【R18】どうせなら、君を花嫁にしたかった。

湖霧どどめ

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5.僕の目に触れだした嫌な気配。

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「あん、あっ」
「はは、乳首だけでそんなに感じてる?」

 もはや涙目のジェリアに、意地悪く囁く。頷くと、彼の顔が離れた。指が、移動する。
 スカートの中、太股からなぞられる。それだけで体が勝手に期待してしまう。それを分かっているのか、エリオードは時間をかけてよじ登ってきた。
 そして下着を、剥がされる。すぐ、指が……触れてきた。

「やあっ!」

 たったそれだけだった。それでも、ジェリアの声は上がった。一瞬にして、エリオードの目から光が消える。それでも、熱量はすさまじかった。

「たまんねえ」

 ぼそり、と彼は呟く。反応するより先に、指を突き刺された。

「やっ、あああっ」
「あーっすげえぐちょぐちょ。やらしすぎる。駄目だこれ」

 彼の口の端に、垂れてきている涎が見えた。しかし、そこに気を留めるどころではなかった。
 エリオードの指が、まるで生き物のようにジェリアの中を蠢く。にゅるにゅると、小刻みに壁をこすってくる。その度に愛液があふれ出てきた。
 頭が、とろけてしまう。焼け切れてしまう程の熱量に、自我を保つ事すら必死にならざるを得なかった。

「やだあ、あっあ、駄目エリ……っ」
「もう待てないって?」

 エリオードはすでに、露出させていた。凶悪なまでに膨らんだそれを見て、息を呑む。今まで見た事の無い程の大きさだった。これが、今から。
 足を引きずるようにしながらも、エリオードはジェリアにのしかかった。ジェリアの両足を自らの肩に乗せ、肉棒をジェリアの入り口にあてがった。
 亀頭が、陰核に触れた。

「ああああっ……」
「ああもう、ぬるぬる過ぎてすぐに入るぞこれ」

 その言葉通りだった。
 ずぶり、と。水に飛び込むかのような音だった。

「や、あああっ!」

 びりびりと、脳を焼くような……痛みに似た感覚。声が上がるのを、留められない。
 エリオードの腰は、容赦なく動き続けた。ひたすらジェリアの肉壁をこすり続ける。その度、互いの絡み合った液体がびちゃびちゃと溢れた。

「あっあっ、だめ、そこだめっ」
「ん、分かる。すごい気持ちいいんだろ、ここっ」
「ああっ、やぁん、あっあっ」

 ジェリアの腰を掴みながら、尚もジェリアを攻めたてる。目の前がちかちかとスパークを起こすのを感じながら、膣内の刺激にも痛めつけられる。もはや、限界も近かった。

「だめ、エリオードっ! ほんとにっ……」
「愛してる、ジェリア愛してる、愛してるっ」

 ぬちゅ、ぬちゅ、と派手な水音を立てながらエリオードはひたすら抜き差しを繰り返す。その度に達しそうになり涙がぼたぼたこぼれるが、それすらエリオードの舌がすくいとった。
 中が、びくびくと痙攣する。エリオードもまた顔を歪めた。

「っあ、イく!」

 そう言うやいなや、エリオードは肉棒を勢いよく引き抜いた。そのまま、自身の手の中に濁った精液を勢いよく放出する。数十秒は、彼は動けなかった。
 互いに荒い息のまま、見つめ合う。ジェリアの膣の中も、ひたすらうねりを続けていた。まるで……彼の精液を飲みたがっていたかのように。
 エリオードの唇が、熱っぽく「ジェリア」と呼ぶ。ジェリアが彼の手をそばにあった布で拭いてやると、腕が絡みついてきた。

「好きだ、ジェリア、好きだ……」

 そこまで愛を投げかけられた経験が無いせいか、内心戸惑ってはいた。しかし、その言葉ひとつひとつが熱く、そして強く沈み込んでくる。
彼の背に手を回し、「私も」と囁く。エリオードの力が、少しだけ強まった。

 そこから一晩かけて、ひたすら愛し合った。エリオードはほんの少し休憩を挟むだけで、際限無く回復を続けていた。あくまで足を庇うようにはしながらも、それでもジェリアを求め続けた。休憩の間もひたすらジェリアに愛を囁くか口づけを強要してきた。
 ジェリアも彼に馴らされてきたかのように、ひりつく痛みを感じながらも彼を受け入れ続けた。破瓜の時とは違って、彼から浴びせられる言葉や愛撫があまりにも女としての本能を掻き立てられていた。

「あっあっ、ジェリア……また、イく!」

 彼の精液を吸った布を絞れる程にまで行為を繰り返した頃には、もう朝日が登っていた。そろそろ両親が帰ってくるかもしれない。さすがに止めるか。

「エリオード、そろそろ」
「ああ、もうこんな時間か」

 窓の外を見る時ですら、エリオードはジェリアの手を離さなかった。ジェリアの意志でもあった。

「もう、帰るのね」
「そうだな。家がやかましくなる」

 その言葉に、ずきりと胸が痛む。露骨に顔に出てしまったのか、エリオードもまた泣きそうな顔をして口づけてきた。

「大丈夫だ。また折りを見つけてここに通う」
「本当?」
「ああ。というかもう帰りたくもない」

 引き留めたかった。しかし、また来てくれるなら。そんな、ほんの微かな希望がジェリアのわがままを殺してくれた。
 頷くと、エリオードはもう一度口づけてきた。そして、服を整える。玄関から音がしたが、きっと両親が帰ってきたのだろう。タイミングが良かった。
 体裁を整えた二人は客室を出て、両親に挨拶をした。二人は別れを惜しみ、彼を墓地の入り口まで送った。

