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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』
第49障『魔障王』
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翌朝、西エゲツ大陸、港にて…
ナツカ達はバッカス海賊団の船から降り、西エゲツ大陸に上陸した。
「っしゃあ!新大陸!上陸でい!」
その時、見送りに来たニキとヤスがナツカ達に話しかけた。
「だんな方。短い間でしたが、ありがとうございやした。」
「楽しかったでゲスよ!」
ニキとヤスは笑顔で見送ろうとしている。
「本当にお別れなのか…ドピュっと寂しいよ。」
ナツカ達は寂しそうに下を向いている。
「まともな奴が居なくなるじゃねぇか。」
「ふっ。寂しがるな。俺が居る…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」
「えっちゃ、朝っぱらから耳横でうるさいねん。」
しかし、ハルカだけはドライだ。
「(俺、この人と一回も喋った事ない。)」
その時、バッカスがナツカ達に話しかけた。
「コレを持っていけ。」
バッカスは雷尿に地図と方位磁石、そして、人数分の水筒を手渡した。
「砂漠じゃ方向感覚がズレるからな。それになにより暑い。」
「ドピュっとありがとう。バッカスさん。」
「おう。(ドピュっと…?)」
雷尿はみんなに水筒を配った。
「それじゃあ、ドピュっとイクか!」
「えっちゃ、そうやな。」
「はぁ…また歩きかぁ…しんどい…」
ナツカ達は大陸の方へと歩き始めた。
「困った事があったら何でも言って下せぇ!」
「お気をつけてでヤンスー!」
ニキ達は手を振っている。
「ドピュっとありがとー!」
「えっちゃ、お前らもなー!」
その時、カメッセッセが叫んだ。
「ゔァァァァア~!!!」
ナツカ達は驚いた。
「びっくりしたぁ…なんダよいきなり…?」
「忘れ物すぃた~あ~!!!」
カメッセッセはニキ達の方へ走り出した。
「「「???」」」
海賊達は不思議そうな顔をしている。
次の瞬間、カメッセッセは海賊達一人一人の頬にキスをした。
「行ってきますのチュー♡」
「「「うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ~!!!?!?!」」」
カメッセッセはそそくさとナツカ達の元へ戻っていった。
「(だんな方…お気をつけて…)」
ニキとヤスはパーティーから離脱した。
魔王城、会議室にて…
幹部の魔物達が巨大な机を囲って、話をしている。いつもと変わらない光景。しかし、今回は少し違った。それは、ガイ隊以外の魔物達は怯えていた事。そして、見覚えの無い2体の魔物がいた事。
そう。この2体こそ魔障王。魔王の右腕的存在であり、魔王軍のNo.2。
その時、魔障王のうちの1人、ツノの生えた長身の鬼の魔物が、明るい声で皆に話しかけた。
「…で、君達は僕らが寝ている間、何にも成果を出せなかった訳だね!ん~⁈」
魔障王Mr.クボタ
種族名:カイエンキ
魔物達は黙り込んでいる。あのレイパーTですら、魔障王の2人の前では怯え、体を震わせていた。その姿はまるで、空腹のオオカミから身を隠す子羊のようだ。
「返事、してよ。ん~⁈」
Mr.クボタのその発言を聞き、レイパーTは急いで椅子から立ち上がった。
「そ、そんな事はないですよ!!!インキャーンとポヤウェストは掌握しました!!!」
「ポヤウェストはココに居ない空魔隊の成果。インキャーンの件に関しては、兵を死なせすぎだ。ん~⁈」
レイパーTの顔からは汗が滝の様に流れ出ている。
その時、もう1体の魔障王である、触覚の様なツノとコウモリの様な羽根をつけている女魔物がMr.クボタに話しかけた。
