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第25話 迷宮2層域

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アーゼリアストリア王立学院の試験も終わり、勉強と迷宮訓練して過ごしている

「イールス様、アーセリオドール様が御呼びです」
侍女が呼びに来ると、本を閉じて部屋を出て侍女と共にアーセリオドールの元に向かう

「アーセリオドール様、御呼びでしょうか?」
部屋に入り、声を掛ける
「セロスが早く魔法研究院に入れろと、結構面倒だ…魔法の練習も迷宮でしているのか?」
「はい! 冒険者として一人立ちする為に、魔法は役に立ちます。セロス様に感謝しています」
笑顔で言うと、アーセリオドールが溜め息をする
「イールス、仕官したら、かなりの実力者になるだろう…王立学院卒業まで、しっかり考えなさい」
アーセリオドールが真剣にイールスを見て言う
「アーセリオドール様、何を言われても、冒険者になります。 色々心配して貰い、本当に感謝してます。」
「はぁ…御兄様と呼んでくれないのか?」
「え! 恐れ多いです。下賤な身の私等が申し上げるのは、大変申し訳ないです。」
真剣にアーセリオドールを見て言う
「やっぱりダメか…非常に残念だ」
アーセリオドールが残念そうに呟き、イールスが部屋に戻っていくと、アーセリオドールが後ろ姿を見ている
(イールス、3年間で考えを変えて欲しい)


翌朝、イールスは、護衛達と迷宮に向かう

一角ウサギを見付けると、イールスは接近しながら剣を抜き、一角ウサギの胴体を斬り、黒い煙になって消える
「カルス、お見事です」
護衛が微笑みながら言う
「この程度、まだまだです。まだまだ頑張ります」
「カルス、先を急ぎましょう」
護衛達がイールスを見ている。イールス達はモンスター達を殲滅して進み、門の前に到着する

「カルス、覚悟は出来てますか?」
「この先にボスが…グレイウルフが…」
考えながら呟く
「攻撃は、私達が防ぎます。心の準備が出来たら、進みます」
「もう出来ています」
笑顔で言うと、剣を握りしめて、扉に触れると、扉が開き、奥に大きな狼が見える

「グォーーーーーー!!」
狼が咆哮をすると、狼が6体現れてイールス達の方に突進してくる

え? 聞いてない!! ウルフを呼び出すなんて!
ウルフを片付けないと…

イールスが剣を振り、近付くウルフを斬り裂き、黒い煙なって消えると、護衛達がイールスの背中と両脇を守るように、構えている

ウルフが2匹同時に噛み付きにくる。イールスは、かわしながら、剣を振り抜き、ウルフを深々と斬り、黒い煙なって消え始め、もう1匹ウルフの爪が接近してくる。護衛が体当たりしながら、剣で突き、ウルフは黒い煙になって消える

え?大きな狼が、いない!! 見失った! ウルフは、右に…逆か?

イールスが左側を見た瞬間、グレイウルフが突進してくるのが、視界に入る。グレイウルフがイールス目掛けて噛み付きにくると、イールスは剣で突き、グレイウルフの口に深々と突き刺さり、勢いに剣は、イールスの手から離れる

「カルス!!」
護衛が声をあげると、後ろからウルフが噛み付きにきている。イールスはかわそうとするが、かわしきれず、体当たりされ、地面に倒れる。イールスは慌てて転がりながら、ウルフの次の噛み付きをかわして、ナイフを抜きながら、ウルフに飛び付き、ナイフを深々と突き刺し、斬り裂き、ウルフは、黒い煙をあげながら倒れる。

グレイウルフは、イールス目掛け前足でなぎ払いにくるが、イールスはギリギリで跳び退く

「魔力の源よ、炎の矢となりて、我が敵を穿て!ファイヤーアロー」
イールスは慌てて、魔法の詠唱をすると、炎の矢は、グレイウルフを貫き、グレイウルフは、黒い煙になって消えていく
「お見事です」
護衛が微笑みながら言う
「危なかった…ウルフが現れるなんて、思ってなかった…グレイウルフがこんなに強いなんて…」
「え? あれは、レアなシルバーウルフです。 まさか、いきなり現れるなんて、思ってませんでした」
護衛が苦笑いしていると、残った毛皮を見ている
「毛皮と魔石とこれは腕輪?」
イールスがシルバーウルフの毛皮拾い、腕輪を拾い見ている
「防具屋で鑑定して貰いましょう…ドロップアイテムなら、かなりの値打ち物です」
護衛が笑顔で言うと、イールスが袋にしまい、周囲を調べながら、奥の扉に向かう

扉から出ると、草原が拡がっている
「これは…迷宮なのですか?」
周囲を見ながら言う
「2層域は草原ですが、警戒は怠らないで下さい、強いモンスターもいます」
護衛が警戒しながら言うと、イールス先頭に草原を歩いていく

草むらに赤と茶色のスネークを発見すると、スネークと目が合い、噛み付きにくる。イールスは、かわしながら、剣を振りスネークを両断して、黒い煙なって消える
「これは、牙かな?」
魔石と歯が残っている
「スネークの牙です。ポーションの材料になりますので、売れます」
護衛が見ながら言う

ウルフが3匹疾走して近付いてくる。イールスがかわしながら、剣を振り抜き1匹を斬り黒い煙なって消えると護衛が1人噛み付かれている。イールスは慌てて剣を振り下ろし、ウルフの頭を斬り落とし、黒い煙になって消える。もう1匹は、護衛達が剣を突き立てて黒い煙になっている
「申し訳ありません、油断しました」
護衛がポーションを使いながら、苦笑いしている
「ポーション初めて使っているのを見たかな?」
真剣に見ながら言う
「え? あ!! カルス怪我してないです」
護衛が驚きながら言うと、護衛達が笑い始める
「慎重に進みましょう」
ウルフの魔石と毛皮を拾い、警戒しながら歩き始めて、遭遇するモンスターを倒して進み、時間を考えて迷宮出口に向かう

「少し遅くなったかな?」
周囲の暗さを見て聞く
「早く冒険者ギルドで買い取って貰って帰りましょう」
護衛が真剣に言うと、冒険者ギルドで、魔石を買い取って貰い、道具屋で牙等アイテムを売り、屋敷に帰っていく

「シルバーウルフの毛皮だけ売らない方が良いのは、何故ですか?」
「貴婦人は、この手の毛皮のコートにしたいと思っています」
護衛が真剣に言う
「メサリア様が喜ぶなら、あげようかな?」
「え? メサリア様に? えーと、イールス様の御友人様にプレゼントした方が、良いのですが…」
護衛達がイールスを見て言う
「誰かにあげたら、大変な事になりそうだから…メサリア様に恩返しも必要ですよね?」
真剣に考えながら言うと、護衛達が考えてから、微笑んでいる

屋敷に戻ると、メサリアの部屋に向かう
「メサリア様、少し宜しいですか?」
メサリアの部屋の扉をノックしてから言う
「イールス、何か用ですか? 入りなさい」
メサリアの声がすると、イールスが扉を開けて中に入る
「メサリア様、本日、珍しい物が手に入りましたので、差し上げようと、思い持って帰ってきました」
頭を下げながら言うと、ウルフの毛皮を差し出す
「え? …白銀の毛皮…良いですわ」
メサリアが嬉しそうに毛皮を受け取り、触っている
「メサリア様に喜んで貰えたら、嬉しいと思います。もう遅いので本日は失礼します」
イールスが部屋を出ていく
「あ!! もうイールスは、御姉様と呼んでくれたら、もっと喜ぶのに…」
メサリアが扉を見て呟き、イールスが出て行った扉を見ている
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