【R18あり】推しに溺愛されるのが私とか!

湖霧どどめ

文字の大きさ
上 下
22 / 43

22.肉体に刻まれる脅迫。

しおりを挟む
「……言ったよね、何でもって。今」

 言ってから後悔しても、もう遅い。しかし彼は、きっと本気だ。止めるにはこれしかない。
 雪斗は、戻ってきた。嬉しそうに微笑みながら、ひじりの手を取る。その仕草そのものは、巷で噂されるような王子様そのものだ。なのに、その正体を知った今は……嫌悪しか、湧かない。

「そんなに、玲雅と別れたくない?そりゃそうだよね、ずっと憧れてたんだからね。でも、君があいつに憧れる倍以上の年月……俺は君が欲しかったんだよ?」
「そんなの知らないっ……」
「ていうかさ。俺の正体分かるまではあんなに照れてたのに、今そんな風な対応とか。そんなに俺の事嫌い?」

 ベッドに倒され、そのまま……あてがわれる。怖気がした。それでも、体は言う事を聞かない。

「懐かしいね。俺と君が繋がった時も、この体位だったね」
「お願い、離して!もうやめてっ」
「無理。ほら、先っぽ入ったよ?……っ、はあ。ふふ、またいれちゃった」

 痛みと羞恥心、そして怖気で中がびりびりと痺れ出す。どれだけよじっても、抜いてはもらえない。
 ぐ、ぐ、と細かく雪斗は動く。その顔は、綺麗なつくりをだらしなく変えていた。

「はあ、あっ。あー、やだなあ。ひじりは俺のなのにっ。よりによって、玲雅に取られるなんてっ……」
「あう、あっ、あっ」

 その動きは、ゆるゆるとしたものだった。それでも、嫌悪感の塊を突き込まれる。ぐちゅ、ぐちゅ、と粘った音を立てて、奥まですすんでくる。
 どうして、こんな事になっているのか。痺れる体で、逃げ出せるわけもなく。そう考えるので精一杯だった。

「ねえ、もう玲雅とはセックスしたの?してないわけないかっ、だって泊まってるもんね?は、あっ、出る、出るっ」

 すぐさま、放出される。玲雅のものとは違う、嫌な感触。ひじりはもう、呆然とするしかなかった。

「もう二回も出してたから、まだ保つと思ったんだけどな。ごめんね、ひじり。気持ちよくなかった?」
「気持ちよくなんてないっ……ひどい、ひどすぎるっ……」

 泣きながら震えるひじりを、雪斗は幸せそうに見詰める。再び、彼の舌はひじりの頬を舐め回した。

「昔は、心が痛いだけだったのにな。今はもう、ゾクゾクしちゃうや」
「なんで、椎名くんが『IC Guys』に……」

 その問いは、黙殺された。というよりは、舐めるのに夢中なせいで気付かれなかったと言う方が正しいのかもしれなかった。
 ひじりの涙と雪斗の唾液で光る頬を愛おしそうに撫でながら、雪斗は「何してもらおっかなあ」と呟いた。しかしすぐに、笑顔になる。

「じゃあ、俺の言う事を何でも聞いてね?もし破ったら……」

 そう口にして、雪斗は立ち上がった。窓辺に置いてある写真立ての後ろに、手を入れる。取り出されたのは、スマートフォンだった。その事実に、一気に血の気が引く。
 雪斗は何かの操作をしてから、ひじりに画面を見せた。中に居たのは、服を着てベッドに映るひじりだった。

『僕の家に着いて早々、Hijiriちゃんが寝ちゃいました。可愛いですねっ。男の家で寝るとか、もうこれ何をされてもおかしくないですね?』

 画面から聞こえる雪斗の息は荒く、震えていた。それも、熱気を伴って。
 画面の中で、雪斗がひじりの服を脱がし出す。小さく呻くひじりは、一切目覚めない。雪斗は嬉しそうに、動画を見つめていた。

「この動画ね、俺のパソコンやプライベートのスマホ全部にさっき共有したんだ。勿論仕事用のにもね。こんな可愛くてエッチなひじり、他に見せたくなんてないけど……それだけ俺も必死って、分かってくれる?……って、はは、聞いてる?」

 何かを言っている事は分かる。でも、頭に入ってこない。
 そっと、口付けられた。玲雅とは違う感触に、何も心が動かない。ただ、震えるしか出来ない。そんなひじりを、雪斗は膨れながら抱きしめた。

「あーあ。やっぱり玲雅がいいんだ?ねえ、玲雅がこれを見たらどう思うかな?」

 それを聞き、一気に我にかえる。

「玲雅の事だから、あの冒頭文を聞いたとしてもまず俺を疑うと思う。あいつ怒るとすごく根深いから、俺はまず脱退させられると思うよ。そしたら、ひじりの好きな『IC Guys』は下手すれば解散だね」
「な、何を……」
「まあそれ以上に、あいつ自身めちゃくちゃ傷つきそうだよね。だって初恋の女の子が、親友に寝取られちゃってるんだから」
「椎名くん!」
「勿論、玲雅を傷付けたくなんてないよ。これも本心。あいつは俺の親友で、恩人だから。ね、分かった?」

 ひじりの体が、少しずつ言う事を聞くようになってきた。それでも、やはり男である彼にはかなわない。抱きしめられたまま、固定は解けない。

「……ひじりが今後どうするかで、『IC Guys』も玲雅もどうなるか分からないって事。ね?」

 ……頭がおかしくなってしまいそうだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

野獣御曹司から執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
野獣御曹司から執着溺愛されちゃいました

地味女だけど次期社長と同棲してます。―昔こっぴどく振った男の子が、実は御曹子でした―

千堂みくま
恋愛
「まりか…さん」なんで初対面から名前呼び? 普通は名字じゃないの?? 北条建設に勤める地味なOL恩田真梨花は、経済的な理由から知り合ったばかりの次期社長・北条綾太と同棲することになってしまう。彼は家事の代償として同棲を持ちかけ、真梨花は戸惑いながらも了承し彼のマンションで家事代行を始める。綾太は初対面から真梨花に対して不思議な言動を繰り返していたが、とうとうある夜にその理由が明かされた。「やっと気が付いたの? まりかちゃん」彼はそう囁いて、真梨花をソファに押し倒し――。○強がりなくせに鈍いところのある真梨花が、御曹子の綾太と結ばれるシンデレラ・ストーリー。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

処理中です...