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第2章『ガイ-過去編-』
第128障『警告と禁止』
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【4月2日、朝9時、フリージア王国よりさらに北、コールの村、とある民家にて…】
『模倣AG』で『Zoo』の殺し屋の一人、ソフトの超軟体を模倣したガイ。それに呆気を取られる時和。
「人質なんか取るお前ら程度じゃ、アイツらには…アイツらの技には絶対勝てない…!」
時和の拳が当たった箇所、ガイの顔面下半分の骨は粉々に砕け散った。それは仕方のない事。ガイはソフトのように、全身の骨が関節化している訳じゃないからだ。しかし、それによりガイは骨折のみのダメージで済み、死には至らなかった。
そして次の瞬間、ガイは骨刀で時和の心臓を貫いた。
「おごッ…‼︎」
「死ね。クソジジイ。」
時和は地面に倒れた。
「警告する。」
その時、ガイは『現代のオーパーツ』で顔面の骨を整形しながら、芝見川に向けて警告を発した。
「『リアムの無限戒』の使用を禁止する。」
ガイは芝見川のタレント『リアムの無限戒』を完全に理解した。それ故、そのタレントをコピーし、逆に芝見川にタレントをかけたのだ。
「なるほど。『模倣』ですね。なんと不健全な。」
しかし、芝見川は全く焦る様子はない。
「確か『模倣』はコピーする対象のタレントを詳しく知っておかなくてはならないはず。よくこの短時間で理解できましたねぇ。」
「あぁ。攻撃が禁止されてるのに攻撃できる、このおかしな点さえ分かれば、あとは簡単だ。」
ガイが時和を刺し殺せた理由は『リアムの無限戒』の手順1にある。
手順1:相手の禁止したい行動を目撃する。
この時、芝見川はガイのパンチやキックを見て、警告を発した。パンチやキック、それは即ち、ガイの直接的な素手での物理攻撃。つまり、禁止されたのは素手での物理攻撃のみだったのだ。また、『リアムの無限戒』で禁止できるのは意識下にある行動のみ。即ち、ガイが攻撃と思わずにもょもとに放ったビンタも使用できたのだ。
「禁止したい相手の行動をよく見る事。そして、その行動が意識下である事。それがわかった時、お前のタレントをコピーする事ができた。」
ガイは芝見川に近づく。
「お前が具体的な攻撃内容を言わずに、大雑把に『攻撃』と言ったのは、俺を惑わす為。もょもとが居なかったら、おそらく俺はその事に気づかなかった。そして…」
ガイは芝見川の前に立ち、足を止めた。
「俺はお前の天敵だという事。」
「ほぉう。」
芝見川は冷静にガイの話を聞き続けた。
「お前は俺のタレントを禁止しなかった。それは、お前が実際に見たタレントしか使用禁止にできないからだ。俺の能力ストックのタレントは、性質上、どうやっても見る事ができない。見れるのはストックされてるタレントだけ。それらの使用禁止なら出来るだろうが、お前はそれすらしなかった。何故か。それは、警告を出しているうちは新たな警告を出せないからだ。それこそがお前のタレントの弱点。」
ガイの言う通り。『リアムの無限戒』は警告が出ているうちは新たな警告を対象に重複して出す事はできないのだ。だから、ガイにタレントの使用禁止警告は出さなかったのだ。もし、ガイのストックの一つ『火炎PSI』に禁止警告を出してしまえば、ガイは『火炎PSI』以外のタレントを使用し、戦いを続けるであろう。そうなれば、新たに警告を出す事もできず、実質、『リアムの無限戒』は封じられたも同然となるからだ。
「そもそも何個も警告出せるのだとしたら、今頃お前、警告しまくってるに決まってるだろ。」
ごもっとも。
「やはり…」
その時、何処までも無表情だった芝見川の顔に綻びが見えた。笑ったのだ。ニヤリと。
「あの方の言う通り、打たなければならない杭だったようですねぇ。貴方は。」
