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第68話 パーティーの争い 前編

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クーレセント子爵家のパーティー日になり、イールスが着替えてリビングに向かう
「イールス、今日は少し我慢しなさいね、公爵家が嫌がらせをする可能性が有ります」
メサリアが微笑みながら言う
「公爵家が? 何故ですか?」
「イールスがパーティーに参加しないからですわ! この頃問題になってますわ! あの小娘その内お仕置きしますわ」
メサリアが微笑みながら言う
「理由は解りませんが、なるべく目立たないようにします」
イールスが頭を下げながら言うと、ロイホールも準備が終わり、馬車に乗って出掛ける

パーティー会場に入ると、クーレセント子爵に挨拶をしてから、会場に向かう
「イールス御兄様、久々で緊張します」
ロイホールが緊張してガチガチになっている
「今日は目立たないように、角に居ようかな?」
イールスが笑顔で言うと、壁側で飲み物を飲んでいる事にする

少し離れた場所で、騒ぎが起こる
「あら、飲み物が溢れてしまいましたわ」
女性が笑みを浮かべながら、転んでいる女性の頭にグラスの中身を掛けている
「このーー」
フレシカが怒り、掴み掛かろうとしている
「この野蛮な騎士爵令嬢が、公爵家の意に逆らうのですの? 」
女性が笑いながらアリシナを見下して、周囲の女性達が笑っている

あれ?あの人は、男爵家だったような…アリシナ様に何故? 誰か事情を知っている人は?

イールスが考えながら、侍女を見付けて理由を聞いている

「公爵家の命令で? 何故だろう? 貴族があんな事をして許されるのか? 公爵家の名誉を傷付けられて、黙っているかな?」
イールスが呟きながら、周囲の女性達を見ている
「イールス御兄様どうしますか? どうしたら良いですか?」
ロイホールが不安そうにキョロキョロしている
「ロイホール様は、この後兄弟と言う事は隠すように…あの子と一緒に居て下さいね」
イールスが周囲を見てから少女を見付けて、歩いていく

「レイストレア様、お久し振りです」
イールスが微笑みながら挨拶をする
「イールス様、どうしたら…あの人達を止められますか?」
レイストレアが不安そうに言う
「ここまで大きく問題になったら、ただで済ませる訳にいきません…理由を教えて欲しいと思っています」
「イールス様が公爵家のパーティーに参加してくれないので、争いになっていると聞いています…何故でしょう?」
「え! パーティーに参加しないから…」
イールスが苦笑いして頭を押さえている

自分の所為…それなら手加減は抜きで言い返すか? メサリア様、約束を守れなくて申し訳ありません…後で処分を受けます

「また、こぼしそうですの」
令嬢がアリシナに飲み物を掛けようとしている

イールスが令嬢に近付き、令嬢がグラスを傾けアリシナに掛けようとしている、手をはたき、令嬢のドレスに中身が掛かる
「何をするのですの」
令嬢が怒り、イールスを見る
「このような所に手を伸ばしてましたので、当たってしまい申し訳ありません」
イールスが頭を下げながら言う
「何ですの!! アールストリア公爵家に逆らいますの!!」
「アールストリア公爵家に? このような事をなさるのが、公爵家の意向なのでしょうか?」
頭を下げながら言う
「何ですの!! そんなに潰されたいのですか!」
「公爵家の意向を口にしたなら、覚悟は出来てますね? このような事をして、私は軽蔑します。 アールストリア公爵家が、このような事を指示したなら、それこそ名門貴族の礼儀も威厳も地に落ちたと言う事です! 誰の命令ですか? 」
イールスが令嬢を睨み怒鳴る
「え! 何故? 何故恐れない」
令嬢が慌てている
「恐れるも、あなたの独断で公爵家の名を語ったのでしょう! 公爵様がこの事を聞いたら、どのように怒られるか…その方が怖いですね…その覚悟が有るから、このような事をしたのでしょう」
イールスが周囲に居る、人達に聞こえるように言うと、ザワザワしている
「何を!アルデゼンス様の命令に文句が有るなら、アルデゼンス様に直接言うと良いですわ」
令嬢が慌てて周囲を見てから言う
「アルデゼンス・アールストリア様の命令で、このような品の無い事を…本当に人の名を騙り、嘘偽りを! アルデゼンス様がこのような指示をするはずが無いです。 公爵家の名を騙り、この事態、少しは周囲を見て判断なさいますように! 私はこのような事をした、あなた達を軽蔑します」
イールスが大声で言うと、周囲の人達が令嬢に視線が集まっている。慌てた様子で数人の女性がやってくる
「軽蔑? 何故! 指示されただけです! 何故たてつくーー公爵家に無礼ですわ!!」
令嬢が慌てて言うと、女性達を見て青ざめている
「あなたの独断で、このような品の無い事をしたのを見過ごす事は出来ません! それでも名門貴族ですか? ただの取り巻きですか?」
「そこまでにしなさい!! 帰りますよ」
女性が慌てて、令嬢の腕を掴み、引っ張って連れていく

令嬢達が出ていくのを、周囲の人達が見送って、噂話をしている
「大変申し訳ありません! 下賤な身の未熟者が騒ぎを起こして不愉快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありません、しかし、このような騙りを許したくない!」
頭を下げながら言う
「イールス様、人の出会い、楽しく話すパーティーで、あのような事、許せないです」
レイストレアが大声で叫ぶ
「そうですわ…見苦しかったですわ」
「イールス様かっこ良かったです」
「イールス様が軽蔑するなら、私達も軽蔑します」
「そうです!軽蔑します」
「パーティーには入れさせません」
「会話もしませんわ」
「そうですわ! 軽蔑しますわ」
周囲の人達が大声で叫びながらイールスの周りに集まってくる

「アリシナ様、大丈夫ですか? 立てますか?」
イールスが手を差し出して言う
「イールス様…」
アリシナが大粒の涙を流しながら言うと、手を取り立ち上がると、イールスがエスコートして、パーティー会場を出ていくと、フレシカが笑顔で付いてくる

侍女が慌てて、アリシナとフレシカを連れて別の部屋に向かうと、イールスは、パーティー会場に戻ろうとする
「イールス様、ありがとうございます。 公爵家と繋がりを切り、責めた事で公爵家も手を出して来ないと思いますが、クーレセント子爵様が何かあれば、証人になるそうです」
侍女が微笑みながら頭を下げている
「子爵様に御礼を申し上げたいと思います」
頭を下げながら言うと、パーティー会場に戻っていく

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