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24【エドワルド視点】
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【エドワルド視点】
母上に衝撃の話しを聞いて、色々聞いていたら王城へ行くのがいつもより遅くなってしまった。
いつも余裕を持って訓練場へ行っていたから、訓練の時間には間に合うが。
城へつくと、普段と空気が違うように思う。いつもなら、城内を移動しているだけでクスクス笑いや陰口がついて回るが、今日はそわそわと落ち着かない。
昨日の王家の人々の食事の時の出来事について、すでに噂が回っているようだ。
訓練場へ行くと、アルが騎士に絡まれていた。
いつも早めに訓練場へ行くのは、アルが絡まれるのを少しでもなくすために早めに行ってるのに。舌打ちをする。
あいつは確か、子爵家の次男だったか。そこそこ顔が整っていることを鼻にかけて、よく俺達に絡んでくるやつだ。一度、流石にイラッと来て指導をお願いするていでボコボコにしてやってからは俺には絡んでこないが、アルが一人でいるといつも絡んでくる。自分は継ぐ爵位がないため騎士として身を立てないといけないが、自分よりも容姿が劣っているのに次期国王というのが許せない、という言い分らしい。
いや、王族に対してその態度はなんだよ、とたしなめようとしたらアルに止められてしまってそのままでいた。
はあ、早くアルのもとへ行こう。その時、驚くことが起きた。
陛下が訓練場に来ていた。それさえも驚きなのに、騎士に絡まれているアルをかばい、その兵士を北の砦への移動を命じた。
騎士は呆気に取られているようだが、昨日の出来事の噂を一度も聞いていなかったのだろうか。
ほとんどの者があの噂は本当か、と様子見していたというのに。
北の砦は男色の騎士が多いことで有名だから、顔が整っていることも手伝って色んな意味で可愛がってもらえそうだな。
今まで、散々アルをバカにしてきたんだ、いい気味だ。
訓練場がざわざわと落ち着きがない。
北への移動を命じられた騎士は膝をついて項垂れている。
陛下はそんなことには目もくれず、訓練場にいるみんなに「君たちがいざというときの為に訓練を続けてくれているおかげで私達は今日も安心して過ごせる。君たちには感謝している。これからも訓練に励んでくれ」と言って、その場をあとにしようとしたが振り返り「アガルトことをよろしく頼む」と言って今度こそ、その場をあとにした。
噂は本当だったのだ、と周りの人々がザワついたのがわかった。
まぁ、そりゃあそうだよな。今まで陛下はアルに対して、いてもいなくても変わらないような態度だったのに、アルに絡んだ騎士を移動させたのだ。
これからは、アルにもきちんとした態度を取らなければいけないと思ったことだろう。
そんなことがあってから、周りのアルに対する態度がガラッと変わった。心なしか、いつも側にいる俺への態度も軟化している気がする。
訓練が終わり、アルに話しかける。
「良かったですね」
「え?」
「王家の皆さん、和解されたと聞きました」
「あぁ、うん、そうなんだよ! ミリーのおかげでね」
やはり母上に聞いたとおり、ミリアリア様のおかげ、か。
まだ周りには沢山の人が残っていて、聞き耳を立てている。
「ミリーがね、色々調べてくれたんだ。昔、ユニーカ大陸出身の方を王妃に迎えた王がいたんだって。それから時々、ユニーカ大陸特有の見た目の子どもが生まれることや、三代前の王弟が僕に似ていることが分かってお父様もお母様も仲直りして、僕に謝ってくれたんだ」
「そうだったんですね。まさか、アガルト様の見た目がユニーカ大陸特有だったとは」
「ね! 僕も驚いた」
アルは嬉しそうだ。本当に良かった。家族仲が良ければ、アルをバカにするような奴らはいなくなるだろう。
俺はミリアリア様に対して申し訳なくなった。
何か企んでいるんじゃないかと警戒していたが、今の状況を考えると、本当にこの前アルに助けてもらっことで心を入れ替えたのだろう。
