7 / 69
6.待合室に呼びに行った時からすでに勃ってなかった?
しおりを挟む
「ふう……」
凛が去ってから妙に緊張が抜けて、燈は改めて深呼吸をした。その深い息のはずみで、生地の薄いワンピースの裾がふわりと揺れる。
服装はあらかじめ、家で光希が見繕ってくれた。何なら下着までもが、彼の用意したものである。そもそも自分の今までの生活を考えれば持参などできるわけもなく、むしろ感謝してしかるべきなのだが。
……それでも。彼と二人で暮らして一つだけ、疑問があるのは事実だった。
ノック音が、鳴った。
「はい」
この店では、従業員である黒服が嬢の待つ部屋に客を誘導すると聞いた。そして毎日部屋がえが行われるとも。
燈の返事を聞いてか、扉が開いた。そこに立っていたのは。
「初めまして」
柔和な微笑みをたたえた、青年だった。しかしその目を見て、何故か背筋がぞっとする感覚。
あれは、光希のものとも日向のものとも違う。熱い、なにか。
青年は部屋に足を踏み入れた。すると、扉が閉められる。隙間からちらりと見えたのは、凛の顔だった。
燈が座るソファの前に立ち、彼は「いい?」と尋ねてくる。慌てて頷くと、彼はそっと腰掛けた。
「光希から話は聞いたよ、君も『S』なんだって?名前は?源氏名も兼ねてるんでしょ?」
「あ……と、燈、です」
「うん、知ってる」
どこか掴めないような口調、声音。聞いてるだけでぞわぞわ来るような、不思議な感覚だった。
「俺はね、葉月。相馬葉月。俺も『S』なんだ」
「それは……聞きました、光希さんから」
「だろうね。じゃあ、話が早いや」
どさり、と押し倒される。しかしその行為は、以前の豚小屋の男たちと比べあまりにも優しかった。
「ふふ、いい匂い」
まるで獲物の腐敗を確認するかのような、確認の気配。彼に匂いを吸われるかのような感覚に、ぞくり、とまた背中に何かが這った。
悪寒のような、それなのにどこか……甘い。
「っあ、」
熱く、ぬめる感触。首元に這ってきた舌は、あまりにも熱い。
「燈ちゃん、感度いいんだ?可愛い」
「そんな、あっ……」
「肌触り、綺麗だね。てっきりもっと痕があるんだと思ってた」
いつの間にか彼の手は、太ももをすべっていた。その手つきがあまりにも柔らかくて、またぞくりとする。
まるでさっきから、毒を注入されているかのような……奇妙な感覚だった。
「っは、どんな気分?客って言っても、知り合ったばかりの男に……こうやって、触られるの」
声はあまりにも熱く、甘い。今まで罵声ばかり浴びせられ続けたことを考えれば、柔いはずなのに。
「……あなたこそ、知り合ったばかりの女に……」
その先は、言ってはいけないと「嬢」として気付いた。慌てて口をつむぐと、葉月はぽかんとしたように動きを止めた。しかし。
「んっ!?」
いきなり、唇を重ねられる。以前の豚小屋なら、これはいわゆる薬の口移しのためだけの行動だ。だからこそ危険信号が、心臓の奥で鳴り響く。
反射で暴れる燈の腕を押さえつけながら、葉月は唇を離した。
「まあ、それはそう。でも、今日はいつもよりやっばいかも」
そう囁きながら、葉月は片手で燈の右腕をそのまま誘導した。その、熱い場所へ。
摑まされたそれは、布越しというのにあまりに熱かった。思わず反射でびくり、としたが葉月はそれすらも笑う。
「ね、もう脱いでいい?それとも、脱がせてくれるの?」
凛が去ってから妙に緊張が抜けて、燈は改めて深呼吸をした。その深い息のはずみで、生地の薄いワンピースの裾がふわりと揺れる。
服装はあらかじめ、家で光希が見繕ってくれた。何なら下着までもが、彼の用意したものである。そもそも自分の今までの生活を考えれば持参などできるわけもなく、むしろ感謝してしかるべきなのだが。
……それでも。彼と二人で暮らして一つだけ、疑問があるのは事実だった。
ノック音が、鳴った。
「はい」
この店では、従業員である黒服が嬢の待つ部屋に客を誘導すると聞いた。そして毎日部屋がえが行われるとも。
燈の返事を聞いてか、扉が開いた。そこに立っていたのは。
「初めまして」
柔和な微笑みをたたえた、青年だった。しかしその目を見て、何故か背筋がぞっとする感覚。
あれは、光希のものとも日向のものとも違う。熱い、なにか。
青年は部屋に足を踏み入れた。すると、扉が閉められる。隙間からちらりと見えたのは、凛の顔だった。
燈が座るソファの前に立ち、彼は「いい?」と尋ねてくる。慌てて頷くと、彼はそっと腰掛けた。
「光希から話は聞いたよ、君も『S』なんだって?名前は?源氏名も兼ねてるんでしょ?」
「あ……と、燈、です」
「うん、知ってる」
どこか掴めないような口調、声音。聞いてるだけでぞわぞわ来るような、不思議な感覚だった。
「俺はね、葉月。相馬葉月。俺も『S』なんだ」
「それは……聞きました、光希さんから」
「だろうね。じゃあ、話が早いや」
どさり、と押し倒される。しかしその行為は、以前の豚小屋の男たちと比べあまりにも優しかった。
「ふふ、いい匂い」
まるで獲物の腐敗を確認するかのような、確認の気配。彼に匂いを吸われるかのような感覚に、ぞくり、とまた背中に何かが這った。
悪寒のような、それなのにどこか……甘い。
「っあ、」
熱く、ぬめる感触。首元に這ってきた舌は、あまりにも熱い。
「燈ちゃん、感度いいんだ?可愛い」
「そんな、あっ……」
「肌触り、綺麗だね。てっきりもっと痕があるんだと思ってた」
いつの間にか彼の手は、太ももをすべっていた。その手つきがあまりにも柔らかくて、またぞくりとする。
まるでさっきから、毒を注入されているかのような……奇妙な感覚だった。
「っは、どんな気分?客って言っても、知り合ったばかりの男に……こうやって、触られるの」
声はあまりにも熱く、甘い。今まで罵声ばかり浴びせられ続けたことを考えれば、柔いはずなのに。
「……あなたこそ、知り合ったばかりの女に……」
その先は、言ってはいけないと「嬢」として気付いた。慌てて口をつむぐと、葉月はぽかんとしたように動きを止めた。しかし。
「んっ!?」
いきなり、唇を重ねられる。以前の豚小屋なら、これはいわゆる薬の口移しのためだけの行動だ。だからこそ危険信号が、心臓の奥で鳴り響く。
反射で暴れる燈の腕を押さえつけながら、葉月は唇を離した。
「まあ、それはそう。でも、今日はいつもよりやっばいかも」
そう囁きながら、葉月は片手で燈の右腕をそのまま誘導した。その、熱い場所へ。
摑まされたそれは、布越しというのにあまりに熱かった。思わず反射でびくり、としたが葉月はそれすらも笑う。
「ね、もう脱いでいい?それとも、脱がせてくれるの?」
12
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる