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大切な人がいなくなってしまうなんて想像しただけで無理
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「なんなのかしら……本当になんなのかしら? 1月ぶりに会ったというのに、そこまでガッカリされるなんて、なんだかとっても腹立たしいわ」
多分今、陛下の眉間には皺が寄っている。
俺に背を向けて、椅子に座ってらっしゃるから、実際に目で見て確かめる事は出来ないけれど。
その声色とお言葉から、陛下が中々に怒ってらっしゃる事は、容易に推察できた。
「いえあの、ガッカリだなんて! 陛下との再会はこの上ない喜びです! けれどその……期待していたもので。陛下は素顔もお美しくていらっしゃるのに、即位されてからは、なかなかすっぴんを拝見する機会がありませんから」
まだ毛先が濡れている金髪を丁寧に編み込みながら、必死に弁解する。
「今までは一人だったから……素顔で、髪もぐちゃぐちゃのまま、おでこがテカテカになるまで本を読んでいたけれど……人と会うならそういうわけにはいかないでしょう?」
「陛下は素顔もお美しくていらっしゃいますし、問題ありませんよ? それに……すっぴんは時として、どんなフルメイクよりも魅惑的なものです。男は女性のスキに弱いですから! ガッチガチに装備した外用の姿よりも、気の抜けたすっぴんが放つ色気たるや!」
俺なりに女性の素顔が持つ魅力を熱弁してみたが……呆れたようにため息を吐く陛下を見るに、理解して頂く事は出来なかったようで。
「あなたの嗜好はさておき……素顔が美しかろうが、そうではなかろうが、立場のある者がノーメイクでは、相手の方に失礼にあたるでしょう。だから、普段程度にはお化粧しておいたんです。髪の毛はあなたにお願いしようと思っていたし」
「お任せ頂き光栄です。陛下の御髪を整えるのは子供の時以来ですが、ご期待に沿えるよう頑張ります。
両サイドの髪を編み込んで、後頭部で1つにまとめ…ねじって巻き付けて、シニョンを作る。という感じでよろしいですか? 湯あみ後はお暑いでしょうし、ハーフアップよりは涼しいのではないかと思います」
そうお伺いを立てた俺に、ふふ、と声を漏らす陛下。
「お任せするわ。本当、器用なものね。あなた程上手に女性の髪を結える成人男性は、他にいないんじゃないかしら」
「お姫様ごっこに、メイドごっこに、海賊ごっこ……あなたに少しでも楽しんで頂きたくて、それらにふさわしいヘアアレンジの練習をしましたからね。実家にあった人形を使って。父は驚いていましたが……あっ……あの、昔の事を思い出していたら、父の気になる発言も一緒に蘇って来まして……今、お話ししても?」
「おじ様の? 勿論! 聞かせてちょうだい」
俺は、微笑ましい思い出に付属して脳裏に浮かんだ父の発言を、陛下にご説明した。
「そう……おじ様はそんな事を……。確かに、あなたが先日手紙に書いてくれた、ソレリや伯爵の話と無関係とは思えないわね」
俺の話を聞き終えた所で、指先を唇にあてるような仕草をされる陛下。
ああきっと今、真剣な表情を浮かべて、思索にふけていらっしゃるのだろうな。背後からでは、その凛々しい美しさを拝む事は出来ないけれど。
「ええ。私は自分の爵位云々の事は、クイーンズ・ソルジャーの活動が軌道に乗ってから……と考えていたのですが……両者は別の課題と考えるべきではないのかもしれません。
伯爵の、紅薔薇の受領者を調べ、父の遺言を果たせと……それが陛下をお救いする事になるという言葉を信じるならば……ソルジャーの事と、遺言の事と……同時進行で動いた方が、良いのかも……」
毛束を取る手を止めた俺の方を、陛下は心配そうな顔で振り返った。
「大丈夫? 啓示を代作するという事だけでも、プレッシャーでしょうに……紅薔薇の秘密やら、後継者やら……つかみどころのない謎の調査まで……心身ともに、相当な負担なのでは?」
「陛下と正式に交際をするというヨダレものの目標が、底知れぬ活力となっていますので、ご心配には及びませんが……紅薔薇云々については、どう調べを進めたものかと頭を抱えているのは事実です。伯爵に言われてから、さっそくこれまでの受領者を調べたのですが……残念ながら、ご存命の方はいらっしゃらず、話を聞く事も出来なくて」
「歴代の受領者はきっと皆、高齢だったのでしょうしね。私が即位してからは、紅薔薇の勲章は一度も授与した事が無いもの。最高位の勲章だし、軽はずみに与えるのも良くないと身構えてしまって……。家臣達によると、紅薔薇の勲章だけは女王の一存で決めていたらしいのだけれど……その授与基準を聞く前に、母は亡くなってしまったから……」
長い金髪を編み終えた所で、悲しみを孕んだ沈黙が訪れた。
5年前――母君を突然失い、女王として国を背負う準備も不十分なままに、即位せざるを得なかったローラ様。
そのご苦労を改めて想うと、胸が締め付けられるように痛む。
「……私の父もそうですが……人間、いつ死ぬかわかりませんし……大切な人に大切な事を伝える術は、あらかじめ用意しておくべきなのかもしれませんね」
「遺言書、という事? レオなら何を書く?」
暗くなってしまった空気を変えようとなさったのだろうか。三つ編みをねじりあげようとする俺に、悪戯っぽい笑顔を向けて下さるローラ様。
「そうですね……俺は一介の騎士ですから、特に業務的な伝達事項はありません。母と実家の使用人と、友人に今までの感謝を伝えたいのと……何より、一番遺したいのは、あなたへのラブレターですね。あなたがどれ程素晴らしいお方か。そんなあなたを、私がどれほど愛していたかという……」
「なんだか、ねっとりとした文章になりそうね。読み終わった後、恐怖を感じる程の」
「それで良いのです。怖い程にあなたを大切に想っていた男がいたという事を、覚えておいて下さい。そうすれば……あなたは私の為に、ご自分を大切なさるでしょう? 陛下は律儀でいらっしゃるから、たとえ故人であっても、その人間の遺志を尊重しようとなさる筈です。私の一番の願いは……あなたが健やかで、幸せでおられる事ですから」
「……そうなるともはや……遺言というよりも、呪いのようなものね。死んで尚、影響をもたらすなんて……やっぱり怖い人」
少しの間を置いてから、そう笑った陛下が、なんだか照れていらっしゃるように感じて。俺も思わずにやけてしまう。
「ローラ様は何を書き遺しますか? 女王としての引継ぎ事項は山程あって、大変そうですね」
「そうね。でも、プライベートで手紙を書くとしたら……私もやっぱりあなたに遺すわ。次の恋人には、貧乳だとか相手が傷付く事を言わず、行き過ぎたストーキングも、淫乱な言動も慎むようにと」
「はは。耳が痛いです。そうなるともはや、遺言書というより警告文ですね」
「ふふ……次のお相手とうまくやっていく為には、必要な事よ。私だって、あなたには幸せになってほしいもの。……でも……それが一番の望みかと聞かれると、そうではないけれど」
「陛下の一番の望みとは何です? 私に出来る事でしたら、なんなりとお申し付け下さい」
首を後ろにそらし、意地悪な笑顔で俺を見上げていた陛下の表情が、少し、柔らかになった。
「本当は……私が死んだ後もずっと……私だけを愛していて欲しい……」
予想もしていなかった、愛する人の『遺言』に、言葉を失う。
「って……最後の一行に書き足すと思うわ。ふふ……私も相当、怖い女よね。そういう意味では私達、よくお似合いなのかも――」
綺麗なお団子にまとまりつつあった金の三つ編みはほどけ、後頭部から肩を経て、陛下の胸元に流れた。
俺が御髪を手放してしまったから。
代わりに、後ろから陛下を、抱きしめてしまったから。
「そんな事……わざわざ書いて頂かなくても。俺は絶対に、あなた以外の人を……愛する事なんて出来ませんから」
