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第2章『ガイ-過去編-』
第38障『It's a Japanese trap!!』
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【翌日(12月1日)、昼、舞開町、武夫の病室にて…】
ガイは昨日知り合った少年と病室でオセロをやっていた。
「そういや、お兄ちゃん。名前なんて言うの?」
「障坂…じゃなかった。佐藤武夫。中1。キミは?」
「中谷勇輝。小2。」
二人はオセロをしながら、会話をしていた。二人とも、入院生活で暇だったのだ。
「なんで入院してんの?」
その少年、勇輝はガイにそう尋ねた。しかし、ガイは武夫が何故、入院していたかを知らない。聞くと怪しまれるからだ。ただ、母親の言っていた『三日は絶対安静』という言葉を聞くに、どうやら事故や怪我などの外的要因である事は確かだ。
「怪我で入院。多分、事故。あんまり覚えてないんだ。」
ガイは今わかる事を正直に話した。その誠意が伝わったのか、勇輝少年も納得したようだ。
「勇輝くんは?」
ガイも会話の流れ的に、同様の質問をした。
「病気だって。俺もよく知らない。」
当然だ。幼い彼にとって、病名や症状、治療法など理解しろと言う方が無理がある。
その時、勇輝少年はガイに言った。
「お兄ちゃん、オセロ強すぎておもんない。」
盤面は全て黒一色、全てガイの色に変わっていた。
「こっちも、相手が弱すぎておもんない。」
大人げない。
「やっぱお兄ちゃん友達少ないでしょ。」
「…」
【一方その頃、放課後、戸楽市第一中学校、1-4教室にて…】
1-4の生徒達は文化祭の出し物、人間展示店の用意をしていた。
「誰か黄色のマジックあるー?」
「あ!俺そっちやりてー!」
「ちょっと男子~!暴れないでよ~!」
100均で買ってきたようなキラキラのテープやモフモフなどをアレンジし、はたまた、厚紙に文字や絵を描いている。
「堺くん。風船買ってきたけどコレどうする?」
一人の女子生徒が堺に話しかけた。
「風船は文化祭当日の朝につけよう。萎んじゃうから。」
「おっけー!」
堺は完全に指示役となって皆をまとめていた。
「さて。あとは展示組の試着だけど…」
その時、展示組の試着の方から、何やら残念そうな嘆きの声が聞こえてきた。
「えー⁈有野さん、展示組辞退したの⁈」
「うん…」
どうやら、有野が展示組を辞退したようだ。
有野の容姿はクラス1、いや、学年1と言っても過言ではない。それ故、皆の期待度は高かった。しかし、そんな有野が辞退したとなれば、皆、残念がるのは無理はない。
「有野さんに似合いそうな服、吉田さんが持ってきてくれたのにー…」
「私んちの自慢のロリータ…」
吉田の家は服飾系の仕事をしていた。故に、大トリである有野の衣装は吉田に任されていたのだ。
吉田は残念そうにロリータ服をヒラヒラさせている。
「ごめん…」
有野は申し訳なさそうに頭を下げた。
「まぁ、やりたくないものは仕方ないよね。」
「でもどうする?有野さんの代役。」
その時、同じ展示組の二人の男子が、有野達の会話に入ってきた。
「居る訳ねーだろ。」
「そうそう。他、ブスしか居ねーじゃん。」
それを聞いた他の女子達は怒り、その男子達に強い口調で言い返した。
「サイテー。」
「アンタらに言われたくないわよ。」
「お前らマジきもい。」
「二度と話しかけてこないで。」
女子の捲し立てに、その二人の男子は何も言い返せなかった。しかし、それでも尚、女子達の攻撃は続く。
それを見かねて、堺が仲裁に入った。
「ちょっと!喧嘩はよそうよ!」
そして、堺は有野に話しかけた。
「そ、そうだ有野さん。代わりにやって欲しい人とか居るかな?」
堺は喧嘩をやめさせる為、有野に話しかけ、話題を逸らそうとしたのだ。
「代わり……」
有野は自身の代役を考えた。
そして数秒後、有野は何かを思いついたらしく、装飾組の方へ駆け寄り、とある人物に話しかけた。
「代役…よろしく…」
それは障坂ガイこと本田大地である。
「あ?」
【数分後…】
女子生徒達から歓喜の声が上がった。
「「「きゃーーー♡」」」
彼女達の目の前には、ロリータファッションに身を包んだガイの姿が。
そう!何を隠そう、ガイは男の娘だったのだ!