ガイは芝見川に向けて骨刀を振り上げた。そんな状況に陥っても、芝見川は余裕ある素振りを見せる。
「最後に一つ、良いですか?」
「あぁ。別にすぐには殺さないから。こっちも色々聞きたいし。」
「何故に、貴方は拙僧の『リアムの無限戒』に使用禁止の警告を出したのですか?」
「念の為。」
「念の為ぇぇ?」
すると、芝見川は涙を流し始めた。その様子にガイは恐怖した。何故なら、彼の顔はどんなホラー映画に出てきたバケモノよりも、おぞましい表情だったから。
「それはそれは健全ですねええッ‼︎とても体に良いいいッ‼︎何故なら全く念の為になっていないからですよおおおおッ‼︎」
大号泣。顔は怒っているのか悲しんでいるのか笑っているのか呆れているのか全くわからない。ただ、おぞましい。
瞬間、芝見川は無表情に変わった。それを見たガイに悪寒が走った。
「念の為を思うなら、拙僧の視界を禁止しなければならないでしょう?」
ガイは芝見川に骨刀を振り下ろした。白鳥組の情報を得られないのは惜しい。しかし、嫌な予感がしたのだ。今殺さないとダメな、そんな気が。
「拙僧が二つのタレントを持っていたらどうするんですか。」
予感は的中した。骨刀はガイの両腕ごと一瞬にして消え去ってしまった。
「ッ⁈」
ガイは『現代のオーパーツ』で両腕と骨刀を創造しながら、後ろに飛び退く。
「(今、何が起こった…⁈)」
次の瞬間、飛び退いた先でガイはとあるものに胸を貫かれた。
「がはッ‼︎」
それは腕。いや、陰茎だ。直径30cm以上ある巨大な陰茎がガイの胸部を貫通していた。
「ほっホーい!!!ビンビンじゃワて~!!!」
「お…ま……え………ッ‼︎」
それは魔物化によって死の淵から目覚めた時和の腕だった。
時和は両腕と頭部が男性器に変化しており、背中には無数の乳房、腹には鋭い牙の生えた女性器が声を発していた。
「キモぢいいいいいいいイイいいいいイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」
ガイの胸を貫いた時和の右腕の陰茎は射精した。
「『火炎PSI』!!!」
ガイはPSIを火炎に変質させ、自身を貫く陰茎を燃やした。しかし、全く効いていない。
「熱いのシュゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
ガイは骨刀でその陰茎を切り落とそうとするが、陰茎の異様な硬さと、魔物化による著しいPSIの上昇により、傷一つつかない。それになにより、今のガイはPSIを纏えないのだ。
「『模倣AG』!!!」
ガイはソフトの超軟体をコピーし、時和の右腕陰茎から逃れた。
「ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎」
ガイはなんとか意識を保ちつつ、『現代のオーパーツ』で治癒した。瞬間、ガイの目の前に距離を取ったはずの時和の姿が突如として現れた。
「(間違いない…コイツ…‼︎)」
その刹那、ガイは先程から気になっていた違和感の正体に気づいた。それは時和の足跡。時和がガイの目の前に瞬間的に現れた時、雪の上に残る足跡もまた、瞬間的に現れていた。つまり、瞬間移動ではなく、時和はちゃんとガイの元まで歩いてきたという何よりの証拠。
「(時を止めるタレント…‼︎)」
そう。時和は時を止め、ガイに近づいたのだ。そして、ガイは常盤の足跡によりそれに気づいた。しかし、時を止めるタレントなど、気づいたところで対処などできない。いや、ガイの『模倣』ならまだ希望はある。タレントの詳細さえ理解できれば、時和の時間停止のタレントをコピーできるからだ。
「ッ…‼︎」
時和はガイに向けて右腕陰茎を放つ。速い。今、PSIを纏えないガイにとって回避不可能な速度。ガイは『現代のオーパーツ』で肉と骨を生成し、盾を作ろうとした。
「しまっ……ッ⁈」