小さなお顔のすぐ下で、力強く交差された俺の腕に、そっと手を重ねるローラ様。
「……“俺”って……言ってくれた」
髪のセットはやり直しになってしまったが……そんな事は一切構わなかった。
俺も。きっと、腕の中の愛する人も。
多分今、陛下の眉間には皺が寄っている。
俺に背を向けて、椅子に座ってらっしゃるから、実際に目で見て確かめる事は出来ないけれど。
その声色とお言葉から、陛下が中々に怒ってらっしゃる事は、容易に推察できた。
「いえあの、ガッカリだなんて! 陛下との再会はこの上ない喜びです! けれどその……期待していたもので。陛下は素顔もお美しくていらっしゃるのに、即位されてからは、なかなかすっぴんを拝見する機会がありませんから」
まだ毛先が濡れている金髪を丁寧に編み込みながら、必死に弁解する。
「今までは一人だったから……素顔で、髪もぐちゃぐちゃのまま、おでこがテカテカになるまで本を読んでいたけれど……人と会うならそういうわけにはいかないでしょう?」
「陛下は素顔もお美しくていらっしゃいますし、問題ありませんよ? それに……すっぴんは時として、どんなフルメイクよりも魅惑的なものです。男は女性のスキに弱いですから! ガッチガチに装備した外用の姿よりも、気の抜けたすっぴんが放つ色気たるや!」
俺なりに女性の素顔が持つ魅力を熱弁してみたが……呆れたようにため息を吐く陛下を見るに、理解して頂く事は出来なかったようで。
「あなたの嗜好はさておき……素顔が美しかろうが、そうではなかろうが、立場のある者がノーメイクでは、相手の方に失礼にあたるでしょう。だから、普段程度にはお化粧しておいたんです。髪の毛はあなたにお願いしようと思っていたし」
「お任せ頂き光栄です。陛下の御髪を整えるのは子供の時以来ですが、ご期待に沿えるよう頑張ります。
両サイドの髪を編み込んで、後頭部で1つにまとめ…ねじって巻き付けて、シニョンを作る。という感じでよろしいですか? 湯あみ後はお暑いでしょうし、ハーフアップよりは涼しいのではないかと思います」
そうお伺いを立てた俺に、ふふ、と声を漏らす陛下。
「お任せするわ。本当、器用なものね。あなた程上手に女性の髪を結える成人男性は、他にいないんじゃないかしら」
「お姫様ごっこに、メイドごっこに、海賊ごっこ……あなたに少しでも楽しんで頂きたくて、それらにふさわしいヘアアレンジの練習をしましたからね。実家にあった人形を使って。父は驚いていましたが……あっ……あの、昔の事を思い出していたら、父の気になる発言も一緒に蘇って来まして……今、お話ししても?」
「おじ様の? 勿論! 聞かせてちょうだい」
俺は、微笑ましい思い出に付属して脳裏に浮かんだ父の発言を、陛下にご説明した。
「そう……おじ様はそんな事を……。確かに、あなたが先日手紙に書いてくれた、ソレリや伯爵の話と無関係とは思えないわね」
俺の話を聞き終えた所で、指先を唇にあてるような仕草をされる陛下。
ああきっと今、真剣な表情を浮かべて、思索にふけていらっしゃるのだろうな。背後からでは、その凛々しい美しさを拝む事は出来ないけれど。
「ええ。私は自分の爵位云々の事は、クイーンズ・ソルジャーの活動が軌道に乗ってから……と考えていたのですが……両者は別の課題と考えるべきではないのかもしれません。
伯爵の、紅薔薇の受領者を調べ、父の遺言を果たせと……それが陛下をお救いする事になるという言葉を信じるならば……ソルジャーの事と、遺言の事と……同時進行で動いた方が、良いのかも……」
毛束を取る手を止めた俺の方を、陛下は心配そうな顔で振り返った。
「大丈夫? 啓示を代作するという事だけでも、プレッシャーでしょうに……紅薔薇の秘密やら、後継者やら……つかみどころのない謎の調査まで……心身ともに、相当な負担なのでは?」
