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羽根を持たない天使編
第五話 天使曰く
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ゼロは米神を抑えながら、牛の姿で悩み。
ラクスターを真正面から見つめ直す。ラクスターは飄々とした表情で服を着直し、上着を腰に結んだ。
「分かった、部屋を用意しよう。お前は我が乙女の護衛係だ、いきなり幹部は難しい。様子を見させろ。それでいいな?」
「話早いじゃん、くそ牛。ま、うちから天使候補奪ったンだからそれぐらいはな。それじゃ話は終わり、菓子食いたいから行こうぜシラユキ姐、ウルなんだっけ、ウルでいいや」
「お前は愛称で呼ぶのは許さん、分からなければ奥様と呼べ!」
「へいへい、気性の荒い旦那だねエ、そうおもわねエ? 奥様」
気易く呼ばれてもラクスターの眼差しには、まだ畏怖になりえる怒りのような感情が見えていた。私はシラユキの後ろにまだ隠れていると、シラユキは「怖くないわ」と笑って、三人で厨房へ行くことにした。
厨房に行けば、シラユキの作ってあったお菓子があって、目を輝かせてしまう私とラクスター。
シラユキは綺麗な透明色のものにフルーツが沢山入った物を、器に寄せた。
「果汁の粘りで固めたゼリーだから、人間達が作る物よりは美味しくはないのですけれどよければ召し上がってくださいまし」
「い、頂きます! わっ、甘い! こんな美味しいお菓子初めて!」
「シラユキ姐の菓子だけが此処きたときの楽しみだよな、子供扱いは悔しいけれど」
私とラクスターは美味しい美味しいと一生懸命食べて、美味しさに顔が蕩けていた。
その表情を見たシラユキがにこと私に笑いかけてから、ラクスターへ視線を向ける。
私も視線が釣られて思いきって問いかけてみることにした。
「背中の羽根。産まれながらってどういうこと? 白くない天使なんて聞いたこともない」
「ああ。オレさ、病弱だったんだよ」
その言葉に私の身が固まる――気怠そうに話すラクスターに自分自身が重なる。
「病弱で早めに死んで、天使に迎えに来て貰ったのまではいいんだけどさあ、天使になるための儀式ってのが行われるのよな。それが天界に一番最初に入る通過儀礼なんだけど、その途中で係の奴が寝やがって、オレ中途半端に天使として誕生~」
「まあ。怒らなかったの?」
「怒ったしぼこったさ。だけど怒るとさ、向こうは涙ながらにごめんなさいって言うし。それ以上はオレが責めたら極悪人みてえな空気流れてな」
私はすぐ察してラクスターを哀れみ、肩を軽く叩いて励ました。
ラクスターの怒りの眼差しの起因は分かった気がした。
私が、天使の羽根を正式に貰える可能性を秘めているのに、断るから妬んでいるのかもしれない。
「ラクスターはどうして私を天使にする勧誘を諦めないの?」
「そんなの、お前捧げるだけですぐ大天使に返り咲けるからさ」
「天使って煩悩まみれなのね」
「お前の常識と、オレ達の常識を一緒にしないほうがいいぞ。これが煩悩かどうかなんて、どうしていったいお前に言える?」
「それは……そうかも。ごめんなさい」
「素直だな、魔物らしくねえや。って元人間だから当たり前か」
ラクスターはゼリーを食べ終わるなり、キセルを取り出しふかすわけでもなく、くるくると手元で回す。
仕草を見ていて手持ち無沙汰なのだろうと察した私は慌ててゼリーを食べ終わると、クスターは満足げな表情で私に問いかける。
「それで? 何が目標なんだ。ただごろごろしてただけでもねーだろ」
「魔法をね、使えるようになりたいと思って習っていたのだけれど、使えなくて」
「脳裏に何をしたいか、具体的に描くといい。鮮明に脳裏で想像しておくと、使いやすい」
「ラクスターは魔法使えるの?」
「使えるヨ、シラユキ姐よりもうまくな」
