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第192話 バロン達の苦悩 前編

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翌朝、イールス達は迷宮に向かい、バロン達と合流後、3層域まで順調に進む
「3層域はまだ誰も来てないのですね」
イールスが周囲を見て言う
「誰も無理はしないでしょう」
バロンが即答している
「基礎鍛練させたら、40人の兵士達も連れてきます」
イールスが笑顔で言う
「一気は無理だな…半分ずつにしないと面倒だぞ! ボスも人が多いと予想外の数が出てくる事が有るからな…半分でも大変な事になるぞ」
バロンが笑顔で昔聞いた内容を話している

「え! 本当ですか? シルバーウルフが複数現れるのは!! 楽しみだな」
イールスが満面の笑顔でバロンを見ている
「御兄様、楽しみにしておきます」
リシリアも笑顔で言う
「カルス様任せて下さい!! 1匹倒して見せます」
クレオが笑顔で言うとリシアが頷いている
「感化され過ぎたか…5層域まで行っているのだから、仕方無いか…兵士達は大丈夫なのか? 自信喪失しないか?」
バロンが心配そうにしている
「大丈夫です。昨日ボコボコにしてあります。 今日の鍛練の内容も伝えたので、こなしていれば大丈夫です。こなさなかったら、一騎討ちでボコボコにします…時間も無いのでカルス流を極めさせます」
護衛が笑顔で説明していると、バロンが頭を押さえている
(護衛の頭がおかしくなったか? 本当に兵士の頭は大丈夫か? 不安しか無いぞ…)

ゴブリンを殲滅しながら進み、大きな扉の付近まで到着すると、急にゴブリンの集団が接近してくる
「魔力の源よ、爆炎となりて、我が敵を吹き飛ばせ!ファイヤーボール」
リシリアがゴブリンの集団の方に魔法を放つと、大きな炎の玉が大爆発してゴブリンが吹き飛んでいる
「負けていられない!!」
イールスが笑顔でゴブリンを見ている
「魔力の源よ、爆炎となりて、我が敵を吹き飛ばせ!ファイヤーボール」
イールスが魔法を放ち、ゴブリンを吹き飛ばしている

リシリアとイールスが次々とゴブリンを吹き飛ばしていると、土煙の中から大きなゴブリンの影が現れると、イールスが剣を持って走り出して回り込もうとしている。リシリアは容赦無く次々と魔法を放ち続けている

イールス目掛けてゴブリンエンペラーが突進していくと、イールスはエンペラーの腕をかわしながら剣を振っている

イールスが飛び退き距離を取ると、エンペラーが突進しようと構えるが、リシリアが放った炎の玉がエンペラーの顔に当たり、エンペラーがよろめき、イールスから目を放すと、イールスは一気に接近して、剣を振り片足の指を斬り飛ばしている
「グォーーーー」
エンペラーが怒りを込めた奇声を上げ、イールスの方を見ようとするが、イールスを見付けられず、キョロキョロしている
「魔力の源よ、爆炎となりて、我が敵を吹き飛ばせ!ファイヤーボール」
イールスは走りながら炎の玉を作り上げて放ち、炎の玉がエンペラーの後頭部に当たり、爆発の勢いでエンペラーが前に倒れると、イールスはすぐに闘気をまとい、起き上がろうとするエンペラーの頭を両断すると、黒い霧になりながら消えていく

イールスがドロップアイテムを拾っていると、バロン達が集まってくる
「リシア、魔法の鞄持っていてね」
イールスが笑顔で魔法の鞄を差し出している
「え! 魔法の鞄! 狙われます!!」
リシアが慌てて叫ぶ
「大丈夫! クレオが守ってくれるよ」
「こんな高価な物、絶対に必要ないです」
「リシリアも持っているし…バロンも持っているから、クレオかリシアの分だよ」
イールスが笑顔で言うと、バロンが不憫そうに見ている
(断っても無駄だろう…簡単に渡す物では無いと教えられないのだから…そもそも何個も持っている方がおかしいだろ? リシア同情するぞ…)

リシアが青ざめながら受け取り、クレオと相談をしている
「あ!! 帰ったらこの前の買取価格決まったから、山分けね」
イールスが笑顔で言うと、バロンが頭を押さえている
「カルスさん山分けは無しで!!」
クレオが慌てて言う
「え! 生活する為に必要だよね?」
「部屋を用意してくれたので、2層域までの魔石で十分です」
クレオが慌てて叫ぶ
「カルス様、クレオとリシアが必要になるまで、預かって貰えますか? それに出征の資金も必要では?」
 バロンが笑顔で言う
「え! 資金は大丈夫です。 昨日金貨800枚受け取りましたので…後どのぐらい必要かな?」
イールスが笑顔で言うと、リシリアが笑顔で説明している

「金貨4000枚の山分け…約束ではクレオとリシアの取り分は魔石のみです…どのぐらいですか?」
バロンが慌てて言う
「金貨2000枚で良いよね? これぐらいかな?」
イールスが魔法の鞄から袋を2つ出してリシアとクレオに差し出している
「えーーーーーーー!! そんな大金いりません」
クレオが慌てて叫ぶ
「リシア魔法の鞄にしまっておいてね」
イールスが笑顔で言うと、リシアが恐る恐る鞄を見ている
(ムリムリムリムリ…そんな大金絶対に無理です!! どう断ったら…バロンさん助けてーーーー)

リシアが泣きそうになりながら魔法の鞄に金貨の袋を入れると、クレオと深刻そうに話している
「バロンも持っていてね」
イールスが笑顔で袋を差し出している
「はぁ…断れないのか…預かりますが…出征の際に使わせて貰います」
バロンが諦めた様に受け取っている

休憩を終わらせると、大きな扉の方に歩いていく
「御兄様、新しい剣使わないのですか?」
リシリアがイールスの剣を見て言う
「あ! 忘れていたね」
イールスが笑顔で言うと、魔法の鞄から剣を取り出して装備している
「カルスさん凄い魔剣ですか?」
クレオが驚いたように見ている
「ちょっとね…古代の方法を試したら、聖剣に近い剣になっちゃったよ」
イールスが笑顔で言う
「え? 聖剣!! 御伽噺に出てくる聖剣ですか!!」
クレオが叫び、リシアも目を見開いている
「事実は解らないけど、使ってみないとね」
イールスが笑顔で言うと、バロンが苦笑いしている
(今度は聖剣か…イールス様、何かとんでもない事をしたのですか…聞かなかった事にしよう…理解なんか出来ないのだから…何も聞かなかったぞ…何も聞いてないぞ…)
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