上 下
48 / 66

48.抜け道さえ見つければこちらのもの。

しおりを挟む
 あれから再三に渡り会議が開かれた。ギャムシアから執事長の本性を明かされ、狼狽した使用人が殆どだった。それだけうまく溶け込んでいた、という事なのだろう。その上で、ギャムシアはある決断を下した。
 他にディグレオの「身内」がいるかどうか調べる、と。勿論使用人達にはその旨を伝えずに、現在少人数ずつで尋問を開始している。

「怪しい人物が出て来次第、俺が投入されます。最悪拷問もあり得るでしょう」

 シャイネは食後の紅茶を淹れながら、ラチカに言った。現在、シャイネは待機という名目でラチカの離れに居る。
 ギャムシアは仕事としてはシャイネを信用しているようで、会議中もずっとギャムシアの補佐をさせられていた。今となっては剣術の師匠と弟子でもあるわけで、恐らくそこからも少しずつ信頼関係が出来ていっているのかもしれない。それは良い事なのだろうが、先程の痴態の件からも素直には喜べずにいた。
 そもそも待機とはいえ、ギャムシアがシャイネにラチカと二人きりになるのを許すとは思わなかった。完全にラチカの気持ちを手に入れたから余裕が出来ている、と思っているのか。それとも、いざとなればシャイネをどうにか出来ると思っているのか。

「もし早ければポシャロは明日には教会に到着致します。そこからスムーズに事が運んだとして、モシェロイ神父がロドハルトに到着するとすればその当日中……問題はモシェロイ神父がポシャロを信用するかどうかですが」
「それは多分大丈夫、私がポシャロの話した事あるし」

 問題は、ポシャロが道中襲われないかどうかだ。現在、ロドハルトには未だ襲撃は来ていない。ディグレオの調子を整えている最中なのか、何せ何かしらの作戦を練っている事だろう。用心は必要だ。

「ポシャロはレヂェマシュトルです。それも人間より何十倍と勘が鋭い。ネクロマンサー数人程度なら十分太刀打ちできます」
「まあエヴァイアンに入れさえすれば、エクソシスト多いし何とかはなるよね」

 シャイネは頷き、カップに蒸らしきった紅茶を注いだ。早速口に含む。
 ラチカはラチカで、先程結界の楔用に血を抜き取ったばかりだ。その後はひたすら食事をし、血を造っている最中である。それを口実にロドハルト産の魚をとにかく要求したところギャムシアは少し呆れていた。

「しかし今来られるとちょっとまずいかもなぁ、私いまそんなに動けない……だるい……」
「お嬢様はお休みになってください。亡霊を出させる前に俺がネクロマンサーを叩けばどうにかなります」

 そうは言っても、やはり現実的に考えると難易度が高い。とにかくこの短時間で乗り込まれないように祈るしかないだろう。
 サガリオットは現在、ラチカが即席で用意した結界の中にいる。恐らくディグレオはサガリオットの覚醒を早めようとしてくるはずだという予測からの対処である。もし異変があれば、ラチカがすぐに気付くようになっている。そしてギャムシアは、その傍にいるようにしていた。

「しかし、あのギャムシア様があそこまで気にされるとは。サガリオット様というのは、一体どのようなお方だったのでしょうか」

 シャイネの疑問ももっともである。ラチカ自身、それどころではないというのもあったが政治に幼い頃は一切興味が無かった。だからこそ、アスパロロクという国の事は全然知らない。コーマスなら何か分かるのだろうか。そもそも、両親とは仲が良かったらしいしそちらに聞くのが早いか。
 そういえばここ最近、全然両親と会っていない。また顔を見せに行くか。

「お嬢様、こちらお下げ致します」
「ありがとう」

 シャイネの手が伸びてくる。彼は食器を手に取ると、ラチカに背を向けた。
 モシェロイへの手紙には楔の材料を持ってくるように依頼している。それが届くまで、正直ラチカには休む事しか出来ない。ギャムシアが言うには「エクソシストの腕がいるから」という事で強制的に休まされてはいるが……どうも、落ち着かない。
 ソファに寝そべってみる。そんなラチカを見、シャイネは呆れたように口を開いた。

