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31.現地の人たち、水着で海に行かないらしいね。
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「ところでメンバーのHijiriさんですが、『IC Guys』の三田玲雅さんとお付き合いを……」
「そうなんすよー!あんなブス十歩手前でもあんなイケメンと付き合えるってすっげえ世の中ですよねー!」
「『IC Guys』の三田くんのファンだったんだってね?Hijiriちゃんって」
「そうなんですよ。俺もファンって公表したら女優さんと付き合えたりするんですかね?」
「そういえばSouくんが二人のキューピッドなんだって?」
「あーあーノーコメントでーす」
「「「疲れた!!!」」」
「ごめん……」
ひじりと玲雅の関係が知れ渡り、早1ヶ月。それでも、世間はまだ賑わっていた。
個人の仕事が多いとはいえ、結局メンバー全員が『SIX RED』だ。話題に巻き込まれてばかりの彼らは、大変そうだった。
「もうこれぜってー『IC Guys』さんに何か謝礼もらおうぜ!次のライブ招待もらおうぜ!」
「本当だよ。あーあ、こっちにも記者くるし。Izumiちゃんの時より対応忙しいかも」
「つーかSouに関してはマジで自業自得じゃね?」
口ぐちに文句を言う彼らに、ひじりは何も言い返せない。彼らはあの後、何度もひじりのフォローに回ってくれていた。
ちなみに『IC Guys』の方はもっと大変らしい。会見の張本人がいるのだから当たり前だが。
雪斗はあれからもこまめに連絡をしてくる。それでも、露骨な脅迫は一切なくなった。なので、今はある程度の距離を保った上で接している。
「あ、Naokiくんからメッセージ。『沖縄でもその話で現地人から声かけられた』って」
「いいなあ沖縄ー!俺もロケ行きてー!」
「というかNaokiマジで何であんなに旅ロケくるの?いいなあうらやましい……」
世間の評判は、意外にも悪くはなかった。というのも、あの玲雅があまりにもひじりにべったりなのと……実際彼は、恋愛系の歌詞を書き始めたのでそれで音楽の幅が広がった、と純粋な音楽ファンはむしろ喜んですらいた。
「『あの玲雅さまの心の氷を解いた』『Hijiriちゃんのおかげで玲雅様が孤独死せずに済む』『私も有野さんと繋がりたい』……ハァーー!?雪斗くんなんか俺も繋がりたいわ!!」
その雪斗とこの間あんな絡みがあった、というのは黙っておこうと心底思った。Takaは一人で騒ぎながらSNSを見ている。
そんな四人がいるスタジオの扉が開かれた。そこには、Izumiがキラキラした目で立っていた。
「皆!沖縄に行こう!」
「のぇあ!?」
全員が食いついてにじり寄る。Izumiの後ろに、チーフマネージャーが苦笑してついてきた。
「たまたま、Naokiくん以外の皆が明日の仕事オフだって気付いたんですよ」
「あっそっか!そうだ!」
「Naokiくんの旅ロケも明後日までだしお誕生日が来週なので、ちょっと押し掛けサプライズ動画でもどうかと。それを次のCDの特典にしたらいいんじゃないかなって思いまして」
「チーマネちゃん天才!」
抱きつくReoを押し退けながら、チーフマネージャーは「それに」と付け足した。
「最近皆さん、色々お疲れでしょうから。慰安も兼ねて、経費はすべてこちらで持ちますからゆっくりしましょう」
「いや、チーフさんこそ本当色々してくださって……本当ありがとうございます……」
チーフマネージャーは、ひじりと玲雅の関係をずっと知らなかった。しかしあの後、泣きながら「でもHijiriちゃんが幸せになれてよかった」と言ってくれた。彼女は結成時の審査員をしていた兼ね合いでHijiriの過去を知っている分、より感慨深かったようだった。
Izumiはわくわくを抑え切れないとでも言わんばかりの様子で、くるくる軽やかに回っていた。
「というわけで!全員今から至急用意して空港に現地集合!」
「えっ飛行機ある!?」
「2時間後が最終フライト!チケットとホテルはすでに全員分おさえておいた!」
「鬼くね!?」
「Izumiさまああああ!!」
そう言いつつ、全員が即座に動き出した。ひじりもまた、慌ててスマートフォンを手に取って電話をかけた。
「もしもし、玲雅くん!?」
『んん……ひじり……?』
どうやら寝起きなのだろう。とろけた声に心臓がギュンと締まるも、慌てて取り繕った。
「すみません、ちょっと明日まで沖縄行ってきます!」
『……?……、なんで?』
「何かちょっとあれでこれらしいですけども!お土産何がいいですか!?」
『……こーれーぐーす……?』
「分かりました!すみません、行ってきます!」
だめだ、寝起きの玲雅の声はとんだ爆弾だ。心臓の鼓動がとんでもないことになっている。
さすがに付き合いも長くなって、少しずつ慣れてはきている。それでも、彼が人生においての推しである事には変わりない。
