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しおりを挟む私が一気に紅茶を飲み干し、立ち上がってすぐ扉の方へ向かったら、宰相に止められた。
「どうなさったのですか」
「宝物庫へ行くのよ。何か親子関係を証明できるような魔法具がもしかしたらあるかもしれないでしょ」
「宝物庫ですか。果たしてそのような魔法具があるかどうか……それに、宝物庫は事前に許可がなければ入れませんよ」
「へ? そうなの?」
そ、そんなぁー。お父様達が明日には帰って来るから、それまでに何かないかと思ったのに。
私があまりにもがっかりしていたからか「少々お待ちを」と言って、部屋を出ていってしまった。
ライザと二人、宰相の部屋に残されて、さてどうしたものかしらとライザと顔を見合わせる。
紅茶はさっき一気飲みしてしまったし、とティーカップを見やればライザがすかさずお茶のおかわりを入れてくれた。
暫く待つこと数分。チラチラと部屋の本棚を見ていると、宰相が戻ってきた。
「宝物庫への入室許可を取ってまいりました」
「え! 私が入ってもいいの?」
「約束がございます。部屋の中のものを傷つけないことと勝手に持ち出さないことが条件です」
「宰相! ありがとう」
さすが、仕事ができる男。
早速、宝物庫へ行くことに。
部屋を出る際「良い物が見つかるといいですね」と声をかけられた。
宰相って、実は優しいのね。
宝物庫へ到着すると、一人の男が扉の前で待っていた。
やたらとハンカチで額の汗を拭いている。
「わ、私は宝物庫の管理を任されておりますキースとも、申します。宝物庫の中をミリアリア様にご案内するよう、宰相様から言付かっております。はい」
「そう、キースというのね。よろしく頼むわ」
「は、はい」
汗ダラダラなところを見ると、緊張してるのかしら。
「き、危険な魔法具などもござ、いますので、あの、その、無闇に触らないでください」
チラチラとこちらを伺いながら、言いづらそうに言われた。
そんなに怖がらなくてもいいのに。
「分かったわ。気をつけます」
では、と扉を開けて宝物庫の中へ入る。
うーん、なんというかちょっと暗いわね。あまり見えないじゃない。言ったつもりはなかったけど、口に出していたみたい。
キースはビクッと肩を跳ねさせて説明をしてくれた。
「その、光の影響で劣化してしまうものもございますので、暗いのにはご容赦ください。足元にはお気をつけて」
「あら、そんな理由があったのね。それなら仕方ないわね」
部屋の中はほんのり手元のものが見えるくらいの暗さだけれど、目が慣れてきたらそれなりに何があるのかは何となく分かるくらいにはなった。
キースにそれぞれ見かける魔法具の性能を聞いてみるけど、なかなかこれだというようなものは見つからない。
直接、血縁関係を証明できるようなものはないかとも聞いてみたけど、そのようなものは聞いたことも見たこともないと言われてしまった。
やっぱり、無理なのかしら……そう思っているとふと、一番端の布が被せてある何かを見つけた。
「これは何?」
「それは絵画だと聞いております」
「絵画? 何の?」
「さぁ、特に何の変哲もないただの絵画とだけしか聞いておりません。何が描かれているかは分かりませんが、大切に保管するようにと前の管理責任者からも言われております」
「見ても大丈夫?」
「えぇ、魔法具でもないし、危険はありませんから」
ずっと静かに私の側に来てくれていたライザに目配せをして、一緒に布を取り外す。
「これって!!」
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