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1日目 ②
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「まあ立ち話もなんだし、座って。自己紹介でもしようか。僕は空条 真(くうじょう まこと)、外科医をやっている。君は?」
「あ・・・・・・一条 志希、19歳です。よろしくお願いします。」
そう自己紹介すると、空条は隣にいる綺麗なオレンジ色をしたロングヘアの女に合図した。
その女はただでさえ少し怖い印象を与えるツリ目なのに、更に冷ややかな視線を俺に飛ばしながら面倒くさそうに立ち上がった。
「あたしは綾瀬 霧乃(あやせ きりの)、17歳。よろしく。」
綾瀬はそう言うと、不機嫌そうに毛先だけ癖のある髪をいじりながら座った。
俺は緊張やこの先どうなってしまうか等の不安、恐怖が心を支配し、正直言えばこの人達の自己紹介など頭に入ってきやしない。
こんな孤立した島では、日本の法律など意味をなすはずもなく・・・・・・
もしかしたら本当は、ここにいる全員は人を監禁することが趣味で、俺はただその遊びに付き合わされているだけなのでは?などと疑い始めてもおかしくない。
「大丈夫ですか?体調悪いのかな・・・・・・」
ふと聞こえた女の甘ったるい声で我に返った。
俺を気にかけてくれたのは、前髪や後ろ髪の毛先をぱっつんに切った、ロングヘアの姫系の女だった。
「あ、あたしは桜井 真歩(さくらい まほ)って言います!よろしくお願いします!」
手入れの行き届いてそうなサラサラの黒髪を垂らしながら軽く頭を下げる桜井に、俺も軽く頭を下げる。
次に立ち上がったのは、スマホを取られていることを教えてくれた金髪の男だ。
「俺は渋谷 鋼平(しぶや こうへい)。年は24だ、よろしく。」
左腕に龍の入れ墨が入った見た目と話し方からして分かる、不良っぽい感じ。
正直こういう奴は苦手だが・・・・・・この状況を理解出来るまでは我慢するしかない。
渋谷が座ると、続くと思っていた自己紹介は何故か止まり、男としてはとても長めな赤髪の男が立ち上がろうとしない。
すると、空条が
「次、ねるくんだよ。」
と自己紹介をするよう促している。
ねると呼ばれる男は視線をこちらに向けようとはせず、黙っている。
しんとした雰囲気の中、何かを察したように桜井が口を開いた。
「あ、あのね!この人はねるさんって言って、イラストレーターをやってるんですよ。あたしねるさんのファンで、ねるさんから頂いたイラスト・・・今でも大切にしてるんです。」
桜井が楽しそうにねるの紹介をしていると、横から煽るように渋谷が
「なんだよ、ねるって(笑)。自分の名前も言えねぇのかこの木偶の坊は。」
と言い放った。
すかさず桜井は強い口調で人が変わったかのように渋谷に反撃する。
「あなたにねるさんの何がわかるのよ?ふざけないで。」
「まあまあ2人とも落ち着いて。彼は少し内気なだけなんだ、すまないね一条くん。」
2人を落ち着かせるように空条がそう言った。
「あ・・・・・・いえ。大丈夫です。」
俺がそう返事をすると、ねるの隣に座っている茶色のボブヘアーの女が立ち上がった。
「え~っとぉ、あたしは木下 真理(きのした まり)って言いますぅ。年は20歳でぇ~す。」
お世辞にも可愛いとは言えない顔に似合わずブリブリした言動をしていることを突っ込みたかったが、相手は初対面だしそういうものだと思い喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
そして、綾瀬が木下のことを睨みつけていたことは見なかったことにしておこう・・・・・・
木下の自己紹介が終わり、木下の隣を見るとそこに座っているのは随分とガタイのいい大男で俺は若干びっくりした。
