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第60話 アーネと薬草 後編

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翌朝、メデル達を案内して、南の森に入っていき、薬草の群生地を見付け次第、薬草を確認して、書類に記載して、採取して進んでいる
「メデル様、この薬草、月下草です! 我が国では、初の発見です」
研究員が慌てて叫ぶ
「月下草ですか?初めて拝見しました」
イールスが薬草を見ながら言う
「こんな薬草の宝庫…何で今まで放置されているのよ」
メデルが月下草を受け取り呟き、歩いていく

「間違い有りません! 生命の恵草です…これで上級ポーション作成も出来ます」
研究員が興奮しながら見ている
「この薬草の根だけで1本金貨1枚で隣国から買っていたのに…間違いないです…」
メデルがじっくり見ながら言う
「 メデル様良かったです」
「イールス…アーセリオドールに言うのも大変です。ヘルクドール様に直接話しますが、魔法研究院で管理する必要が有ります…この地図の薬草が全部採取できるなら、魔法研究院として、感謝しか有りません」
メデルが言葉を選びながら言う
「村人からしたら、ただの草です。知識が無いと意味が有りません。しかし、山菜がこの村の収入源なので、採取出来ないと困ります」
「薬草ですよ! それがどれだけ重要か! 国を考えるなら、優先するべきです!!」
「この薬草も、村人が山菜を採取して、森を管理していたから、群生した可能性も有ります。魔物も駆除しています。 管理するには、村人達の理解も必要です」
「イールス…そうですね…研究が必要です…イールスもしかして、その為にあの娘に案内をさせていたのですか?」
メデルが周囲を見て、考え込んでいる
(薬草の事しか考えてませんでしたが…定期的に木も伐採されています…薬草が群生する為の条件を研究する必要も有りますが…下手な貴族が知ったら、荒らされますね…やはり、レズムード伯爵家の協力が必要です)

日が暮れる前に村に戻ってくると、アーセリオドールに会いに向かう
「アーセリオドール殿、直ぐにヘルクドール様と話し合いが必要です」
メデルがアーセリオドールを見付けて、相談を始める

「大事だが…そんなに凄い事か解らないが…」
アーセリオドールが苦笑いしている
「この村は魔法研究院で管理したいですが…薬草の採取の代金は支払います。 何としても管理する必要があります」
「イールスは、どう思っている?」
アーセリオドールが考えながら聞く
「アーネ様に薬草の採取の知識を勉強して貰いたいと思います。 管理するにも協力関係が必要です。魔法研究院も薬草の群生の研究が、必要になります」
「その通りです。 今回イールスの見識の広さを実感しました。 今までのやり方をするつもりは有りません…協力はおしみません」
メデルが考えながら言う
「イールスが言うなら…御父様を交えて話し合いをしよう」
アーセリオドールが考えながら言う

翌朝、アーセリオドールとイールスとメデルは、伯爵家の町に向かって出発する

伯爵家の屋敷に到着して、応接室に向かう
「何故メデル殿がここに?」
ヘルクドールが苦笑いして聞く
「ヘルクドール様、申し訳ありません。実は手紙を確認した、メデル様が来訪して貰えるとは、思ってませんでした。 本当に申し訳ありません」
イールスが頭を下げながら言うと、アーセリオドールが説明をしている

「メデル殿、何から話し合いますか? イールスの件ですか?」
ヘルクドールが苦笑いしながら聞く
「薬草の件から話したいですが…先にモンスターの話です」
メデルが迷いながら言う
「やはり…王家から密命を受けているのですか?」
「否定はしません…キマイラを討伐してしまったなんて、報告は出来ませんが、発生地点が問題です」
メデルがヘルクドールを見て言う
「イールスの調査の結果、ベラトリバウム男爵領の可能性が高いと思われます」
アーセリオドールが詳しく説明をしている
「使者が必要か…面倒な事に」
ヘルクドールが考え込んでいる
「騎士団に報告はします。 調査が正確なので、問題は有りません…広範囲を調査完了しています。モンスターを討伐した証拠も欲しいですが…」
メデルが笑顔で言う

