11 / 26
第11珍 『ハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィン』
しおりを挟む
クイーン満足号とは、『ちんちん満足の会』が所有する世界最大の飛行船である。全長約200m、翼幅約70mあり、船内には客室は勿論、レストラン,ジム,図書館,ショッピングモール,カジノ、カボチャ畑など、あらゆる施設が存在する。
使用目的は主に、組合の幹部、または、それらと親しい権力者への奉仕。交流会や対談など、色々と理由をつけてはいるが、言明すると、ただの金持ちの道楽である。この船が一回空を飛ぶだけで、小国の国家予算を上回ると言われている。ちなみに、前会長の矢里本珍太郎はこの船を廃棄したがっていたそうだ。
2045年9月12日、夜、クイーン満足号にて…
船内のレストランでは、『ちんちん満足の会』の関係者達が各々で話をしていた。その中には矢里本珍三郎の姿もあった。
クイーン満足号、さらに上空にて…
上空では一機の小型ヘリが飛行していた。
そのヘリからは一本のロープが垂れており、幸太郎とモカが握力のみでそのロープに捕まっていた。
「死ぬぅ!死んじゃうぅ!」
幸太郎は必死にロープにしがみついている。
「早く下へ行け!飛行船に飛び乗るんだ!」
「無理無理無理ぃ!怖い死ぬぅぅう!!!」
「スーって降りろ!スーって!」
「できるかぁ!!!」
クイーン満足号、レストランにて…
船内に侵入できた幸太郎とモカは、物陰に隠れながら矢里本を見張っていた。
「アイツか…」
モカ達は写真で矢里本の姿を確認済みだ。
「手はず通り、奴が一人になったタイミングで話をつけろ。」
「おう。」
「分かってるな?うまく交渉できなかった場合は…」
「分かってるよ。」
モカの回想…
山小屋の中で植松が幸太郎達に話をしている。
「朗報や。9月12日、クルーズ客船、クイーン満足号に矢里本珍三郎が乗るらしい。」
「それのどこが朗報なんだ?」
「仕留める。」
植松が答えるよりも先にモカが答えた。
「それな。」
「仕留める?」
「クイーン満足号は飛行船。つまり密室。敵の援軍は無し。そんな所に敵の一人がおんねん。ビッグチャンスやんけ。」
「殺すって事…?」
「おう。」
植松はモカの方を向いた。
「って事で頼むわ。」
「潜入方法はどうする?」
「後で話すわ。」
その時、幸太郎は声を上げた。
「ちょいとお待ち!!!」
「なんやなんや。」
「あのさ…その…あれ…殺すのやめない?」
植松とモカは同時に顔をしかめた。
「いや、だって…殺すのはダメだろ。」
「…そりゃな。」
「だろ。だから殺すのは…」
「でもお前、殺されんねんで。」
「え…」
植松に続きモカも反論しだした。
「相手はこっちを殺す気でいる。そんな甘い考えが通ると思うな。」
「そゆことや。殺らなこっちが殺られんねん。」
「でもよ…」
モカは幸太郎を指差した。
「なら、お前も来い。」
「え…?」
「お前も俺と一緒にクルーズ船に乗り込む。そして、お前が矢里本を説得しろ。」
「お、おい…お前なに言ってんねん…」
モカの急な提案に植松は驚いている。
「自分の意地を通したいのなら、自分で何とかしろ。」
現在…
「(最高は協定、良くて停戦。九割方失敗だろう。まぁ、無きにしも非ずだ。奴がどこまでやるか、見ものだな。)」
その時、幸太郎はモカに小声で話しかけた。
「あのさ、モカさん。」
「何だ?」
「なに話せば良いの?」
「…お前、考えてなかったのか?」
「うん。」
「(こりゃ無理だな。)知らね。」
矢里本は一人で移動し始めた。
「追うぞ。」
二人は身を潜めながら矢里本を追った。
クイーン満足号、通路にて…
幸太郎とモカは一人になった矢里本を尾行していた。
「どうする?もう行っちゃう?」
モカは返事をしない。
「モカさん?」
「え…あぁ…」
モカは読心術により、矢里本の心が読めていた。
「(誘い込まれている…)」
そう。矢里本が一人になったのは、モカ達を誘い込む為。
「(返り討ち…いや、たった一人で俺に敵うはずがない。何処かに仲間が潜んでいるか…それとも、向こうも対話を望んでいるか…)」
痺れを切らした幸太郎が矢里本の元へ行こうとしたその時、モカは矢里本の微妙な表情の変化により、全てを理解した。
「待て。幸太郎。俺が行く。」
「え、何で…?」
モカは物陰から、矢里本の前に姿を現した。
「お前、矢里本じゃないな。」
すると、矢里本は不敵に笑った。
「流石は元No.2やな…」
