25 / 50
大猫時代
私じゃないの猫が言ったの&猫たちの趣味
しおりを挟む夫は腰が重い。一度座ったらなかなか動かない。
私がキッチンでアレコレやっている時に猫のご飯時間が来た。にゃーんにゃーんとまとわりつく猫達。
「ねえ、ご飯あげてよお」と近くのソファーに座っている夫に言う。
「う~ん、今行く」
そして、なかなか来ない。猫の声が大きくなってくる。
揚げ物してるのに足元でにゃんにゃん鳴いている。ぐるぐる回ってる!なのに夫は来ない。
「ねえ!!早く飯くれよ、ジジイ!!……ってチャチャが言ってる」と思わず言う。
「え~!チャチャはそんなこと言わないよねえ」と夫がチャチャに微笑む。
「くれねえと、お前食うぞ!……ってコタが言ってる」たたみかける
「今行くって」とまだコンピューターを見ている。
「今すぐだよ!クソジジイ!……って2匹共言ってる」
「もうわかったよ、ひどいな。言い過ぎだよババアって猫達が言ってない?」
「な!ババアってなによ!!」自分から始めたくせに喧嘩になる。ひどい嫁だ。
まあ、そんなふうに日常会話に猫を利用する時がある。よくある。アメリカでは宿題を忘れた時の言い訳にMy dog ate itというのがある。
本当に食べるかどうかは犬を飼ってないのでわからないが、この言い方はすごく有名だ。
猫も紙をかじる。夫の大事な書類の端っこには、だいたいコタロウの歯型がついている。
「ああああ~~~!!コタロ~!!やーめてえ」と絶叫した。大男の大声に驚いたかわいそうなコタローさんは逃げていく。
「そんな所に出しっぱなしのお前が悪い……とコタローが言ってる」と言ってあげた。そして
「そんなロシアの熊殺しみたいな人が大きい声出したら怖いから!やめてね」(ロシアの熊殺し)は軍を引退してあごひげをもじゃもじゃに生やしている夫につけたセンスあるニックネームだ。
コタローに謝るロシアの熊殺し。大きな背中を丸めて
「ご~めんねえ、こたちゃん」と大きな手で背中をなでている。よし。
そんな愛されコタローさんは紙とテープが大好きでテープの粘着面に目がない。テープを貼る音で飛んでくる。
ぐっちゃんぐっちゃんにするのが大好きなのだ。変な趣味だ。それからプチプチと潰れる梱包用のエアバッグ。あのプチプチを潰すが好きな人も多いがコタローも大好きで咥えて持っていき全部のプチプチをせっせと潰している。
問題児チャチャさんの最近の趣味は家で仕事をするニンゲンにいちゃんのお手伝いだ。
(コンピューターをずっと見ていると目に悪いから見せないお手伝い)
(カーソル見える?ここだよと叩いてあげるお手伝い)
(書類できないの?じゃあ書いてあげるねのお手伝い)
今日も「わあああ~チャチャ~!!」と悲鳴が上がっていた。
私の部屋にもやってきて、パソコンの後ろに寝そべったり、そこから覗いたり、角で歯を磨いたりしていた。いつもなら「チャチャーありがとう、来てくれたの?」と撫でるのだが、この日は集中して書いていた。
むっとしたチャチャは、キーボードの上をカッシャカッシャ歩くことにした。
「わあああ、やめて~~」今度は私が叫ぶ番で一緒に仕事をしていた夫と息子の笑い声が1階から聞こえる。
あshりうあy;bんふぉp 画面に変な記号が並ぶ。
この猫エッセイにこんな言葉が並ぶようになったら、それはチャチャが書いたと思ってください。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる