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第一章 メルトヴァル学院での日々
『ライバル令嬢』と出会いました
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そして。編入手続きを終え、学院に通う日がやってきました。
シンフォニウム魔法学院にいた頃は、主の護衛と例の乙女ゲーム関連で動いていたため、学院に席をおいていただけだったんですよね。
ユフィリア様たちが私を見た記憶がないのも当たり前だったわけです。まぁ、基本気配を殺してたので、印象に残りづらくはあったのですが。
さすがに今回は『教養を身につけるべく学院に通っている』という姿を見せる必要があるため、授業も受けることができます。
ふふふ………楽しみです……………………!
そんな私の雰囲気を察してか、ルティウス様が「可愛い……」と呟きながら頭を撫でてきたのには思わず固まりましたが。シルディオ様からは生暖かい眼差しを頂きましたが。
主?あの方は「ストランディスタで待ってるお前の姉たちにその姿見せてやりたいな」と言っていました。
閑話休題。
学院の廊下を先導してくれている先生(ルット・ハークス様という方です。伯爵家の次男だそうです)、私、主、ルティウス様、シルディオ様の4人で歩きながら教室を目指していました。ちなみにシャウドは校舎が違うため、すでに別行動です。
「中途半端な時期からの編入で大変でしょうが、あなた方の学力なら問題ないでしょう。一年だけということですが、頑張ってくださいね」
「はい。お気遣いありがとうございます、ハークス先生」
ハークス先生が励ましの言葉をかけてくれ、それに代表して主が答えていました。ハークス先生は真面目で気のいい方のようでほっとしました。
せめて主たちには快適な学生生活を送って欲しいですからね。
「そういえば今さらですが………あの自称ヒロインさん、名前なんでしょうか?」
「………本当に今更だな。放っておいても向こうからくるだろう。なにしろ“攻略対象”らしいしな、私たちは。まあ、来ても適当にあしらうがな」
「そうですね。そもそもあれと関わり合いになる気など端からないのです、気にしなくてもいいでしょう」
「いざとなれば、私の技能がありますので、ご安心を。皆様もそうでしょうが、私としてもあの娘に絆される気もありませんしね」
今の会話は私、主、ルティウス様、シルディオ様の順です。たしかに名前を知らなければ、いざというときそれを理由にかわせますからね。王族貴族への礼儀作法を彼女が知らないことはこの間の態度で明白ですしね。
教室に入ると、席に座っていた生徒たちからの視線が集中しました。まあ、大多数の方はルティウス様とシルディオ様を見ていますが。
主は中等部までこの学院にいましたし、何より王族ですから、顔も知らないという方はさすがにいませんからね。私のこともじろじろ見ているのはやはり、先月の騒動を知られているからでしょうね。あの自称ヒロインさん、本当にいらぬことをしてくれましたし。
自己紹介は難なく終わり、さっそく授業が始まりました。ルティウス様が王族だと分かると、色めき立つご令嬢がいました。「私の隣に座ってください」とアピールする方が続出し、ルティウス様、煩わしそうにされていました。私がとめようと前に出ようとしたその時でした。
「皆さん。ルティウス殿下方が迷惑そうにされていますわ。他国の王家の方に馴れ馴れしく取り入ろうなど、恥を知りなさい!」
一人のご令嬢が決然と言い放ちました。それを見た他のご令嬢たちは、顔を青褪めさせて、静かになりました。
「慣れない環境で苦労なさっておいででしょうに、気が利かず、誠に申し訳ございません。授業中の席は、編入なされた皆様方で固まったほうがよろしいかと存じます」
「お気遣い、感謝します。それで、貴女は……?」
「申し遅れました。私、エヴァンガルド侯爵家が長女、リリアーナと申します。殿下が護衛にとお連れになったウリギア伯爵子息、ソール様の婚約者でもあります」
先程の厳しい視線から一転、柔らかな雰囲気で挨拶をしてきたご令嬢。そういえば、ソール様はパルヴァンに婚約者がおいででしたね。この方がそうだったようです。
緩やかにウェーブのかかった栗色の髪と、きりっとした薄紫色の瞳が特徴的な方です。
……………もしかしてこの方が、ソール様ルートの『ライバル令嬢』でしょうか。
あの自称ヒロインさん、お二人の仲を引っ掻き回さないといいのですが。
シンフォニウム魔法学院にいた頃は、主の護衛と例の乙女ゲーム関連で動いていたため、学院に席をおいていただけだったんですよね。
ユフィリア様たちが私を見た記憶がないのも当たり前だったわけです。まぁ、基本気配を殺してたので、印象に残りづらくはあったのですが。
さすがに今回は『教養を身につけるべく学院に通っている』という姿を見せる必要があるため、授業も受けることができます。
ふふふ………楽しみです……………………!