ガイの容姿に関してはとある理由で今まで記述して来なかった。しかし、明かされる真実。それこそが今、目の前にいる超絶美少女なのだ!あ、男か。
ガイは女子から受け取った鏡で自身の姿を見た。
「(めちゃくちゃ女じゃねぇか…)」
本田はガイの容姿に感心した。
「きゃー♡障坂くんのJapanese trapよぉ~♡」
「尊い!尊いわ!!!」
「俺…なんか…目覚めそう…♡」
男女問わず、クラスメイト達はガイに歓喜している。特に、吉田は泣いて喜んでいた。
「その服ぅぅ!!!障坂くんにあげますぅぅう!!!」
「お、おう…」
本田は吉田の感激度合いに引いている。
「(自分の事じゃねぇから、あんまし嬉しくねぇな…)」
この体はガイのもの。よって、容姿を褒められても、本田が嬉しいはずはない。
しかし、この超絶美少女が素晴らしいと思う気持ちは、本田も同じだった。
「(まぁ、一応…写真撮っとくか…)」
本田はガイのスマホで自撮りした。
「これなら有野の代わり行けんじゃね!」
「むしろ有野より行けるだろ!何せこっちはオプション付きだぜ!」
それを聞いた有野はガイを睨んだ。どうやら、対抗心を燃やしているようだ。
それに気づいた本田は有野に言った。
「あ?なに睨んでんだよ?」
「別に…」
本田はこの服が気に入ったのか、このままの格好で障坂邸へと帰宅した。
【18:30、障坂邸、エントランスにて…】
「貴様ァァア!!!!!」
十谷は帰宅した本田を怒鳴りつけた。
「ガイ様の体で何やってんだァァァァァァァア!!!!!」
十谷はロリータファッションに身を包んだガイを見て、怒り心頭だ。何故、こんなに怒っているのか。それは。
「ガイ様は地雷系の方が似合うに決まってんだろがいィィィィィィ!!!!!」
「そこかいッ!!!」
本田は思わずツッコんだ。
「村上!!!」
その時、十谷は村上を呼んだ。
「はい!!!」
村上は秒で来た。その手にはメイク道具一式が揃っていた。
「この無礼者に、真のガイ様を分からせてやれ!」
「はいッ!!!」
この日、ガイは使用人達の着せ替え人形となった。
【夜、舞開町、武夫の病室にて…】
ガイは勇輝少年とオセロをしながら話をしていた。
「俺、学校って行った事ないんだ。学校っておもろい?」
「ん、まぁ…おもろい奴は結構いるな。」
「へー…」
勇輝少年はガイの言葉に羨望を抱き、詠嘆した。
「お兄ちゃんの数少ない友達の話、聞かせてよ。」
「数少ない言うな。」
ガイは友人について話し始めた。
たまに気が触れるクラス委員長の堺。金曜日にしか学校へ来なかった有野。痴女(実際はガイがそう思っているだけ)の友田。山口。そして、幼馴染の広瀬。
「(そうだ。広瀬の奴、大丈夫かな…)」
ガイはこの時まだ、広瀬先生の中に本田が居ると思っていた。それ故、事情を知らない広瀬が本田に殺される事を危惧した。
「(一刻も早く、帰らないと…)」
ガイの友人の話を聞き、勇輝少年はまたもや羨望した。
「いいなぁ~おもろそうで…」
そんな勇輝少年に対し、ガイは言った。
「永遠に入院する訳じゃないんだし、そのうち学校へも行けるだろ。」
「そうだよね。」
その時、勇輝少年は病室の扉の方へ向かった。
「お兄ちゃん、明日退院なんだろ?」
「うん。」
ガイは頷いた。
「じゃあそのオセロ、お兄ちゃんにあげる。退院祝いってやつ。」
「え、いいの?」
ガイはそう問いかけた。このオセロ、決して高価なものではないが、勇輝少年にとっては暇を潰してくれる大切なもの。
「うん。俺が退院したら、また一緒にオセロやろうな!」
勇輝少年の無垢な笑顔。良い子だ。
「おう。」
ガイは、この少年とまたオセロをやれる日が来る事を心から願った。
「じゃ。俺、眠いから。おやすみー。」
少年はガイの病室を出た。
「おやすみ…」
コレが、武夫と勇輝少年の最後の会話だった。
ガイは昨日知り合った少年と病室でオセロをやっていた。
