アメリカで猫と暮らす 大騒ぎだけどHappy life!

真白タミイ

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大猫時代

そっくりな私とチャチャ、そして蘇る思い出。

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 夫はどちらかと言うとコタローのほうが好きかもしれないと書いたけれど、その差はわずかな差でどちらも同じように溺愛しているけれど、愛の天秤は1ミクロンほどコタローの方に傾いているかな?くらいだ。そして私の天秤はチャチャに傾く場合が多い。

 子猫の頃から愛らしい顔をしておとなしいコタローは皆から愛された。一方ひねた顔でいたずらばかりするチャチャは怒られてばかりだ。

 その頃母が一緒に住んでいた。大人しげなコタローは妹を連想させる、そしてチャチャの性格は私になんだか似ているような気がする。というかそっくりだ。小さい頃の私はいたずらばかりして怒られていた。チャチャも毎日なにか発明して遊んでいる。背中を向けてる母に飛びつくことがあった。そのままブランブラン左右に揺れる遊びをしていた。「あいたた」と母は振り向き

「まったく、あんたはいつもそんなことばっかりやってから!!」と言った。

 う、う、う。 しょっちゅう、おちゃらけてた私がよーく聞いたセリフだ。

「コタちゃんは、おとなしいねえ。あんなことせんねえ」

 ぐうう、母はおとなしく優しい妹が大好きだった。いや、コタローの話だけど、そうなんだけど、母のセリフを聞いていると複雑な気持ちになるのであった。いつの間にか私の頭の中でコタロー=妹 チャチャ=私のような図式ができあがっていた。

「コタローは本当に器量が良いねえ、チャチャは意地悪な顔する時がある」

「ひどい!そういう顔なの生まれつきの!意地悪じゃなくて」

「コタロウはおとなしいけど、チャチャはワルサばかりして」

「チャチャはね、いい子なの!!ちょっとふざけるのが好きなだけなの!本当はいい子なの!」

 事あるごとにチャチャをかばった。そして不憫なチャチャを誰よりもかわいがった。
同類相憐れむ。
それでチャチャは猛烈なママっ子になってしまったのだと思う。チャチャは人間の反応を楽しんでいるような時がある。おもしろそうなことをわざとやる。 私も夫と息子を笑わせたくて、よく変なことをしてる。やはり似ている。

 ある日息子が大笑いしながら
 
「チャチャおもしろいよ。それ触ったらダメだよって怒ると死んだふりするんだよ~」
 
「あ、知ってるそれ、倒れたふりして(なにもやってませんけど?)って感じだよね」

「そうそう、う!バタンって感じで倒れて、後でチラッと見たりして」

 ここで私の記憶がどっと戻ってきた。息子が2歳くらいの頃のことだ。反抗期が始まり、なんでもNOと言い大泣きがはじまり泣き出すと止まらない。ある日根負けした私は良いことを考えた。

 

良いことではないけれど、夫はほとんど海外出張で私は一人で子育て。そこへ反抗期。煮詰まっていた。限界だった。

「ノオ~~~!!」といつものようにギャン泣きが始まった。 今だ!

「ぐは~~苦しい」そして、ものすごくはでにバタ~ンと倒れた。 

「え?ママ?」一瞬驚いた息子だが、ママがふざけていると思った息子は泣き止んで「きゃはは」と笑った。

「勝った」と思った瞬間だった。

とにかくなにか面白いことをすれば泣き止む。私の中の芸人魂が炸裂した。本気でやる。本気で笑わす。

ちなみにアメリカでは友人同士、近所同士で赤ちゃんを預け合うことを普通にするのだが、この(芸)のおかげで

「タミイはすごいのよ、泣く子を皆笑わせるわよ」と(カリスマベビーシッター)と呼ばれはじめた。

 光栄だ。

そして「おもしろくして皆が笑ってれば平和」という私のモットーがチャチャに受け継がれたのかもしれない。そんなわけないか。

 
 犬は飼い主に顔がそっくりになるという。確かに知り合いも似てる顔が多い。しかし猫は性格が似るのかもしれない。そう考えるとコタロウの控えめで優しげな性格だが、食い意地がはっているところは妹よりも夫と息子に似ているのだった。

 買ってあったお菓子はまた夫が食べてしまった。私もチャチャのように威嚇してこようと思う。




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