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しおりを挟む右手を引かれて、部屋の中まで招かれる。そのまま、ベッドに座らされた。
シュウ兄は、エアコンのスイッチを押すと、冷蔵庫から冷えた麦茶をコップに注ぎ、俺に一つ渡すと目の前の床に座った。
「ハルが見たのは、多分、三好っていうゼミが一緒のやつ。俺のダチの田口と付き合ってる」
「なんで、友達の彼女があんなベタベタくっついて、部屋によんでんの」
「三好は俺だけじゃなくて、他の男女共に距離感が近ぇの。別に部屋にはよびたくてよんだわけじゃねぇよ。あの二人、最近付き合い始めたんだけど、なかなか田口が手出してこないし、イチャつけないって言ってきて、一緒にホラー映画でも見れば怖がるふりしながらくっつけるかな? とか言ってきてさ。そんで、俺のホラー映画のブルーレイ貸せって。色々、注文多いから俺の部屋来た時、適当に持ってけって言った。マジで、お前が考えてるようなことじゃない。なぁ、俺言っただろ。お前以外無理だって」
「……本当に? 俺だけ?」
「そんな簡単に他のやつ好きになれたら、こんなに苦しんでねぇよ」
辛そうな顔をするシュウ兄は、嘘をついてるようには見えなかった。
「……疑ってごめん」
「ほんとにな。で、疑いも晴れたし、うちに泊まってくだろ?」
「うん」
「先、風呂入れば。汗かいて気持ちわりぃだろ」
「……一緒に入る?」
「あ? お前っ、なに言って」
「ダメ……?」
「ダメ……つうか、なんかあったらどうすんだよ」
「なんかって何?」
「俺、結構我慢してんだよ。手、出すかもしれないってこと」
「いいよ。手、出しても」
「卒業までは……」
「それってさ、俺がまだ未成年ってこともあるけど、一番は俺が他に好きな人出来るかもしれないって不安なんだろ?」
「……」
「それならさ、ないよ」
「そんなの分かんねぇだろ」
「だって、俺、あの日からおかずはシュウ兄だよ。しかも、シュウ兄に突っ込まれる想像しながら抜いてる。もう、シュウ兄以外で勃たないし」
それを聞いてシュウ兄はポカーンと、アホっぽい顔をする。
うける。
「前からさ、AV見てると女側の方に感情移入してたから、多分俺、女とは無理。でも、シュウ兄以外の他の男と色々してる想像してみたけど、気持ち悪かった。ねぇ、シュウ兄。シュウ。俺、シュウが好きだよ。シュウ以外なんていらない。シュウだけ」
そう言って、思い切ってギュッと抱きつく。
「おまっ。そこまで言われたら、俺無理……後戻り、できなくなんぞ」
「いいよ。後戻りできなくさせてよ。そしたらシュウ、もう俺から離れようとしないでしょ……」
どちらからともなく、そっと触れるだけのキスをした。と、思ったらベッドに押し倒されていた。
「え、ちょ。風呂は?」
「無理っつったろ」
「いやいやいや、俺汗かいてるし。シャワー……」
「煽ったのはお前。どうせ後で入るし、いいだろ」
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