障王

泉出康一

文字の大きさ
上 下
10 / 211
第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第10障『ドピュっとよろしくな!』

しおりを挟む
翌日、デカマーラ城内、玉座の間にて…

ナツカ,エッチャ,カメッセッセ,雷尿,大臣,そして、雷尿の弟,妹が話をしている。

「ワシは魔物に家族を殺された。けどコレは、復讐の旅じゃねぇ。今後、ワシみてぇな奴が現れねぇように、ワシは魔王を倒す。だから、力を貸して欲しい。仲間になってくれ。」

ナツカは雷尿に手を差し伸べた。

「王よ…」

大臣が喋ろうとしたが、雷尿はそれを遮った。

「止めるな、大臣。」

雷尿はナツカの手を握った。

「勿論だ!共に魔王を倒そう!」
「当然でい!これからよろしく!」
「あぁ!ドピュっとよろしくな!」

雷尿が仲間になった。

「と、言う訳だ。ドピュっとすまない。後の事は頼んだぞ。雷便らいべん雷乳らいにゅう。」
「ヌルッと任せろ!」
「クチュっと頑張ってね!」

弟の雷便、妹の雷乳は大臣とは打って変わって、兄の旅出を応援している。

「大臣も、頼んだよ。」
「はぁ…まったく…」

大臣は大きなため息をつくと、部屋を出ていった。
しばらくすると、手にやらしい形の槍を持って帰ってきた。

「その槍は…!」
「デカマーラ王家の秘宝、デカマーラの槍です。どうかコレを。」

雷尿はデカマーラの槍を手にした。

「いいのか…?こんな大切な物を…」
「はい。その代わり、必ずや魔王を討伐なさって下さい。」
「…あぁ!必ず、ドピュっと倒してくる!」

ナツカはデカマーラの槍を見ている。

「雷尿さん。その槍、普段は布か何かで覆っとけよな。」
「そうだな。ドピュっと盗まれるかもだしな。」
「あ、いや、そうじゃなくて…(卑猥なんダよ、形がよぉ…)」

雷尿はデカマーラの槍を布で覆い、背中に背負った。

「よっしゃ!んじゃ行こうぜ!次はインキャーン、ダ!」
「「おー!」」

エッチャと雷尿の威勢の良い返事を聞き、ナツカは部屋を出ようと扉を開いた。

「ちょっと待て!!!」

振り返るとカメッセッセは深刻な表情で棒立ちしていた。

「何だお前?しょーもねぇ事だったらぶん殴んぞ。」
「うんちしたい。」

ナツカはカメッセッセをぶん殴った。

「ケモテイ…♡」

魔王城にて…

パパンダがマイアンを背負って帰ってきた。
ちょうどそこにはレイパーTがいた。

「なんやなんや!おまんら!まさか、やられたんか!」
「…あーん…」
「ん~!情けない!情けないぞぉぉぉお!!!」

レイパーTはボロボロのマイアンを容赦なく殴った。

「おやめ下さい!マイアン様は裏切り者のカメッセッセとの戦いで、相当なダメージを…」
「おまんは何でや…」
「は…?」
「おまんは何で無傷なんや!戦って負けたんやろ!ノー罰ゲームで済まされるとおもってんのか!!!」

レイパーTはパパンダを殴り飛ばした。

「フォォォォォォォォォォォォォオオン!!!?!?!」

その時、四角いメガネをかけた柔道着姿の人型魔物がやってきた。

「そのくらいでいいじゃ、あ~りませんか。」

その魔物はレイパーTに連続投げキッスをしている。

「ま、魔障将…タケシ様…」

パパンダは安堵の表情を漏らした。

「チッチッチッチッチッ…あんまりやると、チコちゃんにシコ…叱られますよ。」
「黙っとけ!今罰ゲーム中や!」
「アナタも、敵にクレープあげただけじゃないですか。」
「ぬッ…そ、それはやな…」
「次は僕にらせて下さいよ。」
「…できるんか?」
「尽力しますよ。」

旧エツピ王国跡地にて…

崩れ果てた城下町に、2人の盗賊がやってきた。

「ココが2万5000年前に滅びたエツピ王国か。」
「お宝の匂いがプンプンしやすぜ!アニキ!」
「エツピ王国はかなり技術が発展していたそうだ。だから罠には気をつけろよ。」
「アニキがアッシの心配を…!感激でヤンス!アッシは一生アニキに着いて行くでヤンス!」

アニキと呼ばれる方は身長が180cmほどでなかなかの貫禄を醸し出している。もう一方はまだ10代半ばといった面持ちだ。
そんな彼らの会話を高台から眺めている者がいた。

「盗賊か。暇つぶしにはなるか…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

途中まで格好つけて喋っていたが、急に高笑いを始めた。
盗賊達はその馬鹿デカいマヌケな笑い声を聞き、男の存在に気づいた。

「誰だ。」

盗賊達は高台にいる眼帯の男に話しかけた。

「おいこらぁ!降りて来いでヤンス!」

すると、その眼帯の男は高台から飛び降りた。
男は着地に失敗した。

「アタァ~!!!?!?!」

盗賊達はその男を白い目で見ている。
その時、眼帯の男は変な中二病ポーズを取った。

「俺の名はジャック。悪に導かれ、悪に染まり、悪を制する者だ…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

盗賊達は困惑し、互いに顔を見合わせている。

「何だコイツ…」
「イかれ野郎でヤンス。」

ジャックと名乗る男は、ザ・中二病と体現するのが最ものような動きをしている。

「貴様ら、誰にものを言っている。殺すぞ!!!」

殺すぞ。その一言を聞いた盗賊達は一気に警戒を強めた。

「やってみろよ…!」
「アニキ~!やっちゃってくだせぇ~!」

盗賊はナイフを取り出し、構えた。

「ザコが…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

ジャックは笑いだすと同時に手を叩いた。
すると次の瞬間、衝撃波が発生し、盗賊達を吹き飛ばした。

「「うわぁ~!!!」」
「ふっ。そのまま風になりな…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

一方その頃、旧エツピ王国周辺、荒野にて…

ナツカ達はインキャーンを目指し、旅をしていた。

「はぁ…歩くのダルい…しんどい…」

相変わらずの根性無しナツカである。

「もう少しで、ドピュっとエツピ王国だな。」
「えっちゃ、観光してこーぜ。」

ナツカ以外のメンバーには全く疲れが見えない。

「呑気ダな、オメェ。」

一方のカメッセッセは立ち止まり、全く違う方向を向いて仁王立ちしていた。

「…風がケモテイな。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...