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第131話 鍛練の日々 後編

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4層に向かうと、荒野が広がっている。動くガイコツが歩いたいるのが見える
「アンデットです。 ゴーストが現れたら逃げましょう…カルスの魔法以外効果が有りませんから」
護衛がイールスを見て言う

スケルトンを近付き、イールスが剣を振り抜くと、スケルトンが両断されて、地面に転がり、まだしも動いている
「スケルトンは核を壊さないと止まらないぞ」
バロンが笑顔で剣をスケルトンの胸付近の怪しく輝く付近を貫き、スケルトンが黒い霧になって消えていく
「簡単に倒せるのですね」
イールスが笑顔で言う
「魔剣だからです! 硬くて中々討伐は不可能です!」
護衛が慌てて言うと、クレオとリシアも警戒しながらスケルトンを黒い霧にしている
「魔剣を作成して良かった」
イールスが笑顔で呟くと、バロンが動揺したように護衛達を見ていると、護衛達が呆れた様に頷いている
(は? イールス様が作ったのか? 護衛達が肯定しているなら、本当だろうが…どこまで凄いのだろうか? もしかして…とんでもない人に忠誠を誓ったのか?)

宙に浮く半透明なゴーストが現れると、イールス達の方に近付いてくる
「あ! ゴースト! 撤退しましょう」
護衛が気が付き慌てて言うと、リシアの方に近付いている。イールスが慌てて、追い払う為に剣を振り、剣がゴーストをすり抜ける様に斬り裂くと、ゴーストが黒い霧になって消えて、魔石が地面に落ちる
「え? 倒せた? 剣は通用しないのでは?」
イールスが苦笑いして呟く
「通用しません…魔剣で試した人は居ないので知りません」
護衛が苦笑いして言うと、別のゴーストが近付き、バロンを斬り裂いている
「まほうが通用するから…魔力で斬れたのか…魔剣を持ってきて良かった」
イールスが笑顔で言うと、クレオがゴーストを斬っている

スケルトンやゴーストを倒し続け、休憩後迷宮出口に向かって歩いている
「カルスさん、3層までの魔石だけ冒険者ギルドに持って行って良いですか?」
クレオが考えながら言う
「魔石はクレオとリシアの取り分だよ」
「え! 4層は…買い取りが難しいので…低ランクなのに3層の魔石を持って帰るだけでも、相当狙われますから…」
クレオとリシアがイールスに説明している
「4層のアイテムもギルドよりも、直接魔法研究院に売れた方が安全と思いますが…ツテが無けれ…」
バロンもイールスを見て言う
「そうなのですか?」
「4層まで行ける冒険者は、結構目を付けられます。 腕輪の件もそうですが、面倒な事が増えると思われます」
バロンが注意するようにイールスに説明している

迷宮を出ると、冒険者ギルドでバロン達が魔石を売り払い、イールス達は屋敷に帰っていく

屋敷に到着すると、メサリアに挨拶をしてから部屋に戻る
「イールス様、お帰りなさい」
リシリアと侍女が笑顔で出迎えてくれる
「リシリアただいま、勉強は進んだかな?」
「はい! イールス様、セーレン様からファイヤーアローを習いました」
リシリアが嬉しそうにイールスに伝えている
「こんなに早く? リシリア凄いね」
「一生懸命頑張って、早くイールス様と一緒に迷宮にも行きたいです」
リシリアが笑顔で言う
「危険だけど」
「危険でもイールス様のお帰りを待つより良いです。 ご迷惑でもいつか御一緒させて下さい」
リシリアが頭を下げながら言う

危険だけど…リシリアの気持ちもわかるな…侍女も常に付いているのは大変そうだから…防具何が良いか、セーレン様にも聞いた方が良いかな? 

イールスは、3日間迷宮に潜り続け、セーレンから本と包みを受けとると、ランクスルバウム男爵家に向かう
「イールス様、本日はどのような御用でしょうか」
執事が驚いた様にイールスを見ている
「フィーネリーゼ様の温室を見学したいと思っています」
イールスが笑顔で伝えると、侍女が屋敷に入っていき、しばらくすると、侍女の案内で温室に向かう

「イールス様、御訪問感謝致します」
フィーネリーゼが優雅に頭を下げている
「フィーネリーゼ様、本日も美しい姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスも丁寧に頭を下げながら言う
「誤解でご無礼の数々本当に申し訳ありません」
「誤解ですか?」
イールスが驚いている
「アルゼデンス様の策謀にはまり、嘘を見抜けませんでした。 妹の婚約破棄もアルゼデンス様が差し向けた事が解りました」
フィーネリーゼが詳しく説明してくれる

「フィーネリーゼ様、こちらの本ですが、知り合いから借りてきました、読んでみますか?」
イールスが本を差し出すと、フィーネリーゼが読み始めて、微笑んでいる
「こちらは薬草を研究している人から薬草の種と薬草の名前などになります」
イールスが包みを差し出すと、フィーネリーゼが包みを開けて、種等を見ている

「面白そうな植物です。 しかし、この温室では、育てるのが難しいと思っています」
フィーネリーゼが考えながら言う
「はい、研究している人達が、温室に興味を持っています。 世話の方法や管理方法の相談に乗って貰う事は出来ますか?」
「温室の? 良いですわ! 温室の事を話せる友達はいないですから、嬉しく思います」
フィーネリーゼが嬉しそうに微笑んでいる
「実は、知り合いに温室を持っている人がいます。今度一緒に訪問しても宜しいですか?」
「是非歓迎します。 御父様も早く温室なんて止めて、社交界に復帰しろとか色々言われてムカついていましたから、本当に嬉しく思います」
「社交界に?」
「話してませんでしたね…元婚約者が色々悪評を噂した所為で、社交界から離れています。 名前を聞いただけで、態度が変わりますから…尻軽女とか…極悪令嬢等色々と…」
フィーネリーゼが考えてからイールスに次々と昔話をしている

「話して嘘だと解りますが…社交界では格好厳しい状況になります」
イールスが考えながら言う
「温室は嘘を付きませんから、嬉しいです」
フィーネリーゼがイールスが難しい顔をしたのを見て諦めた様に言う
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