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47.不法侵入だね、三人揃って。
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「貴方、本当にいい男よねえ。好みではないけれど」
「最後何なんだ」
「あら、事実だもの。ごめんなさいね」
西部に向かって馬車を走らせている。夜がそろそろ明けてしまいそうだ。御者台にいるギルヴィアには、ミネグブとエリオードの言葉は聞こえていないらしい。
「私の妹が首っ丈になる理由も何となく分かるわ。あの子、自分が奔放だから真面目な人間に惹かれてしまうのね」
「……真面目なら、ちゃんとあいつだけに出来たさ」
ぼつり、と落とされた呟き。それを、ミネグブの小さな笑いが拾った。
「でもそうもいかないでしょう、それが恋よ。貴方はジェリアに惹かれたんでしょう」
「ああ」
完全なる一目惚れだった。こんな女が居るのか、という驚きと……瞬時に感じた、膨大な熱量。受け入れてもらいたくて、あんな嘘まで吐いた。
……六年近く、ジェリアと引き離されて。その間自分は、人間としていられた気がしなかった。
「ふふ、いいじゃない」
ミネグブの台詞と言えど、クロイアの姿で言われると正直違和感しか無い。それでも彼女は優美に笑っている。
「私もそうだった」
「ラルネス氏か」
「ええ。あんな綺麗な男の人、初めて見たわ。女癖は昔から悪かったけれど、私と結ばれてからはずっと私だけでいてくれた。だからこそ苦しかったのはあるけれど」
「あのノートの内容か」
エリオードの言葉に、「読んだのね」とミネグブは呟く。
「あの人がいつも笑っていられたのは、ストレスをしっかり発散していたせいよ。その捌け口としての役目を全うしきれなくて、私が病んでしまって、ってなったわけだから……今はああなってしまっているんでしょう」
「アーネハイト本家、そんなにやばいのか」
「ええ。まあそもそもが、人の死体を扱う家だから。無意識の内に、『死』という概念への恐怖を刷られていくのよ」
馬車はまだ、走る。朝日が射しだした。
「あらゆる病に侵された死体を見たわ。老若男女問わず。そして、死体に縋り付いて泣く遺された人々。逆に、見放す人々。あんなのを毎日のように、仕事として目の当たりにする。本家はとくに、こなさないとならない数が地方墓地の比にならないわ。当主夫妻は外とのやり取りが主軸だったから、その辺りの業務はすべてラルネスがやってきた」
「……病んでいたのか、ある意味」
「そうも捉えられるわね」
だからといって、同情の余地は無い。今はとにかく、ジェリアを取り戻す事しかエリオードの頭には無かった。
改めて、ミネグブを見る。
「もし奴らと鉢合わせる事になったら、どうする」
「ああ、この子と交代するかという事かしら。逆に聞くけれど、この先の修羅場この子に見せられる?」
さすがに、答えるのに躊躇った。ミネグブは微笑む。
「私は大丈夫よ。大人だし……どんなに傷付いても絶望しても、この先はないもの」
その言葉は、少し寂しげだった。しかし覚悟は、汲み取れる。だからこそ何も言えなかった。
エリオードは御者台を覗き込んだ。丁度ギルヴィアもこちらを向く。
「見えてきた、ミネグブに確認してもらう。呼んで」
頷く。ミネグブに促すと、彼女は立ち上がった。目を細めて外を見て「間違い無いわ」と呟く。
「よし、じゃあちょっと離して停める。今の内に武器の準備しておいて」
「あんたはどうする、その足じゃ」
エリオードの呟きに、ギルヴィアは鼻を鳴らした。
「私がただ引き篭もって書類をぺろぺろしているだけと思ってるようだけど。実はそんな事ないって見せ付けてやるから」
言い方にどうも嫌な刺を感じた。しかし敢えて何も言わないでおいた。
エリオードは自らの弓と矢を確認する。大丈夫だ、不足はない。ミネグブを見ると、また微笑む。夫婦揃って笑い方が同じだ、と思った。
「どうする? やっぱり交代する?」
「……いや、あいつに戦場はまだ見せたくない。俺一人でどうにか立ち回るから、指示に従ってくれればいい」
馬車が停まった。扉を開き、ギルヴィアの指示通り車椅子を組み立てる。御者台からギルヴィアを下ろし、車椅子に乗せた。
ミネグブも揃う。視界の奥を見遣ると、まず小さな山小屋のようなものが見えた。まるで洞窟にめり込んでいるかのような構造だ。
「あれはただの入口。部屋は全部洞窟の中よ」
「どれくらいの広さだ」
「私が見た時は部屋が三つ。全部小さな部屋だけれど、改装されてるかどうかよね」
確かに、そう考えると圧倒的にこちらが不利だ。中に一体何人いるのかも分からない上、まともに動ける戦力は恐らく自分ひとり。ギルヴィアはああ言っていたものの、正直どう転ぶか予測もつかない。
それでも、やるしかない。
小屋の入口についた。すると、ギルヴィアが手を上げる。
「私が先陣いく」
「え」
「見せておいた方がいいだろ」
ギルヴィアはそう言いながら、扉を開いた。反射でエリオードが身構えると、玄関口のようになっている空間にたまたまいた男がこちらを見た。
「っ、お前ら何もっ」
ギルヴィアが動いた。肘で車椅子の背もたれを勢いよく突く。すると、ガシャン! と音を立てて車輪上部に備えつけられた筒から何かが飛び出した。それは、男の足に勢いよく刺さる。男は叫ぶより早く、前のめりに倒れ込む。
エリオードは恐る恐る中に足を踏み入れ、男に近付いた。完全に気絶している。
「麻酔針。この車椅子に5千本搭載してる」
「い、いつの間にそんな魔改造を」
「そんな事してないさ。言ったろ、ラチカの旦那手製だ。ラチカ伝いに『足が使えなくても戦えるもの』で注文つけたらいい具合仕上げてくれたのさ」
まさかそんなギミックを隠していたとは。しかしギルヴィアは続けた。
「だけどあくまでこれは麻酔だから、効き目は2時間ってところらしい。それも、耐性の個人差はブレブレ。強い毒は容器が耐え切れないから使えないんだと」
「急いだ方がいいな」
「上半身の可動域であれば、短刀くらいなら扱える。でも相当近付かないと駄目。雑魚散らしは任せるよ」
「ああ」
エリオードは、自らの弓を力強く握り締めた。
足音を立てないように、エリオードは少しだけ奥に足を踏み入れる。周囲を見渡すと、他の部屋に行くための扉が四つ。この時点で改築は確定した。扉の上部にある小さな硝子窓を、一つずつそっと覗き込む。
ギルヴィアとミネグブの元へ戻って、口を開いた。
「いた。医療室のようなところで寝てる」
「あのグズは」
「フォニカは別の部屋だ、ラルネス氏ともう一人と何か話し込んでいた。あと二つの部屋には何人かずついた」
「そいつら先に黙らせるか」
ギルヴィアの言葉に、頷く。
ギルヴィアに部屋を案内し、エリオードももう片方の部屋に向かう。顔を見合わせ、同時に開いた。
エリオードが開いた扉の向こうには三人居た。全員が立ち上がってこちらを見る。言葉を言わせぬ間に、矢を穿った。外す事なく、すべて眉間中央に。それが一番速く、苦痛も与えない。
背を向けると、ギルヴィアも終わったらしい。こちらを向いていた。
「終わったか」
「ああ」
ミネグブを手招きする。彼女は頷くと、慎重に近付いてきた。
「馬車、扱えるか」
「ええ、大丈夫よ」
「ジェリアを助けたら、馬車に乗せる。そのまま帰るわけだが、万が一の時は……頼む」
