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8Chance 『協力者やん。』

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長岡の治療が終わって半日後、病院にて…

長岡は病室のベットの上で目を覚ました。

「兄ちゃん!!!」
「大介さん!!!」

長岡の側にはペドロとイザベラ、そして医者の姿があった。

「ワンチャン助かったんか…?」

現状をあまり理解できていない長岡に、医者は言う。

「あの状態から…しかもこんなにも早く目が覚めるなんて奇跡だよ。いや!俺の腕が良いからやな!俺のおかげやぞ!」

イザベラは医者に礼を言う。

「はい。本当にありがとうございました。」
「いえいえ~。」

医者は病室から出た。

〈何が『俺の腕が良いから』だよ…〉

その時、ペッテイングが姿を現した。

「僕の頑張りのおかげだろ。」
「あ、久しぶり。」

ペドロが軽く手を振る。

「大介が早く目覚めたのは、僕が大介の身体の中で病原体と戦ってたからだ!どれだけ大変だったか…!」

その時、長岡はペッテイングに礼を言った。

「そうか…なんか色々と迷惑かけた。すまんな。」
「いや…まぁ、君に死なれたら僕も死ぬからね。当然だよ。」

その時、長岡の病室に、治療を終えたシゲルが入ってきた。

「うっわお前…」

ペドロはあからさまに嫌そうな顔をする。

「知り合いか?」
「んまぁ…」

長岡はペドロに聞いたが、ペドロの反応はイマイチだ。

「ッ~。」

シゲルはトランスに喉を潰されて、声が出せずにいる。
その時、シゲルはマジックペンで壁に『約束』と書いた。

「あっ…」

イザベラは何かを思い出した。
続けて、シゲルは壁に『ヤラセロ』と書いた。

「あぁ~!!!」

ペドロは叫んだ。

「何や何や?何かすんのか?」

ペドロは長岡にこれまでに起こった事を全て話した。

「それ!ワンチャンやないか!!!」
「頼む兄ちゃん!姉さんを助けてあげて!こんな半裸変態に、ウチの姉さんは渡せないよ!」

次の瞬間、シゲルは下半身を露わにして、イザベラに近づいた。

「い、嫌ッ…!!!」

その時、長岡は声を上げた。

「ちょっと待て!!!」

シゲルは歩みを止めたが今にもイザベラに飛び掛かりそうだ。

「お前、ヤれれば誰でもええんか…?」
「ッ~!!!」

シゲルは顔を横に振った。

「じゃあどんな女がええねん…?」

シゲルは壁に『美人で尻のデカい女』と書いた。

「…分かった。お前の願い叶えたる。その代わり、そいつには手ぇ出さんといてくれ。」
「大介さん…」
「ペドロ。電話、持って来てくれ。」
「え…あぁ。うん。分かった。でも、一体何を…?」
「協力者がおるって、前言ったよな。」

長岡はペドロが持ってきた電話で誰かと話をした。

「オッケーや。」

長岡以外はみなぽかんとしている。
しばらくすると長岡の病室にエッロい格好で尻のデカい美人な女がたくさん入ってきた。

「ッ~~!!!?!?!」

シゲルは勃った。

「これでええやろ。」

シゲルは満足げな顔で首を縦に振った。

「んじゃ、行くぞ。」

長岡はベットから降りた。

病院の前にて…

病院の前には、軍用の車両が停まっていた。
長岡は当然のようにその車両に向かって歩いて行く。

「乗るぞ。」
「え、コレに…?」
「あぁ。」
「でも、どこへ…?」
「今から、マリンガにおる協力者に会いに行く。」

サンパウロ、とあるビルにて…

三人の男達が話をしている。

「トランスもやられたか。」

スーツの男がそう言うと半ズボンの男と糸目の男がそれぞれ反応を示す。

「いや…え…いやふっあのさ…いやふふっ弱すぎやろ。」
「はたまた、敵が強者か…」

スーツの男は腹を括って二人に結論を出す。

「やはり、全員で始末しに行くべきです。その方が勝算は高いと思われますが。」
「え…いやふっでも…」
「…やむを得ない、か…」

数日後、ブラジル、パラナ州マリンガにて…

此処マリンガは、パナマ州に計画都市である。日系ブラジル人の拠点の一つでもあり、人口は約40万人程。
そこのとあるバーに長岡達は居た。

「マスター。注文ええか?」
「どうぞ。」

少しの沈黙の後、長岡は一言だけ発した。

「それな。」

すると、マスターは何も言わずにカウンター裏の扉を開けた。

「通りな。」

長岡達はその扉の先に向かった。

カウンター裏の扉の先にて…

長い階段を下っていた。

「協力者…一体どんな人なのですか?」
「軍用の車でお出迎えなんだ…きっと、すっげぇイカツイおっさんなんだぜ。」
「いや。俺と同い年。」
「え⁈」
「俺と同じ日本人やし…てか、高校の同級生やし。」

階段を下り終えると、正面に鉄の扉が現れた。
長岡は扉を開けて、中に入った。

扉の先の部屋にて…

部屋の中には爆弾や銃、ナイフや防弾チョッキなどが大量に置いてあった。
そして、部屋の真ん中にある大きなソファに、一人の天パの青年が座っていた。

「よぉ。久しぶりやな。植松うえまつ。」
「はは。それな。僧侶枠やん。」
「(この人が協力者…)」
「(兄ちゃんの、高校の同級生…)」
「どした?」
「この国の裏ボスの玉潰したい。武器と情報くれ。」
「おけ。」

その時、植松は手榴弾を長岡に投げて渡した。

「おぅぎゃ!手榴弾投げて渡すな!手渡せ!」
「はは。それな。僧侶枠やん。」
「「(僧侶枠って何…)」」

イザベラとペドロは植松が頻繁に言う僧侶枠が何なのか分からず困惑している。

「裏ボス、俺も探してんで。」
「…見つからんのか?」
「それな。」
「お前でも見つけられへんとか…」
「「僧侶枠やん!!!」」

二人は腹を抱えて笑っている。
ペドロとイザベラは『はぁ?』って顔をしている。

「ご、ごめんごめん。高校ん時のノリ出てもうたわ。」

長岡は笑いが止まらない。

「どんな高校生活送ってきたんだよ…」
「ま、探しとくわ。それまで遊んどけば。」
「しゃーないな。ワンチャン遊んどくか。玉無いけど。」
「はは。僧侶枠やん。」
「ペドロ。イザベラ。お前らも好きにしてくれてええぞ。」
「え…?」
「観光や観光。今まで危険な事に巻き込んで悪かったな。まぁ、楽しんでくれ。」
「でも、俺たち金ねーし…」

その時、植松はペドロに100万円分の札束を投げて渡した。

「はは。」
「「あざーす!!!」」

ペドロとイザベラは町へ観光しに行った。

「お前、とんでもないな。」
「それな。」

僧侶枠やん。
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