「Izumiちゃん!こーれーぐーすってナニ!?」
「とりあえずちゃっちゃか準備しな!」
「そうなんすよー!あんなブス十歩手前でもあんなイケメンと付き合えるってすっげえ世の中ですよねー!」
「『IC Guys』の三田くんのファンだったんだってね?Hijiriちゃんって」
「そうなんですよ。俺もファンって公表したら女優さんと付き合えたりするんですかね?」
「そういえばSouくんが二人のキューピッドなんだって?」
「あーあーノーコメントでーす」
「「「疲れた!!!」」」
「ごめん……」
ひじりと玲雅の関係が知れ渡り、早1ヶ月。それでも、世間はまだ賑わっていた。
個人の仕事が多いとはいえ、結局メンバー全員が『SIX RED』だ。話題に巻き込まれてばかりの彼らは、大変そうだった。
「もうこれぜってー『IC Guys』さんに何か謝礼もらおうぜ!次のライブ招待もらおうぜ!」
「本当だよ。あーあ、こっちにも記者くるし。Izumiちゃんの時より対応忙しいかも」
「つーかSouに関してはマジで自業自得じゃね?」
口ぐちに文句を言う彼らに、ひじりは何も言い返せない。彼らはあの後、何度もひじりのフォローに回ってくれていた。
ちなみに『IC Guys』の方はもっと大変らしい。会見の張本人がいるのだから当たり前だが。
雪斗はあれからもこまめに連絡をしてくる。それでも、露骨な脅迫は一切なくなった。なので、今はある程度の距離を保った上で接している。
「あ、Naokiくんからメッセージ。『沖縄でもその話で現地人から声かけられた』って」
「いいなあ沖縄ー!俺もロケ行きてー!」
「というかNaokiマジで何であんなに旅ロケくるの?いいなあうらやましい……」
世間の評判は、意外にも悪くはなかった。というのも、あの玲雅があまりにもひじりにべったりなのと……実際彼は、恋愛系の歌詞を書き始めたのでそれで音楽の幅が広がった、と純粋な音楽ファンはむしろ喜んですらいた。
「『あの玲雅さまの心の氷を解いた』『Hijiriちゃんのおかげで玲雅様が孤独死せずに済む』『私も有野さんと繋がりたい』……ハァーー!?雪斗くんなんか俺も繋がりたいわ!!」
その雪斗とこの間あんな絡みがあった、というのは黙っておこうと心底思った。Takaは一人で騒ぎながらSNSを見ている。
そんな四人がいるスタジオの扉が開かれた。そこには、Izumiがキラキラした目で立っていた。
「皆!沖縄に行こう!」
「のぇあ!?」
全員が食いついてにじり寄る。Izumiの後ろに、チーフマネージャーが苦笑してついてきた。
「たまたま、Naokiくん以外の皆が明日の仕事オフだって気付いたんですよ」
「あっそっか!そうだ!」
「Naokiくんの旅ロケも明後日までだしお誕生日が来週なので、ちょっと押し掛けサプライズ動画でもどうかと。それを次のCDの特典にしたらいいんじゃないかなって思いまして」
「チーマネちゃん天才!」
抱きつくReoを押し退けながら、チーフマネージャーは「それに」と付け足した。
「最近皆さん、色々お疲れでしょうから。慰安も兼ねて、経費はすべてこちらで持ちますからゆっくりしましょう」
「いや、チーフさんこそ本当色々してくださって……本当ありがとうございます……」
チーフマネージャーは、ひじりと玲雅の関係をずっと知らなかった。しかしあの後、泣きながら「でもHijiriちゃんが幸せになれてよかった」と言ってくれた。彼女は結成時の審査員をしていた兼ね合いでHijiriの過去を知っている分、より感慨深かったようだった。
Izumiはわくわくを抑え切れないとでも言わんばかりの様子で、くるくる軽やかに回っていた。
「というわけで!全員今から至急用意して空港に現地集合!」
「えっ飛行機ある!?」
「2時間後が最終フライト!チケットとホテルはすでに全員分おさえておいた!」
「鬼くね!?」
「Izumiさまああああ!!」
そう言いつつ、全員が即座に動き出した。ひじりもまた、慌ててスマートフォンを手に取って電話をかけた。
「もしもし、玲雅くん!?」
『んん……ひじり……?』
どうやら寝起きなのだろう。とろけた声に心臓がギュンと締まるも、慌てて取り繕った。
「すみません、ちょっと明日まで沖縄行ってきます!」
『……?……、なんで?』
「何かちょっとあれでこれらしいですけども!お土産何がいいですか!?」
『……こーれーぐーす……?』
「分かりました!すみません、行ってきます!」
だめだ、寝起きの玲雅の声はとんだ爆弾だ。心臓の鼓動がとんでもないことになっている。
さすがに付き合いも長くなって、少しずつ慣れてはきている。それでも、彼が人生においての推しである事には変わりない。
「Izumiちゃん!こーれーぐーすってナニ!?」
「とりあえずちゃっちゃか準備しな!」
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