瞬間、ガイの体が動かなくなった。意識してしまったのだ。防がなければ、と。防御が禁止されているにも関わらず。
動けなくなったガイの顔面めがけて放たれる時和の右腕陰茎。ソフトの超軟体でダメージを軽減、いや、無理だ。時和のこの一突きはもはや刺攻、まるで槍。皮膚を突き破り、骨を砕き、ガイの脳髄に穴を開ける。ソフトの超軟体では斬撃は防げない。
「(くそッ…‼︎)」
ココで死んでは元も子もない。ガイはPSIを身に纏い、防御力を上昇させ、時和の攻撃を顔面で受け止めた。
「ぐあッ!!!」
ダメージを軽減出来たとはいえ、魔物化した時和の一撃は凄まじく強力。ガイは民家内へと飛ばされた。
【民家内にて…】
民家へと飛ばされたガイ。瞬間、胸にバツ印が浮かび上がった。ガイはもう二度と肉体にPSIを纏えなくなってしまったのだ。
「お前…!」
ガイの元へもょもとが駆け寄ってきた。
「お、おい…!大丈夫か…⁈」
「あ…が………ッ……」
ガイは意識が朦朧としていた。両目は先ほどの一撃で失明しており、歯や鼻骨などの骨は粉々に砕けている。すぐに動ける状況ではない。
そんな二人の元へ何かがゆっくりと飛んできた。
「何だ……?」
それは竹トンボだった。しかし、もょもとはそれが何かわかっていない。
「PSI……ッ………」
ガイがかすかにそう呟いた。そしてその時、もょもとはガイの発言の意図を察した。
「ッ⁈」
その竹トンボからは微弱ながらPSIを感じられた。その事を理解したもょもとはガイを抱え上げ、その竹トンボから離れる。
瞬間、その竹トンボを中心として空間ごと辺りが削り取られた。ガイの両腕を消し去ったのと同じように。
「おいおいマジかよおい…‼︎」
その時、もょもとは気づいた。部屋中から微弱ながらPSIを放つ玩具の存在に。
「寿司、遊具、工作機械。人は回転を利用し、回転は人を魅了する。」
その時、民家の外から芝見川の声が聞こえてきた。
「『魅廻』。それが拙僧の第二のタレント。健全でしょう?」
次の瞬間、民家は消滅した。中に居たコールの村人達、もょもと、ガイを含めて。
『模倣AG』で『Zoo』の殺し屋の一人、ソフトの超軟体を模倣したガイ。それに呆気を取られる時和。
「人質なんか取るお前ら程度じゃ、アイツらには…アイツらの技には絶対勝てない…!」
時和の拳が当たった箇所、ガイの顔面下半分の骨は粉々に砕け散った。それは仕方のない事。ガイはソフトのように、全身の骨が関節化している訳じゃないからだ。しかし、それによりガイは骨折のみのダメージで済み、死には至らなかった。
そして次の瞬間、ガイは骨刀で時和の心臓を貫いた。
「おごッ…‼︎」
「死ね。クソジジイ。」
時和は地面に倒れた。
「警告する。」
その時、ガイは『現代のオーパーツ』で顔面の骨を整形しながら、芝見川に向けて警告を発した。
「『リアムの無限戒』の使用を禁止する。」
ガイは芝見川のタレント『リアムの無限戒』を完全に理解した。それ故、そのタレントをコピーし、逆に芝見川にタレントをかけたのだ。
「なるほど。『模倣』ですね。なんと不健全な。」
しかし、芝見川は全く焦る様子はない。
「確か『模倣』はコピーする対象のタレントを詳しく知っておかなくてはならないはず。よくこの短時間で理解できましたねぇ。」
「あぁ。攻撃が禁止されてるのに攻撃できる、このおかしな点さえ分かれば、あとは簡単だ。」
ガイが時和を刺し殺せた理由は『リアムの無限戒』の手順1にある。
手順1:相手の禁止したい行動を目撃する。
この時、芝見川はガイのパンチやキックを見て、警告を発した。パンチやキック、それは即ち、ガイの直接的な素手での物理攻撃。つまり、禁止されたのは素手での物理攻撃のみだったのだ。また、『リアムの無限戒』で禁止できるのは意識下にある行動のみ。即ち、ガイが攻撃と思わずにもょもとに放ったビンタも使用できたのだ。
