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珍・桑田少年の品定め
水族館のCM
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【水族館のCM】
「うわぁ~‼︎」
子供が巨大なガラス張りの水槽に張り付いて熱心に中を覗いている。
「お父さんお父さん‼︎あのお魚はなんていうお魚?」
子供はクマノミを指さした。
「うーんとね。これはねぇ……エイかな?」
「へー‼︎エイって名前なんだ‼︎」
満面の笑顔で答えたがエイではない。
子供は何か思うところがある様子のまま指さす先をヒトデに変えた。
「あの床にくっついてるお星さまは?」
「これは難しいなぁ……あっ‼︎確かエイかな?」
「へぇー。これもエイなんだ」
相変わらずの笑顔で答えているが決してエイではない。
子供が不思議そうな顔をしていると目の前に巨大なジンベイザメが出てきた。
「わぁああ‼︎すっごいおっきい‼︎あのおっきなお魚さんはなに⁉︎」
「うっわおっき‼︎あれはおっきいエイやぁ‼︎こんなおっきいエイは初めて見たわぁ」
「これもエイなのー?」
子供以上にはしゃいでいるが絶対に違う。
子供は納得できない様々な状況に少し不貞腐れてきた。
今度は岩場にサザエがいるのを見つけて指さした。
「あの貝なら僕知ってるよ‼︎この前食べたやつだ‼︎ええっと確か……サ」
「エイやな」
「嘘だッッ!!!」
その通り。
子供は泣き叫びながら父親に抱きついた。
父親は息子を抱き上げると少し怒り顔になった。
「息子に何てことしてくれるんですか‼︎」
「え~へ~へ~。あ?」
男から笑顔が消えて真顔になった。
少し無言の空気に包まれた矢先、子供が口を開いた。
「飽きた‼︎もう帰る‼︎」
父親から案の定と言わんばかりのため息。
「あと四日はここから出られないよ。言っただろ?ここは潜水艦なんだから」
嫌だ。と再び子供は泣き叫び出すと同時にナレーションの声が始まった。
『エイはいなくとも貝はいる‼︎全世界初の潜水艦型水族館‼︎実際に海に潜りながら世界最大級の水槽の中にいる約五百種の魚や貝を見ることができるぞ‼︎』
泣き叫ぶ子供、少し機嫌の悪い父親、真顔の男。みんなが一斉にこちらを向いて笑顔になった。
『「満・足・水・族・館‼︎」』
「うわぁ~‼︎」
子供が巨大なガラス張りの水槽に張り付いて熱心に中を覗いている。
「お父さんお父さん‼︎あのお魚はなんていうお魚?」
子供はクマノミを指さした。
「うーんとね。これはねぇ……エイかな?」
「へー‼︎エイって名前なんだ‼︎」
満面の笑顔で答えたがエイではない。
子供は何か思うところがある様子のまま指さす先をヒトデに変えた。
「あの床にくっついてるお星さまは?」
「これは難しいなぁ……あっ‼︎確かエイかな?」
「へぇー。これもエイなんだ」
相変わらずの笑顔で答えているが決してエイではない。
子供が不思議そうな顔をしていると目の前に巨大なジンベイザメが出てきた。
「わぁああ‼︎すっごいおっきい‼︎あのおっきなお魚さんはなに⁉︎」
「うっわおっき‼︎あれはおっきいエイやぁ‼︎こんなおっきいエイは初めて見たわぁ」
「これもエイなのー?」
子供以上にはしゃいでいるが絶対に違う。
子供は納得できない様々な状況に少し不貞腐れてきた。
今度は岩場にサザエがいるのを見つけて指さした。
「あの貝なら僕知ってるよ‼︎この前食べたやつだ‼︎ええっと確か……サ」
「エイやな」
「嘘だッッ!!!」
その通り。
子供は泣き叫びながら父親に抱きついた。
父親は息子を抱き上げると少し怒り顔になった。
「息子に何てことしてくれるんですか‼︎」
「え~へ~へ~。あ?」
男から笑顔が消えて真顔になった。
少し無言の空気に包まれた矢先、子供が口を開いた。
「飽きた‼︎もう帰る‼︎」
父親から案の定と言わんばかりのため息。
「あと四日はここから出られないよ。言っただろ?ここは潜水艦なんだから」
嫌だ。と再び子供は泣き叫び出すと同時にナレーションの声が始まった。
『エイはいなくとも貝はいる‼︎全世界初の潜水艦型水族館‼︎実際に海に潜りながら世界最大級の水槽の中にいる約五百種の魚や貝を見ることができるぞ‼︎』
泣き叫ぶ子供、少し機嫌の悪い父親、真顔の男。みんなが一斉にこちらを向いて笑顔になった。
『「満・足・水・族・館‼︎」』
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