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第143話 サメーリア

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2日後、イールスは護衛と共に酒場に向かい、情報屋を見付けると近付いていき、情報屋もイールスを見て少し嫌そうな顔をしてから、情報屋の案内で2階の個室に向かう
「今回も貴様が出てくるか…面倒だから、最初から全部出すぞ! 好きな情報か確認しろ」
情報屋が諦めた様に紙の束や本を出して、テーブルに並べている

イールスが何個か確認しながら、情報屋に聞いている
「ギゼルナム商会も裏が多そうですね…子爵家などと仲良しですか…ラゼムリスガウン商会の情報は…まだ集められてませんか?それにしても丁寧にまとめられてますね」
イールスが色々見ながら聞く
「ちっ! 本当にこの野郎は…抜け目が無いな…あの商会は調査中だ! 次までに集めておく」
情報屋が睨みながら言う
「協力的ですね…何か恨みでも?」
「潰せるなら潰せ!! 俺では何も出来なかったからな……あの部屋は見たくない」
情報屋が言うと、うつ向きながら考えている

イールスは情報屋の姿を一瞬見ている
あの表情相当な恨みでも有るのか? それなら…恨みを持つ者他にも集めるかな? あの性癖の噂なら仕返しは……

「あの商会に恨みを持つ貴族も調べて欲しい」
イールスが紙を見ながら言う
「恨みを持つ者なら多いぞ…何故だ?」
情報屋が驚いたようにイールスを見る
「あの性癖なら、恨まれていそうですから…仕返しは…ふふふ」
イールスが笑みを浮かべている。情報屋はイールスの笑みを見ている
(この不気味さ…何を企んでいる? 恨みを持つ者なら、ここにいるのだが…何故貴族を調べるのか?)
「調べて連絡はするが…何をするつもりだ?」
「内緒です。使えるなら使いますから…ただ捕まえて処刑しても、怒りが収まらない人達の為です…やるなら徹底的に潰さないと…」

イールスがその後も書類を読んで、追加の資料を頼んで硬貨を袋を出して情報屋に手渡している
「ん? 多いぞ?」
情報屋が袋を持つと重さを確認して呟く
「多分追加の物も、このぐらいの証拠でしょ…先払いさせて貰う…良い物ならそれ相応に追加も支払う」
イールスが笑顔で言う
「情報が集まったら、渡すが…あの商会も潰すのか?」
「潰せないでしょ…仕返しはしっかりしますけど…偽騎士の事まで調べてくれて満足しましたよ」
イールスが笑みを浮かべて言う
「お前が何者かは解ったが…お前とやり合う事はしないと約束しておくぞ… こっちも命は惜しいからな…」
情報屋が諦めた様に言い部屋を出ていく。イールスは商会で商会代表に会ってから屋敷に帰っていく

イールスが屋敷に戻り、リビングに行くと、メデルとメサリアとアーメリアとセーレンが話をしている
「ただいま戻りました。遅くなり申し訳ありません。メデル様、来訪歓迎申し上げます」
イールスがメサリア達に丁寧に挨拶をしている
「イールス、このローブを届けに来ました…届けたく無かったのですが…」
メデルが箱を見て言う
「2日前に出来上がっていて、持ってきてくれないのですから…イールスがまたポーション作りに来る方が良いのかと聞いたら慌てて持ってくる、メデルちゃんですから」
セーレンが笑いながら言う
「恐ろしい想像ばかり浮かぶからです!! これが必要なのは解りますが…怖いのも事実です!! セーレンも家庭教師なら監視してください」
メデルが慌てて言うと、メサリアとアーメリアが笑っている
「リシリアのローブですか? 拝見しても良いですか?」
イールスが嬉しそうに箱を見ていると、メデルが箱を開けて、イールスが手に取り確認している

中々丈夫そうな生地だな…魔導具化うまく息ますように…古代の魔導書解読も進めないと…

イールスがローブをじっくり見ていると、扉が開き侍女が入ってくる。メサリアとアーメリアが微笑みながら頷いている
「イールス様、お久し振りです」
侍女が笑顔でイールスを見ている
「え? サメーリア!! 何故ここに!」
イールスが侍女を見て驚いて叫ぶ
「メサリア様により、呼び出されました。本日からイールス様付きの侍女に任命されました。後はリシリア様の監視も任されています。予算の勉強もすぐにしますのでよろしくお願いします」
サメーリアが満面の笑顔でイールスを見ている。セーレンとメデルがサメーリアを興味津々に見ている
「サメーリアが近くにいると、安心するよ」
イールスが笑顔でサメーリアを見ている
「イールスが喜んでいますのーーー」
メサリアが満面の笑顔でイールスを見ている
「メサリア様、驚きましたが、本当に嬉しく思います」
イールスが丁寧に頭を下げている。メデルとセーレンが顔を見合わせている
「イールスには相談できる侍女が必要でしたね…サメーリアさん、イールスの事は色々報告して下さいね…リシリアの事も頼みましたよ」
アーメリアが微笑みながら言う
「はい! アーメリア様、イールス様の不利益な事は隠します」
「アーメリアの依頼も断りましたのーーー流石イールス付きの侍女ですのーーー イールスと共に賊を撃退しただけは有りますのーーー アーメリアも文句を言えませんのーーー」
メサリアがアーメリアを見て笑っている。メデルとセーレンがサメーリアを見て苦笑いしている
(監視になりますか? 口が固いなら良いですが…アーメリア様にしっかり言い返しましたが…何か有るのですか? 聞きたいですが…余計なことをしたら…余計な事に巻き込まれそう…)

サメーリアと共に部屋に戻ると、リシリアが笑顔で出迎えてくれる
「イールス様、新しい専属侍女と聞いたのですが…」
リシリアがサメーリアを見て不安そうにしている
「領地の侍女だった、サメーリアです。 屋敷ではいつも味方をしてくれていました。 仲良くしてね」
イールスが笑顔で言う
「リシリア様の事も事情は伺いました。 イールス様に夜這いは許せないので、夜這いして貰えるように頑張りましょう」
サメーリアが笑顔で言うと、イールスが驚いたようにサメーリアを見ている
「え! 夜這い…」
リシリアが驚いてサメーリアを見ている
「イールス様は絶対に見捨てないので、仲良く帰りを待ちましょう」
サメーリアが笑顔でリシリアと話している

サメーリア、夜這いはしないけど…リシリアと仲良くしてくれれば、リシリアも寂しく無いだろう…仲良く話している間にローブの準備をした方が良いかな?
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