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第64話 報告

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兵士達と合流後、休みを取り、イールス達は兵士達に監視を頼み、村に帰っていく
「イールス様、御無事で良かったです」
アーネが笑顔で出迎えてくれる
「今回は危なかった…アーセリオドール様は帰ったかな?」
「昨日、町に戻りました」
アーネがイールスの服装を見ながら少し心配そうに言う
「1度戻って、報告をしてきます。アーネ様は、薬草の勉強進んでますか?」
「はい! 知識が無かったのが、悔しいです。研究者達も森の手入れについて説明したら、喜んでいます。何年掛かるか解らないですが、沢山の薬草が安定して採取出来るように頑張ります」
アーネが嬉しそうに言う
「アーネ様、頼みますね」
イールスが笑顔で言うと、宿屋に戻り休む事にする

翌日伯爵家の町に向かう
「ヘルクドール様、アーセリオドール様、御報告で1度戻って参りました」
イールスが部屋に入ると、ヘルクドールとアーセリオドールが出迎えてくれる
「報告か? 何か有ったのか?」
ヘルクドールが護衛達を見て聞く
「実は、アナコンダに遭遇しました。 激戦で鎧が壊れてしまいました。これが討伐した証拠です」
イールスが魔法の鞄から、袋を出してテーブルに中身を出していく
「は? アナコンダ…発見と同時に討伐した報告か? どうしたら?」
アーセリオドールが慌てて、ヘルクドールを見ている
(アナコンダなんて、騎士団が大隊で討伐に向かうモンスターだ!!)
「仕方無いだろ…秘密にしたいのか?」
ヘルクドールがイールスを見ている
「有名になりたくないので、お手数ですが、御内密にしてほしいと思ってます」
イールスが頭を下げながら言うと、護衛達が顔を見合わせている
「わかった…これは王都に帰ったら、メデル様に買い取って貰うように」
ヘルクドールが安心したように言う
(公表しなければ、メデル殿が何とかしてくれるだろう)

「はい、アナコンダを倒した後すぐに狼の群れに襲われて、討伐しました」
「次は狼か…どのぐらいの群れなのか?」
「この数です」
イールスがテーブルに狼のアイテムと魔石を並べていると、アーセリオドールが青ざめている
「これ全部か!! 危機どころじゃないぞ! 100匹越えてるぞ」
ヘルクドールが青ざめながら叫ぶ
「はい、何とか倒せました」
イールスがシルバーウルフの牙と毛皮と魔石を置く
「その大きさ、大物が」
アーセリオドールが震える声で叫ぶ
「シルバーウルフと思いますが、何とか倒せました。毛皮はメサリア様に渡したいと思います」
「イールス…これで終わりだよな?」
アーセリオドールが苦笑いしながら聞く
「それが…芋虫が大量に押し寄せたので兵士達が駆除してくれました…」
「次は芋虫か?」
ヘルクドールが青ざめながら聞く

「突破して、少し進んだら、黒いオーラに包まれた場所でミノタウロスに襲われましたので、返り討ちにしておきましたが、黒いオーラみたいな物が消えてしまいました」
イールスが笑顔で言うと、護衛達が笑い始める
「は?…ミノタウロス? 黒いオーラ? 消えた? 何が起きたのだ?」
ヘルクドールが意味解らず頭を抱えている
「実は、戦っている間に男爵領内に入ってしまい、道に迷いました、申し訳ありません」
イールスが頭を下げながら言うと、護衛達が笑っている
「黒いオーラ…発生地点か? 潰してきたのか? どうしたら…」
アーセリオドールが頭を抱えている
(簡単に言うなーーーー! ちょっと倒してきたじゃすまないぞ!! 騎士団が討伐に向かっただぞ!! 何を言っている)
「男爵領に入って倒してきた…騎士団が怒るぞ」
ヘルクドールが頭を抱えている
(どうしたら? 言い訳は? どうしたら? 手に追えない… 全部秘密だな…メデル殿と相談が必要だな)

イールスが部屋に戻っていくと、代わりにアーメリアが入ってくる
「アーメリア…イールスは期待を裏切らないな」
アーセリオドールが苦笑いして言う
「何を討伐してきましたか? ウルフの毛皮ですね」
アーメリアが微笑みながら言うと、手触りを確かめている
「ちょっとが、アナコンダとシルバーウルフとミノタウロスだ…発生地点を道に迷って潰してきたと簡単に言っている」
アーセリオドールが頭を抱えながら言う
「発生地点を? 秘密にするしか無いですね…今更ながらイールスの暗殺をするなら、騎士団大隊ぐらい用意が必要ですね」
アーメリアが考えてから言う
「フレールに伝えるか? ミノタウロスの単身で倒す相手を暗殺したいかと…何を倒してくるか、予想が出来ない」
ヘルクドールが頭を抱えている
「知られたら、どれ程の人気になるか…申し入れも10倍になりそうですね」
アーメリアが微笑みながら言う
「怖いことを言うな…絶対に秘密にしないと、恐ろしい想像しか思い浮かばない」
アーセリオドールが涙目になっている
「少しぐらい強いなら、嬉しいが…ここまで凄いとどうしたら良いか解らなくなるな…才能、実力、実績どれも英雄と歌われる者と遜色無い」
ヘルクドールが頭を抱えながら呟く
「それが全部内緒の一言で片付けられるのですか?」
アーセリオドールが泣きそうになっている
「はぁ…ビヨールは、能無しで溜め息しか出ないが、イールスは、凄すぎて溜め息しかでない」
ヘルクドールが頭を抱えながら言う
「イールス!! 目立ちたいのか!! 目立ちたくないのかーーー! どっちなんだ!! いい加減討伐し過ぎだ!! 強いのを隠す気が無いのかーーーーーー!」
アーセリオドールが大声で叫ぶと、アーメリアが爆笑している
「10年後英雄譚で広めましょう」
アーメリアが笑いながら言う
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