「お嬢様、そんな体勢では逆流致しますよ」
「そこまで私の弁は軟弱じゃないし」

 溜息を吐きながら、シャイネはこちらへ向かってくる。そのまま、どさり、と音を立てて覆いかぶさってきた。その行為に驚き彼を見るも、彼は普段と変わらない顔のまま口を開く。

「……やはり、目の当たりにするとむず痒いものがありますね」

 先程の事だろう。思い出すだけで顔が熱くなるが、ただラチカには「ごめんなさい」と謝るしか出来ない。

「仕方ありません、まあロドハルトへ嫁いだところで一妻多夫制度はなくとも不貞の罪は無いと聞きました」
「え、ちょ、そなの? 私初耳なんだけど」
「お嬢様、嫁がれる先の事は入念に調べる事をお勧め致します」

 つまり、ギャムシアと結ばれたあとシャイネとどうこうなっても法的には罰せられない。そういう事なのだろう。あくまで夫婦にはなれないだけで。しかし勿論ギャムシアが個人的に許すわけなどないはずだ。

「んっ……」

 甘く、柔らかい口づけ。ラチカの口内をくちゅくちゅと弄びながら、シャイネは手を膨らみに伸ばしてくる。

「や、ぁあ……」
「さっきあれだけギャムシア様に苛まれたのに、またですか? 本当にお嬢様は、男を惑わせる天才ですね」
「い、言わないでそんなの……」

 それでもシャイネの手は器用にラチカの服の中に滑り込み、膨らみの先端に触れた。先程の行為のせいで敏感なままの突起を指の腹で優しく摩りながら、シャイネは熱い吐息を漏らした。

「……本当に、独り占めしたい……」

 ぼそりと落とされた言葉に、胸の奥がきゅっと詰まる。それでもシャイネは気にしていないのか、それとも自らの言葉に気付いていないのか。膨らみをただ、じっとりと揉み続ける。その感触だけで再び内部がぬかるんできて、次第にラチカの吐息も甘くなりだした。そんなラチカの頬や唇に何度も唇を落としながら、シャイネは囁く。

「俺が従者である限り、貴女は俺だけのお嬢様ですから……ね?」
「シャ、シャイネ……」
「それだけは、ギャムシア様にも決して譲りませんよ」
「や、ぁっ」

 シャイネの両手が、服を一気にずらす。そして現れた膨らみに、舌を這わせられた。ぬるく柔らかい感触に、体が脈打つ。

「やっ……気持ちいい……だめ、シャイネぇ……」
「ですよね? お嬢様は、こうやって俺に舐められるのがお好きなんですよね? 俺がいいんですよね?」

 昂ったように譫言を繰り返しながら、シャイネの舌はじっくりとラチカの膨らみを嘗め回す。先端に触れた途端、甘い電撃がラチカに落ちた。

「や、だっ。シャイネ、だめっ……気持ちいいっ……」
「ええ、気持ちいいですね……はあ……気持ちいい……柔らかい……」

 片方の膨らみを絞るように掴みながら、ぷっくりと膨れあがった先端をくりくりと舌で虐め回す。その刺激に腰が跳ねるも、シャイネの脚で押さえつけられていた。動けないラチカに尚、シャイネは微笑みかける。

「ああ、足りないですよね? もう片方もっ……」
「みゃぁあああっ」

 反対側も吸い上げられ、もう頭の中が蕩け切っていた。シャイネの舌を伝ってくる唾液が、膨らみの奥へと滑っていき谷間に水たまりを造っていくのがわかる。とにかくシャイネの口戯が、快感でしかない。
 結局ギャムシアを裏切っていると思うものの、そんなラチカの気持ちを汲む事なくシャイネは怒張した肉棒をさらけ出した。

