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第61話 イールスとアーネ

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イールスとアーセリオドールは、ベラトリバウム男爵領に一番近い村に戻り、アーセリオドールは、村長とアーネを呼び出す
「アーセリオドール様、御用と伺いましたが」
村長がアーセリオドールを見てから、イールスを見ている

「この村の森だが、魔法研究員と伯爵家で管理する事が決まった、これがヘルクドール様からの命令書だ」
アーセリオドールが手紙を差し出すと、村長が慌てて手紙を読んで震えている
「そそそそっそんな…我らに死ねと…」
村長が泣き崩れると、アーネが驚いて唖然としている
「村長そんなに悲しむ事か?」
アーセリオドールが驚いて聞く
「何を!! 森の管理されたら、この村は、どうやって生きていけば良いのですか!! アーネも差し出して、何故ここまで…もう終わりです」
村長が涙を流しながら座り込んでいる
「良く読むように…」
アーセリオドールが苦笑いして、イールスを見ている
「お祖父様…」
アーネも泣き崩れている
「アーセリオドール様、手紙を拝見させて貰えますか?」
イールスが考えてから聞くと、アーセリオドールが苦笑いしながら頷いている

イールスが、手紙を村長から受け取り、読み始める
「アーセリオドール様、ヘルクドール様にもう一度確認が必要です。 大切な事が抜けています」
イールスが読み終えてアーセリオドールに言うと、詳しく説明している
「これは…勘違いされても仕方無いな…肝心なアーネの件も抽象的で、考え方が変わってしまう」
アーセリオドールが苦笑いして呟く
「アーセリオドール様、概要を説明した上で、お手数ですが、ヘルクドール様に報告して頂けたら嬉しいと思います」
イールスが考えながらアーセリオドールに伝えていると、村長とアーネがイールスを見ている
「村長、この手紙では、意味が通らない、御父様にもう一度書き直して貰うが、アーネは、弟の手伝いをして貰う、正確な内容は弟から伝えて貰う。 村長、魔法研究院の研究者と共に森を管理する事になったが、研究者と共に協力して、薬草の採取をして貰い、薬草は伯爵家から魔法研究院に渡すことになる」
アーセリオドールが説明をしていると、村長が意味解らず、考え込んでいる
「アーセリオドール様、薬草は良いのですが…山菜は採取出来ますか? 何を言っているのか解りません」
村長が考えてから言うと、イールスが村長を見ている

薬草の代金で村は潤うだけど…山菜が主産業ではなくなるけど解らないのか…

「アーセリオドール様、大変申し訳ありませんが、予定の護衛2人が常駐する事と森の案内して貰いながら、研究員と話し合い、山菜の採取と森の管理に対して方針を決めて貰う事が抜けてませんか?」
考えながら言うと、アーセリオドールがイールスを見ている
「その通りだが、手紙に書いてなかったか?」
アーセリオドールがイールスを見ている
「アーセリオドール様、本当ですか! 兵士が常駐してくれるのですか!」
「その通りだ! 何か問題でも?」
「ありがとうございます」
村長が嬉しそうに頭を下げている
(この兵士、アーセリオドール様からの信頼が有るのか? 相当な信頼関係と思うが…)

「アーネは、ロイホール様の手伝いと言うことは、伯爵家に向かうように手筈をさせます」
村長が頭を下げながら言うと、アーネが慌てて頭を下げる
「ロイホールではないぞ」
「は? そうすると…ビヨール様ですか?」
村長が困惑しながら聞くと、アーネが困惑している
「ビヨールでもないぞ」
アーセリオドールが苦笑いしている
「え! 誰の側室に?」
村長が驚きながら聞く
「ここに居る、イールスの手伝いだ!」
「イールスの手伝い? えーーーーーーーーー! この兵士様の! しかし、弟と…何故」
村長が驚き叫んでイールスを見ている
「イールスは、変わっているが、大事な弟だ!」
アーセリオドールが笑顔で言うと、アーネが呆然とイールスを見ている
「弟などと申されても、王立学院卒業後、冒険者になるので、弟と呼ばれても大変申し訳ないと思ってます」
イールスが頭を下げながら言う
「は? 冒険者になる? 何故?」
村長が意味解らずアーセリオドールに助けを求めるように見ている
「イールスは、侍女が産んだ弟だが、貴族になることを嫌がっている、変わった弟だ、レズムード伯爵家の次男で有ることは、変わらない」
アーセリオドールが苦笑いしている
「え! 知りませんでした…申し訳ありません、知らない事とはいえ、大変申し訳無い事を…」
村長が頭を下げながら言うと、アーネが慌てて頭を下げている
「冒険者になるので、そんなに頭を下げないで下さい、困ります」
イールスが頭を下げながら言う
「え! イールス様、頭を下げないで下さい…どうしたら」
アーネが困惑して慌てている
「アーネ様には、魔法研究院の研究者達との同行案内と、森の管理に対しての相談相手になって下さい。 助手兼村との調整役となります」
イールスが微笑みながら説明をしていると、アーネが驚き、青ざめ始める
「イイイイ…イールス様、自信が全くありません…イキナリ調整役なんて…」
アーネ泣きそうな声で言うと、村長が口を開けて見ている
「研究者達は、群生の条件の調査研究するのが、使命ですので問題行動はしないと思います」
「イールス様…どうしたら」
アーネがうつむいて考え始める
「伯爵家の直臣だから、研究者達の監視も任務だ! 問題行動は、全部報告するように」
アーセリオドールが笑顔で言うと、村長がアーセリオドールを見ている
「アーネが直臣? イールス様とアーセリオドール様に直接お会いする事も出来るのでしょうか?」
村長が考えながら聞く
「当たり前だ! 何か問題でも?」
「私よりも重役に…」
村長が呟く
「え! お祖父様どう言う事ですか?」
アーネが少し震えながら聞く
「アーネ殿は、イールスが冒険者にならなかったら、側室でも良いが…正妻が誰になるかで問題だらけだがな…」
アーセリオドールが言うと、思い出したように頭を抱え始める
「側室…イールス様なら嬉しいです…あ! あーーーー! なななっ何でも無いです!!」
アーネが真っ赤になってうつ向いている
「アーセリオドール様、冒険者になるので、側室なんて恐れ多い事だと思います。アーネ様も好きな人が出来たら、その人と幸せになって下さい」
イールスが頭を下げながら言うと、村長とアーネが顔を見合わせている
(イールス様…好きになったら側室にして貰えますか? 何故冒険者になるのですか? 不思議な魅力が有る人です…一緒に居てすごく落ち着いて…顔を見るだけで嬉しく…あ! これは恋なのですか?)
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