……私は貴方の手を目指して、バージンロード歩きたいの。先にいるのは貴方以外嫌よ」
「……回りくどい言葉は似合わぬよ、ウル」
「それならはっきりと伝わるように。貴方が好きよ、ゼロ。私は、自分を押し殺してでも、私を信じてくれる貴方となら一緒にいたい……私で不安になったことは私が消したい」
「……よく気づいたな、余に何か引っかかりがあると。そうだな、お前たちが言うところの不安という名ではあるのかもしれぬ。アルギスが選ばれるのではないだろうか、という不安は常につきまとうよ」
私はゼロに向き直り、ゼロをじっと見上げゼロの唇へ自分からキスをした。
ゼロはそんな所作にとびきり驚いた眼差しを、私へ送る。
唇が離れるとゼロは私を引き寄せ、先ほどとは比べものにならない情熱的なキスを私にした。
私が酸素不足でくらくらしたところで離され、ゼロは穏やかに落ち着いた笑みを浮かべていた。
「ウル、言葉よりは確かに信じられる行動であったよ」
「私の雄牛さんは、怖がり、だから」
呼気を落ち着かせながら私が笑う頃合いに、執務室の扉がばんと開きそこには雪塗れのラクスターがいた。
「このまま次の日まで待ってるのも何だし、雪合戦っつーのやろうぜ! シラユキ姐んとこの故郷のアソビなんだってさ! っと、おやあ? いちゃついてる最中か、お邪魔だったかなー?」
にやにやするラクスターにゼロはすっかり自信を取り戻し「ほざいていろ」と笑って、牛の姿になり私を抱えてラクスターに着いていった。
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