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第2章『ガイ-過去編-』
第94障『死姦』
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【平塚水棟病院、一階、とある部屋にて…】
ガイは幻覚の影響により、十谷と村上を殺してしまった。部屋には、体を両断された十谷の遺体と、首を絞められて殺された村上の遺体がある。二人とも、服は着ていない。また、ガイは村上の遺体に馬乗りになっていた。
「俺…が……」
ガイは自分が二人を殺してしまった事に気づいた。
「ゔッ……‼︎」
ガイは村上の遺体の上で嘔吐した。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ゔッ…ぐッ……‼︎」
再び嘔吐する。
「そ、そうだ…氷室に……氷室に治して……」
既に二人は死んでいる。いくら氷室のタレントでも、死者は生き返らせない。しかし、ガイは淡い希望を胸に村上の脈を測った。
「大丈夫…」
ガイは自分を言い聞かせるかのように、そう言い続ける。しかし、脈は無い。
「だいじょうぶ……」
ガイは手首だけでなく、様々な箇所の脈を測った。足や首、さらには心音。直接彼女の胸に耳を当て、それを確かめる。
「だい…じょうぶ……」
しかし、心音は聞こえない。その事実がガイの精神を壊す。
「ッ……」
ガイは心臓マッサージを始めた。村上の胸に両手を当て、周期的に胸を押す。
「だいじょうぶ…だいじょうぶ…」
しかし、首の骨を折られた村上が蘇生する訳もない。
「オレが…タスケルからッ…」
村上の胸を押す度、ガイの心が壊れていく。涙が溢れてくる。
「イヤだッ…イヤだッ……」
どれくらいの時間、心臓マッサージを続けていたのか。ガイは汗だくになり、息を切らしていた。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
もう助からない。
自分が殺した。
やっと会えたのに。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
次の瞬間、ガイは村上に接吻した。人工呼吸。いや、違う。ただのキスだ。
「ハァ…!ハァ…!村…上……!」
ガイは再び、村上の胸に手を当てた。心臓マッサージ。いや、コレも違う。ただ、村上の胸を揉んでいるだけだ。
次の瞬間、ガイは自身の服を脱ぎ始めた。そして、村上を屍姦し始めた。
「村上ッ……」
愛する使用人二人を自身の手で殺害した事。そして、充満する毒ガスの影響も相まって、ガイの頭は正常では無かった。
【数分後…】
行為を終えたガイが目の前の光景を眺めている。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
ガイは息を切らしている。
そして、息が整うとガイは笑みを浮かべた。
「あはっ……あははは!!!あははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」
ガイは狂ったように笑い始めた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
ガイは笑いながらその部屋を出て、そのまま病院の外へと向かった。
【住宅街にて…】
ガイは服がはだけた状態のまま、目から涙を流し、笑い声を上げていた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
人気の無い夜の住宅街に、ガイの笑い声だけが聞こえてくる。
「(そうだ!!!死ノウ!!!死ねば全部オワレル!!!ニゲラレル!!!もう辛イ事ナンテ何も無い!!!)」
ガイは踏切の所まで歩いた。そして丁度、電車がやってきた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
ガイが踏切内に入ろうとしたその時、ガイの体は自分の意思とは無関係に踏切から遠ざかっていた。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
ガイは地面に尻もちをつく。
「うぅ……!」
ガイは泣きじゃくった。そして、ガイの中にいるナニカにこう言った。
「なんで……なんで死なせてくれないんだッ…!」
その時、ガイの背後に一人の男が現れた。
「良い絵が撮れた。」
それは『Zoo』の殺し屋で十谷と村上を連れ去った張本人、毒使いのフリートだった。フリートはスマホでビデオを回している。
「男子中学生、知人二人殺害。内一人を屍姦後に自殺未遂。マスゴミが悦びそうなネタじゃねぇかぁ?ぎゃはははははは!!!」
「……」
ガイは俯いたまま動かない。一方のフリートは流暢に話を続ける。
「ま、俺ぁあの毒の作用が見れただけで十分だがよぉお?テメェは暗殺対象だから、一応、殺しとくぜ。」
その時、フリートはガイの足元に向けて、謎の液体が入った瓶を投げた。すると、瓶は割れ、中の液体が外に漏れる。
「それは俺が作ったウイルスだ。感染したら数分で死に至り、死後さらに数分で死体は気化する。つまり、後始末不要、暗殺の優れ物って訳。」
再び、フリートはスマホでビデオを回し始めた。
「観察記録だ。気にせず死んでくれ。」
すると、ガイは苦しみ始めた。
「ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎」
咳き込み、体を丸くするガイ。全身から滝のように汗が流れる。
「(このままなら…殺される…)」
〈殺させはしない。〉
「(やっと…死ねる…)」
〈まだ死なせない。〉
「(なんで……)」
その時、ガイは立ち上がった。それを見たフリートは驚きを露わにする。
「立った…だと…⁈あり得ない…!呼吸すらままならないはずだ…!」
ガイはフリートの方を振り返った。
「………言うのか…」
何か言っている。しかし、それはフリートに対してでは無い。
「まだ…俺はガイに……戦えって言うのか……!」
その時、フリートは見た。ガイの涙が蒸発する様を。そして次の瞬間、ガイは体外に火炎を纏った。
「なにッ⁈」
フリートは驚嘆した。それと同時に理解した。ガイはこの炎、つまり、高温によりウイルスを死滅させたのだと。
「おいおいおい…!聞いてねぇぞ!コピーじゃなかったのかよ!」
その時、ガイはフリートに火炎を放った。
「くッ…!」
フリートは住宅の塀を乗り越え、その場から逃げ出した。
【公園前にて…】
フリートは近くの公園の前まで逃げてきた。
「くそッ!情報とちげぇじゃねぇか!」
その時、上空から鋭利な何かがフリートに向かって降り注いだ。
「ぬがッ!!!」
その何かは骨だった。その骨のいくつかはフリートの腕や脚、腹を貫いた。しかし、どれも致命傷にはならなかった。
フリートは上空を見上げる。するとそこには、翼を生やしたガイが居た。
「羽根ぇえッ⁈」
フリートが困惑した。
「(どういう事だ⁈アイツのタレントは近くにいる奴しかコピーできないはず!まさか、近くに仲間が潜んでるのか⁈)」
その時、ガイは呟いた。
「『靴操』!!!」
次の瞬間、フリートの靴が独りでに動き出し、上空へと上がっていった。フリートを宙吊りにしたまま。
しかし、『靴操』は死んだチビマルのタレント。何故、ガイはこのタレントが今、使用できたのか。
【上空にて…】
フリートは宙吊りのまま、ガイの目の前まで連れて来られた。
「な、なぁ…悪かった。許してくれよぉ…俺も仕事だったんだ。な?」
「…」
その時、フリートは口から何かの液体を吐き出した。その液体はガイの顔にかかる。すると、ガイの顔面が溶け始めた。
「ぎゃははッ!油断したなぁ!俺の唾液は硫酸なんて目じゃ……」
その瞬間、ガイがフリートの顔面を掴んだ。そして、ガイはフリートの顔の皮を剥いだ。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!!!!」
フリートは痛みにより叫んだ。一方のガイは顔面が溶けているというのに、全く痛みを感じていないようにも見える。
そして、ガイはフリートにこう言った。
「死ねよ、お前。」
ガイはフリートに向けて火炎を放った。火力は最大。フリートは一瞬で灰になった。
「…」
ガイは地上へ降りた。
【公園にて…】
ガイは公園内に降り立った。それと同時に、ガイの脳内に声が響いた。
〈ダブルタレント発現おめでとう。〉
その声は以前よりもハッキリと聞こえた。
〈ガイが雷世になるのも、時間の問題だな。〉
「お前は誰だ。」
〈俺は障坂雷世。お前のご先祖様。ま、正確に言うと、俺は雷世の記憶だけど。ガイのPSIが強まった事でよりコッチに出られるようになった。よろしく。」
『よろしく』という挨拶を無視して、ガイは雷世に質問した。
「なんで…死なせてくれなかったんだ…」
すると、さっきまでの軽い口調とは打って変わって、雷世は真剣な声で話し始めた。
〈ガイは雷世になるんだ。入れ者には生きてもらわないと困る。〉
「ガイが…雷世に…」
〈そうだ。〉
「なんで…」
〈2万5000年前から決まっていた。全てはこの世界の永続の為。国際能力連合…リアムの使徒として。〉
次の瞬間、ガイは骨刀を創造し、自身の首を切断しようとした。しかし、直前でガイの腕が止まった。いや、雷世が止めたのだ。
〈こらこら勝手に死のうとするなよ。〉
ガイは涙を流している。
「俺はもう…生きたくない……」
その時、ガイは意識を失った。コレも雷世の仕業だろう。ガイを自害させない為に。