「俺は岡崎 健太(おかざき けんた)29歳、元自衛官だ。いきなりこんなところに来て不安だろうけど全員で力を合わせて乗り越えていこう。」
「はい、よろしくお願いします・・・・・・」
厳つい顔をしているが人は見た目によらないものなんだな。この人は頼りになりそうな気がする。
続いて岡崎の隣に座っていた女性が立ち上がった。
「わたしはリア・キャメロン。年はあまり言いたくないけど・・・・・・27よ。最近まで通訳をしていたわ。よろしくね。」
「は、はいっ!よろしくお願いします!」
今まで結構な女性を見てきたけれど、この人はずば抜けて綺麗で思わず声が上ずってしまった。
リアはそんな俺を見てクスリと笑い、地毛であろう綺麗な金髪をサラリと撫でながら椅子に座った。
全員の自己紹介が終わったところで、空条が口を開いた。
「実はもう1人女性がいるんだが、少し体が弱くて今は別の部屋で休んでいる。後で彼女の体調が良くなった時にでも紹介しよう。
それから一条くんに説明しておかないといけないことがあったね。この屋敷には客室が5つあって、1つの部屋に2人ずつ振り分けて生活しているんだ。
君は・・・・・・そうだね、綾瀬さんが今1人だからそこに入ってもらおうか。」
淡々と話す空条に対し、綾瀬が急にテーブルを強く叩き勢いそのままに立ち上がった。
「ちょっと待ってよ空条さん!なんであたしがこんな男と一緒なの?どこかの部屋を3人部屋にすればいいじゃない!あたしは1人がいいの!」
こ、こんな男って・・・・・・
それに俺だってこんな状況になって戸惑っているのに。
そう思っていると、空条が
「今までは綾瀬さんが1人部屋がいいと言っていたから1人部屋にしてきたけど、10人になってしまったんだ。もう綾瀬さんのワガママだけを通すわけにはいかない、気持ちは分かるが我慢してくれ。」
と冷静に綾瀬を説得した。
だが納得がいかない綾瀬は更に強い口調で言い返す。
「ふざけないでよ!なんであたしがこんな信用も出来ない男と2人きりにならなきゃいけないの?!」
「それは誰だって同じだろう?信用出来ないっていうけれど、綾瀬さんはこの状況で誰なら信用出来るんだ?全員同じ気持ちなんだ、少し大人になってくれ。」
空条も少し頭にきているようで普段より強めの口調で言い返すと、綾瀬はフンっと言ってリビングを飛び出して行ってしまった。
しんとしてしまったなんとも言えない雰囲気の中で、空条はそっと椅子に座り眼鏡の位置を直している。
「取り乱してしまってすまない。
一条くんの部屋は階段を上って1番右の部屋だ。さっきの会話で理解したとは思うが綾瀬さんと同室だ。」
「僕は大丈夫ですけど・・・・・・綾瀬さんは大丈夫なんですか?」
空条にそう聞くと、答えは空条ではなく木下から返ってきた。
「あの子は散々ワガママ言ってきたんだからぁ、次はあの子が我慢する番だと思いますぅ。だから一条くんは気にする必要ないよぉ。」
「そうだね、気にすることはない。状況が状況なんだ。みんなどこかしら我慢をしている。」
少し綾瀬のことが心配ではあるが、軽く頷いた。
これから俺はどうなってしまうんだろう・・・・・・突然のことだらけで頭が混乱しっぱなしだ。
そんな俺をよそ目に、みんなはぽつぽつと各自部屋へと戻り始めている。
「鋼平くん待って~!あたしのこと置いていかないでよぉ・・・・・・」
俺とねるが残されたリビングに、木下の甘ったるい声が響く。
あの女・・・・・・苦手だ。
みんなに続いて俺も部屋に戻ろうとした時、ねるが何かをぼそっと呟いたがよく聞き取れなかった。
「え?何か言いました?」
とねるに問うと、ねるは何も言わずに立ち上がり自分の部屋へと戻っていった。
俺も部屋へ行ってみるか・・・・・・