そんな私の雰囲気を察してか、ルティウス様が「可愛い……」と呟きながら頭を撫でてきたのには思わず固まりましたが。シルディオ様からは生暖かい眼差しを頂きましたが。
主?あの方は「ストランディスタで待ってるお前の姉たちにその姿見せてやりたいな」と言っていました。
閑話休題。
学院の廊下を先導してくれている先生(ルット・ハークス様という方です。伯爵家の次男だそうです)、私、主、ルティウス様、シルディオ様の4人で歩きながら教室を目指していました。ちなみにシャウドは校舎が違うため、すでに別行動です。
「中途半端な時期からの編入で大変でしょうが、あなた方の学力なら問題ないでしょう。一年だけということですが、頑張ってくださいね」
「はい。お気遣いありがとうございます、ハークス先生」
ハークス先生が励ましの言葉をかけてくれ、それに代表して主が答えていました。ハークス先生は真面目で気のいい方のようでほっとしました。
せめて主たちには快適な学生生活を送って欲しいですからね。
「そういえば今さらですが………あの自称ヒロインさん、名前なんでしょうか?」
「………本当に今更だな。放っておいても向こうからくるだろう。なにしろ“攻略対象”らしいしな、私たちは。まあ、来ても適当にあしらうがな」
「そうですね。そもそもあれと関わり合いになる気など端からないのです、気にしなくてもいいでしょう」
「いざとなれば、私の技能がありますので、ご安心を。皆様もそうでしょうが、私としてもあの娘に絆される気もありませんしね」
今の会話は私、主、ルティウス様、シルディオ様の順です。たしかに名前を知らなければ、いざというときそれを理由にかわせますからね。王族貴族への礼儀作法を彼女が知らないことはこの間の態度で明白ですしね。
教室に入ると、席に座っていた生徒たちからの視線が集中しました。まあ、大多数の方はルティウス様とシルディオ様を見ていますが。
主は中等部までこの学院にいましたし、何より王族ですから、顔も知らないという方はさすがにいませんからね。私のこともじろじろ見ているのはやはり、先月の騒動を知られているからでしょうね。あの自称ヒロインさん、本当にいらぬことをしてくれましたし。
自己紹介は難なく終わり、さっそく授業が始まりました。ルティウス様が王族だと分かると、色めき立つご令嬢がいました。「私の隣に座ってください」とアピールする方が続出し、ルティウス様、煩わしそうにされていました。私がとめようと前に出ようとしたその時でした。
「皆さん。ルティウス殿下方が迷惑そうにされていますわ。他国の王家の方に馴れ馴れしく取り入ろうなど、恥を知りなさい!」
一人のご令嬢が決然と言い放ちました。それを見た他のご令嬢たちは、顔を青褪めさせて、静かになりました。
「慣れない環境で苦労なさっておいででしょうに、気が利かず、誠に申し訳ございません。授業中の席は、編入なされた皆様方で固まったほうがよろしいかと存じます」
「お気遣い、感謝します。それで、貴女は……?」
「申し遅れました。私、エヴァンガルド侯爵家が長女、リリアーナと申します。殿下が護衛にとお連れになったウリギア伯爵子息、ソール様の婚約者でもあります」
先程の厳しい視線から一転、柔らかな雰囲気で挨拶をしてきたご令嬢。そういえば、ソール様はパルヴァンに婚約者がおいででしたね。この方がそうだったようです。
緩やかにウェーブのかかった栗色の髪と、きりっとした薄紫色の瞳が特徴的な方です。
……………もしかしてこの方が、ソール様ルートの『ライバル令嬢』でしょうか。
あの自称ヒロインさん、お二人の仲を引っ掻き回さないといいのですが。
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