「コイツらに任せても無駄~。私らが直で殺りに行けば良いだけじゃ…なぁ~い~ぃい~⤴︎」
魔障王コックエナバラ
種族名:ロウベリアル
「うん!そうだね!これ以上、障王の子孫達を野放しにして、成長でもされたら厄介だ!やつらを見つけ次第、殺しに行こう!」
すると、Mr.クボタはレイパーTの顔を覗き込んだ。
「ん~⁈」
レイパーTは圧倒的恐怖の中、Mr.クボタの意図を察した。
「さ、探してまいります!!!」
レイパーTは会議室の壁をぶち破り、猛スピードで外へ走っていった。
「レイパーT様~!!!」
部下である小謝茸はレイパーTを追った。
その時、Mr.クボタはガイに近づいた。
「…何すか?」
「臭うね~。キミ、凄く臭うよ。」
Mr.クボタはニヤニヤしている。
「そんな訳ないでしょ。毎日お風呂入ってんですから。アンタ、鼻イかれてんじゃないですか?」
ガイのその発言を聞き、周りにいた魔物達は驚愕した。
「(あのMr.クボタ様に、あんな事を…!)」
「(コイツ、殺されるぞぉお…!)」
しかし、Mr.クボタは笑顔でガイに話しかけた。
「アハハ!そうか~!お風呂かぁ~!キミは綺麗好きなんだね!でもね、いくら風呂に入っても、その臭いは取れないと思うなぁ~…」
すると、Mr.クボタはガイに顔を近づけた。
「キミの心の奥に眠る…正義の臭いは…」
次の瞬間、Mr.クボタはガイに向けて拳を放った。
「ガイ…!!!」
ヤブ助やもょもとが席を立ち上がり、ガイを助けようとした。
しかし、Mr.クボタの拳はガイの顔面スレスレで止まっていた。
「…さすがだ。」
Mr.クボタは拳を収めた。
「な、なんだ…寸止めか…」
皆、Mr.クボタは最初からガイを殴るつもりはなかった。ガイの度胸を試すだけ。そう思っていた。
「違うよ。僕は殺すつもりで殴ったんだ。それを、キミが止めた。」
Mr.クボタは、いつになく真剣な表情のガイを見た。
「これ以上、拳を近づけていたら、僕は死んでいた。試すつもりが、試されちゃったよ!ん~⁈」
「アンタが強くて助かった。もし、今のでアンタを殺してたら、俺は上官殺しの反逆者になっちゃうからな。ただでさえ信用されてないのに。」
Mr.クボタはガイに背を向けた。
「大丈夫!僕は信用するよ!」
Mr.クボタは席に座った。
「(強さには…ね。)」
一方その頃、西エゲツ大陸、砂漠の国、ポヤウェスト王国にて…
ポヤウェスト王国は魔王軍・空魔隊によって制圧されていた。国民達のほとんどが殺され、残った国民達は皆、ポヤウェスト城の地下牢などに閉じ込められている。
ポヤウェスト城、玉座の間にて…
頭部が車輪の長身人型魔物が、玉座に座っている。
「タクシス隊長~!!!」
そこへ、1体の類人猿の魔物が駆け寄ってきた。
「どうした。」
空魔隊(タクシス隊)魔障将タクシス
種族名:ホイールデーモン
「先日殺した障王の末裔…ユート・ポヤウェストは偽者です。間違いありません。人間共を拷問して吐かせました。」
空魔隊(タクシス隊)大魔障ボノボン
種族名:デザートエイプ
「替玉か。」
「はい。そして、ユート・ポヤウェストは側近の一人の兵士と共に逃亡中との事…」
タクシスは腕を組んでいる。
「わかった。だが、我々の仕事はココの管理。無駄な事はするな。引き続き、人間共の管理を続けろ。」
「はい。」
ボノボンが返事をしたその時、タクシスは叫んだ。
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァうッッッッッッ!!!!!!!!」
タクシスの取り乱し様を見て、ボノボンは何かを思い出したようだ。
「はッ…!す、すみません!タクシス様!返事を間違えました!」
すると、ボノボンは肩肘をつき、タクシスの目を見た。
「…御意。」
タクシスはその言葉を聞くなり、冷静になった。
