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第111話 王立学院と決闘

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イールスが王立学院に登校して、教室に向かう
「あ! イールス様!!」
アリシナがイールスを見て慌ててイールスの元に走ってくると、フレシカも走ってくる
「アリシナ様、フレシカ様、本日もお元気な姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をしていると、教室内の学生達がイールスとアリシナ達を見ている
「イールス様、昨日の御令嬢様の件で噂が広がっています…イールス様の正妻が無理だから…側室になると」
アリシナがイールスを睨みながら言うと、フレシカが驚いてイールスを見ている
「え? 側室に? そんな事は有りません! 下賤な身の半人前ですから、側室なんてもっての他です! その様な事は御令嬢様に大変失礼な事になります」
イールスが慌てて言うと、教室内の生徒達がイールスを見ながらヒソヒソ話をしている
「本当ですか? 本当ですか? 本当?」
アリシナがイールスを見詰めながら言うと、講師が入ってくる
「席に座りなさい」
講師がアリシナとフレシカとイールスを見て言う
「講師様、大変申し訳ありません」
イールスが慌てて頭を下げて言うと、席に座り、アリシナとフレシカが両隣に座る

講義が終わり、昼食を食べに向かおうとする。教室の外に5人の男子生徒が待ち構えている
「お前がイールスだな!! 決闘だ!!」
男子生徒が怒鳴り、イールスを睨んでいると、男子生徒が取り囲んでいる
「何故決闘なのですか?」
イールスが男子生徒達を見てから聞くと、アリシナとフレシカが男子生徒達を睨んでいる
(イールス様に決闘なんて!! 何故ですか? イールス様が怪我したらどう責任を取るのですか!…イールス様の勇姿も見たいですが…)
「アルデゼンス様に無礼の数々許さない!! この場でボコボコにしても良いぞ!!」
男子生徒が怒鳴り、イールスを睨み付けている。生徒達が周囲に集まり、エリーゼマリーナ達が驚きながら歩いてくる
「未熟者の半人前の下賤な身ですので、貴族様の決闘などお受けするのも身に余る事ですので、御遠慮いたします」
イールスが頭を下げながら言うと、生徒達が驚いている
「このーーーー! 何処まで馬鹿にしている!! ここ場で隣の令嬢共々巻き添いになるぞ!!」
男子生徒がアリシナとフレシカを見て怒鳴り、数人の男子生徒がアリシナとフレシカに近付く
「そこまでにしなさい!! 友達に手を出すなら、許しません」
エリーゼマリーナが睨みながら言うと、男子生徒達がエリーゼマリーナを見て驚いている
「エリーゼマリーナ様…これでも騎士団に入る身、今更引けません…」
男子生徒がエリーゼマリーナを見て姿勢を正して言うと、男子生徒達が顔を見合せている
「騎士になるなら尚更です! 下級生をリンチする為の決闘など許される事では有りません! そもそも決闘を口にするなら、何を掛けて決闘なのですか!!」
「え! 決闘の…」
男子生徒が驚いている
「アルゼデルス様への忠誠です!! こいつだけは許せないからです。 アルゼデルス様に地べた這いずり回り許しを乞わせてやる」
アリシナ近くにいる男子生徒が言うと、口々にアルゼデルスの名を言っている
「決闘に負けたら、どうするのですか? 言いなさい」
エリーゼマリーナが睨みながら言うと、男子生徒達が顔を見合せている
「何でもしてやる!! 負けることなどあり得ない」
男子生徒が慌て気味に叫ぶ
「イールス様、決闘の対価に、この人達の忠誠を貰えるそうです」
エリーゼマリーナが微笑みながらイールスを見ている。アリシナとフレシカが驚いている
(え! エリーゼマリーナ様、何故イールス様の決闘を勧めるのですか!! イールス様が負けたらどうするのですか!! …あ! イールス様強いですが…)
「エリーゼマリーナ様、決闘をしないと…いけないのでしょうか?」
イールスが苦笑いしている
「2度と挑まれない様に叩き潰せば良いだけです。奢っている生徒なんてイールス様の敵でも無いです」
エリーゼマリーナが微笑みながら言うと、生徒達が顔を見合せている
「名誉など要りませんので、お断りしたいと思います」
イールスが頭を下げて言うと、エリーゼマリーナが笑っている

え! エリーゼマリーナ様何故決闘を勧めるのですか? 半人前ですから、怪我をさせてしまいます…誰か止めてくれないのですか?

