【R18】どうせなら、君を花嫁にしたかった。

湖霧どどめ

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29.そのまま発狂して終わればいいのに。

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 下女が運んできてくれた食事を片づけ寝支度を終えた頃には、もう日にちが回っていた。クロイアは先程一度眠ったばかりだというのに、もうベッドで熟睡している。そういえばジェリアも、子どもの頃は四六時中眠かった気がした。
 エリオードはクロイアが眠ったのを確認してから、仕事をするために部屋を出て行った。先に眠っていろとは言われたが、どうも気が引ける。
 ……今日が終われば、また彼は都市部へ帰ってしまう。彼の、妻のもとへ。

「……はあ」

 ため息しか出ない。
 想いを取り戻してしまってからは、姿も知らない女に対して静かな嫉妬がふつふつと沸きだしてしまっていた。かつては、女と自分を裏切ったエリオードの方に怒りを向けてすらいたのに。この気持ちに、果たして終わりは来るのだろうか。
 エリオードは何故、妻に愛想を尽かしたのか。その原因は、教えてくれていない。恐らくクロイアへの態度と、エリオード自身への対応からなのだろうが……知っても意味は無いだろう。
 無性にハーブティーが飲みたくなって、備え付けのポットと茶葉をいじり出す。丁度、安眠効果のあるハーブだった。せっかくなので、二人分淹れておく。
 湯の中でハーブが踊るのをぼんやり見つめていると、扉が開いた。エリオードが、少し驚いたようにこちらを見ていた。

「起きてたのか、ジェリア」
「眠れなくて。お疲れさま」

 ひとまず、そうとだけ告げる。すると、彼は嬉しそうに微笑んだ。

「待っててくれたんだ」

 何だか急に恥ずかしくなって、ジェリアはポットに目を移す。湯に色が移りきっていた。頃合いだろう。温めていた二つ分のカップに、ハーブティーを注ぐ。

「どうぞ」
「ありがとう。いい香りだ」

 エリオードはジェリアの向かいに腰掛けると、テーブルに置かれたカップを手に取った。美味しそうに口をつけるエリオードに、ジェリアは声をかける。

「仕事、片づいたの?」
「今回の分はな。あとは都市部に持ち帰りだ」
「大変なのね」

 ジェリアの言葉に、エリオードは複雑そうな顔をした。やがて、小さくぽつりと「アーネハイトにならいいか」と呟く。

「ちょっとまずい事が起きてる」
「まずい事?」
「……アーネハイト管轄外の、違法墓地の墓が七体盗まれた。一昨日な話だ」

 その言葉に、ジェリアは眉をひそめる。

「違法墓地の取り締まりは出来てるんじゃなかったの?」
「とはいえ、完全じゃないさ。毎日見回っていても、どうしても見落としは起きる。……誇って言える事じゃないけど」

 エリオードの顔は、とても苦々しかった。そのまま、続ける。

「金の無い、しかし土地のある一族の長が南部教会に駆け込んできたそうだ。西部の管轄の土地なんだが、西部教会は……ちょっと気難しいから南部にきたって事だったらしい。『うちの墓が掘り返されていて、遺体がいくつも盗まれた』と。まあ違法者が図らずも自首してきたって事で土地の没収かつ売却、その金で無事だった遺体を西部のアーネハイト家に納めるって事でその家への罰則の話はついたんだけど」
「問題は、盗まれた遺体についてって事ね」

 エリオードは頷く。

「手口がネクロマンサーと違って完全に素人だ。恐らく、前回南部で起こった件と同じ……ネクロマンサーの子飼いのホームレスの仕業と見てる」

 また、あの件か。時が間間でとぶので、すっかり忘れてしまっていたが。
 エリオードはカップの中身を飲み干した。

「今日中央教会が派遣されたのは、南部教会の持ってる情報回収のためだ。だからこっちでの仕事はもう終わりだ、あー疲れた」
「……お疲れさま」

 何だかんだ仕事には真面目だが、その枷が外れると一瞬で子どもに戻るように見えた。しかしそれがまた……と考えかけたところで、ジェリアは押し殺した。
 エリオードは立ち上がると、ジェリアの座る椅子の側へきた。軽くジェリアに口付けて、あの熱い目を向けてくる。