「そうだ。ボノボン。それで意意。私は、『御意』と意う言葉が好きだ。これからも、了解の返事は『御意』だ。わかったか?」
ボノボンは頷いた。
「はい!………あっ…」
タクシスは取り乱した。
ナツカ達はバッカス海賊団の船から降り、西エゲツ大陸に上陸した。
「っしゃあ!新大陸!上陸でい!」
その時、見送りに来たニキとヤスがナツカ達に話しかけた。
「だんな方。短い間でしたが、ありがとうございやした。」
「楽しかったでゲスよ!」
ニキとヤスは笑顔で見送ろうとしている。
「本当にお別れなのか…ドピュっと寂しいよ。」
ナツカ達は寂しそうに下を向いている。
「まともな奴が居なくなるじゃねぇか。」
「ふっ。寂しがるな。俺が居る…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」
「えっちゃ、朝っぱらから耳横でうるさいねん。」
しかし、ハルカだけはドライだ。
「(俺、この人と一回も喋った事ない。)」
その時、バッカスがナツカ達に話しかけた。
「コレを持っていけ。」
バッカスは雷尿に地図と方位磁石、そして、人数分の水筒を手渡した。
「砂漠じゃ方向感覚がズレるからな。それになにより暑い。」
「ドピュっとありがとう。バッカスさん。」
「おう。(ドピュっと…?)」
雷尿はみんなに水筒を配った。
「それじゃあ、ドピュっとイクか!」
「えっちゃ、そうやな。」
「はぁ…また歩きかぁ…しんどい…」
ナツカ達は大陸の方へと歩き始めた。
「困った事があったら何でも言って下せぇ!」
「お気をつけてでヤンスー!」
ニキ達は手を振っている。
「ドピュっとありがとー!」
「えっちゃ、お前らもなー!」
その時、カメッセッセが叫んだ。
「ゔァァァァア~!!!」
ナツカ達は驚いた。
「びっくりしたぁ…なんダよいきなり…?」
「忘れ物すぃた~あ~!!!」
カメッセッセはニキ達の方へ走り出した。
「「「???」」」
海賊達は不思議そうな顔をしている。
次の瞬間、カメッセッセは海賊達一人一人の頬にキスをした。
「行ってきますのチュー♡」
「「「うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ~!!!?!?!」」」
カメッセッセはそそくさとナツカ達の元へ戻っていった。
「(だんな方…お気をつけて…)」
ニキとヤスはパーティーから離脱した。
魔王城、会議室にて…
幹部の魔物達が巨大な机を囲って、話をしている。いつもと変わらない光景。しかし、今回は少し違った。それは、ガイ隊以外の魔物達は怯えていた事。そして、見覚えの無い2体の魔物がいた事。
そう。この2体こそ魔障王。魔王の右腕的存在であり、魔王軍のNo.2。
その時、魔障王のうちの1人、ツノの生えた長身の鬼の魔物が、明るい声で皆に話しかけた。
「…で、君達は僕らが寝ている間、何にも成果を出せなかった訳だね!ん~⁈」
魔障王Mr.クボタ
種族名:カイエンキ
魔物達は黙り込んでいる。あのレイパーTですら、魔障王の2人の前では怯え、体を震わせていた。その姿はまるで、空腹のオオカミから身を隠す子羊のようだ。
「返事、してよ。ん~⁈」
Mr.クボタのその発言を聞き、レイパーTは急いで椅子から立ち上がった。
「そ、そんな事はないですよ!!!インキャーンとポヤウェストは掌握しました!!!」
「ポヤウェストはココに居ない空魔隊の成果。インキャーンの件に関しては、兵を死なせすぎだ。ん~⁈」
レイパーTの顔からは汗が滝の様に流れ出ている。
その時、もう1体の魔障王である、触覚の様なツノとコウモリの様な羽根をつけている女魔物がMr.クボタに話しかけた。
「コイツらに任せても無駄~。私らが直で殺りに行けば良いだけじゃ…なぁ~い~ぃい~⤴︎」
魔障王コックエナバラ
種族名:ロウベリアル
「うん!そうだね!これ以上、障王の子孫達を野放しにして、成長でもされたら厄介だ!やつらを見つけ次第、殺しに行こう!」