リビングを出て階段を登ろうとした時、ホールにあるベンチに座って渋谷と話をしている木下がほぼ強引に渋谷の手を握っているように見えたが、関わる余裕もなく見て見ぬふりをした。
「あ・・・・・・一条 志希、19歳です。よろしくお願いします。」
そう自己紹介すると、空条は隣にいる綺麗なオレンジ色をしたロングヘアの女に合図した。
その女はただでさえ少し怖い印象を与えるツリ目なのに、更に冷ややかな視線を俺に飛ばしながら面倒くさそうに立ち上がった。
「あたしは綾瀬 霧乃(あやせ きりの)、17歳。よろしく。」
綾瀬はそう言うと、不機嫌そうに毛先だけ癖のある髪をいじりながら座った。
俺は緊張やこの先どうなってしまうか等の不安、恐怖が心を支配し、正直言えばこの人達の自己紹介など頭に入ってきやしない。
こんな孤立した島では、日本の法律など意味をなすはずもなく・・・・・・
もしかしたら本当は、ここにいる全員は人を監禁することが趣味で、俺はただその遊びに付き合わされているだけなのでは?などと疑い始めてもおかしくない。
「大丈夫ですか?体調悪いのかな・・・・・・」
ふと聞こえた女の甘ったるい声で我に返った。
俺を気にかけてくれたのは、前髪や後ろ髪の毛先をぱっつんに切った、ロングヘアの姫系の女だった。
「あ、あたしは桜井 真歩(さくらい まほ)って言います!よろしくお願いします!」
手入れの行き届いてそうなサラサラの黒髪を垂らしながら軽く頭を下げる桜井に、俺も軽く頭を下げる。
次に立ち上がったのは、スマホを取られていることを教えてくれた金髪の男だ。
「俺は渋谷 鋼平(しぶや こうへい)。年は24だ、よろしく。」
左腕に龍の入れ墨が入った見た目と話し方からして分かる、不良っぽい感じ。
正直こういう奴は苦手だが・・・・・・この状況を理解出来るまでは我慢するしかない。
渋谷が座ると、続くと思っていた自己紹介は何故か止まり、男としてはとても長めな赤髪の男が立ち上がろうとしない。
すると、空条が
「次、ねるくんだよ。」
と自己紹介をするよう促している。
ねると呼ばれる男は視線をこちらに向けようとはせず、黙っている。
しんとした雰囲気の中、何かを察したように桜井が口を開いた。
「あ、あのね!この人はねるさんって言って、イラストレーターをやってるんですよ。あたしねるさんのファンで、ねるさんから頂いたイラスト・・・今でも大切にしてるんです。」
桜井が楽しそうにねるの紹介をしていると、横から煽るように渋谷が
「なんだよ、ねるって(笑)。自分の名前も言えねぇのかこの木偶の坊は。」
と言い放った。
すかさず桜井は強い口調で人が変わったかのように渋谷に反撃する。
「あなたにねるさんの何がわかるのよ?ふざけないで。」
「まあまあ2人とも落ち着いて。彼は少し内気なだけなんだ、すまないね一条くん。」
2人を落ち着かせるように空条がそう言った。
「あ・・・・・・いえ。大丈夫です。」
俺がそう返事をすると、ねるの隣に座っている茶色のボブヘアーの女が立ち上がった。
「え~っとぉ、あたしは木下 真理(きのした まり)って言いますぅ。年は20歳でぇ~す。」
お世辞にも可愛いとは言えない顔に似合わずブリブリした言動をしていることを突っ込みたかったが、相手は初対面だしそういうものだと思い喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
そして、綾瀬が木下のことを睨みつけていたことは見なかったことにしておこう・・・・・・
木下の自己紹介が終わり、木下の隣を見るとそこに座っているのは随分とガタイのいい大男で俺は若干びっくりした。
「俺は岡崎 健太(おかざき けんた)29歳、元自衛官だ。いきなりこんなところに来て不安だろうけど全員で力を合わせて乗り越えていこう。」
「はい、よろしくお願いします・・・・・・」