「そういや、お兄ちゃん。名前なんて言うの?」
「障坂…じゃなかった。佐藤武夫。中1。キミは?」
「中谷勇輝。小2。」
二人はオセロをしながら、会話をしていた。二人とも、入院生活で暇だったのだ。
「なんで入院してんの?」
その少年、勇輝はガイにそう尋ねた。しかし、ガイは武夫が何故、入院していたかを知らない。聞くと怪しまれるからだ。ただ、母親の言っていた『三日は絶対安静』という言葉を聞くに、どうやら事故や怪我などの外的要因である事は確かだ。
「怪我で入院。多分、事故。あんまり覚えてないんだ。」
ガイは今わかる事を正直に話した。その誠意が伝わったのか、勇輝少年も納得したようだ。
「勇輝くんは?」
ガイも会話の流れ的に、同様の質問をした。
「病気だって。俺もよく知らない。」
当然だ。幼い彼にとって、病名や症状、治療法など理解しろと言う方が無理がある。
その時、勇輝少年はガイに言った。
「お兄ちゃん、オセロ強すぎておもんない。」
盤面は全て黒一色、全てガイの色に変わっていた。
「こっちも、相手が弱すぎておもんない。」
大人げない。
「やっぱお兄ちゃん友達少ないでしょ。」
「…」
【一方その頃、放課後、戸楽市第一中学校、1-4教室にて…】
1-4の生徒達は文化祭の出し物、人間展示店の用意をしていた。
「誰か黄色のマジックあるー?」
「あ!俺そっちやりてー!」
「ちょっと男子~!暴れないでよ~!」
100均で買ってきたようなキラキラのテープやモフモフなどをアレンジし、はたまた、厚紙に文字や絵を描いている。
「堺くん。風船買ってきたけどコレどうする?」
一人の女子生徒が堺に話しかけた。
「風船は文化祭当日の朝につけよう。萎んじゃうから。」
「おっけー!」
堺は完全に指示役となって皆をまとめていた。
「さて。あとは展示組の試着だけど…」
その時、展示組の試着の方から、何やら残念そうな嘆きの声が聞こえてきた。
「えー⁈有野さん、展示組辞退したの⁈」
「うん…」
どうやら、有野が展示組を辞退したようだ。
有野の容姿はクラス1、いや、学年1と言っても過言ではない。それ故、皆の期待度は高かった。しかし、そんな有野が辞退したとなれば、皆、残念がるのは無理はない。
「有野さんに似合いそうな服、吉田さんが持ってきてくれたのにー…」
「私んちの自慢のロリータ…」
吉田の家は服飾系の仕事をしていた。故に、大トリである有野の衣装は吉田に任されていたのだ。
吉田は残念そうにロリータ服をヒラヒラさせている。
「ごめん…」
有野は申し訳なさそうに頭を下げた。
「まぁ、やりたくないものは仕方ないよね。」
「でもどうする?有野さんの代役。」
その時、同じ展示組の二人の男子が、有野達の会話に入ってきた。
「居る訳ねーだろ。」
「そうそう。他、ブスしか居ねーじゃん。」
それを聞いた他の女子達は怒り、その男子達に強い口調で言い返した。
「サイテー。」
「アンタらに言われたくないわよ。」
「お前らマジきもい。」
「二度と話しかけてこないで。」
女子の捲し立てに、その二人の男子は何も言い返せなかった。しかし、それでも尚、女子達の攻撃は続く。
それを見かねて、堺が仲裁に入った。
「ちょっと!喧嘩はよそうよ!」
そして、堺は有野に話しかけた。
「そ、そうだ有野さん。代わりにやって欲しい人とか居るかな?」
堺は喧嘩をやめさせる為、有野に話しかけ、話題を逸らそうとしたのだ。
「代わり……」
有野は自身の代役を考えた。
そして数秒後、有野は何かを思いついたらしく、装飾組の方へ駆け寄り、とある人物に話しかけた。
「代役…よろしく…」
それは障坂ガイこと本田大地である。
「あ?」
【数分後…】
女子生徒達から歓喜の声が上がった。
「「「きゃーーー♡」」」
彼女達の目の前には、ロリータファッションに身を包んだガイの姿が。
そう!何を隠そう、ガイは男の娘だったのだ!
