20 / 88
勇者参列編
第二十話 ウルなりの誠意
しおりを挟む
私はこの場に居る味方全員に、バリアの魔法を放った。
これが私のチャーム対策。ゼロが私自身がチャームするのが嫌だと言うのなら、こうすればゼロは嫌な思いをしないもの!
ゼロには事前に言ってなかったので、驚いた顔をして私を見やる。
一瞬金色に燃える炎が味方一同に体内に吸い寄せられ、それはバリアが成立した証だった。
「……我が乙女よ、これは」
「バリアしたのだから、他の女性に目移りして帰ってこないでね」
「っふ……はは、ははははは!!! お前の気概は分かったぞ、これは我が乙女の純情と純潔。それがあってどうして、他の女なぞ目に入ろうか!」
ゼロは牛の姿になり、意気揚々と一歩前に出て、魔崩れ三人にかかってこいとジェスチャーをする。
勇者のパーティは魔王との交戦に身を乗り出して、それぞれ陣取りを始めた。
バフをかける魔物達は味方全員にバフをかけていたが、真っ先に魔崩れのサキから猛毒が与えられ、狙われていたのは私でもゼロでもなく、補助と回復部隊だった。
ミディ団長は慌てて解毒範囲魔法を何度も繰り返した。
「回復する奴を真っ先に殺すのがセオリーなのに、美味しそうに隠さないから馬鹿ね、魔物って」
「そう言ってやるなよ、サキ。アルギス、お前の女はあの魔物か」
「そうだ、あそこにいる桃色の仙女こそ僕の愛しいウルだ。嗚呼、なんて可憐な姿だ、そのドレスは僕と誓う為に着ていてくれていたんだね!?」
首をふっているのに話を聞かないアルギス。
アルギスの眼差しは少し狂っていて、私は身震いが止まらない。
震えが止まらない私の前に守るように陣取ったのはラクスターだった。
「うちの奥様怖がらせないでくれますゥ? 箱入りなもんで」
「なんだ貴様、堕天使か!?」
「ただの堕天使じゃあない……奥様に生き返らせて貰った、直属の部下だ!」
ラクスターは無から大筒を生み出し、出来た白く装飾の施された大筒で三人を狙う。
三人にばんばんと大筒で打ちまくるが、三人は怪我もしない。
「こいつの性能をそろそろ疑ってもいい時期にはなってきたな、くそったれが」
煙をラクスターは自分の羽根で飛ばし、愉快そうに笑ってる三人に対して侮蔑の眼差しを向けながら無から剣を今度は作る。
向かっていこうとするが、ゼロに待て、と止められる。
「お前は此処で花嫁を守っていろ」
「えー、オレだって遊びたいよ」
「駄目だ、これは余が片付けるべき問題なのだからな、そうであろう、恋敵どの?」
「そうだ、ゼロ。僕は貴様が憎い。貴様さえ消せば、ウルは安心していずれ僕のものとなってくれるだろう。ああ、そうだ、生き返らせてくれた礼だけは言わないとな?」
ゼロは鼻息と炎を飛ばし、大声で拒絶を示した。
「そんなもの、要らぬわ!」
これが私のチャーム対策。ゼロが私自身がチャームするのが嫌だと言うのなら、こうすればゼロは嫌な思いをしないもの!
ゼロには事前に言ってなかったので、驚いた顔をして私を見やる。
一瞬金色に燃える炎が味方一同に体内に吸い寄せられ、それはバリアが成立した証だった。
「……我が乙女よ、これは」
「バリアしたのだから、他の女性に目移りして帰ってこないでね」
「っふ……はは、ははははは!!! お前の気概は分かったぞ、これは我が乙女の純情と純潔。それがあってどうして、他の女なぞ目に入ろうか!」
ゼロは牛の姿になり、意気揚々と一歩前に出て、魔崩れ三人にかかってこいとジェスチャーをする。
勇者のパーティは魔王との交戦に身を乗り出して、それぞれ陣取りを始めた。
バフをかける魔物達は味方全員にバフをかけていたが、真っ先に魔崩れのサキから猛毒が与えられ、狙われていたのは私でもゼロでもなく、補助と回復部隊だった。
ミディ団長は慌てて解毒範囲魔法を何度も繰り返した。
「回復する奴を真っ先に殺すのがセオリーなのに、美味しそうに隠さないから馬鹿ね、魔物って」
「そう言ってやるなよ、サキ。アルギス、お前の女はあの魔物か」
「そうだ、あそこにいる桃色の仙女こそ僕の愛しいウルだ。嗚呼、なんて可憐な姿だ、そのドレスは僕と誓う為に着ていてくれていたんだね!?」
首をふっているのに話を聞かないアルギス。
アルギスの眼差しは少し狂っていて、私は身震いが止まらない。
震えが止まらない私の前に守るように陣取ったのはラクスターだった。
「うちの奥様怖がらせないでくれますゥ? 箱入りなもんで」
「なんだ貴様、堕天使か!?」
「ただの堕天使じゃあない……奥様に生き返らせて貰った、直属の部下だ!」
ラクスターは無から大筒を生み出し、出来た白く装飾の施された大筒で三人を狙う。
三人にばんばんと大筒で打ちまくるが、三人は怪我もしない。
「こいつの性能をそろそろ疑ってもいい時期にはなってきたな、くそったれが」
煙をラクスターは自分の羽根で飛ばし、愉快そうに笑ってる三人に対して侮蔑の眼差しを向けながら無から剣を今度は作る。
向かっていこうとするが、ゼロに待て、と止められる。
「お前は此処で花嫁を守っていろ」
「えー、オレだって遊びたいよ」
「駄目だ、これは余が片付けるべき問題なのだからな、そうであろう、恋敵どの?」
「そうだ、ゼロ。僕は貴様が憎い。貴様さえ消せば、ウルは安心していずれ僕のものとなってくれるだろう。ああ、そうだ、生き返らせてくれた礼だけは言わないとな?」
ゼロは鼻息と炎を飛ばし、大声で拒絶を示した。
「そんなもの、要らぬわ!」
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる