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第140話 ランクスルバウム男爵と襲撃 後編

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男爵が帰っていくと、学院長が疲れたようにイールスを見ている
「事情が掴めないが…理由を教えて貰えるか?」
学院長がイールスを見ている
「恥になるでしょう…令嬢様の将来を左右します」
イールスが考えながら言うと、エリーゼマリーナがイールスの横顔を見ている
「令嬢の恥に? 結婚の相手は聞けなかったが…」
「ギゼルナム商会長ですが…歳の差と性癖の噂も…支度金で結婚という奴隷として引き渡す行為です。それも姉妹セットで…」
イールスが苦笑いしている
「ギゼルナム商会…そう言うことか…借金でもしているのか? 当人達が逃げたなら、問題は男爵側か…借金で首が回らないのか? 匿うにしても家で匿えないだろうに」
「私は匿ってません!」
イールスが笑顔で言うと、学院長がイールスを見て笑みを浮かべる
(私はと強調したなら、匿っている場所は知っているのか…借金なら時間が掛かると男爵の命取りだな…ギゼルナム商会も調べておこう…強硬手段に出られても…イールス君相手に強硬手段は無理だろう)

イールスとエリーゼマリーナが部屋を出ていき、歩いている
「イールス様、色々やり過ぎです」
エリーゼマリーナがイールスの横顔を見ながら言う
「ちょっと、面倒な事になってますが…フィーネリーゼ様をこれ以上不幸にするなら、きっと天罰が下ります」
イールスが笑みを浮かべて言う
「イールス様からの罰ですか?」
「直接関係はしませんが…フィーネリーゼ様の後ろ楯が黙ってません」
イールスが笑みを浮かべながら呟く
「フィーネリーゼ様の後ろ楯が? 」
「今は話せませんが…1月もしないで、フィーネリーゼ様が借金問題も解決出来ると思います…内緒ですよ」
「イールス様が言われるなら、黙っています」
エリーゼマリーナが微笑みながら言う

イールスが王立学院を出て屋敷に向かっている
「小僧、面貸しな」
男が4人イールスを睨み、外套を捲り剣を柄を掴んでいる
「強盗ですか?」
イールスが驚いたように聞く
「怪我したくなければ、付いてこい」
男が睨みながら言う
「男爵様の手先ですか? このような場所で騒ぎを起こせば、大変な事になりますが…」
イールスが周囲を見て言うと、男が2人後ろから近付いて、取り囲む様にしている
「抵抗はさせて貰います」
イールスが警戒しながら言うと、男達が顔を見合せて笑い始める
「抵抗してみろ! 瞬殺してやろう」
男が笑いながら言うと、イールスが闘気を纏い、正面の男目掛けて接近して顔目掛けて、膝蹴りを入れて、男が後ろ向きに倒れる。両脇の男達が驚いたようにイールスを見ている
「貴様!! 四肢を切り落としてくれる」
後ろの男が叫び剣を抜き、他の男も慌てて剣を抜こうとするが、イールスはすぐに男の顔面を殴り、もう一人の男の腹目掛けて蹴りを入れて男が倒れる。男がイールスの背中目掛けて剣を振ると、イールスはかわしながら距離を取る

「キャーーーーー」
周囲に居た女性が悲鳴を上げると、人達が集まり、遠目に見ている
「聞いていた話と違うぞ!! 只者では無いぞ」
男がイールスを睨み警戒したように剣を構えている

男が間合いを詰めて剣を振ると、イールスが剣をかわしながら、間合いを詰めて顔面を殴り、男の腕を掴み、接近してくる男目掛けて投げ飛ばし、接近した男に当たり、もつれる様に倒れるとイールスは最後の男目掛けて接近して顔面を殴り、腹目掛けて蹴りを入れて、男が倒れると、イールスは立ち上がろうとしている男を次々と顔面目掛けて蹴りを入れている

騎士達が走ってくると、イールスを取り囲む様に並び剣を手を掛けている
「小僧そこまでだ!!」
騎士がイールスを睨み怒鳴る
「え? 襲われたから返り討ちにしたのですが…」
イールスが驚いて騎士を見ている
「黙れ強盗め!! 言い訳は牢屋で聞いてやろう!!」
騎士がイールスを睨みながら怒鳴る

は? もしかして買収済み? 騎士を叩き潰すのは無理だ…どうしよう?

イールスが戸惑っていると、騎士達がイールスに接近して、数人が男達に近付き起こしている
「こんな所で訓練か? 混ぜてくれ」
リゼッタが笑顔で訓練用の剣を持って近付いてくる
「貴様!! 騎士団に歯向かうのか!!」
騎士達がリゼッタを睨み怒鳴る
「訓練開始だ!!」
リゼッタが笑顔で叫び、訓練用の剣を構えて闘気を纏い、騎士に襲いかかる

え? リゼッタ様、騎士を叩き潰して良いの? あれ? リゼッタ様も騎士だからこの場合どうなるのだろう? あれ? 騎士は本物かな?