〈困ったちゃんだなぁ。自殺はいけないって学校で教わらなかったか?〉
ガイは地面に倒れた。
〈一緒に地獄を見ようじゃないか。障坂ガイ。〉
ガイは幻覚の影響により、十谷と村上を殺してしまった。部屋には、体を両断された十谷の遺体と、首を絞められて殺された村上の遺体がある。二人とも、服は着ていない。また、ガイは村上の遺体に馬乗りになっていた。
「俺…が……」
ガイは自分が二人を殺してしまった事に気づいた。
「ゔッ……‼︎」
ガイは村上の遺体の上で嘔吐した。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ゔッ…ぐッ……‼︎」
再び嘔吐する。
「そ、そうだ…氷室に……氷室に治して……」
既に二人は死んでいる。いくら氷室のタレントでも、死者は生き返らせない。しかし、ガイは淡い希望を胸に村上の脈を測った。
「大丈夫…」
ガイは自分を言い聞かせるかのように、そう言い続ける。しかし、脈は無い。
「だいじょうぶ……」
ガイは手首だけでなく、様々な箇所の脈を測った。足や首、さらには心音。直接彼女の胸に耳を当て、それを確かめる。
「だい…じょうぶ……」
しかし、心音は聞こえない。その事実がガイの精神を壊す。
「ッ……」
ガイは心臓マッサージを始めた。村上の胸に両手を当て、周期的に胸を押す。
「だいじょうぶ…だいじょうぶ…」
しかし、首の骨を折られた村上が蘇生する訳もない。
「オレが…タスケルからッ…」
村上の胸を押す度、ガイの心が壊れていく。涙が溢れてくる。
「イヤだッ…イヤだッ……」
どれくらいの時間、心臓マッサージを続けていたのか。ガイは汗だくになり、息を切らしていた。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
もう助からない。
自分が殺した。
やっと会えたのに。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
次の瞬間、ガイは村上に接吻した。人工呼吸。いや、違う。ただのキスだ。
「ハァ…!ハァ…!村…上……!」
ガイは再び、村上の胸に手を当てた。心臓マッサージ。いや、コレも違う。ただ、村上の胸を揉んでいるだけだ。
次の瞬間、ガイは自身の服を脱ぎ始めた。そして、村上を屍姦し始めた。
「村上ッ……」
愛する使用人二人を自身の手で殺害した事。そして、充満する毒ガスの影響も相まって、ガイの頭は正常では無かった。
【数分後…】
行為を終えたガイが目の前の光景を眺めている。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
ガイは息を切らしている。
そして、息が整うとガイは笑みを浮かべた。
「あはっ……あははは!!!あははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」
ガイは狂ったように笑い始めた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
ガイは笑いながらその部屋を出て、そのまま病院の外へと向かった。
【住宅街にて…】
ガイは服がはだけた状態のまま、目から涙を流し、笑い声を上げていた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
人気の無い夜の住宅街に、ガイの笑い声だけが聞こえてくる。
「(そうだ!!!死ノウ!!!死ねば全部オワレル!!!ニゲラレル!!!もう辛イ事ナンテ何も無い!!!)」
ガイは踏切の所まで歩いた。そして丁度、電車がやってきた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
ガイが踏切内に入ろうとしたその時、ガイの体は自分の意思とは無関係に踏切から遠ざかっていた。
「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!」
ガイは地面に尻もちをつく。
「うぅ……!」
ガイは泣きじゃくった。そして、ガイの中にいるナニカにこう言った。
「なんで……なんで死なせてくれないんだッ…!」
その時、ガイの背後に一人の男が現れた。
「良い絵が撮れた。」
それは『Zoo』の殺し屋で十谷と村上を連れ去った張本人、毒使いのフリートだった。フリートはスマホでビデオを回している。
「男子中学生、知人二人殺害。内一人を屍姦後に自殺未遂。マスゴミが悦びそうなネタじゃねぇかぁ?ぎゃはははははは!!!」
「……」
ガイは俯いたまま動かない。一方のフリートは流暢に話を続ける。
「ま、俺ぁあの毒の作用が見れただけで十分だがよぉお?テメェは暗殺対象だから、一応、殺しとくぜ。」