「メデル様、王都に帰ってから、買い取りをお願いするつもりで、溜めて有ります。メデル様お手数ですが、買い取りと御確認をお願いします」
イールスが笑顔で言うと、魔法の鞄から袋を出して、テーブルに置いていく
「は? 何この量…」
メデルが袋を開けて青ざめている
「北側と東側の森を探索中雑魚が沢山現れましたので、討伐しておきました」
笑顔で言うと、アーセリオドールとヘルクドールが苦笑いしている。メデルがテーブルに中身を出して、牙を持っている
「イールス、この牙は?」
「それは…覚えてませんが…茶色いウルフの牙だと思います」
思い出しながら説明をしている
「この爪は? タイガーですね」
「はい、一刀両断して倒しました。毛皮が残らなくて、残念でした」
「この角は?」
「角ウサギの角です」
イールスが次々と説明している

「ヘルクドール様、後程数を数えて下さい。この数尋常では有りません…アーセリオドール殿、先に確認をしておいて下さい」
メデルが疲れたようにアーセリオドールを見ている
「え! 大変申し訳ありません。これからは気を付けます」
イールスが頭を下げている
「沢山倒していたのは、聞いていたが…正確な数は聞いてなかった…」
アーセリオドールが苦笑いしている
「メデル殿、どうしますか?」
ヘルクドールが青ざめて聞く
「直ぐに王都に使者を…ベラトリバウム男爵を問い詰めます。この爪と牙だけで、十分です」
メデルが考えながら、イールスを見てから溜め息をする
(イールスどうやって秘密にすれば…ヘルクドールとアーセリオドールの様子から、他にも何か有ったのですか?)

イールスが薬草の件を詳しく説明をしている
「メデル殿、そんなに凄い事なのか?」
ヘルクドールが考えながら聞く
「イールスの考えの研究も必要です。今回同行した、研究員は、そのまま残して帰ります。採取した薬草の代金は支払いますが…管理は必ず必要です。乱獲したら直ぐに無くなります」
「メデル殿が言うなら、協力は惜しまない」
ヘルクドールが考えながら言う
「イールスが推薦した、アーネさんを助手兼調整役任命をお願いします」
メデルが微笑みながら言うと、イールスが詳細に説明をする
「アーネか…本来なら一生屋敷で働く約束をしたが…イールスの推薦なら構わない」
ヘルクドールが笑顔で言う
「ヘルクドール様、下賎な身なので理解できてませんが、何故一生働く約束を?」
イールスが驚いている
「あの村の税が滞納を続けていた…孫娘をアーセリオドールの側室か、イールスもしくはロイホールの側室と言う事で屋敷で働かせる事を約束している。イールスの推薦ならイールスの手伝いと言う事にすれば良い」
「え! 貴族は面倒です。やっぱり早く冒険者になりたいと思います」
「メデル殿、これがイールスだ!」
ヘルクドールが苦笑いして言う
「魔法研究院に仕官させてください! 野放しに出来ません」
「大変申し訳ありませんが、下賎な身なので、御遠慮したいと思います。 半人前の為、御迷惑をお掛けしてます。早く冒険者になって家を出たいと思います」
頭を下げながら言うと、アーセリオドールとヘルクドールとメデルが溜め息をしている
(口癖になっているのですか? 扱い方を考えないと…)

イールスが部屋に戻っていく
「はぁ…来なければ良かった…調査の依頼が有っても…」
メデルが後悔している
「メデル殿、キマイラの件は内密に」
ヘルクドールが頭を抱えながら言う
「イールスの監視はしてください! キマイラだけでは無いです! 魔剣の事も魔法薬の事も魔法の事も…イールス! 全部秘密だらけじゃない!! アーセリオドール何とかしなさい!少しは王国の事も考えなさい!!」
メデルが怒鳴り、アーセリオドールを睨んでいる
「イールスが…仕官だけはさせれないか…想像したら怖すぎる」
アーセリオドールが青ざめて頭を抱える
「仕官したら? …魔法の実力…剣の実力…伯爵家が後ろ楯…権力者になったら、どこまで裁量を発揮するか…敵対したら、反撃不可能に………」
メデルが考え始めると、青ざめている
「考えたら終わりだな…仕官させるか?」
ヘルクドールが苦笑いしている
「何か考えないと…恐ろしい想像が…」
メデルが青ざめて考えている
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