次の瞬間、矢里本の顔や体型が変化していった。
矢里本は偽物だったのだ。
「やはりお前か…トランス。」
「ひっさしぶり。」
その時、幸太郎も物陰から姿を現した。
「お、おい!どうなってんだよ!これ!」
「バカ!出てくるな!」
次の瞬間、トランスの右手の人差し指と中指が凄い勢いで伸びてきた。
トランスの指はモカの腹部を貫いた。
「うッ…!!!」
モカは隠し持っていたナイフでその指を切断した。
「そんなガキにかまってる暇無いと思うけどぉ?」
コードネーム:トランス
『Zoo』の殺し屋。生まれつき神経細胞の数が非常に多く、普通なら動かすのも困難な箇所の筋肉を、自在に操る事ができ、この特異体質を利用して、表情筋や骨格筋を自在に操り、他人そっくりの顔・体格に変身できる。また、身体の組織に圧をかけ、血中のヘモグロビン濃度を変化、身体の色素をも変化できる。
モカは腹に刺さったままの指を引き抜いた。
「俺も特訓してんよ。脂肪と筋肉つけて、もっと色んな形に変形できるように。」
トランスは自身の右腕に脂肪と筋肉を集め、巨大な腕を作り上げた。
「こんな風…に、なッ!!!」
次の瞬間、トランスは巨大化した右腕で幸太郎もろともモカに殴りかかった。
「ッ!!!」
モカは幸太郎を物陰へ突き飛ばし、トランスの拳から幸太郎を守った。
しかし、モカはその拳に直撃した。
「ぐがッ…!!!」
モカは壁まで吹き飛ばされた。
「モカさん!!!」
トランスは壁まで吹き飛ばされたモカの元までゆっくりと歩いてきた。
「やっぱ流石やわ。ちゃんと受け身取ってるやん。」
モカは他人の心が読める為、いつ何処に攻撃が来るかを知ることができる。故に、防御で遅れを取る事は無い。
「読心術…やっかいやな。んでも知ってんねんで。お前のは、相手の仕草や表情なんかが分からな使えへんって。」
すると、トランスは筋肉や脂肪を操り、巨大な肉塊へと姿を変えた。
「これなら使えへんやろォォォォォォォォオ!!!?!?!」
肉塊はカボチャの形をしていた。
「ハロウィン最高ォォォォォォォォオ!!!?!?!」
次の瞬間、トランスの肉塊から鋭く形成された筋組織がモカ目掛けて突出してきた。
使用目的は主に、組合の幹部、または、それらと親しい権力者への奉仕。交流会や対談など、色々と理由をつけてはいるが、言明すると、ただの金持ちの道楽である。この船が一回空を飛ぶだけで、小国の国家予算を上回ると言われている。ちなみに、前会長の矢里本珍太郎はこの船を廃棄したがっていたそうだ。
2045年9月12日、夜、クイーン満足号にて…
船内のレストランでは、『ちんちん満足の会』の関係者達が各々で話をしていた。その中には矢里本珍三郎の姿もあった。
クイーン満足号、さらに上空にて…
上空では一機の小型ヘリが飛行していた。
そのヘリからは一本のロープが垂れており、幸太郎とモカが握力のみでそのロープに捕まっていた。
「死ぬぅ!死んじゃうぅ!」
幸太郎は必死にロープにしがみついている。
「早く下へ行け!飛行船に飛び乗るんだ!」
「無理無理無理ぃ!怖い死ぬぅぅう!!!」
「スーって降りろ!スーって!」
「できるかぁ!!!」
クイーン満足号、レストランにて…
船内に侵入できた幸太郎とモカは、物陰に隠れながら矢里本を見張っていた。
「アイツか…」
モカ達は写真で矢里本の姿を確認済みだ。
「手はず通り、奴が一人になったタイミングで話をつけろ。」
「おう。」
「分かってるな?うまく交渉できなかった場合は…」
「分かってるよ。」
モカの回想…
山小屋の中で植松が幸太郎達に話をしている。
「朗報や。9月12日、クルーズ客船、クイーン満足号に矢里本珍三郎が乗るらしい。」
「それのどこが朗報なんだ?」
「仕留める。」
植松が答えるよりも先にモカが答えた。
「それな。」
「仕留める?」
「クイーン満足号は飛行船。つまり密室。敵の援軍は無し。そんな所に敵の一人がおんねん。ビッグチャンスやんけ。」
「殺すって事…?」
「おう。」
植松はモカの方を向いた。
「って事で頼むわ。」
「潜入方法はどうする?」
「後で話すわ。」
その時、幸太郎は声を上げた。
「ちょいとお待ち!!!」
「なんやなんや。」
「あのさ…その…あれ…殺すのやめない?」
植松とモカは同時に顔をしかめた。
「いや、だって…殺すのはダメだろ。」
「…そりゃな。」
「だろ。だから殺すのは…」
「でもお前、殺されんねんで。」
「え…」
植松に続きモカも反論しだした。