エリオードの言葉の意味が分かったのか、ミネグブは頷く。それを確認したエリオードは、背を向けた。
一つの扉を開く。奥には、ジェリアがベッドにいた。薄目が開いている。
「ジェリア」
エリオードの声に、僅かに体をぴくりと動かす。エリオードはベッドに駆け寄ると、ジェリアの顔を覗き込んだ。ジェリアの目が、ゆっくりとエリオードを捉える。
「エリ、オード……」
「悪い、遅くなった」
エリオードの腕が、強くジェリアを抱き締める。ジェリアの腕が、ゆっくりとエリオードの背に回った。その感触に、泣きそうになる。
「馬車もある。行こう」
「ま、待って」
ジェリアの言葉を待たずに、抱き上げようとする。しかし、気付いた。びちゃり、と音。目を向けると、ジェリアの手がエリオードを突き飛ばそうとする。それを片腕で抱き締めて止め、被っているシーツを剥がす。
「……何だ、これ」
夥しい量の血だった。ジェリアの下腹部から広がり、太腿まで一帯をぐっしょりと濡らしている。
ジェリアは泣きそうな顔で口を噤んでいたが、エリオードの視線に負けたのか小さく声を漏らした。
「……奥様が」
「フォニカが?」
「……睦んだんでしょう、って……」
それを聞き、エリオードの中で何かの糸が切れた。
ジェリアを乱暴に抱き上げ、立ち上がる。足音などもう気にしていなかった。扉の向こうに居たミネグブとギルヴィアが驚いたようにジェリアを見るが、エリオードはミネグブに視線を向けた。
「姉貴と先に帰っててくれ」
「え、貴方は?」
「やらないといけない事が出来た」
本当は、後でもよかったのだ。ひとまずはジェリアの救出で、ラルネスやフォニカに関してはその後でよかった。だが。
「……頼む」
エリオードの言葉に、ミネグブは戸惑いながらも頷く。しかし、急に目を見開いた。エリオードも、その視線を受けて振り向く。
すると、居た。
「よくここが分かったね」
ラルネス・アーネハイトは、また微笑んでいた。
「最後何なんだ」
「あら、事実だもの。ごめんなさいね」
西部に向かって馬車を走らせている。夜がそろそろ明けてしまいそうだ。御者台にいるギルヴィアには、ミネグブとエリオードの言葉は聞こえていないらしい。
「私の妹が首っ丈になる理由も何となく分かるわ。あの子、自分が奔放だから真面目な人間に惹かれてしまうのね」
「……真面目なら、ちゃんとあいつだけに出来たさ」
ぼつり、と落とされた呟き。それを、ミネグブの小さな笑いが拾った。
「でもそうもいかないでしょう、それが恋よ。貴方はジェリアに惹かれたんでしょう」
「ああ」
完全なる一目惚れだった。こんな女が居るのか、という驚きと……瞬時に感じた、膨大な熱量。受け入れてもらいたくて、あんな嘘まで吐いた。
……六年近く、ジェリアと引き離されて。その間自分は、人間としていられた気がしなかった。
「ふふ、いいじゃない」
ミネグブの台詞と言えど、クロイアの姿で言われると正直違和感しか無い。それでも彼女は優美に笑っている。
「私もそうだった」
「ラルネス氏か」
「ええ。あんな綺麗な男の人、初めて見たわ。女癖は昔から悪かったけれど、私と結ばれてからはずっと私だけでいてくれた。だからこそ苦しかったのはあるけれど」
「あのノートの内容か」
エリオードの言葉に、「読んだのね」とミネグブは呟く。
「あの人がいつも笑っていられたのは、ストレスをしっかり発散していたせいよ。その捌け口としての役目を全うしきれなくて、私が病んでしまって、ってなったわけだから……今はああなってしまっているんでしょう」
「アーネハイト本家、そんなにやばいのか」
「ええ。まあそもそもが、人の死体を扱う家だから。無意識の内に、『死』という概念への恐怖を刷られていくのよ」
