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星流れのデート編
第三十九話 信頼と信用
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アルギスはデートを終えると、夜に一緒にラクスターと三人で星の流れる様を見ると素直に帰って行った。
目的が分からなかった。
ただ去り際に「眠れる獅子を起こしたかった、それでまた僕がつけいる隙が出来るから」と私に笑いかけていたのが気になった。
アルギスが帰って行き、ラクスターと二人で馬車に乗る。
ラクスターは面妖な表情をずっとしていた。
「どうしたの」
「いや……今日一日ずっとなんつーか、むかむかして」
「どうして? 何か悪い物食べた?」
「違う。オレにもわかんねーよ……なんか、あいつと奥様が並ぶ姿見てたら、ちりって、胸が痛くて。意味わかんねーし」
ラクスターは無意識なのだろうけれど、私に手を伸ばし手をそっと繋いだ。
手を繋いでおきながら、ラクスターは自分で吃驚し私の顔を二度見したので、私は笑いかけた。
「大丈夫、アルギスはしばらくの間何もしてこないわ」
「……奥様、その持ってる花束」
「クロユリ?」
「それ花言葉相当不吉だぞ。恋って意味もあるが、呪いって意味もある」
「……でしょうね、その話をしていたわ」
「燃やそうぜ、どうせ魔王だって燃やすんだから」
「本当に苛ついてるのね、ラクスター」
アルギスとのデートから帰ると、シラユキが速攻やってきて、私達の様子を見つめた。
「ご無事でして!? 何よりです! 初の星流れは魔崩れに取られましたが、明日こそが本番! 魔王様のために肌を綺麗にしていきましょう、奥方様!」
「それよりもその花束先に処理したほうがいいぜ、あの魔崩れからの呪いだ」
「あらクロユリ、不吉ですこと! 奥方様、此方の処分は私どもが致しますわ!」
クロユリが手元から離れていく瞬間に、何故か死ぬ前に泣きじゃくっていたアルギスが脳裏に過って、きまずい思いをした。
あの時、確かにアルギスは寂しがっていた。
「一人にしないで」と――。
*
次の日にゼロと二人で星流れを見に行く、夜に星がしゅっと一瞬で流れていく様はアルギスと見たけれど、ゼロと二人で見るほうが心は躍る。
でも互いにぎこちない距離感になってしまい、最初は何を話せばいいか分からなかった。
徐々に星が流れていく数が増えていくにつれ、私のテンションや驚きが増えていき、ゼロはやっと安心したように私を自分の膝の上に座らせて抱きしめる。
「ゼロ、これじゃ空見えないわ……貴方の顔が近い」
「わざとだよ。余でいっぱいになるとよい……お前の心にあるのは、余であるといい」
「ねえ、……願い事貴方にあるのだけれど、叶えてくれる?」
「何だ? 言ってみろ」
「私に救われたってどういう、ことなの? ずっと気になるの」
「お前が……特別何かをしたわけではないよ。ただ、どんなときにも幽霊姿のお前は側で話をし続けてくれていただろう? お前は寂しかったゆえの言動かもしれぬが、余はあのとき初めて心から他人との会話を損得なしに、楽しめたのだよ。そこから、損得勘定のない付き合いもあるのだと知っていった」
「……ゼロも寂しかった?」
「さてな。ただお前のいない世界はつまらぬ。もう、お前なしでは生きていたくはないかな」
ゼロは片手で私の目を覆い、項にキスらしき行為をした。
「ひゃっ?!」
「ふふ、擽ったいか。……お前が、最初で最後の奇跡だと言っても、お前は信じないだろうな。余にとって、損得の世界でしかなかった世界に、光りを持ってきたのだと」
「……ゼロ。それこそ、貴方は私に正真正銘、光りをくれたわ。生きると言うこと。目をこうして遮られるだけで、鼓動がとてもよく分かるの」
「星の鼓動と何方が強いかな」
「星流れみたいに、一瞬ではないわ」
ふふ、とゼロと私は笑い合って、そっと夜の中、互いに目を瞑りキスをした。
私は、ゼロに惹かれつつある、認めても良いかもしれない。
あとはきっと信じるだけ。
目的が分からなかった。
ただ去り際に「眠れる獅子を起こしたかった、それでまた僕がつけいる隙が出来るから」と私に笑いかけていたのが気になった。
アルギスが帰って行き、ラクスターと二人で馬車に乗る。
ラクスターは面妖な表情をずっとしていた。
「どうしたの」
「いや……今日一日ずっとなんつーか、むかむかして」
「どうして? 何か悪い物食べた?」
「違う。オレにもわかんねーよ……なんか、あいつと奥様が並ぶ姿見てたら、ちりって、胸が痛くて。意味わかんねーし」
ラクスターは無意識なのだろうけれど、私に手を伸ばし手をそっと繋いだ。
手を繋いでおきながら、ラクスターは自分で吃驚し私の顔を二度見したので、私は笑いかけた。
「大丈夫、アルギスはしばらくの間何もしてこないわ」
「……奥様、その持ってる花束」
「クロユリ?」
「それ花言葉相当不吉だぞ。恋って意味もあるが、呪いって意味もある」
「……でしょうね、その話をしていたわ」
「燃やそうぜ、どうせ魔王だって燃やすんだから」
「本当に苛ついてるのね、ラクスター」
アルギスとのデートから帰ると、シラユキが速攻やってきて、私達の様子を見つめた。
「ご無事でして!? 何よりです! 初の星流れは魔崩れに取られましたが、明日こそが本番! 魔王様のために肌を綺麗にしていきましょう、奥方様!」
「それよりもその花束先に処理したほうがいいぜ、あの魔崩れからの呪いだ」
「あらクロユリ、不吉ですこと! 奥方様、此方の処分は私どもが致しますわ!」
クロユリが手元から離れていく瞬間に、何故か死ぬ前に泣きじゃくっていたアルギスが脳裏に過って、きまずい思いをした。
あの時、確かにアルギスは寂しがっていた。
「一人にしないで」と――。
*
次の日にゼロと二人で星流れを見に行く、夜に星がしゅっと一瞬で流れていく様はアルギスと見たけれど、ゼロと二人で見るほうが心は躍る。
でも互いにぎこちない距離感になってしまい、最初は何を話せばいいか分からなかった。
徐々に星が流れていく数が増えていくにつれ、私のテンションや驚きが増えていき、ゼロはやっと安心したように私を自分の膝の上に座らせて抱きしめる。
「ゼロ、これじゃ空見えないわ……貴方の顔が近い」
「わざとだよ。余でいっぱいになるとよい……お前の心にあるのは、余であるといい」
「ねえ、……願い事貴方にあるのだけれど、叶えてくれる?」
「何だ? 言ってみろ」
「私に救われたってどういう、ことなの? ずっと気になるの」
「お前が……特別何かをしたわけではないよ。ただ、どんなときにも幽霊姿のお前は側で話をし続けてくれていただろう? お前は寂しかったゆえの言動かもしれぬが、余はあのとき初めて心から他人との会話を損得なしに、楽しめたのだよ。そこから、損得勘定のない付き合いもあるのだと知っていった」
「……ゼロも寂しかった?」
「さてな。ただお前のいない世界はつまらぬ。もう、お前なしでは生きていたくはないかな」
ゼロは片手で私の目を覆い、項にキスらしき行為をした。
「ひゃっ?!」
「ふふ、擽ったいか。……お前が、最初で最後の奇跡だと言っても、お前は信じないだろうな。余にとって、損得の世界でしかなかった世界に、光りを持ってきたのだと」
「……ゼロ。それこそ、貴方は私に正真正銘、光りをくれたわ。生きると言うこと。目をこうして遮られるだけで、鼓動がとてもよく分かるの」
「星の鼓動と何方が強いかな」
「星流れみたいに、一瞬ではないわ」
ふふ、とゼロと私は笑い合って、そっと夜の中、互いに目を瞑りキスをした。
私は、ゼロに惹かれつつある、認めても良いかもしれない。
あとはきっと信じるだけ。
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