ゴールデンクラッカー☆大介

泉出康一

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1Chance 『ゴールデンクラッカー』

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2022年2月8日、ブラジル、とあるスラム街にて…

薄汚れた建物内で、男達が数人の女性を輪姦している。
そこにスーツ姿の男がやってきた。
輪姦していた1人の大柄な男は、そのスーツの男に気づいた。

「あ?…なんだ、アンタか。悪いが、今取り込んでんだ。後にしてくれや。」
「…最近、アナタの班の営業成績が著しく低下傾向にある模様。売れ上げ額が1ヶ月以内に2割減衰した場合、契約は解除されます。」
「は⁈」
「なお、契約が解除された場合、規約通り、アナタ方の権利の一切は弊社のものとなりますので、ご注意を。」
「お、おい…そんな…か、勘弁してくれよぉ~…そうだ!」

大柄な男はスーツ男の肩を掴んだ。

「この女共、アンタの好きにしてくれて構わねぇからよぉ…なぁ、頼むぜ…」
「…我々『カラス』の言動はあのお方の意思そのもの。」

スーツ男は肩に乗せられた手を払い除けた。

「今の話は聞かなかった事にしましょう。ご健闘お祈りします。」

翌日(2月9日)、ブラジル、スラム街のとある民家にて…

ボロボロのベットの上で、一人の少女が眠っている。その側には着替え中の少年がいた。

「おーい、姉さーん。イザベラ姉さーん。」

少女は目を覚ました。

「あ、ペドロ…おはよぉ~…」
「俺、出かけてくるから。ちゃんと隠れとけよ。」

スラム街で誘拐は日常茶飯事。よって、女性一人の留守番は非常に危険な為、このような対策が取られていたりする。

「うん。ありがと、ペドロ。」

イザベラはベットの下に潜り、ベットから布団を垂らして隠れた。

「気をつけてね。」
「うん。」

昼、ブラジル、とある町の市場にて…

辺りは人で溢れかえっていた。

「よぉ!兄ちゃん!」

ペドロは1人の青年に声をかけた。

「兄ちゃん、観光客だろ!チャイニーズか?」
「…ジャパニーズ。」
「んまぁ、どっちでもいいや。観光は初めてかい?右も左も分からず大変だろ?」
「別に。」
「俺さ、ガイドやってんだ!雇ってくれよ!安くしとくぜ!」
「要らん。」

青年はペドロから離れようとした。
しかし、ペドロはしつこく青年に話しかけた。

「ここら辺、結構治安悪いよ~。俺みたいな地元民がいなきゃ、兄ちゃん絶対カモにされちゃうね!うんうん!」

その時、青年はカバンから財布を出した。そして、財布から金を取り出し、その金をペドロに手渡そうとした。

「コレやるからどっか行け。」

次の瞬間、ペドロは青年が手渡した金ではなく、財布の方に手を伸ばした。
そして、ペドロは青年から財布を盗み、走り出した。

「お望み通りどっか行ってやるよぉ!バァァァーーーカ!!!」
「…」
〈まんまとやられたね。どうする?〉
「決まってるやろ。」

その時、青年は走り去るペドロに向けて腕をかざした。

「ワンチャン潰す!!!」

次の瞬間、青年はかざした手を握った。

「『高痴漢技術サワレヤ』!!!」

すると次の瞬間、ペドロは股間を抑えて、地面に倒れた。

「く…がッ…!!!(な、何だ!急に…タマが…!)」
「安心しろ。タマ一個で許したる。」

悶え苦しむペドロの元へ、青年がやって来た。
「…せっかくやし、ワンチャン案内頼もかな。」

数十分後…

青年とペドロが町を歩いている。

「この町は見栄えは良いけど、実質ほとんどがスラム街の住人さ。しかも町を仕切ってるのはギャング。暗黙の了解であるんだ。この町に入った観光客は、殺しても良いってな。」
「なるほど。やから100人くらいに絡まれたんか。ヒャクチャンやな。」
「…兄ちゃん、一体何者なんだ?それにさっきの…超能力…?」
「…ただの観光客や。」
「…ま、いいや。そういう事だからね。」
「どういう事や?」
「この町は危険って事。だから、兄ちゃんも早く国へ帰りな。もしくは、もっと安全な所へ観光しに行くんだな。」
「……ん?」

その時、青年は少女が無理矢理、車に入れられるのを見た。

「いやぁ!誰か助けて!!!」
「…目を合わせない方がいい。あの車、さっき言ったこの町を仕切ってるギャングの奴らだ。関われば殺され……ッ⁈」

その時、ペドロは車の中にもう一人、少女が乗っている事に気がついた。

「姉さん…⁈」

そう。それはペドロの姉、イザベラの姿であった。
次の瞬間、ペドロは走り出した。

「姉さん!姉さんッ!!!」

ペドロは開いた車のドアを掴み、叫んだ。

「ペドロ…⁈ペドロなの⁈」

イザベラは目隠しを付けられていた。
その時、ペドロは一人のギャングの男に顔面を殴られた。

「なんだテメェこら。死にてぇのか。」
「た、頼む!その人、俺の姉さんなんだ!返してください!」
「…おい。お前らは先に行け。」

他のギャングの男達は少女を車に入れて、車を走らせ、その場を去った。 

「待って!!!」

ペドロが車を追おうとしたその時、ギャングの男はペドロの腹に蹴りを入れた。

「がはッ!!!」

ペドロは地面に倒れた。

「ガキが!この町で俺らに逆らったらどうなるか、分からせてやる…!」

ギャングの男は地面に倒れたペドロを蹴り続けている。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

ペドロは虫の息だ。

「そろそろ終わりにしてやるよ…」

その時、ギャングの男は懐から拳銃を取り出し、ペドロに銃口を向けた。

「ハジけろガキ…!!!」

次の瞬間、ギャングの男の拳銃が手元から勢いよく弾けた。

「ガキ相手に、その弾はアカンやろ。」

青年はギャングの男に向けて手をかざしていた。

「『高痴漢技術サワレヤ』!!!」

青年がかざした手を閉じた次の瞬間、ギャングの男は股間を抑えて地面に倒れた。

「ニュギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッ!!!?!?!??!!!」

ギャングの男は悶え苦しんでいる。
青年は再び、ギャングの男に向けて手をかざした。

「ワンチャン…殺れる…ッ!!!」

次の瞬間、ギャングの男の股間から、破裂音が響いた。

「ア…ガ…ッ………」

ギャングの男は失神した。

「…兄ちゃん…アンタ…一体…⁈」
「…長岡大介ながおかだいすけ…」

青年は振り返った。

「『ゴールデンクラッカー』や。」
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