馬車はまだ、走る。朝日が射しだした。
「あらゆる病に侵された死体を見たわ。老若男女問わず。そして、死体に縋り付いて泣く遺された人々。逆に、見放す人々。あんなのを毎日のように、仕事として目の当たりにする。本家はとくに、こなさないとならない数が地方墓地の比にならないわ。当主夫妻は外とのやり取りが主軸だったから、その辺りの業務はすべてラルネスがやってきた」
「……病んでいたのか、ある意味」
「そうも捉えられるわね」
だからといって、同情の余地は無い。今はとにかく、ジェリアを取り戻す事しかエリオードの頭には無かった。
改めて、ミネグブを見る。
「もし奴らと鉢合わせる事になったら、どうする」
「ああ、この子と交代するかという事かしら。逆に聞くけれど、この先の修羅場この子に見せられる?」
さすがに、答えるのに躊躇った。ミネグブは微笑む。
「私は大丈夫よ。大人だし……どんなに傷付いても絶望しても、この先はないもの」
その言葉は、少し寂しげだった。しかし覚悟は、汲み取れる。だからこそ何も言えなかった。
エリオードは御者台を覗き込んだ。丁度ギルヴィアもこちらを向く。
「見えてきた、ミネグブに確認してもらう。呼んで」
頷く。ミネグブに促すと、彼女は立ち上がった。目を細めて外を見て「間違い無いわ」と呟く。
「よし、じゃあちょっと離して停める。今の内に武器の準備しておいて」
「あんたはどうする、その足じゃ」
エリオードの呟きに、ギルヴィアは鼻を鳴らした。
「私がただ引き篭もって書類をぺろぺろしているだけと思ってるようだけど。実はそんな事ないって見せ付けてやるから」
言い方にどうも嫌な刺を感じた。しかし敢えて何も言わないでおいた。
エリオードは自らの弓と矢を確認する。大丈夫だ、不足はない。ミネグブを見ると、また微笑む。夫婦揃って笑い方が同じだ、と思った。
「どうする? やっぱり交代する?」
「……いや、あいつに戦場はまだ見せたくない。俺一人でどうにか立ち回るから、指示に従ってくれればいい」
馬車が停まった。扉を開き、ギルヴィアの指示通り車椅子を組み立てる。御者台からギルヴィアを下ろし、車椅子に乗せた。
ミネグブも揃う。視界の奥を見遣ると、まず小さな山小屋のようなものが見えた。まるで洞窟にめり込んでいるかのような構造だ。
「あれはただの入口。部屋は全部洞窟の中よ」
「どれくらいの広さだ」
「私が見た時は部屋が三つ。全部小さな部屋だけれど、改装されてるかどうかよね」
確かに、そう考えると圧倒的にこちらが不利だ。中に一体何人いるのかも分からない上、まともに動ける戦力は恐らく自分ひとり。ギルヴィアはああ言っていたものの、正直どう転ぶか予測もつかない。
それでも、やるしかない。
小屋の入口についた。すると、ギルヴィアが手を上げる。
「私が先陣いく」
「え」
「見せておいた方がいいだろ」
ギルヴィアはそう言いながら、扉を開いた。反射でエリオードが身構えると、玄関口のようになっている空間にたまたまいた男がこちらを見た。
「っ、お前ら何もっ」
ギルヴィアが動いた。肘で車椅子の背もたれを勢いよく突く。すると、ガシャン! と音を立てて車輪上部に備えつけられた筒から何かが飛び出した。それは、男の足に勢いよく刺さる。男は叫ぶより早く、前のめりに倒れ込む。
エリオードは恐る恐る中に足を踏み入れ、男に近付いた。完全に気絶している。
「麻酔針。この車椅子に5千本搭載してる」
「い、いつの間にそんな魔改造を」
「そんな事してないさ。言ったろ、ラチカの旦那手製だ。ラチカ伝いに『足が使えなくても戦えるもの』で注文つけたらいい具合仕上げてくれたのさ」
