泉出パロディ群

泉出康一

文字の大きさ
上 下
2 / 2
珍・桑田少年の品定め

水族館のCM

しおりを挟む
【水族館のCM】

「うわぁ~‼︎」

子供が巨大なガラス張りの水槽に張り付いて熱心に中を覗いている。

「お父さんお父さん‼︎あのお魚はなんていうお魚?」

子供はクマノミを指さした。

「うーんとね。これはねぇ……エイかな?」
「へー‼︎エイって名前なんだ‼︎」

満面の笑顔で答えたがエイではない。
子供は何か思うところがある様子のまま指さす先をヒトデに変えた。

「あの床にくっついてるお星さまは?」
「これは難しいなぁ……あっ‼︎確かエイかな?」
「へぇー。これもエイなんだ」

相変わらずの笑顔で答えているが決してエイではない。
子供が不思議そうな顔をしていると目の前に巨大なジンベイザメが出てきた。

「わぁああ‼︎すっごいおっきい‼︎あのおっきなお魚さんはなに⁉︎」
「うっわおっき‼︎あれはおっきいエイやぁ‼︎こんなおっきいエイは初めて見たわぁ」
「これもエイなのー?」

子供以上にはしゃいでいるが絶対に違う。
子供は納得できない様々な状況に少し不貞腐れてきた。
今度は岩場にサザエがいるのを見つけて指さした。

「あの貝なら僕知ってるよ‼︎この前食べたやつだ‼︎ええっと確か……サ」
「エイやな」
「嘘だッッ!!!」

その通り。
子供は泣き叫びながら父親に抱きついた。
父親は息子を抱き上げると少し怒り顔になった。

「息子に何てことしてくれるんですか‼︎」
「え~へ~へ~。あ?」

男から笑顔が消えて真顔になった。
少し無言の空気に包まれた矢先、子供が口を開いた。

「飽きた‼︎もう帰る‼︎」

父親から案の定と言わんばかりのため息。

「あと四日はここから出られないよ。言っただろ?ここは潜水艦なんだから」

嫌だ。と再び子供は泣き叫び出すと同時にナレーションの声が始まった。

『エイはいなくとも貝はいる‼︎全世界初の潜水艦型水族館‼︎実際に海に潜りながら世界最大級の水槽の中にいる約五百種の魚や貝を見ることができるぞ‼︎』

泣き叫ぶ子供、少し機嫌の悪い父親、真顔の男。みんなが一斉にこちらを向いて笑顔になった。

『「満・足・水・族・館‼︎」』
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

処理中です...