「癒されたい」
「え、ちょっ」
「ジェリア、愛してる」

 ジェリアの頭を抱き、髪を梳いてくる。どことなく気恥ずかしくて、身をよじろうとするも、許してくれなかった。再び、優しく口づけられる。もう今日だけで二回も射精しているからか、大人しく見えた。しかし、手はジェリアの胸元に向かっている。

「ベッド行こう」
「……クロイアが眠ってるわよ」

 そう呟くジェリアに、エリオードはにやりと笑む。そのまま、手を引いた。
 クロイアは真ん中で眠って居た。しかし、ベッドが広いせいでジェリアとエリオードが片側に偏っても十分スペースがある。
 エリオードが先にベッドに入り、ジェリアを手招きする。ジェリアは恐る恐る潜り込んだ。すると、ぎゅっと抱きしめられる。そのぬくもりは非常に心地よかったが、クロイアに気付かれたらと気が気でない。

「ジェリア」
「なに?」
「結婚出来たら、こうやって三人で寝ような」

 エリオードの言葉に、息を呑む。そっと頷くと、エリオードは抱きしめる力を強めた。
 ジェリアを一瞬解放すると、うつ伏せにさせた。何か分からずいると、寝間着のスカートをめくりあげられる。まさかと思いエリオードを見上げると、彼はすでに肉棒を露出させていた。

「ちょ、クロイアがっ」
「大丈夫、ジェリアが声を我慢したら」
「そ、そんな問題じゃ」

 エリオードはジェリアの背に倒れ込んできた。押しつぶさないように気をつけてくれているのが分かる。そのままの流れで、エリオードはジェリアの下着に手をかけた。ジェリアの尻肉が、露出する。エリオードはそこに、そそり立った肉棒をあてがった。覚悟して息を呑むも、潜り込んできたのはジェリアの尻肉の割れ目にだった。

「はは、すべすべだな……柔らかい」

 さすがに小声だった。息は、荒い。
 尻をもみしだかれ、秘部の周辺を肉棒が行き来するのがよく分かる。ぞくぞくとした快感が、背筋を這ってくる。ジェリアは必死で我慢した。
 そして。

「……っ!」

 入り口に、亀頭が入り込んだ。今日散々快楽漬けにされた秘部が、やっと入ってきた肉棒に歓喜しているのが分かる。声を上げてしまいそうになるのを、シーツを強く掴む事で耐えた。そんなジェリアを見下ろしながら、エリオードはより深く腰を沈めていく。
 ずぶ、ずぶ、と。音を立てるかのように少しずつ、入り込んでくる。

「はーっ……はーっ……」

 深呼吸をして、脳を冷やそうとする。しかし、悪足掻きだった。エリオードの肉棒はゆっくり、そしてじっくりと内部を広げていく。そこに、いつもの過激さはなかった。背中にぼたり、と水滴が落ちる。恐らく、エリオードの涎だ。

「やっば……ジェリアの中、柔らかい……きつすぎておかしくなる……」

 ジェリアの尻肉を掴みながら、ゆっくりとエリオードは腰を前後させる。まるでじっくりと味わっているかのようで、気恥ずかしさが爆発しそうになる。

「すごい濡れてる、もしかしてこういうのが好き?」
「えっ……」

 隣のクロイアを見る。彼は安らかに眠っている。熟睡している顔だ。
 エリオードは一度だけ、強く奥を突いた。「ひぐっ」と声を上げるジェリアの頭を撫でてくる。

「だめだって、声出しちゃ。起きるだろ」
「じゃあっ……やめてっ……」
「嫌だ、こんなにジェリアが俺を欲しがってくれてるのに」

 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、と腰の動きがリズミカルになり始める。奥に到達する度「んっ」と声が漏れてしまうのを、ジェリアは必死にシーツに顔を押しつけて耐えた。

「あー……すっごい気持ちいい、気持ちいいよジェリア……未来の旦那さんのこれ、気持ちいい?」

 何度もこくこくと頷く。実際、意識をやってしまいそうになっていた。それを見て、エリオードの腰の動きも速まりだす。その度に、目線の先が弾けた。

「結婚……絶対結婚する、ジェリア、ジェリア……」

 譫言のように呟きながらも、エリオードは腰を必死に動かす。そして、ジェリアの体を裏側から強く抱きしめた。

「イきそう、ジェリア……っ」
「っ、中に、そのまま……」
「え?」
「中にそのまま、欲しいっ……エリオードの……」

 それを聞き、エリオードは一瞬動きを止めた。そして、戸惑った様子でジェリアに「どうしたんだ」と囁く。その声は、揺れていた。

「……エリオードとの、子どもが欲しいの……」

 譫言のようだった。しかし、ずっと思ってはいたのだ。どうせクロイアに弟か妹を作るなら……自分とエリオードの子どもとしてがいい、と。
 勿論、立場が許すはずもない。それを、言ってから思い直した。

「ご、ごめんなさい。忘れて」

 エリオードは何も答えない。しかし、腰の動きを再開させた。それも、より激しく。

「あ、ふぁあ、あっ」

 声を我慢する暇も無かった。そんな隙を与える事なく、エリオードはジェリアの膣をひたすら突き込んでいく。首をねじらせて彼の顔を見ると、ぞっとする程の笑みを浮かべていた。

「そうだな。本気で、作るか。俺たちの子ども」
「や、あ、あっ」
「嬉しすぎて死にそうだよ……まさか、ジェリアからそんな事言ってくれるなんて、さ」

 ごりゅ、と。一撃。痛み寸前の快感が突き抜ける。

「俺の奥さんになるんだもんな、ジェリアは。ああそうだな、順番なんか関係ないな。だって、俺たち……夫婦に、なるもんなっ」
「やあ、だめ、はげしっ」
「好きだ、ジェリア。好きなんだ。もう絶対逃がさない、誰が何と言おうと……俺は、お前と結婚する、からっ」

 ジェリアの体を強く抱きしめた上で、エリオードは腰を突き動かす。ぬぢゅ、ぬぢゅ、と熱い音。止めてもらえないせいで、視界がちかちかと輝きだす。

「あぁあ、あっ、ああっ」

 もう抑えられなかった。エリオードも、獣のように呼吸を乱しながらひたすら腰を突き動かす。ジェリアの内壁が、エリオードの肉棒にぴったりと絡みついて離さない。
 エリオードはジェリアの耳をくわえた。ぬるりとした感触と共に、声が落とされる。

「あっあっ、出るっ。中で、中でいいなっ?」
「や、あああっ」

 一度だけ、強く突かれる。子宮口めがけて、射精が始まった。エリオードは唇を噛みしめるようにしながら、全身を脈打たせて精液を放出していく。ジェリアはひたすら、突き込まれた衝撃に全身を震わせていた。
 エリオードは荒い息のまま、脈打つのを止めた。そして、ずるりと肉棒を引き抜く。いつもとは比べものにならない程の量の粘液が、ジェリアの秘部からどろどろと溢れ出した。ジェリアは慌てて傍にあった布で秘部を押さえ込むが、エリオードはそんなジェリアを心底愛おしそうに眺めていた。

「ジェリア」

 エリオードはそっと抱き寄せ、口づけた。それを受け入れると、エリオードの手がジェリアをベッドへと倒す。

「幸せ過ぎて、おかしくなりそうだ」

 そう呟き、エリオードはジェリアの衣服を整えだした。はっとしてクロイアを見ると、相変わらず寝息を立てている。あれだけ声を漏らしたのに、どうやら熟睡しているらしかった。
 エリオードは照明を落とすと、シーツをジェリアにかけた。自分もその中に潜り込むと、クロイアへと手を伸ばす。ジェリアを自らの胸元に納めるようにして、クロイアの背を抱いた。

「疲れただろ、もう寝ようか」
「……ええ」

 一度だけ口付けられる。それが甘く熱く、とても幸せだった。
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