まさかそんなギミックを隠していたとは。しかしギルヴィアは続けた。
「だけどあくまでこれは麻酔だから、効き目は2時間ってところらしい。それも、耐性の個人差はブレブレ。強い毒は容器が耐え切れないから使えないんだと」
「急いだ方がいいな」
「上半身の可動域であれば、短刀くらいなら扱える。でも相当近付かないと駄目。雑魚散らしは任せるよ」
「ああ」
エリオードは、自らの弓を力強く握り締めた。
足音を立てないように、エリオードは少しだけ奥に足を踏み入れる。周囲を見渡すと、他の部屋に行くための扉が四つ。この時点で改築は確定した。扉の上部にある小さな硝子窓を、一つずつそっと覗き込む。
ギルヴィアとミネグブの元へ戻って、口を開いた。
「いた。医療室のようなところで寝てる」
「あのグズは」
「フォニカは別の部屋だ、ラルネス氏ともう一人と何か話し込んでいた。あと二つの部屋には何人かずついた」
「そいつら先に黙らせるか」
ギルヴィアの言葉に、頷く。
ギルヴィアに部屋を案内し、エリオードももう片方の部屋に向かう。顔を見合わせ、同時に開いた。
エリオードが開いた扉の向こうには三人居た。全員が立ち上がってこちらを見る。言葉を言わせぬ間に、矢を穿った。外す事なく、すべて眉間中央に。それが一番速く、苦痛も与えない。
背を向けると、ギルヴィアも終わったらしい。こちらを向いていた。
「終わったか」
「ああ」
ミネグブを手招きする。彼女は頷くと、慎重に近付いてきた。
「馬車、扱えるか」
「ええ、大丈夫よ」
「ジェリアを助けたら、馬車に乗せる。そのまま帰るわけだが、万が一の時は……頼む」
エリオードの言葉の意味が分かったのか、ミネグブは頷く。それを確認したエリオードは、背を向けた。
一つの扉を開く。奥には、ジェリアがベッドにいた。薄目が開いている。
「ジェリア」
エリオードの声に、僅かに体をぴくりと動かす。エリオードはベッドに駆け寄ると、ジェリアの顔を覗き込んだ。ジェリアの目が、ゆっくりとエリオードを捉える。
「エリ、オード……」
「悪い、遅くなった」
エリオードの腕が、強くジェリアを抱き締める。ジェリアの腕が、ゆっくりとエリオードの背に回った。その感触に、泣きそうになる。
「馬車もある。行こう」
「ま、待って」
ジェリアの言葉を待たずに、抱き上げようとする。しかし、気付いた。びちゃり、と音。目を向けると、ジェリアの手がエリオードを突き飛ばそうとする。それを片腕で抱き締めて止め、被っているシーツを剥がす。
「……何だ、これ」
夥しい量の血だった。ジェリアの下腹部から広がり、太腿まで一帯をぐっしょりと濡らしている。
ジェリアは泣きそうな顔で口を噤んでいたが、エリオードの視線に負けたのか小さく声を漏らした。
「……奥様が」
「フォニカが?」
「……睦んだんでしょう、って……」
それを聞き、エリオードの中で何かの糸が切れた。
ジェリアを乱暴に抱き上げ、立ち上がる。足音などもう気にしていなかった。扉の向こうに居たミネグブとギルヴィアが驚いたようにジェリアを見るが、エリオードはミネグブに視線を向けた。
「姉貴と先に帰っててくれ」
「え、貴方は?」
「やらないといけない事が出来た」
本当は、後でもよかったのだ。ひとまずはジェリアの救出で、ラルネスやフォニカに関してはその後でよかった。だが。
「……頼む」
エリオードの言葉に、ミネグブは戸惑いながらも頷く。しかし、急に目を見開いた。エリオードも、その視線を受けて振り向く。
すると、居た。
「よくここが分かったね」
ラルネス・アーネハイトは、また微笑んでいた。
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