ガイの容姿に関してはとある理由で今まで記述して来なかった。しかし、明かされる真実。それこそが今、目の前にいる超絶美少女なのだ!あ、男か。
ガイは女子から受け取った鏡で自身の姿を見た。
「(めちゃくちゃ女じゃねぇか…)」
本田はガイの容姿に感心した。
「きゃー♡障坂くんのJapanese trapよぉ~♡」
「尊い!尊いわ!!!」
「俺…なんか…目覚めそう…♡」
男女問わず、クラスメイト達はガイに歓喜している。特に、吉田は泣いて喜んでいた。
「その服ぅぅ!!!障坂くんにあげますぅぅう!!!」
「お、おう…」
本田は吉田の感激度合いに引いている。
「(自分の事じゃねぇから、あんまし嬉しくねぇな…)」
この体はガイのもの。よって、容姿を褒められても、本田が嬉しいはずはない。
しかし、この超絶美少女が素晴らしいと思う気持ちは、本田も同じだった。
「(まぁ、一応…写真撮っとくか…)」
本田はガイのスマホで自撮りした。
「これなら有野の代わり行けんじゃね!」
「むしろ有野より行けるだろ!何せこっちはオプション付きだぜ!」
それを聞いた有野はガイを睨んだ。どうやら、対抗心を燃やしているようだ。
それに気づいた本田は有野に言った。
「あ?なに睨んでんだよ?」
「別に…」
本田はこの服が気に入ったのか、このままの格好で障坂邸へと帰宅した。
【18:30、障坂邸、エントランスにて…】
「貴様ァァア!!!!!」
十谷は帰宅した本田を怒鳴りつけた。
「ガイ様の体で何やってんだァァァァァァァア!!!!!」
十谷はロリータファッションに身を包んだガイを見て、怒り心頭だ。何故、こんなに怒っているのか。それは。
「ガイ様は地雷系の方が似合うに決まってんだろがいィィィィィィ!!!!!」
「そこかいッ!!!」
本田は思わずツッコんだ。
「村上!!!」
その時、十谷は村上を呼んだ。
「はい!!!」
村上は秒で来た。その手にはメイク道具一式が揃っていた。
「この無礼者に、真のガイ様を分からせてやれ!」
「はいッ!!!」
この日、ガイは使用人達の着せ替え人形となった。
【夜、舞開町、武夫の病室にて…】
ガイは勇輝少年とオセロをしながら話をしていた。
「俺、学校って行った事ないんだ。学校っておもろい?」
「ん、まぁ…おもろい奴は結構いるな。」
「へー…」
勇輝少年はガイの言葉に羨望を抱き、詠嘆した。
「お兄ちゃんの数少ない友達の話、聞かせてよ。」
「数少ない言うな。」
ガイは友人について話し始めた。
たまに気が触れるクラス委員長の堺。金曜日にしか学校へ来なかった有野。痴女(実際はガイがそう思っているだけ)の友田。山口。そして、幼馴染の広瀬。
「(そうだ。広瀬の奴、大丈夫かな…)」
ガイはこの時まだ、広瀬先生の中に本田が居ると思っていた。それ故、事情を知らない広瀬が本田に殺される事を危惧した。
「(一刻も早く、帰らないと…)」
ガイの友人の話を聞き、勇輝少年はまたもや羨望した。
「いいなぁ~おもろそうで…」
そんな勇輝少年に対し、ガイは言った。
「永遠に入院する訳じゃないんだし、そのうち学校へも行けるだろ。」
「そうだよね。」
その時、勇輝少年は病室の扉の方へ向かった。
「お兄ちゃん、明日退院なんだろ?」
「うん。」
ガイは頷いた。
「じゃあそのオセロ、お兄ちゃんにあげる。退院祝いってやつ。」
「え、いいの?」
ガイはそう問いかけた。このオセロ、決して高価なものではないが、勇輝少年にとっては暇を潰してくれる大切なもの。
「うん。俺が退院したら、また一緒にオセロやろうな!」
勇輝少年の無垢な笑顔。良い子だ。
「おう。」
ガイは、この少年とまたオセロをやれる日が来る事を心から願った。
「じゃ。俺、眠いから。おやすみー。」
少年はガイの病室を出た。
「おやすみ…」
コレが、武夫と勇輝少年の最後の会話だった。
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