「陛下と正式に交際をするというヨダレものの目標が、底知れぬ活力となっていますので、ご心配には及びませんが……紅薔薇云々については、どう調べを進めたものかと頭を抱えているのは事実です。伯爵に言われてから、さっそくこれまでの受領者を調べたのですが……残念ながら、ご存命の方はいらっしゃらず、話を聞く事も出来なくて」
「歴代の受領者はきっと皆、高齢だったのでしょうしね。私が即位してからは、紅薔薇の勲章は一度も授与した事が無いもの。最高位の勲章だし、軽はずみに与えるのも良くないと身構えてしまって……。家臣達によると、紅薔薇の勲章だけは女王の一存で決めていたらしいのだけれど……その授与基準を聞く前に、母は亡くなってしまったから……」
長い金髪を編み終えた所で、悲しみを孕んだ沈黙が訪れた。
5年前――母君を突然失い、女王として国を背負う準備も不十分なままに、即位せざるを得なかったローラ様。
そのご苦労を改めて想うと、胸が締め付けられるように痛む。
「……私の父もそうですが……人間、いつ死ぬかわかりませんし……大切な人に大切な事を伝える術は、あらかじめ用意しておくべきなのかもしれませんね」
「遺言書、という事? レオなら何を書く?」
暗くなってしまった空気を変えようとなさったのだろうか。三つ編みをねじりあげようとする俺に、悪戯っぽい笑顔を向けて下さるローラ様。
「そうですね……俺は一介の騎士ですから、特に業務的な伝達事項はありません。母と実家の使用人と、友人に今までの感謝を伝えたいのと……何より、一番遺したいのは、あなたへのラブレターですね。あなたがどれ程素晴らしいお方か。そんなあなたを、私がどれほど愛していたかという……」
「なんだか、ねっとりとした文章になりそうね。読み終わった後、恐怖を感じる程の」
「それで良いのです。怖い程にあなたを大切に想っていた男がいたという事を、覚えておいて下さい。そうすれば……あなたは私の為に、ご自分を大切なさるでしょう? 陛下は律儀でいらっしゃるから、たとえ故人であっても、その人間の遺志を尊重しようとなさる筈です。私の一番の願いは……あなたが健やかで、幸せでおられる事ですから」
「……そうなるともはや……遺言というよりも、呪いのようなものね。死んで尚、影響をもたらすなんて……やっぱり怖い人」
少しの間を置いてから、そう笑った陛下が、なんだか照れていらっしゃるように感じて。俺も思わずにやけてしまう。
「ローラ様は何を書き遺しますか? 女王としての引継ぎ事項は山程あって、大変そうですね」
「そうね。でも、プライベートで手紙を書くとしたら……私もやっぱりあなたに遺すわ。次の恋人には、貧乳だとか相手が傷付く事を言わず、行き過ぎたストーキングも、淫乱な言動も慎むようにと」
「はは。耳が痛いです。そうなるともはや、遺言書というより警告文ですね」
「ふふ……次のお相手とうまくやっていく為には、必要な事よ。私だって、あなたには幸せになってほしいもの。……でも……それが一番の望みかと聞かれると、そうではないけれど」
「陛下の一番の望みとは何です? 私に出来る事でしたら、なんなりとお申し付け下さい」
首を後ろにそらし、意地悪な笑顔で俺を見上げていた陛下の表情が、少し、柔らかになった。
「本当は……私が死んだ後もずっと……私だけを愛していて欲しい……」
予想もしていなかった、愛する人の『遺言』に、言葉を失う。
「って……最後の一行に書き足すと思うわ。ふふ……私も相当、怖い女よね。そういう意味では私達、よくお似合いなのかも――」
綺麗なお団子にまとまりつつあった金の三つ編みはほどけ、後頭部から肩を経て、陛下の胸元に流れた。
俺が御髪を手放してしまったから。
代わりに、後ろから陛下を、抱きしめてしまったから。
「そんな事……わざわざ書いて頂かなくても。俺は絶対に、あなた以外の人を……愛する事なんて出来ませんから」
小さなお顔のすぐ下で、力強く交差された俺の腕に、そっと手を重ねるローラ様。
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