泉出パロディ群

泉出康一

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珍・桑田少年の品定め

猫舌

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市村いちむら拓也たくや植松うえまつリンカ、藤原ふじわら謙一けんいちの三人がピクニックをしていた。地面にブルーシートを敷いて、お昼ご飯を食べている。

「ニョヒヒ‼︎ニョヒヒ‼︎ピクニックは楽しいなぁ‼︎」
「はは。それな。僧侶枠やん。」
「ここ意外といいでしょ?知る人ぞ知る秘境なんですよね。」

誰が言い出しっぺか、何故このメンバーなのか、ほとんど謎に包まれているが、開催場所を選んだのはどうやら藤原のようだ。

「喉乾いたわ」

植松はリュックから水筒を取り出した。

「おい!コラ!植松!お前なに一人でお茶飲もうとしてんねん!没収や!」

超後進的な高校で教師をやっている藤原は集団の規律を乱す行動(勝手にお茶を飲むこと)を許すことができない。
藤原は植松から水筒を奪おうとした。

「ちょ!おま!何すんねん!」
「んが!おおおお前!今『おまえ』言おうとしたな俺に向かって!しかも『何すんねん』って敬語もろくに使えんで!」
「は?さっさと離せや!お茶くらい勝手に飲ませろや!」
「あかんッ!こっちはなぁ、お前みたいなやつに規律乱されると他の生徒まで流されて、結果俺の評価が下がるんや!今でも減給されまくって毎月ドングリ十二個しか貰えてないのにこれ以上はかなわんわ!」
「いや、知らんわ!」

引っ張り合いの末、水筒の蓋部分が外れた。本体は藤原が手にした。

「こんなもんがあるからあかんねん!全部俺が飲んだる!……あっつ‼︎熱すぎるやろ!こんなもん飲めるかぁ!」
「いや飲むなや!」

二人のやりとりをニヤけ顔で眺めていた市村が口を開いた。

「藤原先生、猫舌ですねそれ」
「猫舌?」
「人間の舌先は敏感なんですよ。良い感じに温かいお茶でも舌先に当てると熱く感じる。舌先に当たらないように飲むと良いんですよ」
「そうゆうことなんか」
「貸してみてください」

市村は水筒を受け取ると実演を始めた。

「こうやって舌をまず伸ばす。1mくらい伸ばせば絶対に舌先には当たらん」

人外の如く伸びた舌は一部地面に転がっている。
藤原は唖然としている一方。植松は呆れていた。

「あんなキモいやつに触られた水筒とか使われへんやんけ。買い替えな。」
「ニョヒヒ!お前それやばいやつのルッキズムやぞ」
「黙れ人外」
「ニョヒヒ!植松くらい可愛かったら罵られるのもご褒美やな!まあ兎にも角にもこうやって舌先に当たらんようにすると……あっつ‼︎熱すぎるやろ!こんなもん飲めるかぁ!」

植松のお茶は普通に熱かった。
その様子を教室の窓から桑田くわた幸太郎こうたろうは眺めていた。

「あいつらグラウンドのど真ん中で何やってんだよ」
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