「禁止したい相手の行動をよく見る事。そして、その行動が意識下である事。それがわかった時、お前のタレントをコピーする事ができた。」
ガイは芝見川に近づく。
「お前が具体的な攻撃内容を言わずに、大雑把に『攻撃』と言ったのは、俺を惑わす為。もょもとが居なかったら、おそらく俺はその事に気づかなかった。そして…」
ガイは芝見川の前に立ち、足を止めた。
「俺はお前の天敵だという事。」
「ほぉう。」
芝見川は冷静にガイの話を聞き続けた。
「お前は俺のタレントを禁止しなかった。それは、お前が実際に見たタレントしか使用禁止にできないからだ。俺の能力ストックのタレントは、性質上、どうやっても見る事ができない。見れるのはストックされてるタレントだけ。それらの使用禁止なら出来るだろうが、お前はそれすらしなかった。何故か。それは、警告を出しているうちは新たな警告を出せないからだ。それこそがお前のタレントの弱点。」
ガイの言う通り。『リアムの無限戒』は警告が出ているうちは新たな警告を対象に重複して出す事はできないのだ。だから、ガイにタレントの使用禁止警告は出さなかったのだ。もし、ガイのストックの一つ『火炎PSI』に禁止警告を出してしまえば、ガイは『火炎PSI』以外のタレントを使用し、戦いを続けるであろう。そうなれば、新たに警告を出す事もできず、実質、『リアムの無限戒』は封じられたも同然となるからだ。
「そもそも何個も警告出せるのだとしたら、今頃お前、警告しまくってるに決まってるだろ。」
ごもっとも。
「やはり…」
その時、何処までも無表情だった芝見川の顔に綻びが見えた。笑ったのだ。ニヤリと。
「あの方の言う通り、打たなければならない杭だったようですねぇ。貴方は。」
ガイは芝見川に向けて骨刀を振り上げた。そんな状況に陥っても、芝見川は余裕ある素振りを見せる。
「最後に一つ、良いですか?」
「あぁ。別にすぐには殺さないから。こっちも色々聞きたいし。」
「何故に、貴方は拙僧の『リアムの無限戒』に使用禁止の警告を出したのですか?」
「念の為。」
「念の為ぇぇ?」
すると、芝見川は涙を流し始めた。その様子にガイは恐怖した。何故なら、彼の顔はどんなホラー映画に出てきたバケモノよりも、おぞましい表情だったから。
「それはそれは健全ですねええッ‼︎とても体に良いいいッ‼︎何故なら全く念の為になっていないからですよおおおおッ‼︎」
大号泣。顔は怒っているのか悲しんでいるのか笑っているのか呆れているのか全くわからない。ただ、おぞましい。
瞬間、芝見川は無表情に変わった。それを見たガイに悪寒が走った。
「念の為を思うなら、拙僧の視界を禁止しなければならないでしょう?」
ガイは芝見川に骨刀を振り下ろした。白鳥組の情報を得られないのは惜しい。しかし、嫌な予感がしたのだ。今殺さないとダメな、そんな気が。
「拙僧が二つのタレントを持っていたらどうするんですか。」
予感は的中した。骨刀はガイの両腕ごと一瞬にして消え去ってしまった。
「ッ⁈」
ガイは『現代のオーパーツ』で両腕と骨刀を創造しながら、後ろに飛び退く。
「(今、何が起こった…⁈)」
次の瞬間、飛び退いた先でガイはとあるものに胸を貫かれた。
「がはッ‼︎」
それは腕。いや、陰茎だ。直径30cm以上ある巨大な陰茎がガイの胸部を貫通していた。
「ほっホーい!!!ビンビンじゃワて~!!!」
「お…ま……え………ッ‼︎」
それは魔物化によって死の淵から目覚めた時和の腕だった。
時和は両腕と頭部が男性器に変化しており、背中には無数の乳房、腹には鋭い牙の生えた女性器が声を発していた。
「キモぢいいいいいいいイイいいいいイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」
ガイの胸を貫いた時和の右腕の陰茎は射精した。
「『火炎PSI』!!!」
ガイはPSIを火炎に変質させ、自身を貫く陰茎を燃やした。しかし、全く効いていない。