「相手はこっちを殺す気でいる。そんな甘い考えが通ると思うな。」
「そゆことや。殺らなこっちが殺られんねん。」
「でもよ…」
モカは幸太郎を指差した。
「なら、お前も来い。」
「え…?」
「お前も俺と一緒にクルーズ船に乗り込む。そして、お前が矢里本を説得しろ。」
「お、おい…お前なに言ってんねん…」
モカの急な提案に植松は驚いている。
「自分の意地を通したいのなら、自分で何とかしろ。」
現在…
「(最高は協定、良くて停戦。九割方失敗だろう。まぁ、無きにしも非ずだ。奴がどこまでやるか、見ものだな。)」
その時、幸太郎はモカに小声で話しかけた。
「あのさ、モカさん。」
「何だ?」
「なに話せば良いの?」
「…お前、考えてなかったのか?」
「うん。」
「(こりゃ無理だな。)知らね。」
矢里本は一人で移動し始めた。
「追うぞ。」
二人は身を潜めながら矢里本を追った。
クイーン満足号、通路にて…
幸太郎とモカは一人になった矢里本を尾行していた。
「どうする?もう行っちゃう?」
モカは返事をしない。
「モカさん?」
「え…あぁ…」
モカは読心術により、矢里本の心が読めていた。
「(誘い込まれている…)」
そう。矢里本が一人になったのは、モカ達を誘い込む為。
「(返り討ち…いや、たった一人で俺に敵うはずがない。何処かに仲間が潜んでいるか…それとも、向こうも対話を望んでいるか…)」
痺れを切らした幸太郎が矢里本の元へ行こうとしたその時、モカは矢里本の微妙な表情の変化により、全てを理解した。
「待て。幸太郎。俺が行く。」
「え、何で…?」
モカは物陰から、矢里本の前に姿を現した。
「お前、矢里本じゃないな。」
すると、矢里本は不敵に笑った。
「流石は元No.2やな…」
次の瞬間、矢里本の顔や体型が変化していった。
矢里本は偽物だったのだ。
「やはりお前か…トランス。」
「ひっさしぶり。」
その時、幸太郎も物陰から姿を現した。
「お、おい!どうなってんだよ!これ!」
「バカ!出てくるな!」
次の瞬間、トランスの右手の人差し指と中指が凄い勢いで伸びてきた。
トランスの指はモカの腹部を貫いた。
「うッ…!!!」
モカは隠し持っていたナイフでその指を切断した。
「そんなガキにかまってる暇無いと思うけどぉ?」
コードネーム:トランス
『Zoo』の殺し屋。生まれつき神経細胞の数が非常に多く、普通なら動かすのも困難な箇所の筋肉を、自在に操る事ができ、この特異体質を利用して、表情筋や骨格筋を自在に操り、他人そっくりの顔・体格に変身できる。また、身体の組織に圧をかけ、血中のヘモグロビン濃度を変化、身体の色素をも変化できる。
モカは腹に刺さったままの指を引き抜いた。
「俺も特訓してんよ。脂肪と筋肉つけて、もっと色んな形に変形できるように。」
トランスは自身の右腕に脂肪と筋肉を集め、巨大な腕を作り上げた。
「こんな風…に、なッ!!!」
次の瞬間、トランスは巨大化した右腕で幸太郎もろともモカに殴りかかった。
「ッ!!!」
モカは幸太郎を物陰へ突き飛ばし、トランスの拳から幸太郎を守った。
しかし、モカはその拳に直撃した。
「ぐがッ…!!!」
モカは壁まで吹き飛ばされた。
「モカさん!!!」
トランスは壁まで吹き飛ばされたモカの元までゆっくりと歩いてきた。
「やっぱ流石やわ。ちゃんと受け身取ってるやん。」
モカは他人の心が読める為、いつ何処に攻撃が来るかを知ることができる。故に、防御で遅れを取る事は無い。
「読心術…やっかいやな。んでも知ってんねんで。お前のは、相手の仕草や表情なんかが分からな使えへんって。」
すると、トランスは筋肉や脂肪を操り、巨大な肉塊へと姿を変えた。
「これなら使えへんやろォォォォォォォォオ!!!?!?!」
肉塊はカボチャの形をしていた。
「ハロウィン最高ォォォォォォォォオ!!!?!?!」
次の瞬間、トランスの肉塊から鋭く形成された筋組織がモカ目掛けて突出してきた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

バックホー・ヒーロー!
柚緒駆
ファンタジー
魔法王国サンリーハムを襲う魔竜の群れ。魔法機械『聖天の歯車』によってサンリーハムは東方の海に避難した……はずなのに、出現したのは現代日本、大阪の上空だった! この事態に巻き込まれた根木一平太は、娘留美を守るため、魔竜にバックホー(ユンボ)で立ち向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる