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12【エドワルド視点】
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【エドワルド視点】
アルと一緒に剣の稽古を受けるため、城の修練場へ向かう。
すれ違う人達から、コソコソと何かバカにされているような雰囲気にも、もうだいぶ慣れた。
慣れてはいるが、いい気はしない。
アルと初めて会った日の帰り道、馬車の中で父上に「どうだ、仲良くなれそうか?」と聞かれて、何と答えればいいか分からず、「オドオドしてるやつだね」と返した覚えがある。
父上はふぅむ、そういう答えが返ってくるか。と、ブツブツ言っていた。
「まぁ、色々と難しいお方だ。国王からお前が側にいてくれるとありがたいと言われてな。まぁ、なんだ。お前もそろそろ領地の子どもだけではなく、王都の子どもとも仲良くなりなさい」
そう言われて、なんだかんだと用事をつけられ、よく城へ行きアルと遊んでいた。
最初の頃は、他にも何人か子どもたちが来たりしたのだが、俺やアルを見て、クスクス笑ったり、怖がったり、話しかけても無視されたりと、まぁ色々と子どもだとしても態度が悪いので、最終的に城に来て、アルと遊ぶのは俺だけになった。
アルは努力家だ。勉強も、剣も、魔法も教師たちに褒められている。
それでも、一番褒めてほしいであろう人達からは一言も褒められていないのがなんとも悲しい。
「おはよう、エド! 今日は遅かったね」
修練場へ着くと、一足早くアルが剣の素振りをしていた。
ニコニコとした顔は、なんだか機嫌が良さそうだ。
周りをチラと見て、少し離れた所にいる護衛以外は人がいないことを確認して答える。
「おはよう。なんだよ、今日は機嫌がいいな。昨日まで、謹慎くらってたのに」
すると、えへへと笑いながら、なぜなのか聞いてほしそうにしてくる。
「ったく、何があったんだよ」
「なんと!! 今日はミリーと朝ご飯を食べたんだよ」
今までで、一番美味しい朝ご飯だったと報告してくる。
「ミリアリア様と?」
「うん、いいだろう」
フフン、と聞こえそうなニヤニヤ顔をしてくる。
「あー、それは、良かったな」
「それに、今度からミリーって呼んでってお願いされちゃった」
「ふぅーん」
「ちょっと、少しは一緒に喜んでくれたっていいだろう」
「あぁ、悪い悪い。良かったじゃねぇか。ミリアリア様と食事って初めてだったか」
「うん。また、一緒に食べられたらいいな……」
さっきまで嬉しそうだった顔が、急にしょぼくれたような顔になる。
正直、アルにはあまりミリアリア様と関わってほしくない。家族なんだから、無理だとは思うが極力関わってほしくない。
家族という物に飢えているアルにとって、ミリアリア様と関わることは百害あって一利なしだと思っている。
この前だってあんな事をしでかしたのに……
だが、珍しく謝りに来たのには驚いた。まさか、あのミリアリア様が涙を流しながら謝るなんて。
まぁ、謝ったからといって、あの性格が治ったとは思っていない。
絶対に何か裏があるはずだ。
今日だって、何を考えたのやら、アルと食事をとるなんて。
そうやって、今度はアルを糠喜びさせて楽しむつもりだろうか。
俺は騙されない。
そうは思っていても、親友の喜ぶ顔は見たいし、悲しむ顔は見たくない。
だから、俺は親友を励ます。
「そうだな。また、一緒に食事ができたらいいな」
アルと一緒に剣の稽古を受けるため、城の修練場へ向かう。
すれ違う人達から、コソコソと何かバカにされているような雰囲気にも、もうだいぶ慣れた。
慣れてはいるが、いい気はしない。
アルと初めて会った日の帰り道、馬車の中で父上に「どうだ、仲良くなれそうか?」と聞かれて、何と答えればいいか分からず、「オドオドしてるやつだね」と返した覚えがある。
父上はふぅむ、そういう答えが返ってくるか。と、ブツブツ言っていた。
「まぁ、色々と難しいお方だ。国王からお前が側にいてくれるとありがたいと言われてな。まぁ、なんだ。お前もそろそろ領地の子どもだけではなく、王都の子どもとも仲良くなりなさい」
そう言われて、なんだかんだと用事をつけられ、よく城へ行きアルと遊んでいた。
最初の頃は、他にも何人か子どもたちが来たりしたのだが、俺やアルを見て、クスクス笑ったり、怖がったり、話しかけても無視されたりと、まぁ色々と子どもだとしても態度が悪いので、最終的に城に来て、アルと遊ぶのは俺だけになった。
アルは努力家だ。勉強も、剣も、魔法も教師たちに褒められている。
それでも、一番褒めてほしいであろう人達からは一言も褒められていないのがなんとも悲しい。
「おはよう、エド! 今日は遅かったね」
修練場へ着くと、一足早くアルが剣の素振りをしていた。
ニコニコとした顔は、なんだか機嫌が良さそうだ。
周りをチラと見て、少し離れた所にいる護衛以外は人がいないことを確認して答える。
「おはよう。なんだよ、今日は機嫌がいいな。昨日まで、謹慎くらってたのに」
すると、えへへと笑いながら、なぜなのか聞いてほしそうにしてくる。
「ったく、何があったんだよ」
「なんと!! 今日はミリーと朝ご飯を食べたんだよ」
今までで、一番美味しい朝ご飯だったと報告してくる。
「ミリアリア様と?」
「うん、いいだろう」
フフン、と聞こえそうなニヤニヤ顔をしてくる。
「あー、それは、良かったな」
「それに、今度からミリーって呼んでってお願いされちゃった」
「ふぅーん」
「ちょっと、少しは一緒に喜んでくれたっていいだろう」
「あぁ、悪い悪い。良かったじゃねぇか。ミリアリア様と食事って初めてだったか」
「うん。また、一緒に食べられたらいいな……」
さっきまで嬉しそうだった顔が、急にしょぼくれたような顔になる。
正直、アルにはあまりミリアリア様と関わってほしくない。家族なんだから、無理だとは思うが極力関わってほしくない。
家族という物に飢えているアルにとって、ミリアリア様と関わることは百害あって一利なしだと思っている。
この前だってあんな事をしでかしたのに……
だが、珍しく謝りに来たのには驚いた。まさか、あのミリアリア様が涙を流しながら謝るなんて。
まぁ、謝ったからといって、あの性格が治ったとは思っていない。
絶対に何か裏があるはずだ。
今日だって、何を考えたのやら、アルと食事をとるなんて。
そうやって、今度はアルを糠喜びさせて楽しむつもりだろうか。
俺は騙されない。
そうは思っていても、親友の喜ぶ顔は見たいし、悲しむ顔は見たくない。
だから、俺は親友を励ます。
「そうだな。また、一緒に食事ができたらいいな」
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