見る目を変えて、今度からは形だけではなく、心からミリアリア様に敬意を払おう。
母上に衝撃の話しを聞いて、色々聞いていたら王城へ行くのがいつもより遅くなってしまった。
いつも余裕を持って訓練場へ行っていたから、訓練の時間には間に合うが。
城へつくと、普段と空気が違うように思う。いつもなら、城内を移動しているだけでクスクス笑いや陰口がついて回るが、今日はそわそわと落ち着かない。
昨日の王家の人々の食事の時の出来事について、すでに噂が回っているようだ。
訓練場へ行くと、アルが騎士に絡まれていた。
いつも早めに訓練場へ行くのは、アルが絡まれるのを少しでもなくすために早めに行ってるのに。舌打ちをする。
あいつは確か、子爵家の次男だったか。そこそこ顔が整っていることを鼻にかけて、よく俺達に絡んでくるやつだ。一度、流石にイラッと来て指導をお願いするていでボコボコにしてやってからは俺には絡んでこないが、アルが一人でいるといつも絡んでくる。自分は継ぐ爵位がないため騎士として身を立てないといけないが、自分よりも容姿が劣っているのに次期国王というのが許せない、という言い分らしい。
いや、王族に対してその態度はなんだよ、とたしなめようとしたらアルに止められてしまってそのままでいた。
はあ、早くアルのもとへ行こう。その時、驚くことが起きた。
陛下が訓練場に来ていた。それさえも驚きなのに、騎士に絡まれているアルをかばい、その兵士を北の砦への移動を命じた。
騎士は呆気に取られているようだが、昨日の出来事の噂を一度も聞いていなかったのだろうか。
ほとんどの者があの噂は本当か、と様子見していたというのに。
北の砦は男色の騎士が多いことで有名だから、顔が整っていることも手伝って色んな意味で可愛がってもらえそうだな。
今まで、散々アルをバカにしてきたんだ、いい気味だ。
訓練場がざわざわと落ち着きがない。
北への移動を命じられた騎士は膝をついて項垂れている。
陛下はそんなことには目もくれず、訓練場にいるみんなに「君たちがいざというときの為に訓練を続けてくれているおかげで私達は今日も安心して過ごせる。君たちには感謝している。これからも訓練に励んでくれ」と言って、その場をあとにしようとしたが振り返り「アガルトことをよろしく頼む」と言って今度こそ、その場をあとにした。
噂は本当だったのだ、と周りの人々がザワついたのがわかった。
まぁ、そりゃあそうだよな。今まで陛下はアルに対して、いてもいなくても変わらないような態度だったのに、アルに絡んだ騎士を移動させたのだ。
これからは、アルにもきちんとした態度を取らなければいけないと思ったことだろう。
そんなことがあってから、周りのアルに対する態度がガラッと変わった。心なしか、いつも側にいる俺への態度も軟化している気がする。
訓練が終わり、アルに話しかける。
「良かったですね」
「え?」
「王家の皆さん、和解されたと聞きました」
「あぁ、うん、そうなんだよ! ミリーのおかげでね」
やはり母上に聞いたとおり、ミリアリア様のおかげ、か。
まだ周りには沢山の人が残っていて、聞き耳を立てている。
「ミリーがね、色々調べてくれたんだ。昔、ユニーカ大陸出身の方を王妃に迎えた王がいたんだって。それから時々、ユニーカ大陸特有の見た目の子どもが生まれることや、三代前の王弟が僕に似ていることが分かってお父様もお母様も仲直りして、僕に謝ってくれたんだ」
「そうだったんですね。まさか、アガルト様の見た目がユニーカ大陸特有だったとは」
「ね! 僕も驚いた」
アルは嬉しそうだ。本当に良かった。家族仲が良ければ、アルをバカにするような奴らはいなくなるだろう。
俺はミリアリア様に対して申し訳なくなった。
何か企んでいるんじゃないかと警戒していたが、今の状況を考えると、本当にこの前アルに助けてもらっことで心を入れ替えたのだろう。
見る目を変えて、今度からは形だけではなく、心からミリアリア様に敬意を払おう。
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