すると、Mr.クボタはレイパーTの顔を覗き込んだ。
「ん~⁈」
レイパーTは圧倒的恐怖の中、Mr.クボタの意図を察した。
「さ、探してまいります!!!」
レイパーTは会議室の壁をぶち破り、猛スピードで外へ走っていった。
「レイパーT様~!!!」
部下である小謝茸はレイパーTを追った。
その時、Mr.クボタはガイに近づいた。
「…何すか?」
「臭うね~。キミ、凄く臭うよ。」
Mr.クボタはニヤニヤしている。
「そんな訳ないでしょ。毎日お風呂入ってんですから。アンタ、鼻イかれてんじゃないですか?」
ガイのその発言を聞き、周りにいた魔物達は驚愕した。
「(あのMr.クボタ様に、あんな事を…!)」
「(コイツ、殺されるぞぉお…!)」
しかし、Mr.クボタは笑顔でガイに話しかけた。
「アハハ!そうか~!お風呂かぁ~!キミは綺麗好きなんだね!でもね、いくら風呂に入っても、その臭いは取れないと思うなぁ~…」
すると、Mr.クボタはガイに顔を近づけた。
「キミの心の奥に眠る…正義の臭いは…」
次の瞬間、Mr.クボタはガイに向けて拳を放った。
「ガイ…!!!」
ヤブ助やもょもとが席を立ち上がり、ガイを助けようとした。
しかし、Mr.クボタの拳はガイの顔面スレスレで止まっていた。
「…さすがだ。」
Mr.クボタは拳を収めた。
「な、なんだ…寸止めか…」
皆、Mr.クボタは最初からガイを殴るつもりはなかった。ガイの度胸を試すだけ。そう思っていた。
「違うよ。僕は殺すつもりで殴ったんだ。それを、キミが止めた。」
Mr.クボタは、いつになく真剣な表情のガイを見た。
「これ以上、拳を近づけていたら、僕は死んでいた。試すつもりが、試されちゃったよ!ん~⁈」
「アンタが強くて助かった。もし、今のでアンタを殺してたら、俺は上官殺しの反逆者になっちゃうからな。ただでさえ信用されてないのに。」
Mr.クボタはガイに背を向けた。
「大丈夫!僕は信用するよ!」
Mr.クボタは席に座った。
「(強さには…ね。)」
一方その頃、西エゲツ大陸、砂漠の国、ポヤウェスト王国にて…
ポヤウェスト王国は魔王軍・空魔隊によって制圧されていた。国民達のほとんどが殺され、残った国民達は皆、ポヤウェスト城の地下牢などに閉じ込められている。
ポヤウェスト城、玉座の間にて…
頭部が車輪の長身人型魔物が、玉座に座っている。
「タクシス隊長~!!!」
そこへ、1体の類人猿の魔物が駆け寄ってきた。
「どうした。」
空魔隊(タクシス隊)魔障将タクシス
種族名:ホイールデーモン
「先日殺した障王の末裔…ユート・ポヤウェストは偽者です。間違いありません。人間共を拷問して吐かせました。」
空魔隊(タクシス隊)大魔障ボノボン
種族名:デザートエイプ
「替玉か。」
「はい。そして、ユート・ポヤウェストは側近の一人の兵士と共に逃亡中との事…」
タクシスは腕を組んでいる。
「わかった。だが、我々の仕事はココの管理。無駄な事はするな。引き続き、人間共の管理を続けろ。」
「はい。」
ボノボンが返事をしたその時、タクシスは叫んだ。
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァうッッッッッッ!!!!!!!!」
タクシスの取り乱し様を見て、ボノボンは何かを思い出したようだ。
「はッ…!す、すみません!タクシス様!返事を間違えました!」
すると、ボノボンは肩肘をつき、タクシスの目を見た。
「…御意。」
タクシスはその言葉を聞くなり、冷静になった。
「そうだ。ボノボン。それで意意。私は、『御意』と意う言葉が好きだ。これからも、了解の返事は『御意』だ。わかったか?」
ボノボンは頷いた。
「はい!………あっ…」
タクシスは取り乱した。
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