ラクスターの言葉にシラユキは否定しないけれど、肯定もしなかった。
「アンタのは暴走っていうんでしょ」
ラクスターを真正面から見つめ直す。ラクスターは飄々とした表情で服を着直し、上着を腰に結んだ。
「分かった、部屋を用意しよう。お前は我が乙女の護衛係だ、いきなり幹部は難しい。様子を見させろ。それでいいな?」
「話早いじゃん、くそ牛。ま、うちから天使候補奪ったンだからそれぐらいはな。それじゃ話は終わり、菓子食いたいから行こうぜシラユキ姐、ウルなんだっけ、ウルでいいや」
「お前は愛称で呼ぶのは許さん、分からなければ奥様と呼べ!」
「へいへい、気性の荒い旦那だねエ、そうおもわねエ? 奥様」
気易く呼ばれてもラクスターの眼差しには、まだ畏怖になりえる怒りのような感情が見えていた。私はシラユキの後ろにまだ隠れていると、シラユキは「怖くないわ」と笑って、三人で厨房へ行くことにした。
厨房に行けば、シラユキの作ってあったお菓子があって、目を輝かせてしまう私とラクスター。
シラユキは綺麗な透明色のものにフルーツが沢山入った物を、器に寄せた。
「果汁の粘りで固めたゼリーだから、人間達が作る物よりは美味しくはないのですけれどよければ召し上がってくださいまし」
「い、頂きます! わっ、甘い! こんな美味しいお菓子初めて!」
「シラユキ姐の菓子だけが此処きたときの楽しみだよな、子供扱いは悔しいけれど」
私とラクスターは美味しい美味しいと一生懸命食べて、美味しさに顔が蕩けていた。
その表情を見たシラユキがにこと私に笑いかけてから、ラクスターへ視線を向ける。
私も視線が釣られて思いきって問いかけてみることにした。
「背中の羽根。産まれながらってどういうこと? 白くない天使なんて聞いたこともない」
「ああ。オレさ、病弱だったんだよ」
その言葉に私の身が固まる――気怠そうに話すラクスターに自分自身が重なる。
「病弱で早めに死んで、天使に迎えに来て貰ったのまではいいんだけどさあ、天使になるための儀式ってのが行われるのよな。それが天界に一番最初に入る通過儀礼なんだけど、その途中で係の奴が寝やがって、オレ中途半端に天使として誕生~」
「まあ。怒らなかったの?」
「怒ったしぼこったさ。だけど怒るとさ、向こうは涙ながらにごめんなさいって言うし。それ以上はオレが責めたら極悪人みてえな空気流れてな」
私はすぐ察してラクスターを哀れみ、肩を軽く叩いて励ました。
ラクスターの怒りの眼差しの起因は分かった気がした。
私が、天使の羽根を正式に貰える可能性を秘めているのに、断るから妬んでいるのかもしれない。
「ラクスターはどうして私を天使にする勧誘を諦めないの?」
「そんなの、お前捧げるだけですぐ大天使に返り咲けるからさ」
「天使って煩悩まみれなのね」
「お前の常識と、オレ達の常識を一緒にしないほうがいいぞ。これが煩悩かどうかなんて、どうしていったいお前に言える?」
「それは……そうかも。ごめんなさい」
「素直だな、魔物らしくねえや。って元人間だから当たり前か」
ラクスターはゼリーを食べ終わるなり、キセルを取り出しふかすわけでもなく、くるくると手元で回す。
仕草を見ていて手持ち無沙汰なのだろうと察した私は慌ててゼリーを食べ終わると、クスターは満足げな表情で私に問いかける。
「それで? 何が目標なんだ。ただごろごろしてただけでもねーだろ」
「魔法をね、使えるようになりたいと思って習っていたのだけれど、使えなくて」
「脳裏に何をしたいか、具体的に描くといい。鮮明に脳裏で想像しておくと、使いやすい」
「ラクスターは魔法使えるの?」
「使えるヨ、シラユキ姐よりもうまくな」
ラクスターの言葉にシラユキは否定しないけれど、肯定もしなかった。
「アンタのは暴走っていうんでしょ」
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