リゼッタが全員を弾き飛ばして笑っている
「手応えが無い!! もう一度立ち上がって向かってこい!! お前達の隊長も叩きつぶしてやるぞ!!」
リゼッタが嬉しそうに笑っていると、周囲に人達が集まって見ている

騎士がやってくる
「町中で何している!! 賊か!!」
騎士が倒れている人を見てから怒鳴る
「ん? 訓練するか?」
リゼッタが笑顔で騎士を見て言う
「げ!! リゼッタ!! またトラブルを起こしたのか!! 騎士の面汚しが!!」
騎士がリゼッタを見て怒鳴ると、集まってきた騎士達が苦笑いしている

「騎士様、実はこの賊に襲われて、返り討ちにした所、この騎士達が私を賊として連行すると言い、危ないところリゼッタ様に助けて貰いました」
イールスが慌てて騎士に事情を説明している。騎士はイールスの服を見て考えている
(王立学院の生徒か? 賊を返り討ちに…騎士が取り押さえるのは賊だろうが…)
「リゼッタ本当か? 信用は出来ないが…」
騎士がリゼッタを睨みながら怒鳴る
「本当だ!! イールスを取り囲んでいたぞ! 住民が見ているだろう! 訓練相手になってくれたぞ」
リゼッタが笑顔で言うと、倒れた騎士達が逃げようとする
「逃げるのですか? もしかして偽者騎士ですか? リゼッタ様を知らない様ですから」
イールスが大声で言うと、騎士が倒れている騎士を睨み、立ち上がろうとした男を捕まえようとすると、男は剣を騎士に向けて牽制してから、逃げようとするが、イールスが近くに落ちている剣を拾い、男目掛けて投げて、剣の柄が男の顔面に当たり、男が倒れると、騎士が慌てて取り押さえている。騎士は応援を呼ぶ笛を吹いている

しばらくすると集まってきた、騎士達に男達がロープで縛られている
「リゼッタ…問題行動は許されないぞ…これの説明を聞かせて貰おう」
騎士の隊長が呆れたようにリゼッタを見ていると、イールスが慌てて説明をしている

騎士達が騎士に扮した男達から事情を聞きだして、隊長に報告をして、隊長が頭を抑えながらイールスを見ている
「何故襲われたか、理由は解るか?」
隊長がイールスを見ている
「理由ですか? 賊に聞いた方が早いですが…」
「身元を保証する証明を見せてくれ」
隊長が考えながら聞く
「これで良いですか? 身元はセーレン様が知っています」
イールスが笑顔で紋章を見せると、隊長の顔が引き攣っている
(は? 紋章だと!! セーレン師の知り合いか!! 賊は暗殺をするための暗殺者か? 調査せねば…王家の紋章持ち…報告義務が…大変な事になりそうだな…偽者騎士の件も大事になりそうだ…)
「セーレン師に報告するようにします」
隊長が慌てて姿勢を正している
「依頼主は解っていても…仕返しはしっかりしないとね…リゼッタ様は何故訓練用の剣を持っていたのですか?」
イールスが笑顔でリゼッタを見ている
「イールスと訓練をするためだ!! 弱い騎士などと比べ物にならない程の鍛練になるからな!! 」
リゼッタが笑顔で言うと、周囲の騎士達がリゼッタを見て苦笑いしている
「町中で騎士を叩き潰して問題にならないのですか?」
「騎士団長が文句言ってきたら、叩き潰して終わりにしてやる! 文句は勝ってから言え!!」
リゼッタが笑っている

「この問題児が暴れる度に王都守護騎士隊が吊し上げられるのは勘弁してくれ! 誰か手綱を握ってくれ」
隊長が迷惑そうに言う
「イールスの言うことなら聞くぞ」
リゼッタが笑顔でイールスを見ている
「は? 何故?」
隊長が驚いてイールスを見ている
「前団長以来初めて、手も足も出なかったからな!! 命も体も全て捧げるぞ」
リゼッタが笑顔で言う
「それは無かった事で!! 運良く勝てただけですから」
イールスが慌ててリゼッタを見ていると、騎士達がイールスを一斉に見ている
(リゼッタに勝った!! あの青年が!! 嘘だろ?もしかしたら暴れたらいけない人か? この賊の顔…指名手配されていたか? 何処かで見た様な…)

「リゼッタが負けた? 本当なのか?」
「王立学院で大勢の前で剣を捧げたぞ」
リゼッタが笑顔で言う
「騎士団に入ってくれ!! リゼッタの手綱を握ってくれ!! 猛獣を調教してくれーーー頼む!!」
隊長がイールスに迫り言うと、騎士達がイールスと隊長を見ている
「王立学院を卒業したら、冒険者になるので御遠慮します!!」
イールスが慌てて頭を下げていると、隊長が呆然とする
(王立学院を卒業したら冒険者に? リゼッタを倒すぐらいの腕なら騎士団に入れるぞ!! 冒険者などになる必要は無いだろ!! 何者だ!! 誰か教えてくれーーーー)




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