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子猫時代

アダプション会場にて超美猫に遭遇!

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 コタローと一緒に抱き合って寝ていたチャトラの子はよく顔も見ないでアダプションを決めた。よく見ると美形のコタローに比べて、どことなくひねていた。


私は以前からでっかくてぶさいくな地域のボスみたいな猫が好きだった。猫の飼い方という本に載っていた(元のらねこで狂暴なトラ猫)の写真をうっとりと眺めたり、ネットで凶悪顔のどら猫を見つけては「わははぶっさいくでかわいい~!!」と保存していた。

しかし、自分が飼いたいとはこれっぽっちも思っていなかった。トラやライオンが好きな気持ちと同じで飼いならせると思っていなかった。


それなのに運命とは恐ろしい。夫の涙で気の強そうなチャトラの子猫を引き取ることになったのだった。


実は里親会の運命の日 「夫がもう一匹」と書類にサインをしている途中で可愛いモデルのような美猫がやってきた。

真っ白で長毛のふわふわで猫雑誌の写真のような子猫だ。高級猫缶のCMでシャンパングラスに入れたフードの前に座ってるような子猫。

あまりの美しさに来ている人たち全員が一斉にうわああと歓声をあげていた。今思うとペルシャの子猫だろうと思う。

ボランティアに来ていたやる気なしの高校生が(アメリカではボランティア経験で単位がもらえるシステムがあり、いやいやしている高校生が多い)がすぐに代表者に「私がもらうわ!」と言いすぐに断られていた。

この女子は始終ふてくされて動物の扱いも雑だった。代表者はよく人がらを見ていたのだ。


チャチャの書類を書いている途中だったけれど興奮した私は

「ちょ!!見てみて!すっごくかわいい子猫がきた!!2匹飼うならあの子がいいな!」

本当にひどい女だ。でもかなり本気でそう思った。

「2匹飼いたいからという理由でこの子を引き取るんじゃないんだ。仲良しの兄弟だから引き離さず一緒に飼いたいんだ」夫の言うことはもっともだ。 

実は里親会の代表者にもそう言われていたそうだ。

「共に育った仲の良い兄弟が一緒だと猫も安心してストレスも減るのよ、だからこの子も一緒にどうかしら?」と。

里親を断られている人もたくさんいたのに夫にはそう言ったそうだ。

だが、性格が悪い私はこう思った。


「騙されてんじゃねえの?」


ひねた顔立ちの売れ残りの子猫を見て思った。


「押しつけられたんじゃねえの?」


美猫を諦めきれない私はせめて写真撮っておこうとケージに近寄った。

今度は息子に怒られた。

「なにやってるの!うちの子はこの子だよ!」愛しそうに背中を撫でていた。

「ううう、ふわふわの白猫もかわいいよ~!」と訴えたら代表者がやってきた。

「3匹でもいいわよ」

「え??」

何人も断っていたのにとても信用されていたのだった。

我が家全員が猫大好きであることを見抜いていた。

そして一番ひどいことを言っている「おかーさん」が将来一番猫バカになるであろうことも。

金銭的な問題もあり、白猫ちゃんもふわふわグレーちゃんと兄弟だったのであきらめることにした。

最初から4匹は難しい。ふわふわ兄弟も2匹一緒に引き取られて幸せに暮らしているといいなと思う。

後ろ髪惹かれながらも「そうだよね、この子に決めたんだもんね」と家路についた。


そして最初の事件が起こるのだった。





一緒で良かったよ。本当だよ。







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