「教会に馬車を停めてあるんでしょう。私も行くわ」
「いや、大丈夫だ。そこまで世話はかけられないよ」

 ジェリアは感情を殺して、頷いた。エリオードは最後にジェリアに微笑んで、歩き出した。縫合の調子がよかったのか、彼は引きずりながらではあったが無事歩いていた。
 彼の背が見えなくなるまで見送りながら、内心泣きそうな気持ちを必死に堪える。体を先に結ぶ、と順序の歪さはあっても……確かに恋だと思った。

 エリオードは言葉通りに、月に二度程南部に来るようになった。
 名目はいつも「かつて世話になったから顔を見せに」だった。両親はいつも彼を歓迎したし、彼もまたそれを喜んだ。そして両親の目を盗んでは愛し合った。
 ただ一つ気になって、聞いたことがある。

「私達が恋人だという事は、まだ伝えてはいけないの?」

 エリオードには、自分たちの関係を口止めされていた。ジェリアの切ない吐息の中の言葉に、エリオードは頷く。その動作とともに、また腰を沈めた。

「さすがに体裁が悪いだろ。助けてもらった恩人の家族に手を出したなんて」
「あっ、あんっ」
「大丈夫だ。絶対後で俺から話す。だからわがままで悪いけど……っ」
「や、深い、あんっ」
「俺の事、ずっと好きでいてくれ。俺も一生、ジェリアの事好きなままだから」

 その言葉に、何度も頷いた。エリオードは「絶対に結婚しような」と茹だったように熱い言葉を囁いた。

 エリオードと逢瀬を交わすようになってから、一年が経っただろうか。未だに彼との関係は公表出来ずに居た。
 雪の降る新年。アーネハイト家は最低限の見張りを残して本家へと挨拶へ伺う。今年は母が南部へ残るという事で、父とジェリアが本家へ赴いた。
 親戚がたくさん集まるとはいえ、同年代の人間はラルネスしかいない。そのため、本家では常に彼と行動を共にしていた。

「落ち着かないのかい」
「えっ」

 不意にかけられた言葉に、びくりとする。ラルネスは悪戯っぽく笑いながら、歩み寄ってきた。

「大人達は酒が入って楽しそうだよ。僕達が入れる空気でもない。けれど君はいつも酌に回っているじゃないか。少なくとも、こんな大窓の前でぼんやり外を眺めているなんてらしくない」
「……少し気分が優れなくて」

 ジェリアの言葉をごまかしだと受け取ったのか、ラルネスは不満そうだった。ジェリアにその青い目を向け、じっと見つめる。

「半年ぶりに再会したいとこがそんな風だと、僕の気も滅入ってしまう。話してごらん、力になれるかは分からないけれど」

 正直、迷った。
 都市部の墓地を守るアーネハイト本家の長男が、教会の人間と面識が無い訳がない。しかも、よく考えれば彼もまたエリオードと同い年だ。仲がいい可能性すらある。
 ただ……もう、限界だった。

「恋人がいるの」

 少しだけ、ラルネスの目が大きくなった。しかしすぐに微笑む。

「何だ、恋煩いか。珍しい、何というか……うん、まさか君からそんな話が出るとは」
「私も初めてよ」

 そう、初恋に等しい。男に対する免疫が無いだけかもしれなかったが、それでも恋以外のもので呼称出来なかった。
 ラルネスはうんうん頷きながら、「それで?」と促す。

「都市部の人なの」
「へえ。僕の知り合いかな」
「……エリオード・ジルガニッレって、分かる?」

 その名を聞き、ラルネスの顔が固まった。そんな表情をする彼は初めてで、何故か悪寒が走る。
 ……嫌な予感がした。だからこそ、続けた。

「彼は結婚しようと言ってくれたわ。けれど話を進めてくれない」

 今考えれば、はぐらかされる事が多かった。
 正直騙されているのか、体目当てなのか。そう思った事もある。しかし彼は、ジェリアが月経だと分かっていても何度も会いに来た。そんな時は、ただ抱きしめるだけで留まってくれていた。金目当てだとしても財力はジルガニッレの方が上で、彼に金銭を渡した事は一度も無い。
 ラルネスは壁に掛けられた時計を見た。「丁度いい」と呟く顔は、未だ固い。

「上着を着ておいで」
「外に出るの?」

 ラルネスは頷いた。戸惑いながら、ジェリアは上着を取りにいく。元いた大窓の前に戻ると、ラルネスもまた上着を着て待っていた。
 玄関を出て、ラルネスは歩き出す。

「ここから五分もかからない。広い公園があるの、知っているだろう。昔行った事がある」

 記憶ならある。しかし何故そこへ向かうかは分からなかった。何より、彼の表情に穏やかさが無いのがとても気にかかる。
 すぐに到着した。彼はすでに行くべきところが分かっているかのように、歩みを進めた。

「ラルネス……」
「ジェリア。いざとなれば、僕がいる」

 その言葉の意味は分からなかった。ただ戸惑うしか出来ない。
 雪が降っている。そんな中、それも新年。ひとけは無い。たまにちらほらと人影が見えるだけだ。
 そして、見えた。ベンチがある。そこに、一人の男が座っていた。その姿を見て、ジェリアの目が大きく開かれる。

「エリオード……!」

 エリオードもまた、気付いた。彼はジェリア以上に驚いたのか、一瞬体をびくりと跳ねさせた。そんな彼を、ラルネスは冷めた目で見ていた。そして、口を開く。

「こんな寒い日に連れ回していいのかい」

 エリオードは顔を伏せた。その、腕の中には。

「何なの、その子」

 ……小さな、とても小さな。生後一年も経っていないであろう、赤ん坊が居た。
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