中庭に移動して、訓練用の剣を渡されると、男子生徒達5人が訓練用の剣を持って笑みを浮かべている
「決闘後、異議を唱えないように、ここで宣誓をして貰う」
講師が苦笑いしながら、イールスと男子生徒達を見て言う
「イールス、必ずアルゼデルス様の足元で許しを乞わさせてやる」
男子生徒達が笑顔で言う
「半人前の未熟者なので、決闘などしたくないのですが…」
イールスが苦笑いしている
「お前達が負けたら、一生イールスに忠誠を誓い、イールスの為に生きると誓うか?」
講師が男子生徒達を見て聞く
「負けることは無い!! もしも負けたら一生イールスの為に何でもしてやる」
男子生徒達が口々に言う
「イールス、負けたらアルゼデルスの足元で地べたを這いつくばりながら、許しを乞う事を誓うか?」
講師が苦笑いしながらイールスを見ている
「決闘などしたくないのですが…仕方ないので誓います」
イールスが嫌々言う
「両者の宣誓を持って、ここに決闘を行う! 宣誓はここにいるすべての者が証人になる! 宣誓を破る事は許されない」
講師が大声で言うと、周囲に集まっている生徒達が同意している

講師のはじめの合図で男子生徒達が剣を構えながら、イールスを取り囲む
「イールス覚悟!!」
イールス目掛けて突進してくると、イールスは、剣をかわしながら、横に剣を振り抜き、男子生徒の腹に剣が当たり、男子生徒が踞ると、すぐに次の男子生徒の方に近付き、剣を振り抜くと、男子生徒は驚きながら、イールス目掛けて剣を振り下ろそうとするが、イールスの剣が腹に当たり、勢いにそのまま後ろに弾き飛ばされ仰向けに倒れる
「は! つつつつっ強い!! 油断するな!!」
男子生徒が慌てて叫び、イールスに剣を向けて構えている
「少しは本気で掛かってきて下さい! 鍛練にもなりません」
イールスが剣を構えながら言うと、男子生徒2人が突進してくると、イールスは、スレ違いざまに剣を振り、2人を弾き飛ばしてから、最後の男子生徒に近付き、男子生徒が慌ててイールス目掛けて剣を振り、イールスの剣が男子生徒の腕に当たり、男子生徒が剣を落とすと、イールスの剣は男子生徒の胴体を凪払う様にして、男子生徒を弾き飛ばす

講師が慌てた様に男子生徒達を見て回る
「イールスの勝利とする」
講師が慌てて言うと、周囲の生徒達が呆然と倒れている男子生徒達を見ている
「講師様、まだ全員負けを認めていません。本人達が負けを認める言葉が必要と思います」
イールスが講師を見て言うと、男子生徒達を警戒しながら見ている
「え! しかし、既に怪我を…」
講師が苦笑いしている
「起こして、イールス様に忠誠を誓うか聞いてください! 5対1で負けた振りもあり得ます」
エリーゼマリーナが笑顔で言うと、生徒達がエリーゼマリーナを見てから、男子生徒達を見ていると、アリシナがイールスを見詰めている
(イールス様ーーーカッコいい! 凄く強いです)

講師が男子生徒達を起こして、イールスの前に並ばせて、男子生徒達と話している
「イールス…負けを認める…」
男子生徒達が嫌々そうに言うと、頭を下げている
「イールス君の勝利とする、文句が有る者はここで異議を唱えるように」
講師が大声で言うとエリーゼマリーナを見てから、周囲の生徒達を見ている
「2度とこんな決闘は挑まない様にしてください。いくら未熟者の半人前に運が悪く負けて、変な噂になっても申し訳無いと思います」
イールスが笑顔で言うと、エリーゼマリーナ達が爆笑している
(イールス様! 半人前の未熟者では無いです! 凄い嫌みに聞こえます!! 上級生も2度と文句は言えません)
「イールス、最後の一言は嫌みですか?」
セーレンが生徒達の後ろから現れると、呆れた様に見ている
「セーレン様、見苦しい決闘を見せてしまい大変申し訳ありません…この様な問題を起こしてしまい責任を取って冒険者になりたいと思います」
イールスが慌てて頭を下げる
「決闘の約束が…イールスの家臣になるなんて…エリーゼちゃんも嫌みが過ぎますわ」
セーレンがエリーゼマリーナを見ている
「イールス様の強さなら、学生が5人なんて相手にもなりませんから、御兄様から伺ってましたが…イールス強すぎます!」
エリーゼマリーナが微笑みながらイールスを見ている
「半人前ですからお相手が油断していたので、運良く勝てただけです。 騎士様になられるなら、油断してなければ勝てません…剣先も遅くて簡単に避ける事が出来る速さでした」
イールスが笑顔で言うと、女性徒達がイールスを見ている
(速すぎて剣が見えてませんでしたけど…謙遜もここまで謙遜すぎると、嫌みに聞こえます…イールス様…カッコいいですーーーーーーあぁーーーーーイールス様ーーーーーーーーー)
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