「すみません、こっちで……いいですか」

 答えを聞くより先に、ラチカの谷間を寄せ上げる。みちっ、と境目が分からなくなる程ぴったりと寄せられそシャイネの肉棒が入り口をぐちぐちと突き始める。新しいぬかるみに、どきりとする。

「はぁ……寄せてるだけなのに、きついですね……いやらしい……本当にいやらしい体ですね……」

 その圧を楽しむようにしながら、シャイネの先端は突き進んできた。溜まり込んだ唾液とシャイネ自身の先走り汁のせいでかなり滑る。それでもラチカの圧力が勝るのか、シャイネは苦しそうに顔を歪める。しかしどこか、恍惚としていた。

「すごいっ……お嬢様、お嬢様っ……好きです……お嬢様っ……」

 飛沫を上げながら、シャイネはひたすら腰を動かし続ける。その度に膨らみの内側を刺激され、押さえつけられる手により先端をつまみあげられてしまい声が漏れてしまう。そんなラチカを眺めながら、シャイネは幸せそうに顔を蕩かせた。

「いつか、絶対にお嬢様を……取り戻し、ますからっ……それまでは、従者として……お嬢様を、愛させて頂きますねっ……」

 そのままシャイネの突きの速度が上がっていく。摩擦熱で、膨らみの内が熱い。それでもシャイネの先走りは一切止まらない。

「あ、あうっ……ああ、あっ」

 心臓が圧迫されるせいで、声が獣じみてくる。それでもシャイネには気にならないらしく、ひたすらラチカの膨らみの感触を味わい続けていた。
 胸の内部でも分かる、硬直。シャイネの眉根が寄り、切なそうにラチカを見つめてくる。何となく察して、口を開く。シャイネは一瞬迷う素振りを見せたものの、すぐにラチカの胸元を開放した。そのまま、ラチカの口に自身を突っ込む。
 どく、どく、と。粘った液体が胃の中に直送されるのが分かる。すべて出し切ると、シャイネは深い溜息を吐いた。

「……すみません、また……口の中に……」

 ごくり、と飲み切る。少し苦みが強いものの、大丈夫だ。まずくは、ない。
 シャイネは再びすり寄ってくると、ラチカの頬に再び口づけた。その表情は、ほんのりと赤いものの素直に微笑んでいる。

「ずっと、お嬢様のシャイネでいますから。愛しています」

 強く抱きしめられる。そのまま服も正され、また口づけられた。このまま二回目か、と思った矢先。

「おいクソガキ、お前の出番……」

 ぎょっとした。しかしシャイネは平然としている。そして勿論ギャムシアは。

「●△※□◆□○!!!!」
「うわあああああ!!」

 背中に仕込んでいたのだろう仕込み刀を抜刀し、シャイネに斬りかかろうとする。それをまた抱きしめて止めながら、ラチカは心底先程まで酷い乱れ方をしていなくてよかったと安堵した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【R18】ドS上司とヤンデレイケメンに毎晩種付けされた結果、泥沼三角関係に堕ちました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向けランキング31位、人気ランキング132位の記録達成※雪村里帆、性欲旺盛なアラサーOL。ブラック企業から転職した先の会社でドS歳下上司の宮野孝司と出会い、彼の事を考えながら毎晩自慰に耽る。ある日、中学時代に里帆に告白してきた同級生のイケメン・桜庭亮が里帆の部署に異動してきて…⁉︎ドキドキハラハラ淫猥不埒な雪村里帆のめまぐるしい二重恋愛生活が始まる…!優柔不断でドMな里帆は、ドS上司とヤンデレイケメンのどちらを選ぶのか…⁉︎ ——もしも恋愛ドラマの濡れ場シーンがカット無しで放映されたら?という妄想も込めて執筆しました。長編です。 ※連載当時のものです。

【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。

どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。 婚約破棄ならぬ許嫁解消。 外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。 ※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。 R18はマーク付きのみ。

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔

白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます​─​──​。 私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。 同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが…… この生活に果たして救いはあるのか。 ※サムネにAI生成画像を使用しています

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...