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8.ああもう、そんな男のそんな所知る必要ないよ。
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ジルガニッレ家の敷地内は非常に広大だ。これは長い年月をかけて教会内で権力を築いたからこそ成る財から得たものであり、他の教会聖三家の家も同じようなものである。
アーネハイト家はエヴァイアンの国内に分散されている墓地を守るという役目柄、一族内でも分家ごとに敷地を大小の差はあれど持っている。しかしエヴァイアンの中において力のある一族は、大概大きな敷地にいくつもの住居を構える。中には店として商売を行う家もあり、それはまるで一つの街のようでもあった。
「ああ、もう停めてくれ。本邸に行く」
「かしこまりました」
御者は本邸の前に馬車を停めた。エリオードを下ろすと、すぐさま格納庫へと向かった。
ジルガニッレ本邸は他の聖三家に比べると豪奢な造りをしている。これは、聖三家と呼ばれるようになりだした当時の当主の趣味の反映だ。
使用人たちへの挨拶をそれなりにして、目当ての部屋へ進む。使用人が開いた扉の向こうへ、足を踏み入れた。それだけで気配は察されたらしい。
「遅かったね」
女の声だ。机の上は資料の紙束で山が出来ており、エリオードとの間を阻んでいる。
「これでも早めに切り上げたんだ」
「へえ、何でまた。お前ああいう場好きだろ」
「まあそうだけどさ」
あの謝恩会を早々と出てきたのはジェリアと再会出来て満足しきったから、というのが大きい。
あの後、食事をするジェリアの姿は見つけた。しかしあの状況では勿論近づけなかった上、何より……あの男がいた。ジェリアと同じ色の目をした、金髪の男。自分とジェリアが離れる一番のきっかけになった存在。思い出すだけでも、歯噛みする思いだ。
「……というわけで、とくに何事も問題はなかった」
謝恩会での出来事を、ジェリアの事は勿論抜いて報告し終えた。相手は壁の向こうで、何度も頷いた。
「それなら大丈夫。任務の方も何も問題無かったんでしょ」
「ああ。地下聖泉の濃度が少し薄まっているのが気になるが、まだ許容範囲だ。師匠が一応把握しておいてくれと」
「あの黒たわし、私の多忙ぶり知ってのそれか。まあいい、分かった。疲れたでしょ、もう下がっていいから」
「そうさせてもらう。あんたも程々にしておけよ、またぶっ倒れたら俺達が面倒になる」
「はいはい」
気配の投げやりな返答にため息を吐く。
壁の向こうの存在……ジルガニッレ当主であり自分の姉である女に最後の挨拶をこなすと、エリオードは本邸から一歩足を踏み出した。世帯を持ったならば当主以外は本邸を出るという慣例から、慣れ親しんだ実家も今は職場の延長のような感覚である。
姉はエリオードには多少劣るも、ジルガニッレの名に恥じない立派なエクソシストだ。しかし先代当主である父が早世したため早くして当主にならざるを得なくなり、戦線から離脱した。現在ジルガニッレで戦線に立つエクソシストは、本家筋だとエリオードのみである。他は全員上層部として、教会に常駐している。
疲れた体を引きずるようにしながら、エリオードは自邸へと歩みを進めていく。本邸から離れていないとはいえ、もう歩くのも辛い。多少の酒も入っている。
自邸に到着すると、玄関扉を開く。もう遅い時間だというのに、中はしっかりと明かりが行き渡っていた。ばたばたと、駆け寄る音が聞こえてくる。
「おかえりなさい」
赤毛を揺らしながら、彼女は未だ化粧を施したままの笑みを向けてくる。手を差し出してきたので鞄を預け、エリオードはわざとらしくため息を吐いた。
「遅くなるから寝てていいって言ったろ」
「待っていたかっただけよ」
茶目っ気を出してくる彼女に苦笑しか出てこない。そんなエリオードに、彼女はにこにこと笑みながらすり寄ってきた。顔を引き剥がすようにしながら、「フォニカ」と彼女の名を呼んだ。
「疲れてるんだ、今日はこのまま寝ていいか」
「貴方ってばいつもそればかり」
可愛らしく拗ねたつもりなのだろうが、エリオードからすればもはや胸焼け案件だった。乱暴に感じさせない程度にフォニカを引き剥がすと、彼女は諦めたようだった。
階段を登ろうと足をかける。
「クロイアはもう寝たか」
「うん。熟睡してる」
「それは何よりだ」
何の感情もこもらない。しかしエリオードの言葉をそこまで深く汲みきっていないフォニカは、エリオードの後ろをぴったりくっついて進みながら耳打ちする。
「でもクロイア、言ってたわよ」
「なんて」
「何故うちには弟や妹がいないんだって」
今度はその台詞で来たか。エリオードはフォニカに見えないのをいい事に、嫌な意味で露骨に顔を歪めた。
あの手この手でフォニカがエリオードに応えさせようとするのは、今に始まった事ではない。むしろクロイアという息子を授かったのを最後に、エリオードはフォニカとの交渉を一切絶ってきた。
「どう答えたんだ」
エリオードの言葉に、フォニカがぱっと顔を輝かせる気配がした。決して振り返らないようにはしたが、フォニカの手がエリオードの肩を掴んだ。バランスを崩さないように、反射的に立ち止まってしまう。そこにはやはりフォニカの満面の笑顔があった。
「『少し遅れてるだけ、来年にはやってくる』って」
頭を抱えたくなる。だが、必死に耐えた。足を進めた。フォニカはそれをいつも気にしていないのか、何も言及してこなかった。
浴室の前で立ち止まると、エリオードはやっとフォニカを見た。
「もう先に寝ててくれ。寝てるとはいえクロイアをあまり一人にするなよ」
「分かった、待ってる」
エリオードの鞄を持って、フォニカはエリオードに背を向けた。その事に安堵して、エリオードは浴室に足を踏み入れて扉を閉めた。
やっと一人になれた気がして、呼吸が通った心地がした。服を脱ぎ、シャワーのバルブをひねる。湯に打たれながら、ため息を吐いた。
「ジェリア……」
何度も南部へは行っていた。しかし、一度もジェリアを見かける事すらかなわなかった。それはいつもタイミングが悪かったわけだが、今思えばアーネハイト家の妨害によるものだったのだろう。
数年ぶりに出会った彼女は、より美しくなっていた。そして、何より。
「……俺の事、また受け入れてくれた……!」
その気になればあの場でエリオードを噛んで大声を出す事も出来たのに、ジェリアはそうしなかった。それだけでも、エリオードを昂揚させるのには十分だった。
股間に熱が集まっていくのを感じた。息も熱くなっていく。手が、自然と動いた。
「ジェリア……」
先程の行為のせいで、体がまだ疼いている。中途半端に貪ったせいか、完全に情欲を発散出来たわけではなかった。
もっと味わいたかった。もっとたくさん口づけたかった。すべて脱がせて、あの美しい裸体を眺めて、恥ずかしいと呟くジェリアの体を、くまなく撫でて、舐めて……。
「ジェリア、ジェリアっ」
願望と過去の記憶がないまぜになっていく。肉棒をしごく手が、せわしなくなっていく。囁く声やしごく音が、シャワーの音にかき消されていく。
「あう、あっ……駄目だ、しめちゃっ……」
自慰で涎が垂れる程の快感なんて、いつぶりだろうか。ジェリアの膣内にはとてもかなわないが、何度も何度も亀頭をしぼるように握り込めば先走りがだらだらと溢れだしてくる。
「はっ、あっ、あっ、ジェリア、出る、出るっ、イくっ……」
鉄砲水のように、白濁とした艶が飛ぶ。シャワーで、一瞬にして流れ去っていく。
荒い息のまま、うなだれる。快感のすぐ後ろから迫ってくる疲労感に膝をつきそうになるが、耐えた。
「ジェリア……」
やっと、やっとまた繋がる事が出来た。もう二度と逃がすわけにはいかない。
問題は、この後どうするかだ。どうせまた南部へ向かったとしてもあの家が許さない。そして何より、仕事の時間という名目以外でこの家を抜け出す事は難しい。
フォニカは嫉妬深い。というより、エリオードをつなぎ止めておきたいというのが強いのかもしれない。エリオードがいなくなると、彼女には……何も残らなくなる。フォニカは、それを恐れている。
別に彼女が憎いわけではない。ただ、重苦しいだけだ。妻としては大事に出来ても、彼女に恋をしたことはない。
どうすれば、現状を崩さずまたジェリアを自分の元へ置く事が出来るか。その悩みだけが、エリオードの中を支配していた。
ひとまずシャワーを切り上げ体を拭き、寝間着を着る。もう眠気がピークに達していたが、どうにかして寝室へ向かう。
「ふぁあ……」
あくびをしながら、そっと扉を開く。
三人で使っている大きなベッドには、すでに二つの人影があった。ひとつは、フォニカだ。彼女はすでに熟睡していて、小さないびきすら立てている。そんな彼女に背を向けるようにして、小さな影……クロイアがいた。六歳を迎えたばかりの彼も、熟睡していた。
そういえば、もう彼も六歳だ。という事は、ジェリアとアーネハイト次期当主との一件からもう五年近く経つのか。
「六歳、ということは……」
……そうか。あの手があった。むしろそれしかない。
一気に眠気が冴える感触がした。クロイアを一瞥だけすると、エリオードは足音を立てないよう注意しながら寝室をあとにした。
アーネハイト家はエヴァイアンの国内に分散されている墓地を守るという役目柄、一族内でも分家ごとに敷地を大小の差はあれど持っている。しかしエヴァイアンの中において力のある一族は、大概大きな敷地にいくつもの住居を構える。中には店として商売を行う家もあり、それはまるで一つの街のようでもあった。
「ああ、もう停めてくれ。本邸に行く」
「かしこまりました」
御者は本邸の前に馬車を停めた。エリオードを下ろすと、すぐさま格納庫へと向かった。
ジルガニッレ本邸は他の聖三家に比べると豪奢な造りをしている。これは、聖三家と呼ばれるようになりだした当時の当主の趣味の反映だ。
使用人たちへの挨拶をそれなりにして、目当ての部屋へ進む。使用人が開いた扉の向こうへ、足を踏み入れた。それだけで気配は察されたらしい。
「遅かったね」
女の声だ。机の上は資料の紙束で山が出来ており、エリオードとの間を阻んでいる。
「これでも早めに切り上げたんだ」
「へえ、何でまた。お前ああいう場好きだろ」
「まあそうだけどさ」
あの謝恩会を早々と出てきたのはジェリアと再会出来て満足しきったから、というのが大きい。
あの後、食事をするジェリアの姿は見つけた。しかしあの状況では勿論近づけなかった上、何より……あの男がいた。ジェリアと同じ色の目をした、金髪の男。自分とジェリアが離れる一番のきっかけになった存在。思い出すだけでも、歯噛みする思いだ。
「……というわけで、とくに何事も問題はなかった」
謝恩会での出来事を、ジェリアの事は勿論抜いて報告し終えた。相手は壁の向こうで、何度も頷いた。
「それなら大丈夫。任務の方も何も問題無かったんでしょ」
「ああ。地下聖泉の濃度が少し薄まっているのが気になるが、まだ許容範囲だ。師匠が一応把握しておいてくれと」
「あの黒たわし、私の多忙ぶり知ってのそれか。まあいい、分かった。疲れたでしょ、もう下がっていいから」
「そうさせてもらう。あんたも程々にしておけよ、またぶっ倒れたら俺達が面倒になる」
「はいはい」
気配の投げやりな返答にため息を吐く。
壁の向こうの存在……ジルガニッレ当主であり自分の姉である女に最後の挨拶をこなすと、エリオードは本邸から一歩足を踏み出した。世帯を持ったならば当主以外は本邸を出るという慣例から、慣れ親しんだ実家も今は職場の延長のような感覚である。
姉はエリオードには多少劣るも、ジルガニッレの名に恥じない立派なエクソシストだ。しかし先代当主である父が早世したため早くして当主にならざるを得なくなり、戦線から離脱した。現在ジルガニッレで戦線に立つエクソシストは、本家筋だとエリオードのみである。他は全員上層部として、教会に常駐している。
疲れた体を引きずるようにしながら、エリオードは自邸へと歩みを進めていく。本邸から離れていないとはいえ、もう歩くのも辛い。多少の酒も入っている。
自邸に到着すると、玄関扉を開く。もう遅い時間だというのに、中はしっかりと明かりが行き渡っていた。ばたばたと、駆け寄る音が聞こえてくる。
「おかえりなさい」
赤毛を揺らしながら、彼女は未だ化粧を施したままの笑みを向けてくる。手を差し出してきたので鞄を預け、エリオードはわざとらしくため息を吐いた。
「遅くなるから寝てていいって言ったろ」
「待っていたかっただけよ」
茶目っ気を出してくる彼女に苦笑しか出てこない。そんなエリオードに、彼女はにこにこと笑みながらすり寄ってきた。顔を引き剥がすようにしながら、「フォニカ」と彼女の名を呼んだ。
「疲れてるんだ、今日はこのまま寝ていいか」
「貴方ってばいつもそればかり」
可愛らしく拗ねたつもりなのだろうが、エリオードからすればもはや胸焼け案件だった。乱暴に感じさせない程度にフォニカを引き剥がすと、彼女は諦めたようだった。
階段を登ろうと足をかける。
「クロイアはもう寝たか」
「うん。熟睡してる」
「それは何よりだ」
何の感情もこもらない。しかしエリオードの言葉をそこまで深く汲みきっていないフォニカは、エリオードの後ろをぴったりくっついて進みながら耳打ちする。
「でもクロイア、言ってたわよ」
「なんて」
「何故うちには弟や妹がいないんだって」
今度はその台詞で来たか。エリオードはフォニカに見えないのをいい事に、嫌な意味で露骨に顔を歪めた。
あの手この手でフォニカがエリオードに応えさせようとするのは、今に始まった事ではない。むしろクロイアという息子を授かったのを最後に、エリオードはフォニカとの交渉を一切絶ってきた。
「どう答えたんだ」
エリオードの言葉に、フォニカがぱっと顔を輝かせる気配がした。決して振り返らないようにはしたが、フォニカの手がエリオードの肩を掴んだ。バランスを崩さないように、反射的に立ち止まってしまう。そこにはやはりフォニカの満面の笑顔があった。
「『少し遅れてるだけ、来年にはやってくる』って」
頭を抱えたくなる。だが、必死に耐えた。足を進めた。フォニカはそれをいつも気にしていないのか、何も言及してこなかった。
浴室の前で立ち止まると、エリオードはやっとフォニカを見た。
「もう先に寝ててくれ。寝てるとはいえクロイアをあまり一人にするなよ」
「分かった、待ってる」
エリオードの鞄を持って、フォニカはエリオードに背を向けた。その事に安堵して、エリオードは浴室に足を踏み入れて扉を閉めた。
やっと一人になれた気がして、呼吸が通った心地がした。服を脱ぎ、シャワーのバルブをひねる。湯に打たれながら、ため息を吐いた。
「ジェリア……」
何度も南部へは行っていた。しかし、一度もジェリアを見かける事すらかなわなかった。それはいつもタイミングが悪かったわけだが、今思えばアーネハイト家の妨害によるものだったのだろう。
数年ぶりに出会った彼女は、より美しくなっていた。そして、何より。
「……俺の事、また受け入れてくれた……!」
その気になればあの場でエリオードを噛んで大声を出す事も出来たのに、ジェリアはそうしなかった。それだけでも、エリオードを昂揚させるのには十分だった。
股間に熱が集まっていくのを感じた。息も熱くなっていく。手が、自然と動いた。
「ジェリア……」
先程の行為のせいで、体がまだ疼いている。中途半端に貪ったせいか、完全に情欲を発散出来たわけではなかった。
もっと味わいたかった。もっとたくさん口づけたかった。すべて脱がせて、あの美しい裸体を眺めて、恥ずかしいと呟くジェリアの体を、くまなく撫でて、舐めて……。
「ジェリア、ジェリアっ」
願望と過去の記憶がないまぜになっていく。肉棒をしごく手が、せわしなくなっていく。囁く声やしごく音が、シャワーの音にかき消されていく。
「あう、あっ……駄目だ、しめちゃっ……」
自慰で涎が垂れる程の快感なんて、いつぶりだろうか。ジェリアの膣内にはとてもかなわないが、何度も何度も亀頭をしぼるように握り込めば先走りがだらだらと溢れだしてくる。
「はっ、あっ、あっ、ジェリア、出る、出るっ、イくっ……」
鉄砲水のように、白濁とした艶が飛ぶ。シャワーで、一瞬にして流れ去っていく。
荒い息のまま、うなだれる。快感のすぐ後ろから迫ってくる疲労感に膝をつきそうになるが、耐えた。
「ジェリア……」
やっと、やっとまた繋がる事が出来た。もう二度と逃がすわけにはいかない。
問題は、この後どうするかだ。どうせまた南部へ向かったとしてもあの家が許さない。そして何より、仕事の時間という名目以外でこの家を抜け出す事は難しい。
フォニカは嫉妬深い。というより、エリオードをつなぎ止めておきたいというのが強いのかもしれない。エリオードがいなくなると、彼女には……何も残らなくなる。フォニカは、それを恐れている。
別に彼女が憎いわけではない。ただ、重苦しいだけだ。妻としては大事に出来ても、彼女に恋をしたことはない。
どうすれば、現状を崩さずまたジェリアを自分の元へ置く事が出来るか。その悩みだけが、エリオードの中を支配していた。
ひとまずシャワーを切り上げ体を拭き、寝間着を着る。もう眠気がピークに達していたが、どうにかして寝室へ向かう。
「ふぁあ……」
あくびをしながら、そっと扉を開く。
三人で使っている大きなベッドには、すでに二つの人影があった。ひとつは、フォニカだ。彼女はすでに熟睡していて、小さないびきすら立てている。そんな彼女に背を向けるようにして、小さな影……クロイアがいた。六歳を迎えたばかりの彼も、熟睡していた。
そういえば、もう彼も六歳だ。という事は、ジェリアとアーネハイト次期当主との一件からもう五年近く経つのか。
「六歳、ということは……」
……そうか。あの手があった。むしろそれしかない。
一気に眠気が冴える感触がした。クロイアを一瞥だけすると、エリオードは足音を立てないよう注意しながら寝室をあとにした。
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