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第90話 クロバルゼス商会 後編

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クロバルゼス商会代表が真っ青になって震えながら帰っていく
「イールス、これで終わりなのか?」
ヘルクドールが苦笑いしながら聞く
「ジュジェンタル準男爵は、何日で来ますか?」
イールスが笑顔で言うと、アーセリオドールが苦笑いしている
(やっぱりついでに潰す気かーーー)
「御父様、これがイールスです。 直接手を下すと、こんなに怖いと思い知りました」
アーセリオドールがヘルクドールを見ている
「イールスに任せたら、どれ程怖いか…解ったが、これで…何も失わないで3家を加えられたのは、凄いことだな」
ヘルクドールが考え込んでいる
「シスラーザ様の将来の領地も確保出来ました」
イールスが笑顔で言うと更に説明をしている。ヘルクドールが驚きの余り、イールスを見ている。アーセリオドールが頭を押さえながら、苦笑いしている
(ちょっと待て!! シスラーザの領地だと!! どこまで先を考えている!! )

メサリアが入ってくると、ヘルクドールとアーセリオドールが頭を抱えているのを見て驚いている
「メサリア様、令嬢様と子息様達の証言のお陰でクロバルゼス商会代表の打つ手を潰せました。本当に感謝申し上げます」
イールスが丁寧に頭を下げて挨拶をしている
「終わりましたの? 御父様?」
メサリアがヘルクドールを見て驚いている
「メサリア、イールスの裁量発揮させると、どれ程怖いか、思い知った…」
ヘルクドールが頭を抱えて言う
「どうしましたの?」
メサリアがアーセリオドールを見ている
「この証拠を使わないで、クロバルゼス商会代表を潰した…何かしてきたら、いつでも叩き潰せるように、2枚目の借用書に細工を…法に触れないとは言え、クロバルゼス商会代表が怒る姿が思い浮かぶ」
アーセリオドールが青くなりながら言うと、メサリアが借用書を見ている

「即時、返済を求められる? この借用書なら、今から乗り込んで、クロバルゼス商会を乗っ取れるのですか?」
メサリアが驚いている
「利率も年利2割ですから、あの商会の返済能力を越えてます。利息だけ返してくれるなら、永遠に続きます」
イールスが笑顔で言う
「イールスですのーーーー完全に隷属させましたのーーー凄いですのーーー」
メサリアが上機嫌で笑っている
「公爵令嬢の御父様とクロバルゼス商会の繋がりも、認めて帰りました。 何時でも落とせます。 この3件も何時でも潰せます」
イールスが別の乗っ取り計画と、その証拠を見せている
「凄いですのーー イールスすごいですのーーーーー」
メサリアが叫んでいる
「ジュジェンタル準男爵のトドメも討てます。 最後のあちらの手は、ロイホールに準男爵家を継がせて、借金を押し付けるしか無いでしょう」
イールスが微笑みながら言う
「気を付けさせますわ!」
「ロイホールのビーレルバウム男爵家の爵位譲渡を発表後なら、ジュジェンタル準男爵も何も出来ません。アーメリア様の支援が必要ですが、アーメリア様の実家も暗殺未遂の件で文句は言わないでしょう」
「メサリア、解ったか? イールスに任せたら、何も支払わずに3家を受取り、クロバルゼス商会にトドメを討っている」
ヘルクドールが真っ青になって言う
「ヘルクドール様、実は情報屋に金貨60枚程使ってます。決定的な証拠だったので仕方無かったです。御相談しないで情報屋を使った事は大変申し訳ありません」
イールスが頭を下げている
「イールス、金貨の補填は必要か?」
「沢山持ちすぎていますので、護衛達に褒美を与えて欲しいと思います」
「そうだったな…その金貨を使い、救うだけなら簡単だったはずだが…」
「それでは、アリシナ様とクレーシア様に家柄を伝えてしまった事に対しての、迷惑料を受け取れません!!」
イールスが笑顔で言うと、ヘルクドールとアーセリオドールが顔を見合わせている
(イールスの怒りはそっちなのか? それで金貨5000枚も吹っ掛けたのか!!)

「イールスですのーーー早く御姉様と呼んでくださいのーーーーーー」
「メサリア様、下賤な身ですので、口にするのも大変畏れ多い事です。御遠慮致したく思います」
イールスが頭を下げて言う
「早く御姉様と呼んで、一緒にパーティーに行きたいですの…」
メサリアががっかりしている

イールスが部屋に戻り、ヘルクドールとアーセリオドールがメサリアを見て苦笑いしている
「どうしましたの?」
メサリアが視線に聞く
「イールスの恐ろしさ…何時でも騎士団でも、公爵家でも潰しそうだ…騎士爵家は、メイラールとシスラーザに継がせるつもりらしい…どのみち借金返済は不可能だからと言っている」
ヘルクドールが苦笑いしている
「イールスの掌の上でも、妹達の将来をしっかり考えている…ビヨールだけは、何も与えないつもりらしいが…」
アーセリオドールが苦笑いして、メサリアを見ている
「どう言う事ですの? 嫁ぎ先ではなくて?」
「逆に婿養子を探さないとダメだな…騎士爵家の人は騎士団に入っているからな…年の離れた、結婚でも、側室をもうけられない」
ヘルクドールが苦笑いしている
「それって、完全な乗っ取りですの?」
「そうなるな…しかし、相手側は、喜んでいるだろう…借金帳消し出来るのだから」
ヘルクドールが苦笑いしている
「ビーレルバウム男爵家は?ロイホールなのですの?」
「発表だけして、ジュジェンタル準男爵の手を打てなくする為だな…将来あの令嬢に任せるつもりでも、傀儡に出来るのだから…今回も表に出ないで終らせた手腕恐ろしい…それもアリシナ様とクレーシア様に家柄を伝えさせた、迷惑料代わりなんて…公爵家が知ったら、どれ程怒るか…はぁ…………」
ヘルクドールが頭を抱えている
「イールスーーーーー 先を読み過ぎだ!! 目立ちたくないのか、目立ちたいのかーーーはっきりしろーーーーーー」
アーセリオドールが急に大声を上げる
「イールスですのーーーーーー 本当に妹思いですのーーーーーーー 安心して妹と遊べますのーーーー」
メサリアが笑顔で叫んでいる
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