「熱いのシュゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
ガイは骨刀でその陰茎を切り落とそうとするが、陰茎の異様な硬さと、魔物化による著しいPSIの上昇により、傷一つつかない。それになにより、今のガイはPSIを纏えないのだ。
「『模倣AG』!!!」
ガイはソフトの超軟体をコピーし、時和の右腕陰茎から逃れた。
「ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎」
ガイはなんとか意識を保ちつつ、『現代のオーパーツ』で治癒した。瞬間、ガイの目の前に距離を取ったはずの時和の姿が突如として現れた。
「(間違いない…コイツ…‼︎)」
その刹那、ガイは先程から気になっていた違和感の正体に気づいた。それは時和の足跡。時和がガイの目の前に瞬間的に現れた時、雪の上に残る足跡もまた、瞬間的に現れていた。つまり、瞬間移動ではなく、時和はちゃんとガイの元まで歩いてきたという何よりの証拠。
「(時を止めるタレント…‼︎)」
そう。時和は時を止め、ガイに近づいたのだ。そして、ガイは常盤の足跡によりそれに気づいた。しかし、時を止めるタレントなど、気づいたところで対処などできない。いや、ガイの『模倣』ならまだ希望はある。タレントの詳細さえ理解できれば、時和の時間停止のタレントをコピーできるからだ。
「ッ…‼︎」
時和はガイに向けて右腕陰茎を放つ。速い。今、PSIを纏えないガイにとって回避不可能な速度。ガイは『現代のオーパーツ』で肉と骨を生成し、盾を作ろうとした。
「しまっ……ッ⁈」
瞬間、ガイの体が動かなくなった。意識してしまったのだ。防がなければ、と。防御が禁止されているにも関わらず。
動けなくなったガイの顔面めがけて放たれる時和の右腕陰茎。ソフトの超軟体でダメージを軽減、いや、無理だ。時和のこの一突きはもはや刺攻、まるで槍。皮膚を突き破り、骨を砕き、ガイの脳髄に穴を開ける。ソフトの超軟体では斬撃は防げない。
「(くそッ…‼︎)」
ココで死んでは元も子もない。ガイはPSIを身に纏い、防御力を上昇させ、時和の攻撃を顔面で受け止めた。
「ぐあッ!!!」
ダメージを軽減出来たとはいえ、魔物化した時和の一撃は凄まじく強力。ガイは民家内へと飛ばされた。
【民家内にて…】
民家へと飛ばされたガイ。瞬間、胸にバツ印が浮かび上がった。ガイはもう二度と肉体にPSIを纏えなくなってしまったのだ。
「お前…!」
ガイの元へもょもとが駆け寄ってきた。
「お、おい…!大丈夫か…⁈」
「あ…が………ッ……」
ガイは意識が朦朧としていた。両目は先ほどの一撃で失明しており、歯や鼻骨などの骨は粉々に砕けている。すぐに動ける状況ではない。
そんな二人の元へ何かがゆっくりと飛んできた。
「何だ……?」
それは竹トンボだった。しかし、もょもとはそれが何かわかっていない。
「PSI……ッ………」
ガイがかすかにそう呟いた。そしてその時、もょもとはガイの発言の意図を察した。
「ッ⁈」
その竹トンボからは微弱ながらPSIを感じられた。その事を理解したもょもとはガイを抱え上げ、その竹トンボから離れる。
瞬間、その竹トンボを中心として空間ごと辺りが削り取られた。ガイの両腕を消し去ったのと同じように。
「おいおいマジかよおい…‼︎」
その時、もょもとは気づいた。部屋中から微弱ながらPSIを放つ玩具の存在に。
「寿司、遊具、工作機械。人は回転を利用し、回転は人を魅了する。」
その時、民家の外から芝見川の声が聞こえてきた。
「『魅廻』。それが拙僧の第二のタレント。健全でしょう?」
次の瞬間、民家は消滅した。中に居たコールの村人達、もょもと、ガイを含めて。
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