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第129話 フィーネリーゼ

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翌日、イールスはセーレンと共にランクスルバウム男爵家に向かう
「本日はどの様な御用でしょうか? 」
屋敷に馬車が入ると、執事が降りてきたイールスを見て頭を下げている
「御令嬢様にお会いしたいのですが、シンシリア様より手紙を受け取りました。 イールスと申します」
イールスが丁寧に挨拶をしてから、説明している
「大変申し訳ありませんが、本日は王立学院に通っております。 お待たせしますが」
「急な訪問申し訳ありませんが、待たせて貰います」
イールスが頭を下げながら言うと、侍女が出てきて案内してくれる

しばらくすると、一人の女性が入ってくる
「あなたが妹やアルゼデンス様を蔑ろにしていた、イールスですか?」
女性がイールスを睨んでいる
「挨拶が遅くなり、大変申し訳ありません、イールスと申します。以後お見知りおきして頂けたら幸いに思います」
イールスが丁寧に挨拶をしていると、セーレンが睨んでいる
「姉のフィーネリーゼですわ! 良くも妹の婚約破棄までさせましたわ!! 許せませんわ」
「大変申し訳ありません」
イールスが頭を下げている
「早く帰って欲しいですわ!!」
フィーネリーゼがイールスを睨んでいる
「そのぐらいにしなさいですわ」
セーレンが睨みながら立ち上がる
「妹の幸せを奪っておいて、その言い草許しませんわ」
「何を勘違いしてますの? 謝りに来たのではないですわ!! シンシリアやアーメリアを通して、どうしても面会したいと言われたからワザワザ来訪したのに、知りませんの?」
セーレンが睨み付けている

「セーレン様、落ち着きましょう、フィーネリーゼ様は何も聞いてないのでしょうから…各方面から色々な噂に踊らされているだけでしょう」
イールスが慌てて割ってはいる
「イールスが言うなら、このぐらいで止めておきますわ」
セーレンが座り睨んでいる
「何か? 横暴そうではなさそうですわ…御父様から聞いた、人柄には思えませんね…」
フィーネリーゼが考えている
「令嬢が庭弄りしていましたの?」
セーレンがフィーネリーゼの服を見ている
「庭弄りは楽しいですわ! 否定される覚えは有りませんわ! 」
フィーネリーゼが睨んでいる
「この時期にですか? 温室でも有るのですか?」
イールスがフィーネリーゼを見ている
「自慢の温室ですわ」
「是非見学をさせて貰えますか?」
イールスが興味津々に聞く
「妹が帰ってくるのは、もう少し掛かりますわ! 案内しますわ」
フィーネリーゼが考えてから部屋を出て温室に向かう

温室には多くの花が咲いている
「凄いですね、この季節でも夏の花が咲いているなんて」
イールスが見て回りながら言う
「こちらの花が好きですの…色々試行錯誤してやっと咲きましたの」
フィーネリーゼが嬉しそうに花の説明をしていると、セーレンが微笑みながら花を見ている
「手入れも大変そうです…この花は…薬草の一種ですね…結構珍しい花ですね」
イールスが興味津々に見ている
「中々植物にも詳しいのですね…こちらの花は……………」
フィーネリーゼが嬉しそうに説明をしている

令嬢が慌てた様に入ってくる
「イールス様!! お元気なお姿を拝見できて本当に嬉しく思います。 使いをくだされば、良かったのですが」
令嬢が慌てて小走りで着て、丁寧に挨拶をしていると、フィーネリーゼが驚きのあまり呆然としている
(え? 何故? どうしてそんなに丁寧に? 婚約を潰した相手では無いのですか?…)
「シンシリア様より手紙を受け取り、駆け付けました。 本当に心配をお掛けして申し訳ありません」
イールスが丁寧に挨拶をしている
「セーレン様も歓迎申し上げます。 姉が無礼を働いていたら、代わりに謝らせて貰います」
令嬢が頭を下げながら言う
「面白かったですわ」
セーレンが微笑みながら言う
「御姉様、こちらは宮廷魔術師セーレン師です。御姉様でも名前は知ってますよね?」
令嬢が不安そうに言う
「え? 宮廷魔術師様? えーーー大変申し訳ありません、知らぬこととはいえ、御無礼な事を」
フィーネリーゼが頭を下げている
「中々楽しめましたわ」
セーレンが笑いながら見下している

令嬢の案内で部屋に向かい、ソファーに座る
「イールス様、アルゼデンス様の病死の事は伺いました。王立学院では物凄い噂になっています。 イールス様が手を下したと…」
令嬢が深刻そうな顔でイールスを見ていると、フィーネリーゼが驚きのあまり目を見開いている
「イールス、少し話して良いですわ! 国家機密ですから、内密にするように」
セーレンが微笑みながら言うと、令嬢とフィーネリーゼが約束している
「あの後、馬車で王都を出て山の方に向かい、崖近くでアルゼデンス様と執事様に襲われ、崖に追いやられました。戻り公爵様に事実を話して、公爵様が激怒しています」
イールスが軽く話すと、令嬢が深刻そうな顔でイールスを見ている。フィーネリーゼは落ち着かない様で挙動不審になっている
「予想はしてましたが…イールス様が無事で良かったです。 実は御父様達から、イールス様に謝り、何としても和解するように言われています。 籠絡しても…イールス様…姉共々…」
令嬢が頭を下げて、説明している
「頭をあげて下さい、何故そこまで男爵様が気にしているのですか?」
イールスが考えながら聞く
「後ろ楯を失い、周囲の風当りが強く…」
令嬢が深刻そうに説明をしている
「怒ってませんが…何故そこまで…それにアルゼデンス様を追及して貰い、感謝はしています」
イールスが考えている

「男爵はかなり厳しい状況ですわ! 公爵の派閥から敵視され、他の家から不正を疑われて味方が欲しいのですわ」
セーレンが笑いながら言う
「元許嫁の家も取り潰されましたから…頼る相手がいません…しばらく揉めそうです」
令嬢が深刻そうに話している
「イールスさんの所為でこの窮地になったので無いのですか? 聞いていた内容と違いすぎます」
フィーネリーゼが聞いていた内容を説明している
「前回の時、イールス様が助けてくれたのです! その所為でイールス様に命の危機になったのです! 御姉様、誰にそんな事を!! イールス様に非は有りません!!」
令嬢が慌てて叫ぶ
「え! 大変申し訳ありません…」
フィーネリーゼが頭を下げている
「また、温室を見学させて下さい、知り合いに温室が好きな人が居ますので、一緒に訪問しても良いですか?」
イールスが笑顔で言う
「勿論ですわ! 貴族で庭弄り許してくれる人は少ないですわ! 一生庭弄りしますわ! 色々な話をしてくれる人は大歓迎ですわ」
フィーネリーゼが笑顔でイールスと温室の事を話している。令嬢が驚きのあまり、イールスとフィーネリーゼを見ている
(仲良く? え? イールス様温室に興味が!! 私も習おうかしら………)
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