厳つい顔をしているが人は見た目によらないものなんだな。この人は頼りになりそうな気がする。
続いて岡崎の隣に座っていた女性が立ち上がった。
「わたしはリア・キャメロン。年はあまり言いたくないけど・・・・・・27よ。最近まで通訳をしていたわ。よろしくね。」
「は、はいっ!よろしくお願いします!」
今まで結構な女性を見てきたけれど、この人はずば抜けて綺麗で思わず声が上ずってしまった。
リアはそんな俺を見てクスリと笑い、地毛であろう綺麗な金髪をサラリと撫でながら椅子に座った。
全員の自己紹介が終わったところで、空条が口を開いた。
「実はもう1人女性がいるんだが、少し体が弱くて今は別の部屋で休んでいる。後で彼女の体調が良くなった時にでも紹介しよう。
それから一条くんに説明しておかないといけないことがあったね。この屋敷には客室が5つあって、1つの部屋に2人ずつ振り分けて生活しているんだ。
君は・・・・・・そうだね、綾瀬さんが今1人だからそこに入ってもらおうか。」
淡々と話す空条に対し、綾瀬が急にテーブルを強く叩き勢いそのままに立ち上がった。
「ちょっと待ってよ空条さん!なんであたしがこんな男と一緒なの?どこかの部屋を3人部屋にすればいいじゃない!あたしは1人がいいの!」
こ、こんな男って・・・・・・
それに俺だってこんな状況になって戸惑っているのに。
そう思っていると、空条が
「今までは綾瀬さんが1人部屋がいいと言っていたから1人部屋にしてきたけど、10人になってしまったんだ。もう綾瀬さんのワガママだけを通すわけにはいかない、気持ちは分かるが我慢してくれ。」
と冷静に綾瀬を説得した。
だが納得がいかない綾瀬は更に強い口調で言い返す。
「ふざけないでよ!なんであたしがこんな信用も出来ない男と2人きりにならなきゃいけないの?!」
「それは誰だって同じだろう?信用出来ないっていうけれど、綾瀬さんはこの状況で誰なら信用出来るんだ?全員同じ気持ちなんだ、少し大人になってくれ。」
空条も少し頭にきているようで普段より強めの口調で言い返すと、綾瀬はフンっと言ってリビングを飛び出して行ってしまった。
しんとしてしまったなんとも言えない雰囲気の中で、空条はそっと椅子に座り眼鏡の位置を直している。
「取り乱してしまってすまない。
一条くんの部屋は階段を上って1番右の部屋だ。さっきの会話で理解したとは思うが綾瀬さんと同室だ。」
「僕は大丈夫ですけど・・・・・・綾瀬さんは大丈夫なんですか?」
空条にそう聞くと、答えは空条ではなく木下から返ってきた。
「あの子は散々ワガママ言ってきたんだからぁ、次はあの子が我慢する番だと思いますぅ。だから一条くんは気にする必要ないよぉ。」
「そうだね、気にすることはない。状況が状況なんだ。みんなどこかしら我慢をしている。」
少し綾瀬のことが心配ではあるが、軽く頷いた。
これから俺はどうなってしまうんだろう・・・・・・突然のことだらけで頭が混乱しっぱなしだ。
そんな俺をよそ目に、みんなはぽつぽつと各自部屋へと戻り始めている。
「鋼平くん待って~!あたしのこと置いていかないでよぉ・・・・・・」
俺とねるが残されたリビングに、木下の甘ったるい声が響く。
あの女・・・・・・苦手だ。
みんなに続いて俺も部屋に戻ろうとした時、ねるが何かをぼそっと呟いたがよく聞き取れなかった。
「え?何か言いました?」
とねるに問うと、ねるは何も言わずに立ち上がり自分の部屋へと戻っていった。
俺も部屋へ行ってみるか・・・・・・
リビングを出て階段を登ろうとした時、ホールにあるベンチに座って渋谷と話をしている木下がほぼ強引に渋谷の手を握っているように見えたが、関わる余裕もなく見て見ぬふりをした。
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