その時、フリートはガイの足元に向けて、謎の液体が入った瓶を投げた。すると、瓶は割れ、中の液体が外に漏れる。
「それは俺が作ったウイルスだ。感染したら数分で死に至り、死後さらに数分で死体は気化する。つまり、後始末不要、暗殺の優れ物って訳。」
再び、フリートはスマホでビデオを回し始めた。
「観察記録だ。気にせず死んでくれ。」
すると、ガイは苦しみ始めた。
「ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎」
咳き込み、体を丸くするガイ。全身から滝のように汗が流れる。
「(このままなら…殺される…)」
〈殺させはしない。〉
「(やっと…死ねる…)」
〈まだ死なせない。〉
「(なんで……)」
その時、ガイは立ち上がった。それを見たフリートは驚きを露わにする。
「立った…だと…⁈あり得ない…!呼吸すらままならないはずだ…!」
ガイはフリートの方を振り返った。
「………言うのか…」
何か言っている。しかし、それはフリートに対してでは無い。
「まだ…俺はガイに……戦えって言うのか……!」
その時、フリートは見た。ガイの涙が蒸発する様を。そして次の瞬間、ガイは体外に火炎を纏った。
「なにッ⁈」
フリートは驚嘆した。それと同時に理解した。ガイはこの炎、つまり、高温によりウイルスを死滅させたのだと。
「おいおいおい…!聞いてねぇぞ!コピーじゃなかったのかよ!」
その時、ガイはフリートに火炎を放った。
「くッ…!」
フリートは住宅の塀を乗り越え、その場から逃げ出した。
【公園前にて…】
フリートは近くの公園の前まで逃げてきた。
「くそッ!情報とちげぇじゃねぇか!」
その時、上空から鋭利な何かがフリートに向かって降り注いだ。
「ぬがッ!!!」
その何かは骨だった。その骨のいくつかはフリートの腕や脚、腹を貫いた。しかし、どれも致命傷にはならなかった。
フリートは上空を見上げる。するとそこには、翼を生やしたガイが居た。
「羽根ぇえッ⁈」
フリートが困惑した。
「(どういう事だ⁈アイツのタレントは近くにいる奴しかコピーできないはず!まさか、近くに仲間が潜んでるのか⁈)」
その時、ガイは呟いた。
「『靴操』!!!」
次の瞬間、フリートの靴が独りでに動き出し、上空へと上がっていった。フリートを宙吊りにしたまま。
しかし、『靴操』は死んだチビマルのタレント。何故、ガイはこのタレントが今、使用できたのか。
【上空にて…】
フリートは宙吊りのまま、ガイの目の前まで連れて来られた。
「な、なぁ…悪かった。許してくれよぉ…俺も仕事だったんだ。な?」
「…」
その時、フリートは口から何かの液体を吐き出した。その液体はガイの顔にかかる。すると、ガイの顔面が溶け始めた。
「ぎゃははッ!油断したなぁ!俺の唾液は硫酸なんて目じゃ……」
その瞬間、ガイがフリートの顔面を掴んだ。そして、ガイはフリートの顔の皮を剥いだ。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!!!!」
フリートは痛みにより叫んだ。一方のガイは顔面が溶けているというのに、全く痛みを感じていないようにも見える。
そして、ガイはフリートにこう言った。
「死ねよ、お前。」
ガイはフリートに向けて火炎を放った。火力は最大。フリートは一瞬で灰になった。
「…」
ガイは地上へ降りた。
【公園にて…】
ガイは公園内に降り立った。それと同時に、ガイの脳内に声が響いた。
〈ダブルタレント発現おめでとう。〉
その声は以前よりもハッキリと聞こえた。
〈ガイが雷世になるのも、時間の問題だな。〉
「お前は誰だ。」
〈俺は障坂雷世。お前のご先祖様。ま、正確に言うと、俺は雷世の記憶だけど。ガイのPSIが強まった事でよりコッチに出られるようになった。よろしく。」
『よろしく』という挨拶を無視して、ガイは雷世に質問した。
「なんで…死なせてくれなかったんだ…」
すると、さっきまでの軽い口調とは打って変わって、雷世は真剣な声で話し始めた。
〈ガイは雷世になるんだ。入れ者には生きてもらわないと困る。〉
「ガイが…雷世に…」
〈そうだ。〉
「なんで…」
〈2万5000年前から決まっていた。全てはこの世界の永続の為。国際能力連合…リアムの使徒として。〉
次の瞬間、ガイは骨刀を創造し、自身の首を切断しようとした。しかし、直前でガイの腕が止まった。いや、雷世が止めたのだ。
〈こらこら勝手に死のうとするなよ。〉
ガイは涙を流している。
「俺はもう…生きたくない……」
その時、ガイは意識を失った。コレも雷世の仕業だろう。ガイを自害させない為に。
〈困ったちゃんだなぁ。自殺はいけないって学校で教わらなかったか?〉
ガイは地面に倒れた。
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