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第一章 メルトヴァル学院での日々
学院に編入することになりました
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「はぁ~………」
「シャウド。気持ちはわかりますが……溜め息吐くのはやめてください。私までやる気が萎えます」
「だって………何が楽しくて今さら編入試験なんて受けなきゃならないのさ。オレまで」
「それは僕も同感ですよ、シャウド。あの自称ヒロインがよもやあんな手を使ってくるとはね。あちらの思惑にのせられるのは不本意ですが……『先代聖獣の遺児たる方にろくな教育をせずに護衛騎士をさせるなどあり得ない』などと騒がれてしまえば、『契約者であるクルシェットが学院に通うことになっているからだと反論せざるを得なかった』とレシェウス殿下も苦々しく言っていましたしね」
「そうなれば、オレも学院の生徒でなければ連中はこぞってそこを突いてくる。どちらにせよ、一年限りだ。なんとか乗り切るしかないだろう」
続編のことをシャウドから聞いて一週間ほど経った頃。レシェウス様の予想通りというか、教会から抗議文が届いたそうです。嬉しくないことに。
文面は仰々しく書かれてはいましたが、レシェウス様が要約したところによると、ルティウス様が先程言ったような内容が書かれていたとか。
当たり前のごとく、聖獣(私)を教会へ返還せよなんて要求もしてきたのには開いた口がふさがらなかった、ともレシェウス様は仰ってましたね。
私、レシェウス様や主と同じ教育を受けているんですが。たんなる護衛扱いではないですよ?そして言わせてもらうなら、元より先代聖獣にしろ、私にしろ教会に属していた覚えもないので、教会のもののように言われるのは不愉快ではあります。
教会の方々が私が冷遇されている、そう思い込んだ最たる原因は周囲の貴族の私への態度でしょうけどね。そんな彼らも私の素性がわかると掌を返したようにへりくだってくるのですから、なんとも現金な人たちだなと思いましたけどね。
話を戻すのですが、あのあと彼女──自分を“聖なる乙女”と言った彼女です──は、どうやら教会のお偉い方に何か吹き込んだようです。それが今話したくだりになりますね。
一応、レシェウス様も国王陛下もしっかりと反論はしたそうですが、私が学院に通ったことがないのは事実ではあったので、『冷遇していないという証拠にはならない』と食い下がられたようです。
そこで急遽、学院の編入試験を受け、一年という短い間ながらも、学院に通うこととなったわけです。攻略対象とされているシャウドやシルディオ様までも。(さすがにレシェウス様は受けませんでしたが)そうなると、シルディオ様を護衛騎士としてパルヴァンに来ているルティウス様も受けないわけにはいかず。彼を一人きりにするわけにはいきませんからね。
試験内容に関してはみんな優秀だったので、特に問題はありませんでした。偏るのもよくはないし、彼女の動向を全く掴めないのも不味いとと思ったので、シャウドはあの自称ヒロインさんと同じ一年生の試験を受けました。ちなみにソール様は最初から二年生として編入試験を受けていたので、そのままに。
余談ですが………何故彼が二年生で試験を受けたかというと、ソール様は諜報員が本業なため、あの頃はほとんど学院に通えていなかったそうです。そのため、ついでとばかりに留学先で必修科目を取ろう、となったみたいです。
私、ルティウス様、シルディオ様はシュドヘル様と同じ三年です。今世では一度も学校というものに通ったことが無かったので、一年からでもよかったのですが、『あの自称ヒロインと同じは駄目だ』と私以外の全員一致で却下されました。
少し残念ですが、彼女との接触はできるだけ避けるべきなので、我慢します………ええ、ほんの少ししか残念に思ってませんとも。
「シャウド。気持ちはわかりますが……溜め息吐くのはやめてください。私までやる気が萎えます」
「だって………何が楽しくて今さら編入試験なんて受けなきゃならないのさ。オレまで」
「それは僕も同感ですよ、シャウド。あの自称ヒロインがよもやあんな手を使ってくるとはね。あちらの思惑にのせられるのは不本意ですが……『先代聖獣の遺児たる方にろくな教育をせずに護衛騎士をさせるなどあり得ない』などと騒がれてしまえば、『契約者であるクルシェットが学院に通うことになっているからだと反論せざるを得なかった』とレシェウス殿下も苦々しく言っていましたしね」
「そうなれば、オレも学院の生徒でなければ連中はこぞってそこを突いてくる。どちらにせよ、一年限りだ。なんとか乗り切るしかないだろう」
続編のことをシャウドから聞いて一週間ほど経った頃。レシェウス様の予想通りというか、教会から抗議文が届いたそうです。嬉しくないことに。
文面は仰々しく書かれてはいましたが、レシェウス様が要約したところによると、ルティウス様が先程言ったような内容が書かれていたとか。
当たり前のごとく、聖獣(私)を教会へ返還せよなんて要求もしてきたのには開いた口がふさがらなかった、ともレシェウス様は仰ってましたね。
私、レシェウス様や主と同じ教育を受けているんですが。たんなる護衛扱いではないですよ?そして言わせてもらうなら、元より先代聖獣にしろ、私にしろ教会に属していた覚えもないので、教会のもののように言われるのは不愉快ではあります。
教会の方々が私が冷遇されている、そう思い込んだ最たる原因は周囲の貴族の私への態度でしょうけどね。そんな彼らも私の素性がわかると掌を返したようにへりくだってくるのですから、なんとも現金な人たちだなと思いましたけどね。
話を戻すのですが、あのあと彼女──自分を“聖なる乙女”と言った彼女です──は、どうやら教会のお偉い方に何か吹き込んだようです。それが今話したくだりになりますね。
一応、レシェウス様も国王陛下もしっかりと反論はしたそうですが、私が学院に通ったことがないのは事実ではあったので、『冷遇していないという証拠にはならない』と食い下がられたようです。
そこで急遽、学院の編入試験を受け、一年という短い間ながらも、学院に通うこととなったわけです。攻略対象とされているシャウドやシルディオ様までも。(さすがにレシェウス様は受けませんでしたが)そうなると、シルディオ様を護衛騎士としてパルヴァンに来ているルティウス様も受けないわけにはいかず。彼を一人きりにするわけにはいきませんからね。
試験内容に関してはみんな優秀だったので、特に問題はありませんでした。偏るのもよくはないし、彼女の動向を全く掴めないのも不味いとと思ったので、シャウドはあの自称ヒロインさんと同じ一年生の試験を受けました。ちなみにソール様は最初から二年生として編入試験を受けていたので、そのままに。
余談ですが………何故彼が二年生で試験を受けたかというと、ソール様は諜報員が本業なため、あの頃はほとんど学院に通えていなかったそうです。そのため、ついでとばかりに留学先で必修科目を取ろう、となったみたいです。
私、ルティウス様、シルディオ様はシュドヘル様と同じ三年です。今世では一度も学校というものに通ったことが無かったので、一年からでもよかったのですが、『あの自称ヒロインと同じは駄目だ』と私以外の全員一致で却下されました。
少し残念ですが、彼女との接触はできるだけ避けるべきなので、我慢します………ええ、ほんの少ししか残念に思ってませんとも。
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